上 下
15 / 130

15 人形

しおりを挟む
 子供の頃に貰ったクリスマスプレゼントは、何だっただろうか。お菓子、ゲームソフト、今となっては下らないだろう当時の人気の品…?
 そこで、私が子供の頃遊んでいた人形にまつわる話。 


 子供の頃、着せ替え人形3体でよく遊んでいた。  
 幼稚園時代はごっこ遊び、小学生になってからは自分で服をデザインして、作って着せた。割と長い間遊んでいた。 

 大人になってから、大掃除の時にその人形達が出て来た。大事にしまっていたので、状態は良いが、髪の毛がぐちゃぐちゃな上に汚い。
 ネットで洗い方を調べ、その通りに丁寧に洗って乾かした。 


 その夜、私は夢を見た。 

 妹の所有する着せ替え人形が、私の行く先々に現れるのだ。箪笥の引き出しを開けると、中に居たり、トイレに行くと座ってたり…。
 夢の中でイライラが頂点に達した私は、人形へ叫んだ。 

『いい加減にしろ!あんたの主は妹だ!妹の夢に出ろ!!』 

 夢はそこで終わった。 


 いま思うと、洗髪を羨ましがって出てきたのだろうか。妹の代わりに探し出して、洗ってあげたら良かったのだろうか…? 



 そして洗髪から約3ヵ月後、私は夢を見た。 

 私と仲の良い友人との3人で、近場の商業施設に居た。3人でキャッキャウフフと、服やアクセサリーを見て回っていた。 

 私達はそれぞれ、ピンク色のロングワンピース、赤いセーターに白のミニスカート、白いカットソーに黒系チェックのジャンパースカートを着ていた。 

 その服は、3体の人形に着せていたものだった。 


 髪の毛がキレイになったら、服とか見に行きたくなるものだ。人間だってそうだもの。 

 お陰で私は、彼女達をまだ捨てられずにいる。



 余談だが、子供の頃にテレビで『魂の宿った人形』の話をしていて、母に『うちの人形に魂が入らないようにする方法はないか?』と訊いた事があった。

 母は『もう入ってるよ。人形は魂が入った状態で売られているので、大事にしなさい。丁寧に扱えば人形もあんたを大事に想ってくれて、祟ったりしない!』と答えた。

 今思えば笑える話&物を大切にする教育の一環だったろう。でも私は、あの夢で『魂』が入っている事に対する裏付けが取れたと考えている。

 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

漆黒の夜は極彩色の夢を 〜夢日記ショート·ショート~

羽瀬川璃紗
ライト文芸
作者が見た夢をショートショートで。 主人公:沢木都子【サワキミヤコ(結婚後は神地/カミチ)】は作者の分身。 注意事項のある話は各タイトル欄に記載。 夢なので、年代や状況と文章量が毎回変わります。 1話完結、どの話から読んでも大丈夫です。 ハッピー、バッド、もやもやエンド。 25年1月限定で毎週金曜22時更新。

鳴瀬ゆず子の社外秘備忘録 〜掃除のおばさんは見た~

羽瀬川璃紗
経済・企業
清掃員:鳴瀬ゆず子(68)が目の当たりにした、色んな職場の裏事情や騒動の記録。 ※この物語はフィクションです。登場する団体・人物は架空のものであり、実在のものとは何の関係もありません。 ※ストーリー展開上、個人情報や機密の漏洩など就業規則違反の描写がありますが、正当化や教唆の意図はありません。 注意事項はタイトル欄併記。続き物もありますが、基本的に1話完結、どの話からお読み頂いても大丈夫です。 25年1月限定で毎週金曜22時更新。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

感染した世界で~Second of Life's~

霧雨羽加賀
ホラー
世界は半ば終わりをつげ、希望という言葉がこの世からなくなりつつある世界で、いまだ希望を持ち続け戦っている人間たちがいた。 物資は底をつき、感染者のはびこる世の中、しかし抵抗はやめない。 それの彼、彼女らによる、感染した世界で~終わりの始まり~から一年がたった物語......

これ友達から聞いた話なんだけど──

家紋武範
ホラー
 オムニバスホラー短編集です。ゾッとする話、意味怖、人怖などの詰め合わせ。  読みやすいように千文字以下を目指しておりますが、たまに長いのがあるかもしれません。  (*^^*)  タイトルは雰囲気です。誰かから聞いた話ではありません。私の作ったフィクションとなってます。たまにファンタジーものや、中世ものもあります。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

【一話完結】3分で読める背筋の凍る怖い話

冬一こもる
ホラー
本当に怖いのはありそうな恐怖。日常に潜むあり得る恐怖。 読者の日常に不安の種を植え付けます。 きっといつか不安の花は開く。

【完結済】僕の部屋

野花マリオ
ホラー
僕の部屋で起きるギャグホラー小説。 1話から8話まで移植作品ですが9話以降からはオリジナルリメイクホラー作話として展開されます。

処理中です...