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藤の雨【5月短編】
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のんびり、おみのペースで頑張ろうと話をしてから、少しだけど我が家は穏やかになった気がする。昼間に寝ることも、絵本を読むことも、少しずつ増えてきた。
それを見て、俺は安心した。やっぱりおみは楽しそうに過ごしている方がいい。もやもや何かに悩んでいるよりも、人間の子供が夢中になるものに親しんでいる時の方が見ていて安心する。
たとえ、大量の紙くずが増えたとしても。
「うみみぃ……!」
「これもだめか」
見事にぐしゃぐしゃになった折り紙をつまみ上げる。一度折ってしまったからあとがついている。これはもう使えないな。
隣のカゴに入れて、新しい折り紙を取り出す。倉庫から見つけた箱の中には、いつのものか分からない折り紙が大量に入っていた。せっかくなので折ってみようと、おみを誘ってみたはいいが。
「みぇぇ……むじゅかし……」
「意外だなぁ」
「つるしゃんつくりたいのに」
こういうものは得意だと思っていたが、思いのほか苦戦している。一時間ほどかけてようやく「半分に折る」ことが分かったようだ。
端と端がズレているから、そのまま鶴を折ることは出来ないが。
「片方は綺麗に端と端が重なってるのに。なんでもう片方はズレるんだろう」
「うーん……」
「ううーん」
二人して首を傾げる。ゆっくり、丁寧に、焦らずに。そうやって折るしかない。
小さなおみの手を握って、俺も一緒に折ることにした。これなら二人で折れる。
「つるしゃ、おそらとぶかな」
「どうだろう。風が吹いたら飛ぶかもな」
「まー!」
そうやって完成した少し歪な折り鶴は、晴れた空をふわりと舞った。いつかもっと遠くまで飛べるように。
俺たちも頑張ろうな。
それを見て、俺は安心した。やっぱりおみは楽しそうに過ごしている方がいい。もやもや何かに悩んでいるよりも、人間の子供が夢中になるものに親しんでいる時の方が見ていて安心する。
たとえ、大量の紙くずが増えたとしても。
「うみみぃ……!」
「これもだめか」
見事にぐしゃぐしゃになった折り紙をつまみ上げる。一度折ってしまったからあとがついている。これはもう使えないな。
隣のカゴに入れて、新しい折り紙を取り出す。倉庫から見つけた箱の中には、いつのものか分からない折り紙が大量に入っていた。せっかくなので折ってみようと、おみを誘ってみたはいいが。
「みぇぇ……むじゅかし……」
「意外だなぁ」
「つるしゃんつくりたいのに」
こういうものは得意だと思っていたが、思いのほか苦戦している。一時間ほどかけてようやく「半分に折る」ことが分かったようだ。
端と端がズレているから、そのまま鶴を折ることは出来ないが。
「片方は綺麗に端と端が重なってるのに。なんでもう片方はズレるんだろう」
「うーん……」
「ううーん」
二人して首を傾げる。ゆっくり、丁寧に、焦らずに。そうやって折るしかない。
小さなおみの手を握って、俺も一緒に折ることにした。これなら二人で折れる。
「つるしゃ、おそらとぶかな」
「どうだろう。風が吹いたら飛ぶかもな」
「まー!」
そうやって完成した少し歪な折り鶴は、晴れた空をふわりと舞った。いつかもっと遠くまで飛べるように。
俺たちも頑張ろうな。
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