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めぐる雨【2月長編】
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しおりを挟む「しらたきーふわふわーもふもふしらたきー」
ご主人は楽しそうにぼくの歌を歌っています。坂口さんのおうちまでは何度も行ったことがあるし、足取りも軽そうです。
ちなみにご主人の歌うぼくのお歌はたくさんあります。いつも歌詞が違うし、メロディも違いますが聞いていてウキウキします。ご主人はお歌も上手なんですね。
「ほんもののしらたきはーつるつるー」
えっ、ぼく、つるつるなんですか?
こんなにもふわふわなのに?
何だか謎が深まります。
「きのうね、りょーたがねるまえに絵本よんでくれたの」
ぼくもちゃんと聞いていましたよ! ご主人が寝ちゃったあともりょうたさんは最後まで読んでくれていました。あおいとりさんが出てきていましたね。
ご主人はお布団に入るとすぐにねちゃいましたっけ。
「こやって、おみ、りょーたにぎゅーってしてたの」
そういって、ぼくを背中からおろしてぎゅっと抱っこしてくれます。こんなふうに歩くのは久しぶりですね。普段と見る世界が違うから楽しいです。
そのせいでしょうか。なんだか世界が広く見えます。ちょっと高くなったんでしょうか。不思議ですね。
「しらたきはふわふわだねー」
そうですよ。ぼくは全身ふわふわです! ご主人にぎゅーっとされてもふわふわです!
そんなことを話しながら、ぽてぽて歩きながら坂口さんのおうちを目指します。歩いてすぐのところだから迷うこともありません。
今日は晴れているから気持ちがいいですね。ぼくもますますふわふわしていきます。
「りょーたね、きょう、いそがしいんだって」
そうなんですね。大変ですね、りょうたさん。だからご主人が代わりにおつかいに行くのですか。
頼りにされているのですね、ご主人!
「おみ、ひとりでおつかいできるかな」
できますとも! ぼくもいますからね、大丈夫ですよ! もしかしたらご主人はりょうたさんが一緒じゃないから不安なんでしょうか。
大きなおめめが心配そうにゆれています。ううん、もしぼくの腕が動いたら、りょうたさんみたいに頭をなでなでしますのに。
でも、その代わりにずっとぎゅーされておきますからね!
二人で頑張りましょう、ご主人!
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