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あれから俺は平原と森を交互に行き来する生活を送っている。森で新たな狩場を探しながら狩りをする日と、平原で不幸ゲージを消費する日を交互にだ。
森での活動は実のなる木とならない木の判別が出来るようになってきた。まだ狩場と呼べる程の場所は見付けられていないけど、獲物との遭遇率は上がってきている。
草原での不幸ゲージを消費する件では重要な発見があった。
『不幸解放』と言って不幸ゲージを消費すれば、ゴブリンの襲撃を受けたり、毒蛇に噛まれたりと、一般人なら命の危険がある出来事が訪れるとばかり思っていたけど、それが違っていた。
ベルトが切れたり、鳥の糞が落ちてきたりと、命の危険がない不幸も襲ってくることが判明したのだ。
正直、ゴブリンなどに襲われる方が金になるだけ遥かにいい。この前鳥の糞が落ちてきた時なんか群れだったから一気に糞まみれになってマジで凹んだよ。
「さて、今日はどっちだろうな」
俺は金になる襲撃者が現れることを期待しつつあの言葉を口にする。
「不幸解放」
俺は周囲と上空を警戒しつつ様子をうかがう。
しばらくすると、前方の草が揺れだした。
何かが向って来ていると思った俺は更に警戒を強める。
「くーん、くーん」
「え?子犬?」
俺はてっきり襲撃者が現れるものと思っていたけど、現れたのは子犬だった。真っ白なもふもふの。それがよちよちと歩いてくるのだ。
「くーん、くーん」
子犬は俺の側まで来ると、うるうるした瞳で見上げてくる。
何この子。めちゃくちゃ可愛い!
うるうるの瞳の真っ白なもふもふ。小刻みにぷるぷる震えているのがまた庇護欲を刺激しまくる。気が付けばしゃがんで子犬に手を伸ばしていた。
そのまま子犬を抱き上げようとしたのを、理性というやつが押し止める。『不幸解放』と言った直後で最も活性化していた理性が。
そうなのだ。この目の前の愛らしい真っ白なもふもふが現れたのは『不幸解放』と言ったからなのだ。だから、この子犬は俺に何らかの不幸をもたらす存在だと考えるべきだった。
「・・・」
伸ばした手を引っ込め、改めて目の前の愛らしい真っ白なもふもふを観察する。
うん、やっぱり可愛い。
じゃないな。この子がどんな不幸をもたらすのか考えないと。
先ず、この子が命の危険をもたらす存在である可能性を考える。
見たところ、この子自身が命の危険をもたらす存在である可能性は低そうだ。よちよち歩きの子犬だし。
でも、見た目からでは分からない、何らかの病原菌の保菌者などである可能性は捨てられない。『鑑定』スキルでもあれば調べられたんだけど、そんなもの持ってないので判別出来ないんだよな。
他に命の危険をもたらす可能性としては、この子の親などに襲撃されることだろうか。この子が親や群れからはぐれた存在だと思い、面倒を見るつもりで連れていくと、この子の親や群れの仲間に襲われるパターン。この可能性はかなり高そう。
命の危険がない不幸の方だとすると、この子を連れて帰った場合の養育費が考えられる。この子に魅了されて注ぎ込む姿が容易に想像出来るからな。
「うーん、うん」
やはり、どういう存在であるにしろ、『不幸解放』と言った後で現れた以上、連れていくことは止めておくべきだ。
「くーん、くーん」
「ごめんな。俺はお前の面倒をみてやることは出来ないんだ。だから、せめてこれでも食ってくれ」
俺は昼食用に買っておいた肉の挟まれたパンを地面に置くと、逃げるようにその場を走り去った。
「はあー、集中出来ない」
子犬の元を走り去ってから探索に集中出来ていない。
獲物を見付けても姿や気配を隠せていないから近付く前に逃げられるし、襲ってきたゴブリンもどいつから倒すか迷った挙句、大半を取り逃がしてしまっている。
それもこれも、置き去りにした子犬のことが気になって色々考え込んでしまうからだ。
「はあー」
こんなことなら、あの場でもう少し考えてみるべきだったか?
