11 / 130
11 リクエスト
しおりを挟む
ある春彼岸の期間に夢を見た。
夢の中で私は、よくある小さなフードコートを1人で切り盛りする店員になっていた。
軽食メニューからスイーツまで、レジ打ちも調理も片付けも1人で、てんてこ舞いしていた。
客をさばいた後の隙間時間で、白玉団子の仕込みを始めた。
(いま来ないで欲しいな。手が粉だらけだから)
と思っていると、60過ぎくらいの頭髪薄めの男性が来た。
『こんにちは、草団子、あるかな?』
(草団子?!メニューにあったっけ?)
とりあえず私は笑顔で返した。
『く、草団子ですか?』
(そもそも草団子って何を混ぜるんだろう…?)
男性客はにこやかに言った。
『草団子、食べたいなー。草団子、食べたいなー』
(2回も言われたし…)
夢はそこで終わった。
早速、母にその夢の話をした。
「草団子ねえ。じゃあ今日はお彼岸の中日だし、ご先祖様に草団子お供えするかな」
我が家では、春と秋の彼岸の中日と最終日に、仏壇へお膳の料理をお供えする。私は苦笑する。
「え、あれってリクエストだったの?」
そう言えばあの男性客、遺影でしか見た事の無い初代の人(祖父の祖父)に似ている気がする。
何気なくカレンダーを見た私は、衝撃の事実に気づいた。
「…母さん、お彼岸の中日、昨日だ」
「ええっ! お供え忘れてた!!」
「あの夢って催促だったの? …とにかく草団子だからね! もう仕事だから行くわ、よろしく!」
夢のメッセージを母に託し、私は仕事へ。
帰宅し、仏壇を見るとそこにあったのは…『草餅』だった。母は途中で勘違いしたらしい。
でも別に先祖からの苦情の夢を見る事は無かった。
自分の親族や子孫が生きている間は「死んだ婆ちゃんの好物は○○だった」と伝わるし、供えてもらえるだろう。
例えば4代も後になると、好物を知る人物も居なくなる。その時に、どうしても自分の好物を供えてもらいたい時は…?
霊感の強い子孫が居ればいいけど、そうでない場合はやはり、夢枕なのだろうか。
草団子を店頭で見かけると、私は会った事の無い初代の爺さんを思い出すのである。
夢の中で私は、よくある小さなフードコートを1人で切り盛りする店員になっていた。
軽食メニューからスイーツまで、レジ打ちも調理も片付けも1人で、てんてこ舞いしていた。
客をさばいた後の隙間時間で、白玉団子の仕込みを始めた。
(いま来ないで欲しいな。手が粉だらけだから)
と思っていると、60過ぎくらいの頭髪薄めの男性が来た。
『こんにちは、草団子、あるかな?』
(草団子?!メニューにあったっけ?)
とりあえず私は笑顔で返した。
『く、草団子ですか?』
(そもそも草団子って何を混ぜるんだろう…?)
男性客はにこやかに言った。
『草団子、食べたいなー。草団子、食べたいなー』
(2回も言われたし…)
夢はそこで終わった。
早速、母にその夢の話をした。
「草団子ねえ。じゃあ今日はお彼岸の中日だし、ご先祖様に草団子お供えするかな」
我が家では、春と秋の彼岸の中日と最終日に、仏壇へお膳の料理をお供えする。私は苦笑する。
「え、あれってリクエストだったの?」
そう言えばあの男性客、遺影でしか見た事の無い初代の人(祖父の祖父)に似ている気がする。
何気なくカレンダーを見た私は、衝撃の事実に気づいた。
「…母さん、お彼岸の中日、昨日だ」
「ええっ! お供え忘れてた!!」
「あの夢って催促だったの? …とにかく草団子だからね! もう仕事だから行くわ、よろしく!」
夢のメッセージを母に託し、私は仕事へ。
帰宅し、仏壇を見るとそこにあったのは…『草餅』だった。母は途中で勘違いしたらしい。
でも別に先祖からの苦情の夢を見る事は無かった。
自分の親族や子孫が生きている間は「死んだ婆ちゃんの好物は○○だった」と伝わるし、供えてもらえるだろう。
例えば4代も後になると、好物を知る人物も居なくなる。その時に、どうしても自分の好物を供えてもらいたい時は…?
霊感の強い子孫が居ればいいけど、そうでない場合はやはり、夢枕なのだろうか。
草団子を店頭で見かけると、私は会った事の無い初代の爺さんを思い出すのである。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
漆黒の夜は極彩色の夢を 〜夢日記ショート·ショート~
羽瀬川璃紗
ライト文芸
作者が見た夢をショートショートで。
主人公:沢木都子【サワキミヤコ(結婚後は神地/カミチ)】は作者の分身。
注意事項のある話は各タイトル欄に記載。
夢なので、年代や状況と文章量が毎回変わります。
1話完結、どの話から読んでも大丈夫です。
ハッピー、バッド、もやもやエンド。
25年1月限定で毎週金曜22時更新。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
鳴瀬ゆず子の社外秘備忘録 〜掃除のおばさんは見た~
羽瀬川璃紗
経済・企業
清掃員:鳴瀬ゆず子(68)が目の当たりにした、色んな職場の裏事情や騒動の記録。
※この物語はフィクションです。登場する団体・人物は架空のものであり、実在のものとは何の関係もありません。
※ストーリー展開上、個人情報や機密の漏洩など就業規則違反の描写がありますが、正当化や教唆の意図はありません。
注意事項はタイトル欄併記。続き物もありますが、基本的に1話完結、どの話からお読み頂いても大丈夫です。
25年1月限定で毎週金曜22時更新。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる