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ハルシネイション・ヘヴン
青井美鈴
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近くの小児科医院で看護師をしている美鈴は、先にテーブルに居て、3人を見つけると立ち上がり会釈した。
皇介が紹介する。
「こちらが青井美鈴。小中と一緒で、真姫の母方イトコでもある。で、こちらが俺らの同僚の星野と赤峰さん。
2人は晴天の人で、ちなみに赤峰さんは望の彼女」
「え⁈ 望の彼女さん?」
美鈴は心底驚いた顔をした。皇介は不思議に思った。
「どうしたん?」
「あ、何でもない…」
美鈴は気まずそうに目を伏せた。穂香が口を開く。
「あのう、最後に2人と会った時の事を教えてくれますか?」
「私が最後に会ったのは、飲み会だったんですけど、2人とも変わった様子は無く普通で…」
長い付き合いの皇介から見ても、確かにそうだった。すると穂香は意外な事を口にした。
「…青井さんは年内に結婚を予定してましたよね? 望は自分の結婚や将来について、地元の皆さんにどのように言ってました?」
「え? 望も結婚予定だったんですか?」
ちょっと、勝手にそんな事言って…!と皇介は焦ったが。
穂香は目を伏せて話し始める。
「実は…、恥ずかしいんですが、私は結婚願望が強いのに、望はまだ結婚したくないって感じで、この2,3か月ギクシャクしていて…」
「まあ…」
美鈴の顔が自分の事の様に曇る。穂香は涙目で続けた。
「出発前も結婚の事で軽く口喧嘩してしまって…。愛想つかして居なくなったのかも、って」
「そんな…! 赤峰さんのせいじゃないですよ。落ち着いて下さい」
思わず向かいの席から身を乗り出した美鈴は、穂香にこう言った。
「望はちゃんと赤峰さんとの将来を考えてますって!
飲み会で結婚の話になった時も、『今はやるべき仕事が多くて、結婚しても嫁さんを寂しくさせたり、子育ても手伝え無さそうだから、結婚するならもう少し後で』って言ってましたもの!!」
「本当ですか? 取り乱してすみません…」
穂香はハンカチを目元に当てた。
((キョウさんの妹、怖ぇ…!))
その演技力に皇介と広空は恐怖を覚えた。美鈴が皇介に怒った。
「皇介! 望の親友なんでしょ? 行き違いちゃんと取り持ちなさいよ!」
「ごめん…」
「すみません、ちょっとお手洗いへ…」
穂香が行ってすぐ、メールが届いた。相手は穂香。
『あたしが彼女って知った時のリアクション気になる☆聞いておいて♪』。
皇介はさり気なく問うた。
「美鈴、望の彼女と会うの初めてだよな?」
「勿論。望も連れて来た事ないじゃん」
「何であんな驚いたん?」
「…望と真姫、付き合ってると思ってたから。一緒に車乗ったりしてるし」
美鈴の答えに、皇介と広空は顔を見合わせた。
「あー…、でもあいつらそれぞれ相手居るよ。確かに一緒の仕事組んで、特別仲良さそうに見えるかもしんねえけど」
皇介の言葉に広空も頷いた。
美鈴はふんふん相槌を打った後で、こう言い放った。
「…成程ね。でもさ、自信もって言い切れるなら、未琴にもそう言ってあげて!」
「は? 何で未琴が出てくんの?」
「あんた…、判んないの?」
美鈴は心底呆れた顔をした。汲み取った広空が返事する。
「俺が伝えておきます。あの子も埼玉行ってから、あまり戻らなくなりましたね」
「何だ、星野さんて未琴の事知ってたんですね!」
妙な疎外を受ける皇介をよそに、広空が続ける。
「真姫は、飲み会で何か言ってませんでしたか?」
「他愛ない話ばかりでしたね。未琴と一緒に、私のプロポーズとか挙式の事ばかり聞いてきて。
…そういう話してなかったけど、好きな人居たなら、真姫も彼との結婚とか考えてたのかなぁ」
美鈴は呟くよう言った。
「未琴も飲み会来てたんなら、穂香さん話聞きたいっすよね?」
美鈴の帰宅後、3人はそのまま夕食を食べ始めた。広空が携帯を取り出すと、皇介は顔をしかめる。
「ムダムダ。アイツ返信しねえよ」
「俺、返信来るよ。お前だけシカトじゃね?」
広空が苦笑すると、カルボナーラを食べる穂香が訊く。
「仲、悪いんだ?」
「つーか、異性の兄弟なんてそんなモンでしょ?」
皇介がサイコロステーキを頬張ると、穂香が答えた。
「そう? うちは大人になってからだけど、兄貴と2人でも飲むよ」
「ファンに彼女と勘違いされた事、ありましたね。そう言えば」
広空が和風ハンバーグを食べつつ、クスッと笑う。先に完食した穂香が、2人へ言った。
