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山茶花時雨 【12月短編】
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おみの甘ったれモードもようやく落ち着き始め、昼間にぐずることはほとんど無くなった。片時と離れずべったり、ということもなく、しらたきと外を歩き回ることも増えてきた。
おかげで、今までずっと先延ばしにして来たことに手をつけることが出来そうだ。
「りょーた、おみのおふとん、どうするの?」
「冬用にするんだよ」
「ふゆよう?」
「もふもふであったかい」
「おおー!」
二ヶ月続けて出雲に行っていたため、衣替えをする機会を完全に見失っていた。着物は少しずつ入れ替えていたけれど、布団はまだ薄手の毛布しか出していない。
せっかく今日は晴れているんだから、これを機に冬用の布団に変えていこう。そうしたらきっとおみの甘えたがり虫も少しは落ち着くかもしれない。
「はい、これが冬用の布団」
「おお……ふわふわ……」
「それを敷布団にして、それから掛け布団はこっち」
おみが一人で畳めるように軽くて小さな布団を選んでいるが、冬用となるとやはりそれなりの重さになる。朝寝ぼけて踏んずけたら大変だな。
その時は助けてやればいいか。
「あったかーい!」
「あ、こら。まだ整えてないから寝転ぶな」
「きゃー!」
俺の言葉は全くおみの耳には届いていないようで、布団の上をコロコロと転がっている。気に入ってもらえたのは何よりだが、これでは作業が進まない。
仕方がない。こればっかりはしたくなかったが。
「おーみー!」
「みゃああ!」
掛け布団に包まって遊んでいたおみに、布団ごと上から覆い被さる。体の下でもぞもぞ動いているのが伝わってきた。
ぴょこんとはみ出た尻尾がぱたぱた忙しなく動いている。ふふん。どうだ。
「これで少しは大人しく……」
「りょーた、もっかい!」
「え?」
「今の、もーいっかい!」
「えええ?」
布団から顔を出したおみは、こちらの想像とは正反対の表情をしていた。大きな目をキラキラ輝かせ、期待するかのような表情を。
しまった。これは逆効果だったか。
「あとで!」
「やーだ、いま!」
「だめだ、っ、うわぁ!?」
布団の上で暴れたせいか、二人まとめてすっ転んでしまった。しかし冬用の布団はふわふわで柔らかく、衝撃は全くと言っていいほど無いに等しい。
ああ、もう。こんなつもりじゃなかったのに。
「りょーた、たのしい?」
「楽しいよ、全く」
「んふふ。おみも楽しい!」
きゃらきゃら笑いながら、おみが抱きついてきた。ぽかぽかと温かく、このままだと眠ってしまいそうだ。
それもいいか。たまにはこういう日も悪くない。愛しい小さな熱源を抱きしめて、俺は小さく欠伸を噛み締めた。
おかげで、今までずっと先延ばしにして来たことに手をつけることが出来そうだ。
「りょーた、おみのおふとん、どうするの?」
「冬用にするんだよ」
「ふゆよう?」
「もふもふであったかい」
「おおー!」
二ヶ月続けて出雲に行っていたため、衣替えをする機会を完全に見失っていた。着物は少しずつ入れ替えていたけれど、布団はまだ薄手の毛布しか出していない。
せっかく今日は晴れているんだから、これを機に冬用の布団に変えていこう。そうしたらきっとおみの甘えたがり虫も少しは落ち着くかもしれない。
「はい、これが冬用の布団」
「おお……ふわふわ……」
「それを敷布団にして、それから掛け布団はこっち」
おみが一人で畳めるように軽くて小さな布団を選んでいるが、冬用となるとやはりそれなりの重さになる。朝寝ぼけて踏んずけたら大変だな。
その時は助けてやればいいか。
「あったかーい!」
「あ、こら。まだ整えてないから寝転ぶな」
「きゃー!」
俺の言葉は全くおみの耳には届いていないようで、布団の上をコロコロと転がっている。気に入ってもらえたのは何よりだが、これでは作業が進まない。
仕方がない。こればっかりはしたくなかったが。
「おーみー!」
「みゃああ!」
掛け布団に包まって遊んでいたおみに、布団ごと上から覆い被さる。体の下でもぞもぞ動いているのが伝わってきた。
ぴょこんとはみ出た尻尾がぱたぱた忙しなく動いている。ふふん。どうだ。
「これで少しは大人しく……」
「りょーた、もっかい!」
「え?」
「今の、もーいっかい!」
「えええ?」
布団から顔を出したおみは、こちらの想像とは正反対の表情をしていた。大きな目をキラキラ輝かせ、期待するかのような表情を。
しまった。これは逆効果だったか。
「あとで!」
「やーだ、いま!」
「だめだ、っ、うわぁ!?」
布団の上で暴れたせいか、二人まとめてすっ転んでしまった。しかし冬用の布団はふわふわで柔らかく、衝撃は全くと言っていいほど無いに等しい。
ああ、もう。こんなつもりじゃなかったのに。
「りょーた、たのしい?」
「楽しいよ、全く」
「んふふ。おみも楽しい!」
きゃらきゃら笑いながら、おみが抱きついてきた。ぽかぽかと温かく、このままだと眠ってしまいそうだ。
それもいいか。たまにはこういう日も悪くない。愛しい小さな熱源を抱きしめて、俺は小さく欠伸を噛み締めた。
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