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千歳をかねてたのしきをつめ【お正月】

【あけましておめでとう】

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「あけまして」
「おめでとーございまーす!」
    おみの晴れやかで明るい声が部屋いっぱいに響いた。昨日は年越しの瞬間まで頑張って起き、初日の出を見るために早起きまでして、そのあとお昼過ぎまでたくさん寝たおかげだろう。これぞまさしく新年というにふさわしい、清々しい顔だ。
    元旦ということで、俺もおみも御召の袴を着る事にした。おみの着物は白、羽織は空色鼠、袴は煤竹色とクールに決めている。紅い羽織紐がアクセントになっていて、とてもおめでたい感じがする。
    しかし、中身は全く変わっておらず。
「おもちたべよー」
「いいけど、昨日あんだけ食べたのに飽きないのか」
「おみ、おもちすき」
    昨日、坂口さんの家で餅つきをした。俺、織田さん、坂口さんの三人で汗を流しながら大量のお餅をついた。その後、イネとマイ、それからおみでたくさんの丸餅を作ったのだ。
    各家に飾るための鏡餅もみんなで作り、無事に年越しの準備が出来たのだけれど。
「あんだけ食べたらおみがお餅になるぞ」
「むむー!    ならないもん!」
    丸めたそばからつまみ食いをしていたおみは、小さな口いっぱいに頬張ってずっともぐもぐさせていた。そりゃつきたては美味しいし、ふわふわで食べたくなるのはわかるけど。
    相当な数がこの小さい体に消えていったぞ。
「りょーたーおもちー」
「とりあえず、お雑煮作るから」
「やったー!」
「鏡餅にみかん乗せてきて」
「うぃ!」
    今年も元気いっぱいなおみを見ていると、つい笑いが込み上げてくる。平和だなぁ。さて、のんびりとお雑煮を作るとするか。
    みんなで作ったお餅は山のようにある。悪くなる前に食べきってしまいたい。きっとそんな心配しなくても、すぐに無くなってしまいそうだけど。
「……お餅レシピ調べとくか」
    もちもちでふわふわな頬っぺを緩ませて笑うおみを想像して、俺もくすりと小さく笑った。
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