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雨冷え【10月番外編】
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「お菓子をもらって回るの。貰えなかったらイタズラしてもいいのよ」
「おかし! やったー!」
なんと! おかしがたくさん貰える日だなんて、すはらしいです! さっそくご主人さまは、おださんに合言葉を教えてもらっています。なんだか聞きなれない言葉ですが、大丈夫でしょうか。
「りょーた、とりくあとりーと!」
とってもお上手です、ご主人さま!
「あんまり食べすぎるなよ?」
「おかしはべつばら」
「そっか……」
苦笑いをしながらも、りょうたさんはかぼちゃのクッキーをくれました。可愛らしい袋に入っています。なるほど、これを作るためにぼくたちはさかぐちさんのお家に行っていたのですね。
さっそく一枚、ぱくり。お味はどうですか?
「うままま」
「狼じゃなくてリスみたいだな」
「んふふ、りょーたのくっきーだいすき」
おやおや、すっかり甘えんぼモードです。でも他にもおかしはたくさんありますよ。
「おみ坊、ほれ、こっちもあるぞ」
「わー! さかぐち、とりくあとりーと!」
「はいよ」
さかぐちさんがくれたのは、かぼちゃのパウンドケーキです。しっとりふわふわのケーキからは甘い香りがします。お皿に乗せてもらい、生クリームまで添えてもらえました。
これはとても豪華です。
「菓子作りは苦手でなぁ。織田のやつに頼んだらえらく洒落たもんになっちまった」
「あらヤダ、味見とか言ってたくさん食べたのはどこのどなただったかしら?」
「ウルッせぇな、おみ坊に変なもん食わせらんねぇだろ」
やっぱりさかぐちさんは優しい人です。最後に、おださんのところに行きましょう。
「おだしゃ、とりくあとりーと!」
「ふふ、可愛いオオカミさん。こちらをどうぞ」
そう言って見せられたのは、なんと大きなパンプキンパイです! まん丸で、サクサクで、ご主人さまのお顔より大きいですよ!
「ほあー!」
「これはみんなで食べましょうね」
「おみ切る!」
「じゃありょーちゃんと一緒に切ってもらおうかしら」
りょうたさんが小さなナイフを用意しています。危なくないように、お膝の上に座らせてもらいました。近くで見ると本当に大きなパイですね。
「よし、じゃあナイフ持って」
「うぃ」
「俺が一緒に切るから、手を離さないように」
「うぃ!」
どきどき。
なんだかぼくまで緊張してしまいます。
「せーの!」
「のっ!」
勇ましい掛け声と共に、ざくっとパイが切られていきます。パイはサクサク、中はほっくほくのかぼちゃが詰められています。
ううーん、なんて香ばしく、甘い香り!
これもきっと美味しいですよ!
「余ったらイネたちにあげるから、好きなだけ食べていいわよ」
「やったー!」
「おみ、暴れるな! 危ない!」
「あーあー、過保護だねぇ」
優しくてあったかいかぼちゃの香りと一緒に、みんなの笑い声が秋の夜に溶けていきます。縁側で寝ていたちびちゃんもいつの間にか起きてきて、楽しそうにミャアと鳴きました。
そうして、楽しい夜はいつの間にか更けていきました。
「おかし! やったー!」
なんと! おかしがたくさん貰える日だなんて、すはらしいです! さっそくご主人さまは、おださんに合言葉を教えてもらっています。なんだか聞きなれない言葉ですが、大丈夫でしょうか。
「りょーた、とりくあとりーと!」
とってもお上手です、ご主人さま!
「あんまり食べすぎるなよ?」
「おかしはべつばら」
「そっか……」
苦笑いをしながらも、りょうたさんはかぼちゃのクッキーをくれました。可愛らしい袋に入っています。なるほど、これを作るためにぼくたちはさかぐちさんのお家に行っていたのですね。
さっそく一枚、ぱくり。お味はどうですか?
「うままま」
「狼じゃなくてリスみたいだな」
「んふふ、りょーたのくっきーだいすき」
おやおや、すっかり甘えんぼモードです。でも他にもおかしはたくさんありますよ。
「おみ坊、ほれ、こっちもあるぞ」
「わー! さかぐち、とりくあとりーと!」
「はいよ」
さかぐちさんがくれたのは、かぼちゃのパウンドケーキです。しっとりふわふわのケーキからは甘い香りがします。お皿に乗せてもらい、生クリームまで添えてもらえました。
これはとても豪華です。
「菓子作りは苦手でなぁ。織田のやつに頼んだらえらく洒落たもんになっちまった」
「あらヤダ、味見とか言ってたくさん食べたのはどこのどなただったかしら?」
「ウルッせぇな、おみ坊に変なもん食わせらんねぇだろ」
やっぱりさかぐちさんは優しい人です。最後に、おださんのところに行きましょう。
「おだしゃ、とりくあとりーと!」
「ふふ、可愛いオオカミさん。こちらをどうぞ」
そう言って見せられたのは、なんと大きなパンプキンパイです! まん丸で、サクサクで、ご主人さまのお顔より大きいですよ!
「ほあー!」
「これはみんなで食べましょうね」
「おみ切る!」
「じゃありょーちゃんと一緒に切ってもらおうかしら」
りょうたさんが小さなナイフを用意しています。危なくないように、お膝の上に座らせてもらいました。近くで見ると本当に大きなパイですね。
「よし、じゃあナイフ持って」
「うぃ」
「俺が一緒に切るから、手を離さないように」
「うぃ!」
どきどき。
なんだかぼくまで緊張してしまいます。
「せーの!」
「のっ!」
勇ましい掛け声と共に、ざくっとパイが切られていきます。パイはサクサク、中はほっくほくのかぼちゃが詰められています。
ううーん、なんて香ばしく、甘い香り!
これもきっと美味しいですよ!
「余ったらイネたちにあげるから、好きなだけ食べていいわよ」
「やったー!」
「おみ、暴れるな! 危ない!」
「あーあー、過保護だねぇ」
優しくてあったかいかぼちゃの香りと一緒に、みんなの笑い声が秋の夜に溶けていきます。縁側で寝ていたちびちゃんもいつの間にか起きてきて、楽しそうにミャアと鳴きました。
そうして、楽しい夜はいつの間にか更けていきました。
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