連れ帰ることを除いても、何か出来ることがあったかもしれない。
そんなことを思いながら少ない成果を持って街に向かった。
街に戻った俺は、すぐに冒険者ギルドで少ない成果を換金してもらう。
今日の成果はゴブリン二体討伐と、僅かばかりの薬草類。金額にして銅貨十三枚でしかない。
その少なさに口から溜め息が零れた。
「何だ、しけた面で溜め息なんかして。狩りがうまくいかなかったのか?」
「ええ、まあ」
声を掛けてきたのはアルドだった。今日もザウバ、ゲランと共に酒盛りしていたようだ。
「まあ、そんな日もあるさ」
「そうそう。気にするんじゃねえぞ」
「こういう時は酒でも飲んで憂さ晴らしだ」
「ははは」
飲兵衛ならではの考えだよな。何でも酒を飲む理由にするのは。
俺は収入が少なかったのに余分な金を使う気にはならないよ。
「それはそうと、その足元のちっこいのは如何したんだ?」
「え?ちっこいの?」
三人の視線を追って足元に目を向けると、置き去りにしたはずの子犬がちょこんと座っていた。
「あれ?何でここにいるんだ?」
俺はこの子犬から逃げるように走り去ったので、一旦別れたのは間違いない。それにしても、何時から俺の側にいたのだろう?街に入る前後かな?
俺がこの子犬にしたのは、走り去る前に昼食用の肉の挟まれたパンを目の前に置いてやったくらい。あれ、肉もパンもかなり噛み応えがあるやつだから、今考えると子犬に与えるには向いてなかったと思う。
それ以外に俺がこの子犬にしてあげたことは何も無い。
その程度のことで俺を追って来たりするものだろうか?
まあ、実際に俺を追って来ているので考えるだけ無駄だよな。
「その様子じゃあ、お前が連れてきたって訳じゃねえんだな」
「はい。違います。この子犬に遭遇した時に食べ物を置いてはきましたけど、触れることもなくその場を離れたので」
「ふーん。じゃあ、俺が何かやったら俺についてくるのか?」
「さあ?どうなんでしょう?」
ゲランの質問に俺が答えられる訳もない。
俺自身、何でこの子犬がここにいるのか分からないのだから。
「腸詰食うか?」
「きゃん」
「おお、食ってる」
ゲランが試しに腸詰を与えると、子犬はしっかりとそれを食べていた。
へえー、食べるもんなんだな。
小っちゃいからまだ固形物は早いのかと思っていたけどそんなことはなかったようだ。
野生のものだから逞しいのだろう。
「肉食うか?」
「きゃん」
「おお、食った食った」
ゲランに続き、アルドも兎の香草焼きを子犬に食べさせる。
足一本分あったのだが、これも子犬は平らげていた。小さな体のどこに入るのかと思うくらいの食欲だ。
「うーん、酒飲むか?」
「きゃん!」
「こらっ、ダメよ。お酒なんか飲ませちゃ。はい、ミルク」
「くーん・・・」
ザウバも子犬に何か与えたかったのだろうが、流石にお酒はダメだろう。
そう思ったのは俺だけでなく、ザウバはウエイトレスのお姉さんにトレイで頭を軽く叩かれていた。
そのお姉さんは平皿にミルクを入れて子犬に差し出している。
何だかんだでみんなこの子犬に構いたいらしい。この子犬可愛いからね。
この様子なら子犬の面倒はみんなに任せておけば大丈夫だろう。
俺はそう思ってギルドを後にした。
「ただいま」
「あ、レイジお兄ちゃんおかえりなさい」
宿に帰るといつものようにサーシャちゃんが出迎えてくれる。
「わあ、かわいいー!その子どうしたの?」
「あれ?お前、ギルドでみんなに構ってもらっていたんじゃないのか?」
俺はギルドを出た後、風呂屋に寄ってから宿に帰ってきていた。
風呂屋に行った時にはこの子犬はいなかったから、ギルドの時と同じようにいつの間にか俺の側にやって来たようだ。
「この子犬は朝に草原で見掛けてね、昼食用に買っていた屋台の軽食をあげたらいつの間にか側にいるんだ」
「へえー、そうなんだ。レイジお兄ちゃんなつかれたんだね」
「どうなんだろ?」
うーん、懐かれているのだろうか?
