100 / 112
光る瞳 ※猫への残虐行為、流産表現あり
しおりを挟む
私はキャンプに来ていた。
私と夫と娘、義弟夫婦、夫の父方従兄夫婦とその子供、私の妹夫婦と大人数。
互いに齢近く子供同士も仲が良いので、互いの休みを合わせて行く事になった。
自然豊かで、バーベキューの出来るファミリー向けキャンプ場。昼間は子供も大人もアスレチックや水遊びに夢中になり、酒も入って夜の野外も楽しんだ。
娘を寝かしつけ、皆のとこに戻ると、夫と義弟と従兄の妻が居た。義弟が口を開く。
「今日、来れて良かったよ。マリ、ずっと落ち込んでたからさ」
「マリさん、何かしたの?」
従兄の妻が尋ねると、義弟は元気の無い声を出した。
「流産したんだ。2回も」
「え…、そうだったの」
「うん。でも気晴らしになったし、カノンちゃんやヨウくん達と遊んで楽しかったみたい。あいつ、子供好きだから」
向こうからやって来たのは、妹とその夫。
「ツバサさんトオルさん、どちらか手伝ってもらっていいですか? モトムさん、飲み過ぎてトイレで動けなくなっちゃって」
「あ、マジすか。俺行きます」
「やだもう! あたしも行く」
火の番をしている夫に代わり、義弟と従兄の妻が妹の夫と共に、屋外トイレへ向かう。夫は苦笑した。
「クールに振舞ってたけど、彼が1番満喫されたようですな」
「「あははは!!」」
私達は大笑いした。
「…トオルのとこで飼ってた猫、覚えてる?」
残り火を消火し、ランタンの灯火の調節をしていると、リカが口を開いた。
「ああ、見たの1,2回だけど、茶トラの子居たね」
義弟は引き取った迷い猫を、独身時代からずっと可愛がって飼っていた。夫と部屋に行った際に、私は見かけた事があった。
「引っ越し先から居なくなっちゃったって話だけど、実はあれ、マリが殺したんだよ」
リカの発言に、私達は息をのんだ。
「え、何で知ってるの?」
「マリ、実は動物嫌いなの。誤飲に見せかけて殺そうと、何回もボタン電池とかエサに混ぜたけど失敗したんだって。で、トオルが仕事で居ない時に猫を車で遠くに運んで、轢き殺したらしい。…さっき飲んでる時に、そんな話された」
猫好きなスズコは、険しい顔をした。
「…そんな人だったんだ」
リカは鼻で笑うと続けた。
「そうだよ、だから流産したんだ。あいつ、この先も子供なんか産めないよ。祟りだ」
モトムを送り届けたらしい、トオルとミツヒコが戻ってきた。
「アサコさん、もう今日は休むってさ。明日もあるし、そろそろお開きしない?」
私達は片付けを始めた。スズコがトオルに尋ねる。
「猫さん、飼ってたんですか?」
「ああ、何年か前に。行方知れずになりました」
「うちも居なくなった子居たので、お気持ち分かります。…どんな子だったんですか?」
「茶トラのメスでね、『リカ』って名前です。とても頭が良かったんですよ」
その言葉に、私はさっきまで『彼女』が居た場所を振り返った。
何もない、夜の闇。目を凝らせば、見えてきそうだ。マリへの怨念を、青白く燃やし続ける、光る瞳が。
私と夫と娘、義弟夫婦、夫の父方従兄夫婦とその子供、私の妹夫婦と大人数。
互いに齢近く子供同士も仲が良いので、互いの休みを合わせて行く事になった。
自然豊かで、バーベキューの出来るファミリー向けキャンプ場。昼間は子供も大人もアスレチックや水遊びに夢中になり、酒も入って夜の野外も楽しんだ。
娘を寝かしつけ、皆のとこに戻ると、夫と義弟と従兄の妻が居た。義弟が口を開く。
「今日、来れて良かったよ。マリ、ずっと落ち込んでたからさ」
「マリさん、何かしたの?」
従兄の妻が尋ねると、義弟は元気の無い声を出した。
「流産したんだ。2回も」
「え…、そうだったの」
「うん。でも気晴らしになったし、カノンちゃんやヨウくん達と遊んで楽しかったみたい。あいつ、子供好きだから」
向こうからやって来たのは、妹とその夫。
「ツバサさんトオルさん、どちらか手伝ってもらっていいですか? モトムさん、飲み過ぎてトイレで動けなくなっちゃって」
「あ、マジすか。俺行きます」
「やだもう! あたしも行く」
火の番をしている夫に代わり、義弟と従兄の妻が妹の夫と共に、屋外トイレへ向かう。夫は苦笑した。
「クールに振舞ってたけど、彼が1番満喫されたようですな」
「「あははは!!」」
私達は大笑いした。
「…トオルのとこで飼ってた猫、覚えてる?」
残り火を消火し、ランタンの灯火の調節をしていると、リカが口を開いた。
「ああ、見たの1,2回だけど、茶トラの子居たね」
義弟は引き取った迷い猫を、独身時代からずっと可愛がって飼っていた。夫と部屋に行った際に、私は見かけた事があった。
「引っ越し先から居なくなっちゃったって話だけど、実はあれ、マリが殺したんだよ」
リカの発言に、私達は息をのんだ。
「え、何で知ってるの?」
「マリ、実は動物嫌いなの。誤飲に見せかけて殺そうと、何回もボタン電池とかエサに混ぜたけど失敗したんだって。で、トオルが仕事で居ない時に猫を車で遠くに運んで、轢き殺したらしい。…さっき飲んでる時に、そんな話された」
猫好きなスズコは、険しい顔をした。
「…そんな人だったんだ」
リカは鼻で笑うと続けた。
「そうだよ、だから流産したんだ。あいつ、この先も子供なんか産めないよ。祟りだ」
モトムを送り届けたらしい、トオルとミツヒコが戻ってきた。
「アサコさん、もう今日は休むってさ。明日もあるし、そろそろお開きしない?」
私達は片付けを始めた。スズコがトオルに尋ねる。
「猫さん、飼ってたんですか?」
「ああ、何年か前に。行方知れずになりました」
「うちも居なくなった子居たので、お気持ち分かります。…どんな子だったんですか?」
「茶トラのメスでね、『リカ』って名前です。とても頭が良かったんですよ」
その言葉に、私はさっきまで『彼女』が居た場所を振り返った。
何もない、夜の闇。目を凝らせば、見えてきそうだ。マリへの怨念を、青白く燃やし続ける、光る瞳が。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる