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成功と失敗
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子育ての成功と失敗とは、何なのだろうか。永遠のテーマである。
健康に育ち、利発に行動し、誰かに迷惑をかけず、人から愛される…、親が子供に願う事は星の数ほどある。
親が願った通りに育たなかったら失敗なのか?子供が幸せを感じていれば成功か?
そもそも、成功か失敗かは、一体どんな基準で決まるのだろう?
「ワン! ワンワン!」
シャルマン登美野へ出勤中のゆず子の耳に、甲高い犬の鳴き声が届く。
ふと声のした方を見ると、津山と愛犬ミカゲが向かいのコンビニ前に居た。
津山は同世代の女と話し込んでてゆず子に気づいて無いが、抱かれているミカゲがゆず子に気づいて、尻尾を振って鳴いたようだ。
(あら、私のこと覚えたのね)
ちょっと嬉しくなり、そのまま出勤した。
上階から共用部の掃除を始めて、1階部分まで降りて来ると、津山がミカゲと共に帰宅するとこだった。津山には疲労感が見える。
「おはようございます。散歩帰り?」
「おはよー…。知り合いに捕まってさぁ。参った参った」
立ち話で疲れたのか、津山は腰をさすった。ゆず子は返した。
「コンビニのとこ? 見かけたけどお取込み中だから、声掛けなかったんだ」
「ああ、見てたのね。そうなの、話長くてさぁ。…今日ってここの後予定ある?」
(なるほど、あの人は『仲良しさん』ではないのね?)
津山の心情を汲んだゆず子は返事した。
「無いよ。是非聞かせて」
今日は管理人である善市郎は休みなので、ゆず子は津山邸へ招待される事となった。
シャルマン登美野の最上階は、オーナーである津山が独り暮らしする区画と、津山の娘一家が暮らす区画の2世帯しかない。
(そう言えば、津山さんの家に入るの初めてだな)
「ごめんね、初めての訪問なのに手土産も無いし、小汚い仕事着で」
「いいのよ~、気ままな独り暮らしだし、愚痴聞いて貰いたいだけだから」
案内された応接ソファーにはパッチワークのマルチカバーが掛けられ、衣服掛けにはミカゲの服が何点か。
ケージ内のミカゲはゆず子を見ると、尻尾を振った。
「適当に座ってて! お茶淹れるから」
「お構いなく~」
緑茶と煎餅をゆず子の前に並べるが早いか、津山は口を開いた。
「ゆずちゃんが見たあの人はさ、娘の同級生のお母さんなんだ。子供が同じ小学校だったの」
「へえ、古い知り合いなんだね」
「うん。ほら、あたし出戻りじゃない? こっちに娘が転校して、初めて出来た友達だったの」
津山は一人娘が8歳の時に離婚し、生まれ育ったこの町へ戻ったという。平日は外で働きつつ、未婚の兄と両親と共に、週末は家業である農業を手伝っていた。
約20年前に兄が急死してからは、両親も高齢なので農業を辞める決断をした。所有する農地を手放し、『シャルマン登美野』を建てて不動産業(家賃収入)にシフトした。
老親をそれぞれ看取った後は、こうやって気ままに暮らしているが、苦労人であった事はゆず子も聞いていた。
「そうなんだ。娘さんにとっては新天地での拠り所だった感じ?」
「…それがさ。半澤さんて言うんだけど、資産家でそこそこ金持ちなのね。それで娘さんは、うちの鞠子に持ち物とか自慢したくて寄ってきた感じだったの」
「あらま…」
大人の考える以上に、子供社会は残酷で陰惨である。幼くとも序列を見極め、自分の力の及ぶ範囲を自覚しているものだ。
津山は頬杖をついた。
「同じ一人っ子でも、こっちは農家のジジババ付き片親、向こうは資産家のジジババに両親健在でしょ?
