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99 騏驥の気持ち、騎士の気持ち(3)
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「少しお休みになったほうがよろしいかもしれませんね。あの放牧場がお気に召したご様子なのは存じておりましたが、まさか駆けられるとは……御御脚は大丈夫ですか」
<…………>
白羽は黙ったまま頷く。サンファが続ける。
「疲れて汗をかいて……そのせいでご体調がすぐれないのでしょう。お身体をお拭きしますから、ゆっくりなさってくださいませ」
そう言うと、白羽の侍女はてきぱきと準備を始める。そしてしょんぼりとしたままの白羽に着せかけていた衣を一度脱がせてしまうと、身体を拭き清めて改めて着せてくれた。
「これでよろしゅうございます。湯はもう少し体力が戻ってからにいたしましょう」
あれこれと気にかけてくれるようにサンファは言うが、白羽の気分は浮かないままだ。
レイゾンからの贈り物、彼の言葉。俺の想い。そして、自分で自分の姿を制御できなかったこと……。
考えれば考えるほど、気持ちが重たくなる。
(ついさっきまでは、あんなに気持ちが良くて爽快で……楽しかったのに……)
顔が曇ってしまう。
しかもそれは誰のせいでもないのだ。
すると、そんな白羽の浮かない様子を気にしたのだろう。サンファがわざとのように明るい声音で言った。
「先ほどは、あの騎士が突然やってきて驚きました。ですが、頂いた品々は確かに良いものばかりですね。さすがツェンリェンさまのお見立て! せっかくですし、気分転換にお使いになってみてはいかがですか?」
<…………>
「あの騎士も、珍しく気が利きましたね。やっとわかったということでしょうか。今更もう——」
しかしその言葉がレイゾンを揶揄するようなものに変わったとき。
堪らず、白羽はサンファの腕を掴み、それ以上続けさせないようにした。
「白羽さま!?」
サンファは驚いたような声を上げて目を丸くする。
白羽は急いで近くにあった筆と紙を取ると、
[レイゾンさまの悪口は言わないで]
と書いて見せる。
サンファの目はますます丸くなる。唖然としたような顔を見せ、狼狽えるような様子で口を開く。
「どう……なさったのですか? あの騎士は——」
[お前がわたしのことを心配してくれているのはよくわかっている。でももう、悪くは言わないで。レイゾンさまは——]
サンファが言いかけている途中から、白羽も続きを書く。けれどそこで手が止まった。
「わたしの騎士だから」とは書けなかった。
改めて、続きを書く。
[今までのことはともかくとして、色々と考えてくださっている。そのお気持ちはなるべく大切にしたい。軽く見るようなことはしたくない]
「…………」
サンファが訝しそうにしているのが伝わってくる。
白羽は一旦しっかりと侍女を見つめると、改めて書く。
[わかってほしい。わたしは騏驥だから騏驥としての務めを果たさなければならないと思う。それはレイゾンさまがどうであっても。ティエンさまのお側にいたからこそ、他の騎士にもきちんと振る舞えるところを見せたい。お前にも、そのつもりでいてほしい]
白羽は気持ちを纏めながら、急いで書き記す。
気心が知れた相手だからか、さっきレイゾンを相手にした時よりも素早く筆が進む。言いたいことも、なんとなくきちんと伝えられている気がする。さっきよりも。
レイゾンを相手にすると、どうしてか気ばかり焦って上手くいかないのだけれど……。
すると、白羽の長い文面を読み終えたサンファが、ふと神妙な面持ちになる。じっと白羽を見つめ返して、彼女は言った。
「白羽さまのお気持ちはわかりました。ですが……その騏驥としての振る舞いは、白羽さまにあのような無礼なことをした騎士を相手にも見せねばならぬものでしょうか。ただでさえ許しがたいことである上、あれは……白羽さまのみならず、亡き陛下に対しても大変に無礼な行いだったと思いますが」
<…………>
(……それは……)
白羽は眉を寄せる。