「おいで」
「きゃん」
サーシャちゃんに呼ばれた子犬は尻尾を振りながら近付くと、鼻を擦り付けたり、サーシャちゃんの手をペロペロ舐めたりしていた。
懐かれているとはああいう状態を言うと思うのだけど。
俺の場合はいつの間にか側にいるだけなので、懐かれていると言うより、ストーキングされてるって感じかもな。
そんなことを考えていると、用事を済ませたリリーが出てきて俺たちの元にやって来た。
「レイジ君おかえりなさい」
「ただいま」
「あら、可愛い子が増えたわね。さあ、こっちへいらっしゃい」
リリーがしゃがんで子犬を呼ぶ。
だが、リリーに呼ばれた子犬はサーシャちゃんの手元から離れると、俺を盾にするようにリリーから身を隠した。
「・・・」
「・・・」
「・・・」
その行動には同意するよ。俺もリリーには近付きたくないし。
だけどな、俺を盾にするのはやめてくれないかな。リリーが不機嫌な顔でこっちを見ているから。
俺は子犬とリリーの間から逃れようと移動する。
その度に子犬は俺で身を隠すように移動した。
「・・・」
「・・・」
「・・・」
さっきまでよりも更に微妙な空気が辺りを包む。
リリーの不機嫌さも更に増したようだ。
「・・・お子様じゃ私の魅力はまだ理解出来ないようね。まあいいわ。みんなご飯にしましょ」
リリーはそう言って立ち上がると、食堂へと向かっていった。
俺とサーシャちゃんもリリーの後に続いて食堂へと向かう。
今日はイリーナさんは依頼で他の村に行って帰ってこない為、俺とサーシャちゃんとリリーの三人での夕食だ。
俺が席に着くと、サーシャちゃんが食事を運んで来てくれる。
「ありがとう」
「どういたしまして」
俺の元に食事を運んでくれた後、サーシャちゃんたちも自分の食事を持って席に着く。
リリーは自分の食事以外に、子犬用の食べ物が入った皿も持っていた。
「あなたの分よ。要るのなら食べなさい」
リリーは皿を床に置くと、自分の席へと座った。
子犬はリリーが離れた後、皿に盛られた食べ物の匂いを嗅いで恐る恐る口にする。
そして、一口食べた後は貪るように食べだした。
ギルドでも食べ物を貰って食べていたのに、驚く程の食べっぷりである。
「私の料理は食べてくれるようで安心したわ。それじゃあ、私たちもいただきましょうか」
「「いただきます」」
そうして、俺たちも夕食を口にする。
勿論、味はいつもと同じように美味しかった。
「レイジ君、その子犬飼う気なの?」
「うーん、飼う気は無かったのですけど、気付くと側にいるのでどうしようかと・・・」
この子犬は『不幸解放』と言ってから現れた存在なので、俺に飼う気は無かった。
ただ、気付けば俺の側にいるのだ。元の場所に戻したくらいでは意味が無い。
だからといって、この子犬が俺の所にやって来れないように、遠方や、行き来が過酷な場所に捨てるのはどうかと思うし。
「レイジお兄ちゃん、この子かおうよ。こんなにかわいいし」
「でもな・・・」
「わたしもこの子のめんどうみるから。ね、ダメ?」
うるうるした瞳で見詰めてくるサーシャちゃんと子犬。
そんな庇護欲放出しまくりの一人と一匹を押し退けるだけの意思を、俺は持てなかった。
「はあー、分かった。俺が飼うよ。ただし、この子の親が現れたりしたら返すからね」
「うん。あなたもそれでいい?」
「きゃん」
サーシャちゃんの問い掛けに子犬が一鳴きする。まるで人間の話す内容が分かっているかのようだ。
「餌代を出すのでこの子の食事も用意してもらえますか?」
「いいわよ」
「ありがとう、レイジお兄ちゃん!」
まあ、俺が『不幸解放』と言ってこの子犬が現れたのだ。責任という意味でもこれは仕方ないことなのかな。
「ねえ、わたしがこの子の名まえつけてもいい?」
「うん、いいよ」
「やったー!」
サーシャちゃんが名前を付けたがっているようだし、任せておこう。
