我ガ奇ナル日常譚 〜夢とリアルと日々ホラー〜

４ 白い犬

　私が小学6年生の時。 

　夏休みに子供会で、近所の墓地と広場を使っての肝試しと花火大会があった。楽しい行事も無事終わり、解散となった。 

　親同士は雑談しつつ、私は友人と妹と歩いてると、あるものに気付いた。 

　ふとさっきまで肝試しをしていた墓場を見やると、1匹の白い大きな犬が、ある墓の横に居たのだ。
　犬は日本犬の様で、歩いている私達を眺めてるみたいだった。 

　すると次の瞬間、犬は後ろ足で立ち上がると、そのままクルクルと前転するように、高速で回転し始めた。
　あまりに現実離れした光景に呆然とするも、犬は回転したまま10メートル程墓地の中を水平に移動し、跡形もなく消え去った。 

　時間にして2,3秒ほどの出来事だったと思う。私は咄嗟に、隣に居た友人に教えようと肩を掴んだ。が、 

「お姉ちゃん！」 

　横に居た妹が、私に抱き着いて来た。 

「何か、見た？」 

　私が尋ねると妹は答えた。 

「白い犬！　回転して消えた…！」 

　妹も、同じものを見ていた。ちなみに見たのは私達だけだった。 


　2人とも霊感は無いのでよく分からないが、悪い物では無かった気がする。
　怖いとか不気味とか、そんな感じは一切無かった。敢えていうなら墓の守り神が、夜に歩く子供達を眺めていたみたいな感じだった。

　大人になった現在も、夏になると妹と『あれって何だったんだろうねー』語らう、思い出の1つとなっている。