漆黒の夜は極彩色の夢を 〜夢日記ショート·ショート~

羽瀬川璃紗

文字の大きさ
上 下
60 / 121

成敗 ※犯罪被害表現あり

しおりを挟む
 私は仕事をしていた。 

 閉店2時間前、店番を男子大学生のユキトに任せ、バックヤードで発注作業をしていると、ユキトが声を掛けてきた。 

「沢木さん、何かエドくんみたいな人がさっき居たんですけど…」 

「え?」 


 20歳のフリーターのエドは、2週間前までこの店に勤務していた男だ。
 だが不真面目な勤務態度と、友人に不法に商品を譲渡するのが問題となり、解雇されていた。 

「どこ?」 

「何か俺が居るの見て、どっか行っちゃいました」 


 先週、系列他店舗で、閉店直後にレジ金の盗難事件があった。
 その店舗はエドがよくヘルプで入っていて、エドと仲の悪い社員が閉店作業(金銭管理)をおこなった日でもあった。 

(この店で店長の次にエドを非難していたのは私だ。しかも今日は店長が非番で私が閉店作業。これはもしや狙ってるかも…) 


 胸騒ぎと確信めいたものがあった私は、携帯で店長へ電話をかけた。 

「もしもし、エドが店の近くに来てるようです」 

『本当か?』 

「いかがしましょう?」 

『防カメの電源を切らずに撮影モードのまま、通常通り閉店作業をしてくれ。こっちもそちらに向かう』 

「分かりました」 

 店長はユキトへも電話を代わり、手筈を説明する。 


 時間になり、私達は普段通りの閉店作業をして消灯した。 

「行こう」 


 通常通りに店舗裏口から出て、施錠。裏口から死角になる植え込みに2人で身を潜めていると、店長から着信。 

『裏口、奴がロックを解除してる。…中に入った。そっちは裏口から入ってくれ』 

「分かりました」 


 2人で裏口を蹴るように開け、突入。エドは私達の姿を見ると、慌てて逆側にある店の出入り口の方へ駆け出した。 

「あらあら、何で逃げるのー?」 

 暗闇の中、物に躓いたのか何かがひっくり返る音が響く。 

(閉店後に忍び込む手口のくせに灯り持ってないんかい!) 

 心の中でツッコミつつ後を追うと、ロックされている店舗入口ではなく、客席側の窓を開け外に出ようとする人影が。
 私は咄嗟にカウンターに乗り、無茶な態勢で奴の髪の毛ごとフードを鷲掴みした。 

「何持ってんや! うちの店のレジ金じゃねえんか?!」 

 驚くほど柄の悪い口調で私は罵った。店長が窓の外から、半開きの窓を開けて声を上げる。 

「諦めろ! 通報したぞ!!」 

 奴はポケットに入れてた金を捨て、掴んだ髪の毛ごとフードを自分で引きちぎり、逃げようとした。   
 すんでのとこでユキトが引き倒す。 


 散らばる大量の抜け毛と破れたフードを捨てて、私も足を抑え込む。 

(頭ハゲても逃げるつもりかよ、馬鹿じゃん) 

 
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

桜ヶ丘総合病院

マロ
恋愛
桜ヶ丘総合病院を舞台に小児科の子どもたち、先生達のストーリーをお楽しみください! リクエスト募集してます!

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語

六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

不良がまさかの修学旅行でおねしょ

カルラ アンジェリ
大衆娯楽
高校1の不良の女子高生が修学旅行でおねしょしてしまう

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...