「そういえば、その子は雄なの?雌なの?」
「うーん、雄ですね」
リリーの問い掛けに子犬を持ち上げて確認すると雄だった。
「じゃあ、かっこいい名まえをかんがえるね」
「お願いね」
「うん」
結局、『不幸解放』と言って現れた子犬は飼うことになった。
訪れる不幸が餌代くらいで済むといいんだけど。
「おはようございます」
「おはようございます、レイジお兄ちゃん。・・・くびのところどうしたの?」
「首?」
朝起きて食堂に行くと、サーシャちゃんに首を指摘さた。
だけど、首は自分では見ることが出来ない。
「レイジ君、おはよう。首の所がどうしたって?・・・あら、赤くなっているわね」
「虫にでも刺されたのかな?」
「そんなんじゃないわよ。鏡を貸してあげるから見てみなさい」
俺はリリーに借りた鏡で見てみた。
うん。やっぱり美形度が上がってる。
水に映った顔を見て何となく思っていたけど、この世界に来て顔がハーフっぽくなり美形度が上がっていた。元々、日本にいた時も顔は整っていた方だけど、今は間違いなく滅びろとか言われるレベルだ。
おっと、今はそんなことはどうでもいいか。
俺は改めて首の状態を確認する。すると、何かで引っ掻いたようにのど仏の辺りが赤くなっていた。
「うーん、何だろ?」
寝ている間に自分で引っ掻いたのだろうか?でも、どう考えても指で引っ掻いた感じではない。
何かが噛み付いた歯形のような・・・。
「・・・お前か?」
俺は足元にいた子犬を拾い上げて口の大きさを確認する。
やはりというか、子犬の口の大きさが俺の首の赤くなった痕と一致するのだ。
「あら、あなたがじゃれついて噛んだのね」
「なんだ。そっか。レイジお兄ちゃんが大好きなんだね」
そういってリリーとサーシャちゃんは仕事に戻るけど、俺はこの子犬がじゃれついて噛んだとは思えなかった。
「お前、俺のこと殺す気で噛んでいるよな?」
チートボディーの俺の首に痕が残る程だ。かなりの力で執拗に噛まないとこうはならないだろう。
俺はこの子犬が殺す気で噛んでいたと思った。
そう疑って子犬を見ていると、ふいっと視線を外される。何度向きを変えても目を合わせようとしなくなった。
さっきまでは無垢な瞳でこちらを見ていたというのに。
絶対、黒だ!
俺はそう確信した。
この子犬は多分魔物だ。それもかなり高い能力を持つ。そうでないと、気が付けば側にいるなんてことにはならないだろう。普通の子犬では最初に置き去りにした時点で俺の所まで来られないと思うのだ。
人間が話す内容も理解している気がするし。
「はあー、『不幸解放』と言って現れたお前が普通の子犬の訳なんてないよな。うーん、どうしようかな?捨ててきても気付けば側にいそうだし、誰もいない所で殺すか」
俺がそう呟くと、子犬?は俺の方を向いてうるうるとした瞳で見詰めてくる。そして、縋るように鳴き声をあげてきた。
「くーん、くーん」
くっ、やっぱり可愛い。
物凄く庇護欲をそそる姿。実害がほとんどない現状では、この子を手に掛けるだけの非情さを、俺は持てそうになかった。
「取り敢えず、今は様子見でいいか。お前が俺の命を脅かすようになった時には覚悟しろよ」
「くーん」
俺はそう告げると、ほっとする子犬?を床に下した。
「レイジお兄ちゃん、どうぞ」
「ありがとう、サーシャちゃん」
席に着く俺の所へサーシャちゃんが食事を運んで来てくれる。
俺はお礼を言ってそれを受け取った。
「はい、ブルータスも」
「きゃん!」
サーシャちゃんは次に子犬?の食事を運んで来て床に置く。
子犬?は尻尾を激しく振って元気よく一鳴きした。
「ん?ブルータス?」
「うん。この子のなまえ。きみは今日からブルータスだからね」
「きゃん!」
そうか、サーシャちゃんはこの子犬?に『ブルータス』って名前を付けたんだ。
それにしても、『ブルータス』か。どっかで聞いたような名前だな。どこで聞いたんだろう?