それは、確かにそうだ。サンファの言う通りなのだ。
だから白羽自身も混乱している。
「あのことは許さない」「彼のことは許さない」と決めて、ずっとその心のまま、態度のままいた方がずっと楽だ。
けれど自分はそうできなくて……。
白羽は惑った。
サンファの言い分の方が正しいように思える。
最初から嫌われていて、宴でも庇われることなく、挙句、身体も想いも思い出も踏みにじられた。好かれていたとも守られていたとも到底思えない——そんな騎士。なのにほんの数度の優し気な言葉や贈り物で、彼を大切な騎士として処遇する必要があるのだろうか……。
白羽が黙ってしまうと、それは白羽が納得したためだと思ったのだろう。
サンファはほっとしたような顔を見せると、
「さ、もうあまりお話しなさらずゆっくりなさってくださいませ」
話を打ち切ろうとするかのように口早に言うと、彼女は白羽が横になれるよう、てきぱきと寝台を整える。さらには脇卓に杯と水差しを置き、読みかけていた本まで置いて白羽が動かずに済むようにすると、満足したように微笑んだ。
「わたくしは、厨房に行って食べるものをもらって参ります。すぐに戻ってまいりますから、少しだけお待ちくださいませ」
あの騎士が指示した物だけでなく白羽さまがお好きな物ももらって参りますね——。
そしてサンファはそう続けると、白羽を残して部屋を出ていく。
寝台の上、腰を下ろしたまま、白羽は肩を落とした。
サンファの言いたいこともわかるのだ。
白羽だって、今もレイゾンのあの乱暴な振る舞いは忘れられないし、だから彼が側に来るとどうしても身体が竦む。避けたいと思う。一緒にいたくないと……怖いと思う。
しかし同時に、彼が過日のことをとても後悔していることも伝わってくるのだ。
単に「物を贈って許しを乞おう」としているだけではない、そんな態度だけではない後悔の気持ちを感じるのだ。
だから、この上彼を責める気になれないし、サンファにも彼の悪口は言ってほしくない。
なにしろ、彼は白羽を手放すと決めている。そんなことをすれば騎士としての資質を疑われるとわかっているだろうに……。
でも、こんな気持ちをサンファにどう伝えればいいだろう?
こんな風に、今はレイゾンの心を気遣うような想いを抱いている自分だけれど、もしかしたら明日には「やはり彼の顔は見たくない」と思うかもしれないのだ。実際、少し前までは彼と顔を合わせずにいることでほっとしていたはずだ。
それなのに、先刻は「彼も後悔しているようだから」と庇うようなことを言うなんて、それではサンファも戸惑うはずだ。
白羽は溜息をつく。
部屋の隅に積み上げられた贈り物。
白羽のためにと造られた放牧場。
そして——その手の心地よさ……。
(…………!)
思い出して危うく浸りかけ、白羽は慌てて頭を振った。
頬が熱い。思い出すだけでなんとなく恥ずかしくなってしまう。彼に裸体を見られたことではなく、あの手に触れられた気持ちよさに我を忘れかけたことが恥ずかしい。
(馬の姿だったとはいえ……)
白羽は、ますます頬が熱くなるのを感じ、冷まそうと両手でそっと触れる。
しかしそうしているうち——サンファの戻りがいやに遅い気がしてきた。
どのくらい経ったのか、はっきりとわからない。けれど「すぐに戻る」と言っていた彼女がこれほど戻らないとは……。
なにかあったのだろうか。
厨房の者と揉めていたり? いや、もしかしてレイゾンとなにか……。
<…………>
気になり始めると、一層気になってしまう。
もう少し待てば帰ってくる、もう少し待てば戻ってくるはず……と思って待つ間の何と長いことか。白羽はたまらず立ち上がると、暫し逡巡したものの、思い切って探しに行こうと決めた。
屋敷に来て以来、ほとんど部屋の中で過ごしていたから、間取りには不慣れだ。だが幸い騏驥だ。他の騏驥たちよりは劣るかもしれないが、音や香りに関しては人よりも敏感だから、サンファを探すだけなら大丈夫だろう。
もし自分の知らないところで彼女とレイゾンとが揉めていたらと思うと、気が気ではない。
(そう——でも……)
そんな風に心配してしまうのは、どちらを守りたいからなのだろう……?
