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王からの授かりもの
しおりを挟む私は妹と共に逃げていた。
追いかけて来る者が居た。馬に乗り刀を振るその敵は、大陸風の者に見える。馬が苦手そうな道を選び、私は逃げた。
山の中や茂みの合間を縫って走ったが、追いつかれてしまった。
私は咄嗟に武術を用いて追っ手を倒した。数年前、遊びの延長で身につけた棍棒術だった。まさか私の一撃で倒れるとは思わなかったが、次に襲ってくる相手を倒す事に必死だった。
私が強いわけではなく、まぐれなのだが、倒した追っ手は7~8人だろうか。もっと奥へ逃げなくてはと妹の手を引いた私は、ある人物に凍り付いた。
追っ手達の後から現れたその人物は、立派な身なりに甲冑を付け、手入れされた馬に乗っていた。隣には、従者と思しき者が数人。
(追っ手のボスだ。やつける所を見られた。きっとタダでは済まされない)
戦うか逃げるか。踏んだ場数は比べ物にならないほど、向こうが上に違いない。けれど、妹を守るため、私は構えた。
従者が武器を構えたが、『王』はそれを制すると、馬から降り私達の前まで歩いてきた。
「…倒したのは妹を守る為か?」
構えたままジリジリ後ずさると、妹が半泣きで訴える。
「お姉ちゃん、もうやめて」
妹の声に緊張の糸が切れた私は、膝をつくと首を垂れた。『王』は言った。
「顔を上げろ。女人がこれ程の人数を倒すのは見事なり。お前に褒美を与えよう」
顔を上げると、『王』は何かキラキラ輝く物を持っていた。指輪より大きく、ブレスレットより小さいその輪っかを、『王』は私の眉間にのせた。
それはとても温かくて、私は瞳を閉じた。
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