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蠅の女王
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私は、夢の中で夢を見ていた。蠅になっている夢だった。
(何これ、すごい楽しい!アクロバット飛行も出来れば、天井に逆さに止まる事も出来る!!)
飛んでいたのは、私の勤め先であるショッピングモール。閉店時間なのか、非常灯しかない薄暗い中を私は飛び回っている。
(誘虫灯さえ気を付ければ、防犯センサーに引っ掛かるサイズでも無いし、快適~)
気を良くした私は、ジグザグ飛行しながら、歌を唄っていた。
「あ~いしてたのは~、あ~たし~だけ~」
見えてきたのは、勤務先の店舗。
「そ~んなのば~かげ~てる~」
私はグルグル周回する。
「あなた~も~、い~っていた~よね~」
(楽しい!)
勤務先の店舗を後にした私は、また歌いながら施設内を移動した。前方にひと際明るい光のある、警備員室を見つける。
(へえ、夜通し居るんだ。初めて知った)
普段は立ち入る事の無い部屋へ侵入し、飛びながら室内を散策する。
(防犯カメラ、思ったより画質悪いな。『流行の最先端』を謳ってるなら防犯面も最新式入れなよ~)
また私は歌を唄う。
「ジエ~ンド、ジエ~ンド、もうおそすぎる~」
眼下の警備員達は、私の大音量の歌にも何処吹く風。
「あたし~は~、ひ~か~るぎんいろを~、あなた~の~、せなか~に~つきたてる~の~」
見上げた壁には午前2時を指した時計。
「あ~あ、だから~、い~ったのに~ね~」
私は、一夜限りのリサイタルを蠅の姿で行なうと、夢から覚めた。
数日後。職場の先輩からある話をされた。
「動画投稿サイトの、沢木が好きな心霊動画チャンネルに新作が上がってるんだけど、チェックした?」
「え、見てないです。どれですか?」
丁度休憩中だった私達は、スマホで検索してチャンネルを再生する。
映し出されたのはどこかの室内。困惑する男の声。
『何なんだよ、これ。どこからなんだよ』
スマホのカメラは天井と、謎の音声を捉えた。
『ジエ…ド…エ~ン…スギル…』
焦った男の声。
『分かんねえ、外じゃねえぞ!』
別の男の声。
『さっきから虫飛んでるけど、これ明らかに人の声だって』
『ア~ア…ラ~…ィ~ッテ…』
女の声が切れ切れに聞こえてくる。
(え?!)
私は画面に釘付けになる。
男はスマホで虫を追う。
『じゃあ、あの虫が歌ってるってのか?あり得ねえよ』
『ア~ナタ~モ…』
『『うわぁぁっ!!』』
逃げたのか画面はブレブレで、映像は途切れた。
(映ってた時計、警備員室の時計だ)
映像を見終えて暗くなったスマホの画面に、私の顔が反射する。
(…やば。音痴じゃん、私)
(何これ、すごい楽しい!アクロバット飛行も出来れば、天井に逆さに止まる事も出来る!!)
飛んでいたのは、私の勤め先であるショッピングモール。閉店時間なのか、非常灯しかない薄暗い中を私は飛び回っている。
(誘虫灯さえ気を付ければ、防犯センサーに引っ掛かるサイズでも無いし、快適~)
気を良くした私は、ジグザグ飛行しながら、歌を唄っていた。
「あ~いしてたのは~、あ~たし~だけ~」
見えてきたのは、勤務先の店舗。
「そ~んなのば~かげ~てる~」
私はグルグル周回する。
「あなた~も~、い~っていた~よね~」
(楽しい!)
勤務先の店舗を後にした私は、また歌いながら施設内を移動した。前方にひと際明るい光のある、警備員室を見つける。
(へえ、夜通し居るんだ。初めて知った)
普段は立ち入る事の無い部屋へ侵入し、飛びながら室内を散策する。
(防犯カメラ、思ったより画質悪いな。『流行の最先端』を謳ってるなら防犯面も最新式入れなよ~)
また私は歌を唄う。
「ジエ~ンド、ジエ~ンド、もうおそすぎる~」
眼下の警備員達は、私の大音量の歌にも何処吹く風。
「あたし~は~、ひ~か~るぎんいろを~、あなた~の~、せなか~に~つきたてる~の~」
見上げた壁には午前2時を指した時計。
「あ~あ、だから~、い~ったのに~ね~」
私は、一夜限りのリサイタルを蠅の姿で行なうと、夢から覚めた。
数日後。職場の先輩からある話をされた。
「動画投稿サイトの、沢木が好きな心霊動画チャンネルに新作が上がってるんだけど、チェックした?」
「え、見てないです。どれですか?」
丁度休憩中だった私達は、スマホで検索してチャンネルを再生する。
映し出されたのはどこかの室内。困惑する男の声。
『何なんだよ、これ。どこからなんだよ』
スマホのカメラは天井と、謎の音声を捉えた。
『ジエ…ド…エ~ン…スギル…』
焦った男の声。
『分かんねえ、外じゃねえぞ!』
別の男の声。
『さっきから虫飛んでるけど、これ明らかに人の声だって』
『ア~ア…ラ~…ィ~ッテ…』
女の声が切れ切れに聞こえてくる。
(え?!)
私は画面に釘付けになる。
男はスマホで虫を追う。
『じゃあ、あの虫が歌ってるってのか?あり得ねえよ』
『ア~ナタ~モ…』
『『うわぁぁっ!!』』
逃げたのか画面はブレブレで、映像は途切れた。
(映ってた時計、警備員室の時計だ)
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(…やば。音痴じゃん、私)
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