まるで生まれる前から決まっていたかのように【本編完結・12/21番外完結】

0 世界観およびキャラクター紹介

【世界観】

　舞台は架空の大陸に存在する成望国。
　この国は魔術師を擁するほか、最強の兵器として「騏驥」が用いられていた。
　人から強大な馬へ姿を変える「騏驥」は、人の知性と獣の運動能力を持つ無二の兵器として、騎乗する騎士とともに成望国繁栄の一翼を担っている。
　


【用語】

◇騎士
　騏驥に騎乗できるごく少数の選ばれた存在。
　ほとんどは貴族の子弟であり、騎士学校を経て騎士になる。



◇騏驥
　人であり馬。
　ほぼ自由意志で姿を変えられるが、魔術の干渉を受けるのでその限りでもない。
　馬の姿の時は、普通の馬よりも遥かに大きな姿になる。また運動能力も高い。
　通常は首に付けられている「輪」によって思考と行動を制限される。
　生まれながらの騏驥とそうでない騏驥がいる。

　特に、王都を示す「白」、陽の「赤」、地の「黒」、溢れる財の「金」、豊かな「緑」は、成望国の素晴らしさの象徴であり、同時に、この国を護り、発展させる立役者となった騏驥への賞賛へ引き継がれていた。

　すなわち、

「天寵の白」
「完応の赤」
「始源の黒」
「不臥の金」
「狂悦の緑」

　の五変騎（若しくは五変稀）である。

　これらの騏驥は特に優れた力を持つと言われ、五色の稀な毛色の騏驥が全てが揃うと吉凶いずれかの変事をもたらすとも伝えられている。
　とはいえ、騏驥は国の宝であり、過去に五頭が揃った時も凶事は起こっていないことから、今では慶事であるという認識が大多数となっている。


◇騎兵
　馬に乗って戦う兵。
　騎士よりなりやすいため、人数も多い。
　現時点では貴族でなくともこの職業につく事は可能。
　その後手柄を立てれば勲功貴族に叙せられることも。
　
　通常は王立学校の騎兵課程を経る。
　もしくは、騎士学校で騎士になれなかったものが就く場合もある。

　一般的に騎士よりも格下と思われがちだが、大掛かりな戦いでは騏驥一頭の活躍よりも騎兵の統率の取れた戦い方の方が効果が高いことも多い。
　また、騎兵一筋の名門もあるため一概に「騎兵の方が下」とは言えない。



◇魔術師
『塔の十杖』を頂点とする、成望国には欠かせない存在。
　予知や物体移動、変化などの特殊な能力を持つ者のほか、魔術の発動の速さ・効果の強さ・ジェムや魔術符と言った媒介作成や条件付けなど、単に「魔術が使える者」とは明らかにステージの違う魔術を使用する事ができる。
　




【キャラクター】
（名前の前の「◎」は騎士、「○」は騏驥、「・」はそれ以外になります）


◎シィン（星）

　受。
　成望国の王子。騎士。
　見た目は十代後半。
　紫がかった黒髪に濃茶色の瞳。
　高雅さ漂う端正な顔だがどこか子供っぽい一面も。
　佇まいや身のこなしからは育ちの良さが伺えます。
　
　現王の第一王子。王太子。
　多少我儘ですが、聡明で人に好かれる資質を持っています。
　が、父とはあまり仲が良くなく、むしろ疎まれている……ような。
　本人もそれは感じていますが、あえて気にしないように努めています。