白羽は自分の気持ちを掴めない不安を抱えたまま、しかしそれでもサンファを探さなければと部屋を出る。
廊下は静かで、どことなくひんやりしていた。
そろそろと足を進めてみるが、あまり人の気配がしない。
以前、サンファから聞いた話によれば、この屋敷は、広さに対して使用人の数がごくごく少ないらしい。そのため、色々と自分たちでやらなければならないこともあるものの、働いている者たちは皆人柄がよく、のんびり暮らすには最適な環境ということらしい。
屋敷は、レイゾンがツェンリェンから借りた形になっているようだから、レイゾンが集めた者たちというよりはツェンリェンが集めたか、もしくはそれ以前にこの屋敷の主だった者が集めた使用人たちなのだろう。だがそんなことは感じさせない細やかな気遣いらしく、王都での暮らしに不慣れなレイゾンもこの屋敷での生活にはすこぶる満足している様子——というのもサンファから聞いたことだが、これはきっと、彼女がレイゾンの従者から聞いたことなのだろう。
騎士の従者と騏驥の侍女という似た立場だからか、顔を合わせるとあれこれと情報交換をしているようだ。
サンファは『別に仲がいいわけではありません』と言ってはいるが、白羽以外にはあからさまに態度がつれない彼女が、それでも話し相手をしているということは、それなりにいい距離間の相手なのだろう。
想像するに、少なくとも、レイゾンを前にしているときよりは。
しかし、そんなことを考えながら「確かこちらの方に厨房があるはず……」と、サンファを探して歩いていたとき。
「……しつこいですね。いいではないですか。差し上げると言っているのだから受け取っておけば」
まさに今探している、サンファその人の声が聞こえた
<…………>
白羽は黙ったまま頷く。サンファが続ける。
「疲れて汗をかいて……そのせいでご体調がすぐれないのでしょう。お身体をお拭きしますから、ゆっくりなさってくださいませ」
そう言うと、白羽の侍女はてきぱきと準備を始める。そしてしょんぼりとしたままの白羽に着せかけていた衣を一度脱がせてしまうと、身体を拭き清めて改めて着せてくれた。
「これでよろしゅうございます。湯はもう少し体力が戻ってからにいたしましょう」
あれこれと気にかけてくれるようにサンファは言うが、白羽の気分は浮かないままだ。
レイゾンからの贈り物、彼の言葉。俺の想い。そして、自分で自分の姿を制御できなかったこと……。
考えれば考えるほど、気持ちが重たくなる。
(ついさっきまでは、あんなに気持ちが良くて爽快で……楽しかったのに……)
顔が曇ってしまう。
しかもそれは誰のせいでもないのだ。
すると、そんな白羽の浮かない様子を気にしたのだろう。サンファがわざとのように明るい声音で言った。
「先ほどは、あの騎士が突然やってきて驚きました。ですが、頂いた品々は確かに良いものばかりですね。さすがツェンリェンさまのお見立て! せっかくですし、気分転換にお使いになってみてはいかがですか?」
<…………>
「あの騎士も、珍しく気が利きましたね。やっとわかったということでしょうか。今更もう——」
しかしその言葉がレイゾンを揶揄するようなものに変わったとき。
堪らず、白羽はサンファの腕を掴み、それ以上続けさせないようにした。
「白羽さま!?」
サンファは驚いたような声を上げて目を丸くする。
白羽は急いで近くにあった筆と紙を取ると、
[レイゾンさまの悪口は言わないで]
と書いて見せる。
サンファの目はますます丸くなる。唖然としたような顔を見せ、狼狽えるような様子で口を開く。
「どう……なさったのですか? あの騎士は——」
[お前がわたしのことを心配してくれているのはよくわかっている。でももう、悪くは言わないで。レイゾンさまは——]