あ、思い出した。『ブルータスお前もか』ってセリフでだ。シェイクスピアの『ジュリアス・シーザー』に出てくるセリフの。
「・・・」
不吉な。暗殺に成功した奴の名前じゃないか!
俺を殺そうとしている奴に付けるにしては縁起が悪過ぎる!
「あの、サーシャちゃん、本当に『ブルータス』って名前にするの?」
「うん。そうだよ。え、ひょっとして、ダメなの?」
「いや、ダメって訳じゃ・・・。他に候補は無かったのかなって思って」
「う、やっぱりダメなんだ・・・。一生けんめいかんがえたのに・・・」
俺に考えた名前を否定されたと思ったサーシャちゃんは涙目になっていた。
「レイジ君、いくらあなたでもサーシャを泣かせたらただじゃおかないわよ」
俺とサーシャちゃんのやり取りを聞いていたリリーが憤怒の表情を見せながら重低音で告げてくる。
「え、いや、『ブルータス』か。かっこいい名前だよね!流石、サーシャちゃん!」
「本当?かっこいい名まえだとおもう?」
「うん!かっこいい名前だね!凄くいいよ!これからよろしく、ブルータス!」
「きゃん!」
「よかった。これからよろしくね、ブルータス」
「きゃん!」
「よろしく、ブルータス」
「・・・」
「ご飯取り上げるわよ」
「きゃん!」
結局、泣きそうになったサーシャちゃんと、切れる寸前のリリーには勝てず、俺を殺そうとしている子犬?の名前は『ブルータス』に決まった。
不吉な名前だが決まってしまった以上は仕方がない。
これからは寝首を掻かれないように注意しよう。
森での活動は実のなる木とならない木の判別が出来るようになってきた。まだ狩場と呼べる程の場所は見付けられていないけど、獲物との遭遇率は上がってきている。
草原での不幸ゲージを消費する件では重要な発見があった。
『不幸解放』と言って不幸ゲージを消費すれば、ゴブリンの襲撃を受けたり、毒蛇に噛まれたりと、一般人なら命の危険がある出来事が訪れるとばかり思っていたけど、それが違っていた。
ベルトが切れたり、鳥の糞が落ちてきたりと、命の危険がない不幸も襲ってくることが判明したのだ。
正直、ゴブリンなどに襲われる方が金になるだけ遥かにいい。この前鳥の糞が落ちてきた時なんか群れだったから一気に糞まみれになってマジで凹んだよ。
「さて、今日はどっちだろうな」
俺は金になる襲撃者が現れることを期待しつつあの言葉を口にする。
「不幸解放」
俺は周囲と上空を警戒しつつ様子をうかがう。
しばらくすると、前方の草が揺れだした。
何かが向って来ていると思った俺は更に警戒を強める。
「くーん、くーん」
「え?子犬?」
俺はてっきり襲撃者が現れるものと思っていたけど、現れたのは子犬だった。真っ白なもふもふの。それがよちよちと歩いてくるのだ。
「くーん、くーん」
子犬は俺の側まで来ると、うるうるした瞳で見上げてくる。
何この子。めちゃくちゃ可愛い!
