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127 床の間
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実家の怖い場所、のお話。
第83話~第85話にかけて、某県某市にある実家であった怖い話を紹介した。実はもう1か所、不可解なシンクロニシティがあったので、ご紹介。
実家を新築する際、間取りや造りを主に提案したのは、恐らく父方祖父と父だったと思う。
基本的にはそれまで住んでいた家とあまり間取りは変化なく、でも2階部分の面積が増えたため、あるものを設置した。
『床の間』だ。
前の家にも床の間は存在したので新居にも造り、更にその真上にある2階の和室にも床の間を造った。
1階和室の床の間には掛け軸(前の家から持ってきたやつ)を飾っていたが、2階は飾る物が何もなく、しかもその部屋は0歳~9歳までの4人の子供と両親が寝起きするので、むしろ飾らない方が都合が良かったのだ。
床の間は不思議な空間だった。畳の部屋にありながら、その部分だけ板張りで、我が家のは空間の上部にスポットライトが取り付けられていた。
声は反響するし、何かそこだけ異空間みたいで、幼い私は嬉々としたものだ。
私が小6の冬、同居していた父方祖父が亡くなった。葬式も済んだある時、ふと明け方に目覚めた母は、ある音を聞いた。
『ゴホッゴホッ…』
床の間は、真下の和室(祖父母寝室)の音をよく伝えた。母は寝直しつつ思った。
(ああ、お義父さんまた咳してる。煙草辞めりゃいいのに…)
だが、こないだ葬式をした事を思い出し、一瞬にして母は目が覚めたという。咳はそれ以来聞こえなかったそうだ。
私が中学生になった時、ある夢を見た。
夢の中で私は、2階の和室(寝室)から外の景色を眺めていた。
『雪、随分積もったね!』
誰かに話しかけつつ振り返ろうとした時、私はある物を見て凍り付いた。床の間に、首を吊った様にぶら下がる男が居たからだ。
翌日、私は早速母に話した。すると。
「こないだ、『床の間に不気味な人形がいっぱい置いてある』って夢を誰か見たって言ってたな」
前の週、小学生だった弟も床の間にまつわる嫌な夢を見てたと言うのだ。母は私が怖がるので、盛り塩を置く事にした。床の間に関する夢は、以降誰も見なくなったのだが。
その部屋で寝起きしてた中学生時代は、第121話でも書いた通り金縛りによく遭っていた。
そして、父が勤務時間の変化から別の部屋で寝起きするようになり、私と妹も別の部屋へ移り、何故か母と弟達も別の部屋になり、和室は寝室では無くなった。
子の成長が大きな理由とは言え、その移行期間は3年足らず。元々は両親の寝室として設計されたので、広くて落ち着きのあるいい空間で、各種設備も整っている。
なのに誰も、何となく自室として使わない。勿体ないけど、不思議な事に使う気になれないのだ。
何かあるかもしれないけど、何もないかもしれない、そんな不思議な部屋のお話。
第83話~第85話にかけて、某県某市にある実家であった怖い話を紹介した。実はもう1か所、不可解なシンクロニシティがあったので、ご紹介。
実家を新築する際、間取りや造りを主に提案したのは、恐らく父方祖父と父だったと思う。
基本的にはそれまで住んでいた家とあまり間取りは変化なく、でも2階部分の面積が増えたため、あるものを設置した。
『床の間』だ。
前の家にも床の間は存在したので新居にも造り、更にその真上にある2階の和室にも床の間を造った。
1階和室の床の間には掛け軸(前の家から持ってきたやつ)を飾っていたが、2階は飾る物が何もなく、しかもその部屋は0歳~9歳までの4人の子供と両親が寝起きするので、むしろ飾らない方が都合が良かったのだ。
床の間は不思議な空間だった。畳の部屋にありながら、その部分だけ板張りで、我が家のは空間の上部にスポットライトが取り付けられていた。
声は反響するし、何かそこだけ異空間みたいで、幼い私は嬉々としたものだ。
私が小6の冬、同居していた父方祖父が亡くなった。葬式も済んだある時、ふと明け方に目覚めた母は、ある音を聞いた。
『ゴホッゴホッ…』
床の間は、真下の和室(祖父母寝室)の音をよく伝えた。母は寝直しつつ思った。
(ああ、お義父さんまた咳してる。煙草辞めりゃいいのに…)
だが、こないだ葬式をした事を思い出し、一瞬にして母は目が覚めたという。咳はそれ以来聞こえなかったそうだ。
私が中学生になった時、ある夢を見た。
夢の中で私は、2階の和室(寝室)から外の景色を眺めていた。
『雪、随分積もったね!』
誰かに話しかけつつ振り返ろうとした時、私はある物を見て凍り付いた。床の間に、首を吊った様にぶら下がる男が居たからだ。
翌日、私は早速母に話した。すると。
「こないだ、『床の間に不気味な人形がいっぱい置いてある』って夢を誰か見たって言ってたな」
前の週、小学生だった弟も床の間にまつわる嫌な夢を見てたと言うのだ。母は私が怖がるので、盛り塩を置く事にした。床の間に関する夢は、以降誰も見なくなったのだが。
その部屋で寝起きしてた中学生時代は、第121話でも書いた通り金縛りによく遭っていた。
そして、父が勤務時間の変化から別の部屋で寝起きするようになり、私と妹も別の部屋へ移り、何故か母と弟達も別の部屋になり、和室は寝室では無くなった。
子の成長が大きな理由とは言え、その移行期間は3年足らず。元々は両親の寝室として設計されたので、広くて落ち着きのあるいい空間で、各種設備も整っている。
なのに誰も、何となく自室として使わない。勿体ないけど、不思議な事に使う気になれないのだ。
何かあるかもしれないけど、何もないかもしれない、そんな不思議な部屋のお話。
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