サンファが言いかけている途中から、白羽も続きを書く。けれどそこで手が止まった。
「わたしの騎士だから」とは書けなかった。
改めて、続きを書く。
[今までのことはともかくとして、色々と考えてくださっている。そのお気持ちはなるべく大切にしたい。軽く見るようなことはしたくない]
「…………」
サンファが訝しそうにしているのが伝わってくる。
白羽は一旦しっかりと侍女を見つめると、改めて書く。
[わかってほしい。わたしは騏驥だから騏驥としての務めを果たさなければならないと思う。それはレイゾンさまがどうであっても。ティエンさまのお側にいたからこそ、他の騎士にもきちんと振る舞えるところを見せたい。お前にも、そのつもりでいてほしい]
白羽は気持ちを纏めながら、急いで書き記す。
気心が知れた相手だからか、さっきレイゾンを相手にした時よりも素早く筆が進む。言いたいことも、なんとなくきちんと伝えられている気がする。さっきよりも。
レイゾンを相手にすると、どうしてか気ばかり焦って上手くいかないのだけれど……。
すると、白羽の長い文面を読み終えたサンファが、ふと神妙な面持ちになる。じっと白羽を見つめ返して、彼女は言った。
「白羽さまのお気持ちはわかりました。ですが……その騏驥としての振る舞いは、白羽さまにあのような無礼なことをした騎士を相手にも見せねばならぬものでしょうか。ただでさえ許しがたいことである上、あれは……白羽さまのみならず、亡き陛下に対しても大変に無礼な行いだったと思いますが」
<…………>
(……それは……)
白羽は眉を寄せる。
それは、確かにそうだ。サンファの言う通りなのだ。
だから白羽自身も混乱している。
「あのことは許さない」「彼のことは許さない」と決めて、ずっとその心のまま、態度のままいた方がずっと楽だ。
けれど自分はそうできなくて……。
白羽は惑った。
サンファの言い分の方が正しいように思える。
最初から嫌われていて、宴でも庇われることなく、挙句、身体も想いも思い出も踏みにじられた。好かれていたとも守られていたとも到底思えない——そんな騎士。なのにほんの数度の優し気な言葉や贈り物で、彼を大切な騎士として処遇する必要があるのだろうか……。
白羽が黙ってしまうと、それは白羽が納得したためだと思ったのだろう。
サンファはほっとしたような顔を見せると、
「さ、もうあまりお話しなさらずゆっくりなさってくださいませ」
話を打ち切ろうとするかのように口早に言うと、彼女は白羽が横になれるよう、てきぱきと寝台を整える。さらには脇卓に杯と水差しを置き、読みかけていた本まで置いて白羽が動かずに済むようにすると、満足したように微笑んだ。
「わたくしは、厨房に行って食べるものをもらって参ります。すぐに戻ってまいりますから、少しだけお待ちくださいませ」
あの騎士が指示した物だけでなく白羽さまがお好きな物ももらって参りますね——。
そしてサンファはそう続けると、白羽を残して部屋を出ていく。
寝台の上、腰を下ろしたまま、白羽は肩を落とした。
サンファの言いたいこともわかるのだ。
白羽だって、今もレイゾンのあの乱暴な振る舞いは忘れられないし、だから彼が側に来るとどうしても身体が竦む。避けたいと思う。一緒にいたくないと……怖いと思う。
しかし同時に、彼が過日のことをとても後悔していることも伝わってくるのだ。
単に「物を贈って許しを乞おう」としているだけではない、そんな態度だけではない後悔の気持ちを感じるのだ。
だから、この上彼を責める気になれないし、サンファにも彼の悪口は言ってほしくない。
なにしろ、彼は白羽を手放すと決めている。そんなことをすれば騎士としての資質を疑われるとわかっているだろうに……。
でも、こんな気持ちをサンファにどう伝えればいいだろう?
