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光る瞳 ※猫への残虐行為、流産表現あり

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 私はキャンプに来ていた。

 私と夫と娘、義弟夫婦、夫の父方従兄夫婦とその子供、私の妹夫婦と大人数。
 互いに齢近く子供同士も仲が良いので、互いの休みを合わせて行く事になった。

 自然豊かで、バーベキューの出来るファミリー向けキャンプ場。昼間は子供も大人もアスレチックや水遊びに夢中になり、酒も入って夜の野外も楽しんだ。

 娘を寝かしつけ、皆のとこに戻ると、夫と義弟と従兄の妻が居た。義弟が口を開く。

「今日、来れて良かったよ。マリ、ずっと落ち込んでたからさ」

「マリさん、何かしたの?」

 従兄の妻が尋ねると、義弟は元気の無い声を出した。

「流産したんだ。2回も」

「え…、そうだったの」

「うん。でも気晴らしになったし、カノンちゃんやヨウくん達と遊んで楽しかったみたい。あいつ、子供好きだから」

 向こうからやって来たのは、妹とその夫。

「ツバサさんトオルさん、どちらか手伝ってもらっていいですか? モトムさん、飲み過ぎてトイレで動けなくなっちゃって」

「あ、マジすか。俺行きます」

「やだもう! あたしも行く」

 火の番をしている夫に代わり、義弟と従兄の妻が妹の夫と共に、屋外トイレへ向かう。夫は苦笑した。

「クールに振舞ってたけど、彼が1番満喫されたようですな」

「「あははは!!」」

 私達は大笑いした。

「…トオルのとこで飼ってた猫、覚えてる?」

 残り火を消火し、ランタンの灯火の調節をしていると、リカが口を開いた。

「ああ、見たの1,2回だけど、茶トラの子居たね」

 義弟は引き取った迷い猫を、独身時代からずっと可愛がって飼っていた。夫と部屋に行った際に、私は見かけた事があった。

「引っ越し先から居なくなっちゃったって話だけど、実はあれ、マリが殺したんだよ」

 リカの発言に、私達は息をのんだ。

「え、何で知ってるの?」

「マリ、実は動物嫌いなの。誤飲に見せかけて殺そうと、何回もボタン電池とかエサに混ぜたけど失敗したんだって。で、トオルが仕事で居ない時に猫を車で遠くに運んで、轢き殺したらしい。…さっき飲んでる時に、そんな話された」

 猫好きなスズコは、険しい顔をした。

「…そんな人だったんだ」

 リカは鼻で笑うと続けた。

「そうだよ、だから流産したんだ。あいつ、この先も子供なんか産めないよ。祟りだ」

 モトムを送り届けたらしい、トオルとミツヒコが戻ってきた。

「アサコさん、もう今日は休むってさ。明日もあるし、そろそろお開きしない?」

 私達は片付けを始めた。スズコがトオルに尋ねる。

「猫さん、飼ってたんですか?」

「ああ、何年か前に。行方知れずになりました」

「うちも居なくなった子居たので、お気持ち分かります。…どんな子だったんですか?」

「茶トラのメスでね、『リカ』って名前です。とても頭が良かったんですよ」

 その言葉に、私はさっきまで『彼女』が居た場所を振り返った。

 何もない、夜の闇。目を凝らせば、見えてきそうだ。マリへの怨念を、青白く燃やし続ける、光る瞳が。


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