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喜雨【7月長編】
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「りょーたー! できたよー!」
「すごいなぁ、おみ」
「むふん」
おきつさんから手取り足取り教えてもらい、ついにおみの手作り料理が完成した。色とりどりのパプリカに、お手製の肉種が詰められている。こんがりと焼かれた後にじっくり蒸されたおかげで、甘みが強くなっているのだとか。
ふにゃふにゃ説明するおみの頭を撫でてやる頃には、もうすっかり空は夕方の色合いになっていた。
「おみがおにくこねこねしたの!」
「へぇ。大変だった?」
「んー、はんばぐみたいだった」
「そっか」
そういえば最近はハンバーグを作ってないな。帰ったらまた二人で作ってみるのも悪くない。大きなお皿に乗せられたパプリカを一つ、取り皿に移す。じゅわりと肉汁が溢れ、見ているだけで生唾が湧いてきそうだ。
各々飲み物(ほぼアルコール)を持ち、元気に仲良く「いただきます」と言ったあと。
「ぱぷりかは、ぴまんじゃないからだいじょぶ……」
「がんばれ、おみ」
「んあー!」
自分に言い聞かせながら、おみはついにパプリカを口にした。分かってはいてもやはり見た目がピーマンそっくりなせいで、いつもみたいに大きな口を開けてはいない。
それでも泣くことなく、パクリと齧り付いて。
「ん、んむ、む」
「どう?」
「んー……あまいー!」
「おお」
「おいしー!」
「おお!」
どうやら気に入ったようで、今度は半分ほど一気にかぶりつく。口の周りが肉汁で汚れているが、それも気にせずパクパクと食べていく。
あっという間に一つ平らげ、今度は三つも自分の皿に乗せる。どんだけ気に入ったんだ。
「りょーたもたべて、あーん」
「じゃあもらおうかな」
よほど出来栄えに自信があるのか、早く早くと急かされる。差し出されたパプリカを口に入れてもらうと、なるほど、これは絶品だと思わされる。
おみが作った、ということもあるかもしれないが、それを抜きにしてもパプリカの肉厚な食感、肉の旨み、絶妙な味付け。そのどれもがマッチしていて思わず唸り声をあげそうになる。
しかもパプリカはどれも色が鮮やかで、見ているだけで気持ちが明るくなりそうだ。
「どう? どう?」
「おいしい! おみ、すごいな!」
「えへへー」
パプリカってこんな食べ方もあるんだな。勉強になる。
「おみ、パプリカ美味しいやろ」
「おいしー! いーしゃ、それなぁに?」
「私たち三人で作ったものだ」
ずらりと並べられたお皿には、たぎさん、おいちさん、俺の三人で作ったおつまみ、もとい料理が入れられていた。もやしと人参のナムル、ゴマサバ、おきゅうとに豚バラ串。
そして、その中にこっそりとピーマンの塩昆布炒めが紛れ込んでいる。パプリカを克服した今、果たしておみはピーマンも食べられるのだろうか。
「グランピングの醍醐味は、やはり外で食べることだな」
「前もしませんでしたっけ」
「あれはあれ、これはこれだ」
「なるほど……?」
まあ、みんなでワイワイ食べるのは楽しいよな。それは間違いなく事実だ。
「あー、ちびちゃ! ちびちゃもごはんたべる?」
「みゃーん」
「ぼくも! ぼくも食べます、ししょー!」
いい匂いにつられたのか、背中にちびすけを乗っけた海鈴がふんふん鼻を鳴らしながらこちらにやってきた。海鈴は眷属なので基本的に何を食べても問題ないが、ちびすけは(今のところ)ただの子猫だ。
食べちゃダメなものとかあるのかな。
「やいたおさかなたべる?」
「にゃん!」
「おみがほぐほぐしてあげるね」
「みゃぁん」
優しいおみは、自分の分だった焼き魚を食べやすいように解してあげている。熱くないよう冷ましてやり、至れり尽くせりだ。
隣で海鈴は「ごちそーです!」とはしゃぎながら、パプリカやピーマンをぱくぱく食べていた。どれも美味しそうに食べるものだから俺もつられて食欲が湧いてくる。
「みんなでたべるとたのしーねー」
「帰ったら坂口さんや織田さんと食事をしようか」
「するするー!」
二人でのご飯も美味しいけど、たまには大勢で食べるのも悪くない。夕方の涼しい風が頬を撫でる。
