我ガ奇ナル日常譚 〜夢とリアルと日々ホラー〜

５ 胎教

　私が娘を妊娠中のこと。 

　よく『妊娠中に、お腹の子に話しかけると良い』と言われるが、ネットである話を見かけたので、私は試してみる事にした。 


　それは『お腹の子に、産まれる時の事をリクエストする』というものだった。 

　例えば『パパに立ち合いさせたいから、パパの休みの日に出てきて』とか『痛いのが長く続くの嫌だから、スムーズに出て来てね』と話しかけると、その通りになるという。 

　そこで私は、
①予定日は3月31日だけど、4月2日に出て来てね
②すんなりと出て来てね(難産は嫌だ)
③陣痛開始前に知らせてね(急に痛くなるの怖い)
と、3つお願いする事にした。 

　安定期に入ってから、毎晩妊娠線予防クリームを腹部に塗りつつ、口に出して話しかけた。夫も家族も苦笑していたが、私は来る日も続けた。 


　結果。 


　予定日を過ぎた4月1日の夕方、陣痛が起こる前に自宅で高位破水。分娩時間は、初産なのに約8時間弱のスピード安産。生まれたのは翌日4月2日だった。 

　予定日が遅れるのはよくあるが、日付指定も陣痛前の微量破水やスピード安産までも叶ったのには、正直驚いた。 


　偶然と考えるか、リクエストを聞いてくれたと考えるか…、娘はとても聞き分けが良かったのだろう。 胎児の頃だけ。


　成長した現在、聞き分けの良さは見る影もなくなった。