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逢魔 ※残虐表現あり
しおりを挟む私は14歳だった。
父の車で家族旅行をしていた。ある山道を通り抜けようとすると、地元民に呼び止められた。
「あそこは夕方以降、『トマト野郎』って呼ばれる変質者が出るよ。やめた方がいい」
「でもその人、1人なんでしょ? 車から降りなきゃ平気じゃん?」
父は助言を聞き流し、車を発進させる。
しばらくすると、件の人物が現れた。赤のフルヘルメット、赤いジャンパーにズボン。全身赤づくめの男は何をする訳でも無く、道の端でこちらを見つめてくる。
近道を知っているのか、通り過ぎても行く先に現れる。
知らない道だし、非日常さが災いしてか、父は道に迷ってしまった。するとそれを知ってか『トマト』は道を塞ぐように、山道の真ん中に立ち塞がる。
道は車1台が通るのがやっとで、両脇は崖だ。Uターン不可能で、クラクションを鳴らすも、どいてくれない。
(嫌だなあ、陽も暮れてきたし)
すると『トマト』は近づいてきて、車のフロントを叩き始めた。車内はドン引きだ。
私はふと、道の脇に放置されたスコップがあるのを見つけた。
(奴の手に渡ると厄介だな…)
『トマト』は相変わらずフロントガラスをたたいてる。後部座席の私は、1番スコップに近い。私は『トマト』が助手席側にまわった瞬間に、サッとドアを開け降りた。
スコップを手にすると、私はやって来た『トマト』へ振り下ろす。衝撃と共に、『トマト』の腕に当たった。
『トマト』は負傷した右腕を左手で庇い、動きを止める。反撃を恐れ間合いを空けたが、襲ってこない。
(どうしよう。口封じの為に殺すか)
フルフェイスの為『トマト』の表情は分からない。声すらもなかった。私は構え直すと、覚悟を決めた。
(もう一撃!)
当然だが、人を傷つけ慣れてないので、へっぴり腰だった。嫌な感触がして、『トマト』の右手の指が潰れ、離断するのが見えた。
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