うるうるの瞳の真っ白なもふもふ。小刻みにぷるぷる震えているのがまた庇護欲を刺激しまくる。気が付けばしゃがんで子犬に手を伸ばしていた。
そのまま子犬を抱き上げようとしたのを、理性というやつが押し止める。『不幸解放』と言った直後で最も活性化していた理性が。
そうなのだ。この目の前の愛らしい真っ白なもふもふが現れたのは『不幸解放』と言ったからなのだ。だから、この子犬は俺に何らかの不幸をもたらす存在だと考えるべきだった。
「・・・」
伸ばした手を引っ込め、改めて目の前の愛らしい真っ白なもふもふを観察する。
うん、やっぱり可愛い。
じゃないな。この子がどんな不幸をもたらすのか考えないと。
先ず、この子が命の危険をもたらす存在である可能性を考える。
見たところ、この子自身が命の危険をもたらす存在である可能性は低そうだ。よちよち歩きの子犬だし。
でも、見た目からでは分からない、何らかの病原菌の保菌者などである可能性は捨てられない。『鑑定』スキルでもあれば調べられたんだけど、そんなもの持ってないので判別出来ないんだよな。
他に命の危険をもたらす可能性としては、この子の親などに襲撃されることだろうか。この子が親や群れからはぐれた存在だと思い、面倒を見るつもりで連れていくと、この子の親や群れの仲間に襲われるパターン。この可能性はかなり高そう。
命の危険がない不幸の方だとすると、この子を連れて帰った場合の養育費が考えられる。この子に魅了されて注ぎ込む姿が容易に想像出来るからな。
「うーん、うん」
やはり、どういう存在であるにしろ、『不幸解放』と言った後で現れた以上、連れていくことは止めておくべきだ。
「くーん、くーん」
「ごめんな。俺はお前の面倒をみてやることは出来ないんだ。だから、せめてこれでも食ってくれ」
俺は昼食用に買っておいた肉の挟まれたパンを地面に置くと、逃げるようにその場を走り去った。
「はあー、集中出来ない」
子犬の元を走り去ってから探索に集中出来ていない。
獲物を見付けても姿や気配を隠せていないから近付く前に逃げられるし、襲ってきたゴブリンもどいつから倒すか迷った挙句、大半を取り逃がしてしまっている。
それもこれも、置き去りにした子犬のことが気になって色々考え込んでしまうからだ。
「はあー」
こんなことなら、あの場でもう少し考えてみるべきだったか?
連れ帰ることを除いても、何か出来ることがあったかもしれない。
そんなことを思いながら少ない成果を持って街に向かった。
街に戻った俺は、すぐに冒険者ギルドで少ない成果を換金してもらう。
今日の成果はゴブリン二体討伐と、僅かばかりの薬草類。金額にして銅貨十三枚でしかない。
その少なさに口から溜め息が零れた。
「何だ、しけた面で溜め息なんかして。狩りがうまくいかなかったのか?」
「ええ、まあ」
声を掛けてきたのはアルドだった。今日もザウバ、ゲランと共に酒盛りしていたようだ。
「まあ、そんな日もあるさ」
「そうそう。気にするんじゃねえぞ」
「こういう時は酒でも飲んで憂さ晴らしだ」
「ははは」
飲兵衛ならではの考えだよな。何でも酒を飲む理由にするのは。
俺は収入が少なかったのに余分な金を使う気にはならないよ。
「それはそうと、その足元のちっこいのは如何したんだ?」
「え?ちっこいの?」
三人の視線を追って足元に目を向けると、置き去りにしたはずの子犬がちょこんと座っていた。
「あれ?何でここにいるんだ?」
俺はこの子犬から逃げるように走り去ったので、一旦別れたのは間違いない。それにしても、何時から俺の側にいたのだろう?街に入る前後かな?
俺がこの子犬にしたのは、走り去る前に昼食用の肉の挟まれたパンを目の前に置いてやったくらい。あれ、肉もパンもかなり噛み応えがあるやつだから、今考えると子犬に与えるには向いてなかったと思う。
それ以外に俺がこの子犬にしてあげたことは何も無い。
その程度のことで俺を追って来たりするものだろうか?