『休日にパパと遊園地行った』とか『家族旅行で玩具を買って貰った』とか自慢されて、家に帰って来た鞠子に何回泣かれて、文句言われたか数えきれない! 今となっちゃ笑い話だけどね」
津山は軽く笑ったが、ここに至るまでの葛藤がいっぱいあったのが伺い知れた。
「鞠子も嫌になって、半澤さんちの隣の和泉さんちのお子さんと遊ぶようになったのよね。齢の近い男女男の3兄弟の賑やかな家でさ、旦那さんも奥さんもいい人で。
鞠子が小学生の頃は、両家族で一緒に出掛けた事もあったなあ。半澤さんは気に食わなかったみたいだけど」
「気に食わないって、『うちの子が仲間外れにされた』とか、そんな感じ?」
「そういうのもあったけど、いちゃもんだね。大切に一人娘を育てていたから、隣の3兄弟を『品が無い』『数が多くて親に手をかけられてないから可哀想』だの陰口言ってた。
『あんな人達と一緒遊ぶと下品に育つよ』なんて鞠子に言ってきた事もあったね。
結局、中学から私立に行ったけど、『自慢癖』が治らないから、苛めに遭ったかで登校拒否になったの」
「あらあら…」
津山は蜂蜜のかかった煎餅を口にした。
「それでさ、高校受験の時にうちに半澤家の奥さんが来て、『鞠子ちゃん、うちの子と同じ高校に入らない?』って、言われた事があったの!」
「何それ、子供の友達増やして登校拒否を直そうって?」
「じゃないの? 普通に断ったよ。『うち片親でお金無いし、そもそもそんな偏差値高い学校行けません』って言ってやったわ。
話さなくなったし、高校はどうなったか知らないんだ。で、その頃から和泉家の悪口言うのも無くなったかな? 和泉家の奥さんから愚痴られる回数も減ったね」
「ふーん。娘がそんなだから、他所んち構ってられなくなったのかな?」
「多分ね。あ、でも鞠子が高校出て就職したら『上の学校も通わせられないくらい困ってるの?』って言われた事あった」
「うわあ、そんなの本人の勝手じゃない。偏見~!」
ゆず子が思わず口を尖らせると、津山は笑った。
「でしょ? …半澤家の娘さん、学校出てからずっと無職っぽいのよ。
『うちの娘、語学留学を始めたの』とか『福祉の勉強してるのよ』って半澤さんが言うから、和泉さんが次に会った時に『語学留学した後は何してるの?』『勉強して、今は福祉の仕事なの?』って訊くと『そんなの娘の自由でしょ?』って怒って返すらしく」
「ああ、勉学に励むだけで実際仕事はしないやつか…。居るわね、そういう人」
「まあ、家は資産家だし。働かなくても平気みたいよ、一人娘だし」
「その娘さん、結婚は?」
「してないよ。財産目当てでもなきゃ、今年42歳になる働いた事の無い女と、結婚する奴なんぞ居る訳無い! しかも老いた両親付き」
津山はくだを巻いてお茶を口にした。
「うーん、確かにその齢で働いた経験も無くて、舅さん姑さんつきは厳しいかもね」
「でね、先週鞠子が鏡花と琴音を連れて、和泉家でバーベキューしたんだ。
毎年夏に和泉家の3兄弟とそれぞれの子供達と、4家族でキャンプに行くんだけど、今年は3兄弟のお兄ちゃんが腕を怪我したから、自宅バーベキュー。
親同士も子供同士も仲がいいし、楽しかったみたい」
「お庭あると出来るからいいね」
津山は少し笑って言った。
「うん。半澤さんがそれを家の中から見ていて、すごく羨ましかったんだって。それで絡まれたの。長い前置きでごめんね!」
「なるほどね…。自分の娘はまだ未婚なのに、気嫌いしていた3兄弟と鞠子さんそれぞれ、家族連れて楽しそうなんだもんね」
「バーベキュー見た後に娘さんと喧嘩になったそうだよ。『あんたが独身だから、うちは墓守が居ない。この家はあんたの代で終わりだ!』ですって」
(墓守…!いまどき言う?)
「ちょっと…、時代錯誤も甚だしいわね」
半澤さんには悪いが、ゆず子は呆れて噴き出してしまった。津山は首を竦めた。
「それで、先週から娘さんと口を訊いてないらしい。知るかって感じだよ」
「でもさ、孫を『墓守』扱いするような人なんでしょ? 娘さんが結婚してても、どういう振る舞いするかが知れるって言うか…」
ゆず子が事も無げに言うと、津山も頷いた。
「『3兄弟が小さい頃はうるさくて品の無い遊びばっかりしてて、和泉家は子育てを間違えてるって思ってたけど、そうじゃなかった。うちの育て方が間違ってたんだ』って言ってたよ」
「全員働いてて独立してるからね。隣に住んでると、嫌でも比べちゃうかぁ」
「でもあたしから見るとさ、半澤さんの旦那さん、病気して病院通ってるんだけど、娘さんが毎回車を出してるんだよ。
同居してても、親の面倒すら見ない子も居るでしょ? だから、それはそれで娘さんはちゃんと出来てる大人だと思うんだけどね」
「…理想が高いのかな、半澤さんは。なまじ家柄が良いから、内にも外にも」
「かもしれないね」
ゆず子が津山の家から出て、エレベーター前に行くと、中から津山の孫である琴音と鏡花が出て来る所だった。
「あ、鳴瀬さんこんにちは!」
「こんにちは。いま帰りなの?」
「はい、プールの帰りなんです。今日もお疲れさまです」
姉妹は笑顔で手を振り、自宅へ向かって行った。
何を成し遂げたか、何を出来るのか。子育ての成功失敗の基準は分からないが、子供の立ち振る舞いでも、その一端が分かる気がする。
健康に育ち、利発に行動し、誰かに迷惑をかけず、人から愛される…、親が子供に願う事は星の数ほどある。
親が願った通りに育たなかったら失敗なのか?子供が幸せを感じていれば成功か?
