【完結】僕たちのアオハルは血のにおい ～クラウディ・ヘヴン〜

ハルシネイション・ヘヴン

闇番

　ユウは息をつくと廊下を歩き、6畳の和室へ行った。

　皆は神妙そうな顔で鎮座し、ミイが尋ねる。

「警察帰った？」

「うん。適当に言っておいた」

　望と真姫の事で警察が来た。当然知ってるけど、知らないフリをした。アキが尋ねる。

「警察、何か言ってた？」

「よくある内容だよ。『2人の様子はどうだった』とか『日曜以降に連絡取ったか？』って。行方不明当日の俺の行動も聞かれたな」

「え…、疑われてるの？」

　テンが言うとユウは笑った。

「まさか。皆に聞いてるよ？　後は『2人をつけ狙う人や不審な電話とか無いか？』も聞かれたな。誘拐も視野に入れてるっぽい」

「成程ねー」

　ミイは頬杖をついた。ユウは続けた。

「さて、本題だ。あと男と女1体ずつ。疑いをかけれそうな素材、あるかな？」

　アキが挙手する。

「男は準一でいいと思う。まだ真姫が地元に居た頃に、干してあったパンツ盗って行った事、あったし」

「でもそれ、有効？　準一、結婚してるじゃない」

　ロコが意見すると、アキは薄笑いで答えた。

「余裕。あいつ今回の件で、めっちゃ真姫を探してるし、心配してる。1回振られてんのにな。
そもそも親しくもないくせに」


「なら男は準一か。女はどうする？」





　ぼくがその子と会ったのは、3人になってから3年ぐらいたってからだ。


　会ったというか、夕方にいつも1人で、原っぱのすみで空を見ていることに気づいたからだ。

　その子はすごくはずかしがり屋で、目があうとパッとにげてしまう。いるのは知ってたけど、はなすようになったのは、だいぶあとだった。

　その子はきおくがないと言った。気がついたらいつのまにかあの原っぱにいたんだって。

　何もおぼえてないけど、雨がたくさんふって風がつよい夜は、こわいことがあった日だったのはおぼえてるんだって。

　ぼくはその子に名前をおしえてあげた。

　その子は自分の名前が分かって、すごくうれしかったらしくてなんども『ありがとう』って言ってくれた。


　ぼくたちは4人になった。

　そうだ、ツインスターズとおんなじで、なかまってやつだ。夕日を見ながら4人で手をつなぎ、手を上にあげた。

　あのゆうしゃたちみたいになろうって、言った。