こんな風に、今はレイゾンの心を気遣うような想いを抱いている自分だけれど、もしかしたら明日には「やはり彼の顔は見たくない」と思うかもしれないのだ。実際、少し前までは彼と顔を合わせずにいることでほっとしていたはずだ。
それなのに、先刻は「彼も後悔しているようだから」と庇うようなことを言うなんて、それではサンファも戸惑うはずだ。
白羽は溜息をつく。
部屋の隅に積み上げられた贈り物。
白羽のためにと造られた放牧場。
そして——その手の心地よさ……。
(…………!)
思い出して危うく浸りかけ、白羽は慌てて頭を振った。
頬が熱い。思い出すだけでなんとなく恥ずかしくなってしまう。彼に裸体を見られたことではなく、あの手に触れられた気持ちよさに我を忘れかけたことが恥ずかしい。
(馬の姿だったとはいえ……)
白羽は、ますます頬が熱くなるのを感じ、冷まそうと両手でそっと触れる。
しかしそうしているうち——サンファの戻りがいやに遅い気がしてきた。
どのくらい経ったのか、はっきりとわからない。けれど「すぐに戻る」と言っていた彼女がこれほど戻らないとは……。
なにかあったのだろうか。
厨房の者と揉めていたり? いや、もしかしてレイゾンとなにか……。
<…………>
気になり始めると、一層気になってしまう。
もう少し待てば帰ってくる、もう少し待てば戻ってくるはず……と思って待つ間の何と長いことか。白羽はたまらず立ち上がると、暫し逡巡したものの、思い切って探しに行こうと決めた。
屋敷に来て以来、ほとんど部屋の中で過ごしていたから、間取りには不慣れだ。だが幸い騏驥だ。他の騏驥たちよりは劣るかもしれないが、音や香りに関しては人よりも敏感だから、サンファを探すだけなら大丈夫だろう。
もし自分の知らないところで彼女とレイゾンとが揉めていたらと思うと、気が気ではない。
(そう——でも……)
そんな風に心配してしまうのは、どちらを守りたいからなのだろう……?
白羽は自分の気持ちを掴めない不安を抱えたまま、しかしそれでもサンファを探さなければと部屋を出る。
廊下は静かで、どことなくひんやりしていた。
そろそろと足を進めてみるが、あまり人の気配がしない。
以前、サンファから聞いた話によれば、この屋敷は、広さに対して使用人の数がごくごく少ないらしい。そのため、色々と自分たちでやらなければならないこともあるものの、働いている者たちは皆人柄がよく、のんびり暮らすには最適な環境ということらしい。
屋敷は、レイゾンがツェンリェンから借りた形になっているようだから、レイゾンが集めた者たちというよりはツェンリェンが集めたか、もしくはそれ以前にこの屋敷の主だった者が集めた使用人たちなのだろう。だがそんなことは感じさせない細やかな気遣いらしく、王都での暮らしに不慣れなレイゾンもこの屋敷での生活にはすこぶる満足している様子——というのもサンファから聞いたことだが、これはきっと、彼女がレイゾンの従者から聞いたことなのだろう。
騎士の従者と騏驥の侍女という似た立場だからか、顔を合わせるとあれこれと情報交換をしているようだ。
サンファは『別に仲がいいわけではありません』と言ってはいるが、白羽以外にはあからさまに態度がつれない彼女が、それでも話し相手をしているということは、それなりにいい距離間の相手なのだろう。
想像するに、少なくとも、レイゾンを前にしているときよりは。
しかし、そんなことを考えながら「確かこちらの方に厨房があるはず……」と、サンファを探して歩いていたとき。
「……しつこいですね。いいではないですか。差し上げると言っているのだから受け取っておけば」
まさに今探している、サンファその人の声が聞こえた
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