そもそも、成功か失敗かは、一体どんな基準で決まるのだろう?
「ワン! ワンワン!」
シャルマン登美野へ出勤中のゆず子の耳に、甲高い犬の鳴き声が届く。
ふと声のした方を見ると、津山と愛犬ミカゲが向かいのコンビニ前に居た。
津山は同世代の女と話し込んでてゆず子に気づいて無いが、抱かれているミカゲがゆず子に気づいて、尻尾を振って鳴いたようだ。
(あら、私のこと覚えたのね)
ちょっと嬉しくなり、そのまま出勤した。
上階から共用部の掃除を始めて、1階部分まで降りて来ると、津山がミカゲと共に帰宅するとこだった。津山には疲労感が見える。
「おはようございます。散歩帰り?」
「おはよー…。知り合いに捕まってさぁ。参った参った」
立ち話で疲れたのか、津山は腰をさすった。ゆず子は返した。
「コンビニのとこ? 見かけたけどお取込み中だから、声掛けなかったんだ」
「ああ、見てたのね。そうなの、話長くてさぁ。…今日ってここの後予定ある?」
(なるほど、あの人は『仲良しさん』ではないのね?)
津山の心情を汲んだゆず子は返事した。
「無いよ。是非聞かせて」
今日は管理人である善市郎は休みなので、ゆず子は津山邸へ招待される事となった。
シャルマン登美野の最上階は、オーナーである津山が独り暮らしする区画と、津山の娘一家が暮らす区画の2世帯しかない。
(そう言えば、津山さんの家に入るの初めてだな)
「ごめんね、初めての訪問なのに手土産も無いし、小汚い仕事着で」
「いいのよ~、気ままな独り暮らしだし、愚痴聞いて貰いたいだけだから」
案内された応接ソファーにはパッチワークのマルチカバーが掛けられ、衣服掛けにはミカゲの服が何点か。
ケージ内のミカゲはゆず子を見ると、尻尾を振った。
「適当に座ってて! お茶淹れるから」
「お構いなく~」
緑茶と煎餅をゆず子の前に並べるが早いか、津山は口を開いた。
「ゆずちゃんが見たあの人はさ、娘の同級生のお母さんなんだ。子供が同じ小学校だったの」
「へえ、古い知り合いなんだね」
「うん。ほら、あたし出戻りじゃない? こっちに娘が転校して、初めて出来た友達だったの」
津山は一人娘が8歳の時に離婚し、生まれ育ったこの町へ戻ったという。平日は外で働きつつ、未婚の兄と両親と共に、週末は家業である農業を手伝っていた。
約20年前に兄が急死してからは、両親も高齢なので農業を辞める決断をした。所有する農地を手放し、『シャルマン登美野』を建てて不動産業(家賃収入)にシフトした。
老親をそれぞれ看取った後は、こうやって気ままに暮らしているが、苦労人であった事はゆず子も聞いていた。
「そうなんだ。娘さんにとっては新天地での拠り所だった感じ?」
「…それがさ。半澤さんて言うんだけど、資産家でそこそこ金持ちなのね。それで娘さんは、うちの鞠子に持ち物とか自慢したくて寄ってきた感じだったの」
「あらま…」
大人の考える以上に、子供社会は残酷で陰惨である。幼くとも序列を見極め、自分の力の及ぶ範囲を自覚しているものだ。
津山は頬杖をついた。
「同じ一人っ子でも、こっちは農家のジジババ付き片親、向こうは資産家のジジババに両親健在でしょ?