まあ、実際に俺を追って来ているので考えるだけ無駄だよな。
「その様子じゃあ、お前が連れてきたって訳じゃねえんだな」
「はい。違います。この子犬に遭遇した時に食べ物を置いてはきましたけど、触れることもなくその場を離れたので」
「ふーん。じゃあ、俺が何かやったら俺についてくるのか?」
「さあ?どうなんでしょう?」
ゲランの質問に俺が答えられる訳もない。
俺自身、何でこの子犬がここにいるのか分からないのだから。
「腸詰食うか?」
「きゃん」
「おお、食ってる」
ゲランが試しに腸詰を与えると、子犬はしっかりとそれを食べていた。
へえー、食べるもんなんだな。
小っちゃいからまだ固形物は早いのかと思っていたけどそんなことはなかったようだ。
野生のものだから逞しいのだろう。
「肉食うか?」
「きゃん」
「おお、食った食った」
ゲランに続き、アルドも兎の香草焼きを子犬に食べさせる。
足一本分あったのだが、これも子犬は平らげていた。小さな体のどこに入るのかと思うくらいの食欲だ。
「うーん、酒飲むか?」
「きゃん!」
「こらっ、ダメよ。お酒なんか飲ませちゃ。はい、ミルク」
「くーん・・・」
ザウバも子犬に何か与えたかったのだろうが、流石にお酒はダメだろう。
そう思ったのは俺だけでなく、ザウバはウエイトレスのお姉さんにトレイで頭を軽く叩かれていた。
そのお姉さんは平皿にミルクを入れて子犬に差し出している。
何だかんだでみんなこの子犬に構いたいらしい。この子犬可愛いからね。
この様子なら子犬の面倒はみんなに任せておけば大丈夫だろう。
俺はそう思ってギルドを後にした。
「ただいま」
「あ、レイジお兄ちゃんおかえりなさい」
宿に帰るといつものようにサーシャちゃんが出迎えてくれる。
「わあ、かわいいー!その子どうしたの?」
「あれ?お前、ギルドでみんなに構ってもらっていたんじゃないのか?」
俺はギルドを出た後、風呂屋に寄ってから宿に帰ってきていた。
風呂屋に行った時にはこの子犬はいなかったから、ギルドの時と同じようにいつの間にか俺の側にやって来たようだ。
「この子犬は朝に草原で見掛けてね、昼食用に買っていた屋台の軽食をあげたらいつの間にか側にいるんだ」
「へえー、そうなんだ。レイジお兄ちゃんなつかれたんだね」
「どうなんだろ?」
うーん、懐かれているのだろうか?
「おいで」
「きゃん」
サーシャちゃんに呼ばれた子犬は尻尾を振りながら近付くと、鼻を擦り付けたり、サーシャちゃんの手をペロペロ舐めたりしていた。
懐かれているとはああいう状態を言うと思うのだけど。
俺の場合はいつの間にか側にいるだけなので、懐かれていると言うより、ストーキングされてるって感じかもな。
そんなことを考えていると、用事を済ませたリリーが出てきて俺たちの元にやって来た。
「レイジ君おかえりなさい」
「ただいま」
「あら、可愛い子が増えたわね。さあ、こっちへいらっしゃい」
リリーがしゃがんで子犬を呼ぶ。
だが、リリーに呼ばれた子犬はサーシャちゃんの手元から離れると、俺を盾にするようにリリーから身を隠した。
「・・・」
「・・・」
「・・・」
その行動には同意するよ。俺もリリーには近付きたくないし。
だけどな、俺を盾にするのはやめてくれないかな。リリーが不機嫌な顔でこっちを見ているから。
俺は子犬とリリーの間から逃れようと移動する。
その度に子犬は俺で身を隠すように移動した。
「・・・」
「・・・」
「・・・」
さっきまでよりも更に微妙な空気が辺りを包む。
リリーの不機嫌さも更に増したようだ。
「・・・お子様じゃ私の魅力はまだ理解出来ないようね。まあいいわ。みんなご飯にしましょ」