「さて、今日はお疲れ様でした。明日もよろしくお願いします」
異なる生まれの同胞3人は、互いにお辞儀した。
皇介が紹介する。
「こちらが青井美鈴。小中と一緒で、真姫の母方イトコでもある。で、こちらが俺らの同僚の星野と赤峰さん。
2人は晴天の人で、ちなみに赤峰さんは望の彼女」
「え⁈ 望の彼女さん?」
美鈴は心底驚いた顔をした。皇介は不思議に思った。
「どうしたん?」
「あ、何でもない…」
美鈴は気まずそうに目を伏せた。穂香が口を開く。
「あのう、最後に2人と会った時の事を教えてくれますか?」
「私が最後に会ったのは、飲み会だったんですけど、2人とも変わった様子は無く普通で…」
長い付き合いの皇介から見ても、確かにそうだった。すると穂香は意外な事を口にした。
「…青井さんは年内に結婚を予定してましたよね? 望は自分の結婚や将来について、地元の皆さんにどのように言ってました?」
「え? 望も結婚予定だったんですか?」
ちょっと、勝手にそんな事言って…!と皇介は焦ったが。
穂香は目を伏せて話し始める。
「実は…、恥ずかしいんですが、私は結婚願望が強いのに、望はまだ結婚したくないって感じで、この2,3か月ギクシャクしていて…」
「まあ…」
美鈴の顔が自分の事の様に曇る。穂香は涙目で続けた。
「出発前も結婚の事で軽く口喧嘩してしまって…。愛想つかして居なくなったのかも、って」
「そんな…! 赤峰さんのせいじゃないですよ。落ち着いて下さい」
思わず向かいの席から身を乗り出した美鈴は、穂香にこう言った。
「望はちゃんと赤峰さんとの将来を考えてますって!
飲み会で結婚の話になった時も、『今はやるべき仕事が多くて、結婚しても嫁さんを寂しくさせたり、子育ても手伝え無さそうだから、結婚するならもう少し後で』って言ってましたもの!!」
「本当ですか? 取り乱してすみません…」
穂香はハンカチを目元に当てた。
((キョウさんの妹、怖ぇ…!))
その演技力に皇介と広空は恐怖を覚えた。美鈴が皇介に怒った。
「皇介! 望の親友なんでしょ? 行き違いちゃんと取り持ちなさいよ!」
「ごめん…」
「すみません、ちょっとお手洗いへ…」
穂香が行ってすぐ、メールが届いた。相手は穂香。
『あたしが彼女って知った時のリアクション気になる☆聞いておいて♪』。
皇介はさり気なく問うた。
「美鈴、望の彼女と会うの初めてだよな?」
「勿論。望も連れて来た事ないじゃん」
「何であんな驚いたん?」
「…望と真姫、付き合ってると思ってたから。一緒に車乗ったりしてるし」
美鈴の答えに、皇介と広空は顔を見合わせた。
「あー…、でもあいつらそれぞれ相手居るよ。確かに一緒の仕事組んで、特別仲良さそうに見えるかもしんねえけど」
皇介の言葉に広空も頷いた。
美鈴はふんふん相槌を打った後で、こう言い放った。
「…成程ね。でもさ、自信もって言い切れるなら、未琴にもそう言ってあげて!」
「は? 何で未琴が出てくんの?」
「あんた…、判んないの?」
美鈴は心底呆れた顔をした。汲み取った広空が返事する。
「俺が伝えておきます。あの子も埼玉行ってから、あまり戻らなくなりましたね」
「何だ、星野さんて未琴の事知ってたんですね!」
妙な疎外を受ける皇介をよそに、広空が続ける。
「真姫は、飲み会で何か言ってませんでしたか?」
「他愛ない話ばかりでしたね。未琴と一緒に、私のプロポーズとか挙式の事ばかり聞いてきて。
…そういう話してなかったけど、好きな人居たなら、真姫も彼との結婚とか考えてたのかなぁ」
美鈴は呟くよう言った。
「未琴も飲み会来てたんなら、穂香さん話聞きたいっすよね?」
美鈴の帰宅後、3人はそのまま夕食を食べ始めた。広空が携帯を取り出すと、皇介は顔をしかめる。
「ムダムダ。アイツ返信しねえよ」
「俺、返信来るよ。お前だけシカトじゃね?」
広空が苦笑すると、カルボナーラを食べる穂香が訊く。
「仲、悪いんだ?」
「つーか、異性の兄弟なんてそんなモンでしょ?」
皇介がサイコロステーキを頬張ると、穂香が答えた。
「そう? うちは大人になってからだけど、兄貴と2人でも飲むよ」
「ファンに彼女と勘違いされた事、ありましたね。そう言えば」
広空が和風ハンバーグを食べつつ、クスッと笑う。先に完食した穂香が、2人へ言った。
「さて、今日はお疲れ様でした。明日もよろしくお願いします」
異なる生まれの同胞3人は、互いにお辞儀した。
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