『休日にパパと遊園地行った』とか『家族旅行で玩具を買って貰った』とか自慢されて、家に帰って来た鞠子に何回泣かれて、文句言われたか数えきれない! 今となっちゃ笑い話だけどね」
津山は軽く笑ったが、ここに至るまでの葛藤がいっぱいあったのが伺い知れた。
「鞠子も嫌になって、半澤さんちの隣の和泉さんちのお子さんと遊ぶようになったのよね。齢の近い男女男の3兄弟の賑やかな家でさ、旦那さんも奥さんもいい人で。
鞠子が小学生の頃は、両家族で一緒に出掛けた事もあったなあ。半澤さんは気に食わなかったみたいだけど」
「気に食わないって、『うちの子が仲間外れにされた』とか、そんな感じ?」
「そういうのもあったけど、いちゃもんだね。大切に一人娘を育てていたから、隣の3兄弟を『品が無い』『数が多くて親に手をかけられてないから可哀想』だの陰口言ってた。
『あんな人達と一緒遊ぶと下品に育つよ』なんて鞠子に言ってきた事もあったね。
結局、中学から私立に行ったけど、『自慢癖』が治らないから、苛めに遭ったかで登校拒否になったの」
「あらあら…」
津山は蜂蜜のかかった煎餅を口にした。
「それでさ、高校受験の時にうちに半澤家の奥さんが来て、『鞠子ちゃん、うちの子と同じ高校に入らない?』って、言われた事があったの!」
「何それ、子供の友達増やして登校拒否を直そうって?」
「じゃないの? 普通に断ったよ。『うち片親でお金無いし、そもそもそんな偏差値高い学校行けません』って言ってやったわ。
話さなくなったし、高校はどうなったか知らないんだ。で、その頃から和泉家の悪口言うのも無くなったかな? 和泉家の奥さんから愚痴られる回数も減ったね」
「ふーん。娘がそんなだから、他所んち構ってられなくなったのかな?」
「多分ね。あ、でも鞠子が高校出て就職したら『上の学校も通わせられないくらい困ってるの?』って言われた事あった」
「うわあ、そんなの本人の勝手じゃない。偏見~!」
ゆず子が思わず口を尖らせると、津山は笑った。
「でしょ? …半澤家の娘さん、学校出てからずっと無職っぽいのよ。
『うちの娘、語学留学を始めたの』とか『福祉の勉強してるのよ』って半澤さんが言うから、和泉さんが次に会った時に『語学留学した後は何してるの?』『勉強して、今は福祉の仕事なの?』って訊くと『そんなの娘の自由でしょ?』って怒って返すらしく」
「ああ、勉学に励むだけで実際仕事はしないやつか…。居るわね、そういう人」
「まあ、家は資産家だし。働かなくても平気みたいよ、一人娘だし」
「その娘さん、結婚は?」
「してないよ。財産目当てでもなきゃ、今年42歳になる働いた事の無い女と、結婚する奴なんぞ居る訳無い! しかも老いた両親付き」
津山はくだを巻いてお茶を口にした。
「うーん、確かにその齢で働いた経験も無くて、舅さん姑さんつきは厳しいかもね」
「でね、先週鞠子が鏡花と琴音を連れて、和泉家でバーベキューしたんだ。
毎年夏に和泉家の3兄弟とそれぞれの子供達と、4家族でキャンプに行くんだけど、今年は3兄弟のお兄ちゃんが腕を怪我したから、自宅バーベキュー。
親同士も子供同士も仲がいいし、楽しかったみたい」
「お庭あると出来るからいいね」
津山は少し笑って言った。
「うん。半澤さんがそれを家の中から見ていて、すごく羨ましかったんだって。それで絡まれたの。長い前置きでごめんね!」
「なるほどね…。自分の娘はまだ未婚なのに、気嫌いしていた3兄弟と鞠子さんそれぞれ、家族連れて楽しそうなんだもんね」
「バーベキュー見た後に娘さんと喧嘩になったそうだよ。『あんたが独身だから、うちは墓守が居ない。この家はあんたの代で終わりだ!』ですって」
(墓守…!いまどき言う?)
「ちょっと…、時代錯誤も甚だしいわね」
半澤さんには悪いが、ゆず子は呆れて噴き出してしまった。津山は首を竦めた。
「それで、先週から娘さんと口を訊いてないらしい。知るかって感じだよ」
「でもさ、孫を『墓守』扱いするような人なんでしょ? 娘さんが結婚してても、どういう振る舞いするかが知れるって言うか…」
ゆず子が事も無げに言うと、津山も頷いた。
「『3兄弟が小さい頃はうるさくて品の無い遊びばっかりしてて、和泉家は子育てを間違えてるって思ってたけど、そうじゃなかった。うちの育て方が間違ってたんだ』って言ってたよ」
「全員働いてて独立してるからね。隣に住んでると、嫌でも比べちゃうかぁ」
「でもあたしから見るとさ、半澤さんの旦那さん、病気して病院通ってるんだけど、娘さんが毎回車を出してるんだよ。
同居してても、親の面倒すら見ない子も居るでしょ? だから、それはそれで娘さんはちゃんと出来てる大人だと思うんだけどね」
「…理想が高いのかな、半澤さんは。なまじ家柄が良いから、内にも外にも」
「かもしれないね」
ゆず子が津山の家から出て、エレベーター前に行くと、中から津山の孫である琴音と鏡花が出て来る所だった。
「あ、鳴瀬さんこんにちは!」
「こんにちは。いま帰りなの?」
「はい、プールの帰りなんです。今日もお疲れさまです」
姉妹は笑顔で手を振り、自宅へ向かって行った。
何を成し遂げたか、何を出来るのか。子育ての成功失敗の基準は分からないが、子供の立ち振る舞いでも、その一端が分かる気がする。
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