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雪時雨【2月短編】
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ちびすけに会えない日が数日続き、それでもおみは諦めず毎日縁側で待っていた。お皿の餌は減っているから、確かにここにやって来ているのだろう。
しかし、なぜかおみがいない間に。猫は夜行性と言うから、もしかしたら俺たちが眠っている間にこっそりとやってきて、暖を取っているのかもしれない。
そう言うと、少し安心したような顔をした。それでも毎日お皿の前でじっと待つことはやめようとしない。一体、どうしてここまでちびすけに拘るんだろう。不思議に思い、たまたま家にやってきた坂口さんに尋ねることにした。
「と、いうことなんですけど」
「ははぁ。おみ坊、そんなことが」
「何か思い当たることってありますか?」
俺の先代、つまりじいさんと深い付き合いがあった坂口さんなら、おみのことも俺より知っている。俺の知らないところで、一体おみに何があったんだろう。
それを知ることは今後の俺たちにとって大切だと思ったのだ。
「具体的にこれ、というのは分からねぇんだかな」
「それでも大丈夫です」
「迎えられる嬉しさを知ってるんじゃねェのかな、おみ坊は」
「迎えられる……?」
その言葉を聞いて、ふと縁側に居るおみの方を見た。待ちくたびれたのか毛布の横で寝てしまっている。しらたきを背中に抱えたままうつ伏せで寝ているので、白い塊がぷわぷわ上下していた。
おみが誰かを迎えることなんかあるのだろうか。
「おみ坊はまだ誰かのところに詣でることばかりだ。俺とか織田は、まあ、別としてな」
「確かに」
「でも、唯一迎えられる相手がいる。それがお前さんだ」
「俺?」
そう言われて、はたと気がついた。そうだ、確かに俺はおみに迎えられている。ただいまと言うことが多いのは圧倒的に俺の方だ。
そして、その度に嬉しそうな声で「おかえりー!」と言われている。ああ、なるほど。だから。
「おみは、ちびすけを迎えたいんですね。自分がされて嬉しいから」
「お前さんがニコニコ笑っておみ坊を抱っこしてるからじゃねェのか?」
「それは、まあ」
しかし、だとしたら。
早く迎えたいよな、ちびすけを。いつでも迎えられるように毛布を用意して、ご飯も準備して。
お前はいつからそんなに優しい子になったんだろう。早くおみが笑ってちびすけを迎えるところを見てみたい。
まだ温かいほうじ茶をずず、と飲んで、薄い色をした空をのんびりと眺めた。
しかし、なぜかおみがいない間に。猫は夜行性と言うから、もしかしたら俺たちが眠っている間にこっそりとやってきて、暖を取っているのかもしれない。
そう言うと、少し安心したような顔をした。それでも毎日お皿の前でじっと待つことはやめようとしない。一体、どうしてここまでちびすけに拘るんだろう。不思議に思い、たまたま家にやってきた坂口さんに尋ねることにした。
「と、いうことなんですけど」
「ははぁ。おみ坊、そんなことが」
「何か思い当たることってありますか?」
俺の先代、つまりじいさんと深い付き合いがあった坂口さんなら、おみのことも俺より知っている。俺の知らないところで、一体おみに何があったんだろう。
それを知ることは今後の俺たちにとって大切だと思ったのだ。
「具体的にこれ、というのは分からねぇんだかな」
「それでも大丈夫です」
「迎えられる嬉しさを知ってるんじゃねェのかな、おみ坊は」
「迎えられる……?」
その言葉を聞いて、ふと縁側に居るおみの方を見た。待ちくたびれたのか毛布の横で寝てしまっている。しらたきを背中に抱えたままうつ伏せで寝ているので、白い塊がぷわぷわ上下していた。
おみが誰かを迎えることなんかあるのだろうか。
「おみ坊はまだ誰かのところに詣でることばかりだ。俺とか織田は、まあ、別としてな」
「確かに」
「でも、唯一迎えられる相手がいる。それがお前さんだ」
「俺?」
そう言われて、はたと気がついた。そうだ、確かに俺はおみに迎えられている。ただいまと言うことが多いのは圧倒的に俺の方だ。
そして、その度に嬉しそうな声で「おかえりー!」と言われている。ああ、なるほど。だから。
「おみは、ちびすけを迎えたいんですね。自分がされて嬉しいから」
「お前さんがニコニコ笑っておみ坊を抱っこしてるからじゃねェのか?」
「それは、まあ」
しかし、だとしたら。
早く迎えたいよな、ちびすけを。いつでも迎えられるように毛布を用意して、ご飯も準備して。
お前はいつからそんなに優しい子になったんだろう。早くおみが笑ってちびすけを迎えるところを見てみたい。
まだ温かいほうじ茶をずず、と飲んで、薄い色をした空をのんびりと眺めた。
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