賑やかな夜は、まだまだこれからだ。
「すごいなぁ、おみ」
「むふん」
おきつさんから手取り足取り教えてもらい、ついにおみの手作り料理が完成した。色とりどりのパプリカに、お手製の肉種が詰められている。こんがりと焼かれた後にじっくり蒸されたおかげで、甘みが強くなっているのだとか。
ふにゃふにゃ説明するおみの頭を撫でてやる頃には、もうすっかり空は夕方の色合いになっていた。
「おみがおにくこねこねしたの!」
「へぇ。大変だった?」
「んー、はんばぐみたいだった」
「そっか」
そういえば最近はハンバーグを作ってないな。帰ったらまた二人で作ってみるのも悪くない。大きなお皿に乗せられたパプリカを一つ、取り皿に移す。じゅわりと肉汁が溢れ、見ているだけで生唾が湧いてきそうだ。
各々飲み物(ほぼアルコール)を持ち、元気に仲良く「いただきます」と言ったあと。
「ぱぷりかは、ぴまんじゃないからだいじょぶ……」
「がんばれ、おみ」
「んあー!」
自分に言い聞かせながら、おみはついにパプリカを口にした。分かってはいてもやはり見た目がピーマンそっくりなせいで、いつもみたいに大きな口を開けてはいない。
それでも泣くことなく、パクリと齧り付いて。
「ん、んむ、む」
「どう?」
「んー……あまいー!」
「おお」
「おいしー!」
「おお!」
どうやら気に入ったようで、今度は半分ほど一気にかぶりつく。口の周りが肉汁で汚れているが、それも気にせずパクパクと食べていく。
あっという間に一つ平らげ、今度は三つも自分の皿に乗せる。どんだけ気に入ったんだ。
「りょーたもたべて、あーん」
「じゃあもらおうかな」
よほど出来栄えに自信があるのか、早く早くと急かされる。差し出されたパプリカを口に入れてもらうと、なるほど、これは絶品だと思わされる。
おみが作った、ということもあるかもしれないが、それを抜きにしてもパプリカの肉厚な食感、肉の旨み、絶妙な味付け。そのどれもがマッチしていて思わず唸り声をあげそうになる。
しかもパプリカはどれも色が鮮やかで、見ているだけで気持ちが明るくなりそうだ。
「どう? どう?」
「おいしい! おみ、すごいな!」
「えへへー」
パプリカってこんな食べ方もあるんだな。勉強になる。
「おみ、パプリカ美味しいやろ」
「おいしー! いーしゃ、それなぁに?」
「私たち三人で作ったものだ」
ずらりと並べられたお皿には、たぎさん、おいちさん、俺の三人で作ったおつまみ、もとい料理が入れられていた。もやしと人参のナムル、ゴマサバ、おきゅうとに豚バラ串。
そして、その中にこっそりとピーマンの塩昆布炒めが紛れ込んでいる。パプリカを克服した今、果たしておみはピーマンも食べられるのだろうか。
「グランピングの醍醐味は、やはり外で食べることだな」
「前もしませんでしたっけ」
「あれはあれ、これはこれだ」
「なるほど……?」
まあ、みんなでワイワイ食べるのは楽しいよな。それは間違いなく事実だ。
「あー、ちびちゃ! ちびちゃもごはんたべる?」
「みゃーん」
「ぼくも! ぼくも食べます、ししょー!」
いい匂いにつられたのか、背中にちびすけを乗っけた海鈴がふんふん鼻を鳴らしながらこちらにやってきた。海鈴は眷属なので基本的に何を食べても問題ないが、ちびすけは(今のところ)ただの子猫だ。
食べちゃダメなものとかあるのかな。
「やいたおさかなたべる?」
「にゃん!」
「おみがほぐほぐしてあげるね」
「みゃぁん」
優しいおみは、自分の分だった焼き魚を食べやすいように解してあげている。熱くないよう冷ましてやり、至れり尽くせりだ。
隣で海鈴は「ごちそーです!」とはしゃぎながら、パプリカやピーマンをぱくぱく食べていた。どれも美味しそうに食べるものだから俺もつられて食欲が湧いてくる。
「みんなでたべるとたのしーねー」
「帰ったら坂口さんや織田さんと食事をしようか」
「するするー!」
二人でのご飯も美味しいけど、たまには大勢で食べるのも悪くない。夕方の涼しい風が頬を撫でる。
賑やかな夜は、まだまだこれからだ。
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