漆黒の夜は極彩色の夢を 〜夢日記ショート·ショート～

赤い青春 ※妊婦の流血、グロ、犯罪行為表現あり

　テレビを点けると、変なアニメがやっていた。


　主人公は高校2年生の男子。見た目も成績も平凡だが、同じ高校に通う1つ下の幼馴染であるおませな女子と、友達以上恋人未満な腐れ縁が続いている。

(ふーん、青春ラブコメかな)

　入学した幼馴染女子は、主人公が所属する部活に入部してきた。主人公はジト目で口を開く。

「真似すんなよ」

「そっちこそ、先回りしないでよ」

　と、お決まりの言い合い。

　ある時、部活の顧問が懐妊する。外国赴任が決まってしまった夫の元で出産＆子育てするため、顧問は教師を退職。部員達は渡航の日に、空港まで顧問を見送りに行く事になった。

(妊娠中に渡航するのか)

　ところが、空港でアクシデント。突如として現れた男が、顧問に銃を発射する。

(ありゃりゃー…)

　パニック状態の大勢の人にもみくちゃにされ、転んだ主人公と幼馴染女子。
　目を覚ますと、2人は謎の空間に居た。真っ暗な中、真正面には映画館のスクリーンの様な、水色の大きな四角の平面。
　映し出されたのは、主人公達の通う学校の様子。桜の花が舞う4月の情景から、3倍速で毎日が進む。

「なにこれ」

「分からない」

　主人公達はただ画面を見つめるしかない。ある時、スクリーンに映し出されたのは、ALTの外国人教師ジャック。
　校内で話す場面多かったが、次第に校外で逢う場面が増えてくる。情事後、の様な場面の後、また知らない男が出て来る回数が増える。

(これはまさか…？)

「こっちの人は誰？　うちの学校の先生？」

「違うと思う。ていうか、これは誰の目線なんだ？」

　2人は訝しがりつつも、スクリーンを見続ける。

　学校内。廊下を曲がるとジャックが待ち受けていて、腕を掴まれる。他の教師が見ていたのか駆け寄り、場は騒然となる。

「ジャック先生の途中退職はこのせいだったのね」

「え」

　幼馴染女子の言葉に、主人公は目を見開く。

(顧問の先生、ジャックから別の男に乗り換えたのね)

「大丈夫⁈」

　友人に助け起こされた、主人公と幼馴染女子。人だかりの中心部には、銃で自殺を図ったと見られる息絶えたジャック。

「誰か…、この子を…」

　反対側の人だかりには、腹部を真っ赤に染めた顧問の姿。立ち竦む主人公と幼馴染女子。主人公は口を開く。

「…それ、先生がいけないよね？」

(うーん、鬱な結末だな)