「一番」が好きで、そのため「一番の騏驥」を探しています。
　
　騎士としての特筆すべき(A以上)ステータスは、
　カリスマ　S+

　使用している鞭の銘は「景星」。



○ダンジァ（弾加）

　攻。
　騏驥。牡。
　人間の姿だと二十歳すぎくらいに見えますが、実際はもう少し若いです。
　年のわりに落ち着いた性格と容姿。
　黒茶の髪に黒い瞳。馬の姿になったときは鹿毛。
　
　背が高く体格が良く、穏やかで賢い。
　瞬発力や持久力にも優れ、育成時代から評価が高く、調教師からは「若手で一番」と評されていたが、初めての遠征で事件に巻き込まれ心身ともに大きく傷つく。
　回復したが、これからの自分について少し悩み始めている。
　基本的には前向きで立ち直りも早いが、目標を無くしてしまったような、そんな心境。
　
　騏驥としての公式ステータスは、
　
　スピード　A
　スタミナ　A
　瞬発力 A
　パワー B+
　操作性 A+
　健康 B+
　距離　A
　馬場　A
　賢さ A
　気性　A+



◎ウェンライ（文来）

　シィンの乳兄弟。騎士だが文官であり王子の補佐官。
　中肉中背。茶色の髪に茶色の瞳。清潔感はあるが印象に薄い平凡な目鼻立ち。
　声も聞き取りやすいが美声というわけでなく、とにかく目立たず記憶に残らない。
　周囲からも「幼い頃から王子と親しいために取り立てられている」と思われているが、実のところは非常に賢い。魔術にも見識が深く、その他にも特技が色々ある。

　日々シィンの片腕我が儘聞き入れ係として苦労している。

　現在はほとんど騏驥に騎乗していないため、儀礼上必要な場合を除いて帯鞭していない。
　必要な場合はシィン所有のものから適当に使わせてもらっている。



・サイ（赛）

　ダンジァが所属する東の厩舎地区の調教師の一人。
　多くの騏驥を育てた名伯楽で、騎士にも意見できる数少ない調教師の一人。
　見た目は結構な年齢ですがまだまだ元気。
　甘い物好き。



・ツォ（作）

　王室専属の調教師の一人。
　主に王族専用騏驥である「王の騏驥」の調教を担当。
　父親の代からの調教師で、幼い頃から城に出入りしていたためシィンとも親しい。



◎ツェンリェン（真連）

　東宮所属の近衛騎士。
　年はシィンたちとほぼ同じですがやや上。
　シィンとは騎士と剣術の師を同じくする兄弟弟子になります。
　騎士としてはシィンの方が兄弟子で、剣術ではツェンリェンの方が兄弟子です。

　茶褐色混じりの黒茶の髪に灰色がかった茶褐色の瞳。
　均整のとれた長身。精悍かつ高雅な雰囲気を持つ整った面差し。
　騎乗技術、剣技、魔術使用の適正さなど、すべてにおいて秀で、性格も穏やかなため、騎士の理想の騎士と讃えられ、慕われています。
　城の女性たちからも非常に人気がありそれなりに浮名を流している模様。

　愛騏は「始祖の血を引く騏驥」の一頭であるユーファ（雨紡）。



○ シュウイン（秀英）

「王の騏驥」の一頭でダンジァの育成時代の同期。
　大人びていて落ち着いており、ツォ師や他の王の騏驥たちからの信頼も篤い。



◎リィ（丽）

　前作『きみよ奇跡の意味を知れ』のメインの一人。受。

　成望国の騎士。
　ダンジァの憧れの騎士だったが、彼との初めての遠征で事件に巻き込まれ、ダンジァは心身共に深い傷を負う。

　すらりと背の高い、凛とした美形。
　長い黒髪に意志の強さが窺える黒い瞳。

　成望国が国土拡張を成し遂げた以前に存在した、古千国の王家の末裔。そのため正式な敬称は現在でも「殿下」になる。が、通常はそう呼ばれていない。彼をそう呼ぶのは形式上それが妥当な者だけである。

　騏驥の騎乗や通常の馬の騎乗に天性の素質があり、愛騏は五変騎の一頭であり「最高で最悪の騏驥」と言われる「狂悦の緑」ルーラン。
　また、鞭にも詳しくマニアでありコレクターでありソムリエである。