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タイムマシンに乗って
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私は、過去へ1度だけ行ける権利を手にした。
ただし、時間旅行には様々な制約があるらしい。旅行者は、自身が生まれる前に行けない(訪問先ではその当時の姿形になるため)。
お金を使う際は、その当時流通してるものを使わないといけない、などなど。
色々と考えた私は、7歳の頃に行く事を決めた。それは。
私が7歳の時、某有名ロックバンド『X・J』が、アルバム購入者のみのサイン会を唯一行ったのだ。
しかも、場所が実家から程近い地方空港(当時、メンバー5人が国内5か所にバラけてやった。本当は違う場所だったが、ある1人は悪天候の為に急遽そこになった)。
実家で子供の頃着てた服を調達し、アルバムの購入代金用に旧札、小銭も昭和の製造年のものを揃え、1990年へ。
地方空港は悪天候にも関わらず、当時の流行最先端の恰好やメンバーのコスプレをした若者で、ごった返していた。
列に並んだ後、間近で見たドラムの『Y』氏は以外にも小柄だが、オーラがすごかった。
サインを貰うべく、色紙とアルバムを提示すると、1人で来た小学生が珍しいらしく、話しかけてきた。
「君、歌を聞いた事あるの?」
「はい! お母さんが大ファンで、私も小さい頃から聴いてます」
用意したセリフを言うと、感心した様子のY氏はサインをしつつ、更に尋ねて来た。
「そうなんだ。今日は1人?」
「はい。お母さんは、赤ちゃんを産んだばかりなので、私が代わりに来ました!」
用意してた理由を言い笑顔で答えると、Y氏は意外な言葉を口にした。
「そうかあ、お姉ちゃんになったんだね。君の名前は?」
「沢木都子です」
「…じゃあ、お姉ちゃんになった都子ちゃんに、特別メッセージをあげよう」
「わあ! ありがとうございます!!」
(すごい!この人、そういうファンサービスするんだ)
返された色紙を手に、私はお辞儀して列を後にした。
特設会場の端には、ファンの持ってきたプレゼントが沢山積まれていた。中には、油絵の肖像画、木箱に入った酒類、高級ブランドの紙袋もあった。
(そうだ。メッセージ何だったんだろ)
そこには…
『みやこちゃんへ 堅実』
と共にサインが添えられていた。
破天荒なライブパフォーマンスのY氏らしくないチョイスに、ずっこけそうになった。とはいえ、最高の経験だった。
(折角あんなに話しかけられたのだから、もっと記憶に残る事を言えば良かったかな。不慮の死を遂げるメンバーの事とか、震災を予言するとか…。いやいや悪趣味だ)
荒天日に、嬉しい思い出が出来るというのも趣深いものだ。
ただし、時間旅行には様々な制約があるらしい。旅行者は、自身が生まれる前に行けない(訪問先ではその当時の姿形になるため)。
お金を使う際は、その当時流通してるものを使わないといけない、などなど。
色々と考えた私は、7歳の頃に行く事を決めた。それは。
私が7歳の時、某有名ロックバンド『X・J』が、アルバム購入者のみのサイン会を唯一行ったのだ。
しかも、場所が実家から程近い地方空港(当時、メンバー5人が国内5か所にバラけてやった。本当は違う場所だったが、ある1人は悪天候の為に急遽そこになった)。
実家で子供の頃着てた服を調達し、アルバムの購入代金用に旧札、小銭も昭和の製造年のものを揃え、1990年へ。
地方空港は悪天候にも関わらず、当時の流行最先端の恰好やメンバーのコスプレをした若者で、ごった返していた。
列に並んだ後、間近で見たドラムの『Y』氏は以外にも小柄だが、オーラがすごかった。
サインを貰うべく、色紙とアルバムを提示すると、1人で来た小学生が珍しいらしく、話しかけてきた。
「君、歌を聞いた事あるの?」
「はい! お母さんが大ファンで、私も小さい頃から聴いてます」
用意したセリフを言うと、感心した様子のY氏はサインをしつつ、更に尋ねて来た。
「そうなんだ。今日は1人?」
「はい。お母さんは、赤ちゃんを産んだばかりなので、私が代わりに来ました!」
用意してた理由を言い笑顔で答えると、Y氏は意外な言葉を口にした。
「そうかあ、お姉ちゃんになったんだね。君の名前は?」
「沢木都子です」
「…じゃあ、お姉ちゃんになった都子ちゃんに、特別メッセージをあげよう」
「わあ! ありがとうございます!!」
(すごい!この人、そういうファンサービスするんだ)
返された色紙を手に、私はお辞儀して列を後にした。
特設会場の端には、ファンの持ってきたプレゼントが沢山積まれていた。中には、油絵の肖像画、木箱に入った酒類、高級ブランドの紙袋もあった。
(そうだ。メッセージ何だったんだろ)
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破天荒なライブパフォーマンスのY氏らしくないチョイスに、ずっこけそうになった。とはいえ、最高の経験だった。
(折角あんなに話しかけられたのだから、もっと記憶に残る事を言えば良かったかな。不慮の死を遂げるメンバーの事とか、震災を予言するとか…。いやいや悪趣味だ)
荒天日に、嬉しい思い出が出来るというのも趣深いものだ。
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