リリーはそう言って立ち上がると、食堂へと向かっていった。
俺とサーシャちゃんもリリーの後に続いて食堂へと向かう。
今日はイリーナさんは依頼で他の村に行って帰ってこない為、俺とサーシャちゃんとリリーの三人での夕食だ。
俺が席に着くと、サーシャちゃんが食事を運んで来てくれる。
「ありがとう」
「どういたしまして」
俺の元に食事を運んでくれた後、サーシャちゃんたちも自分の食事を持って席に着く。
リリーは自分の食事以外に、子犬用の食べ物が入った皿も持っていた。
「あなたの分よ。要るのなら食べなさい」
リリーは皿を床に置くと、自分の席へと座った。
子犬はリリーが離れた後、皿に盛られた食べ物の匂いを嗅いで恐る恐る口にする。
そして、一口食べた後は貪るように食べだした。
ギルドでも食べ物を貰って食べていたのに、驚く程の食べっぷりである。
「私の料理は食べてくれるようで安心したわ。それじゃあ、私たちもいただきましょうか」
「「いただきます」」
そうして、俺たちも夕食を口にする。
勿論、味はいつもと同じように美味しかった。
「レイジ君、その子犬飼う気なの?」
「うーん、飼う気は無かったのですけど、気付くと側にいるのでどうしようかと・・・」
この子犬は『不幸解放』と言ってから現れた存在なので、俺に飼う気は無かった。
ただ、気付けば俺の側にいるのだ。元の場所に戻したくらいでは意味が無い。
だからといって、この子犬が俺の所にやって来れないように、遠方や、行き来が過酷な場所に捨てるのはどうかと思うし。
「レイジお兄ちゃん、この子かおうよ。こんなにかわいいし」
「でもな・・・」
「わたしもこの子のめんどうみるから。ね、ダメ?」
うるうるした瞳で見詰めてくるサーシャちゃんと子犬。
そんな庇護欲放出しまくりの一人と一匹を押し退けるだけの意思を、俺は持てなかった。
「はあー、分かった。俺が飼うよ。ただし、この子の親が現れたりしたら返すからね」
「うん。あなたもそれでいい?」
「きゃん」
サーシャちゃんの問い掛けに子犬が一鳴きする。まるで人間の話す内容が分かっているかのようだ。
「餌代を出すのでこの子の食事も用意してもらえますか?」
「いいわよ」
「ありがとう、レイジお兄ちゃん!」
まあ、俺が『不幸解放』と言ってこの子犬が現れたのだ。責任という意味でもこれは仕方ないことなのかな。
「ねえ、わたしがこの子の名まえつけてもいい?」
「うん、いいよ」
「やったー!」
サーシャちゃんが名前を付けたがっているようだし、任せておこう。
「そういえば、その子は雄なの?雌なの?」
「うーん、雄ですね」
リリーの問い掛けに子犬を持ち上げて確認すると雄だった。
「じゃあ、かっこいい名まえをかんがえるね」
「お願いね」
「うん」
結局、『不幸解放』と言って現れた子犬は飼うことになった。
訪れる不幸が餌代くらいで済むといいんだけど。
「おはようございます」
「おはようございます、レイジお兄ちゃん。・・・くびのところどうしたの?」
「首?」
朝起きて食堂に行くと、サーシャちゃんに首を指摘さた。
だけど、首は自分では見ることが出来ない。
「レイジ君、おはよう。首の所がどうしたって?・・・あら、赤くなっているわね」
「虫にでも刺されたのかな?」
「そんなんじゃないわよ。鏡を貸してあげるから見てみなさい」
俺はリリーに借りた鏡で見てみた。
うん。やっぱり美形度が上がってる。
水に映った顔を見て何となく思っていたけど、この世界に来て顔がハーフっぽくなり美形度が上がっていた。元々、日本にいた時も顔は整っていた方だけど、今は間違いなく滅びろとか言われるレベルだ。
おっと、今はそんなことはどうでもいいか。
俺は改めて首の状態を確認する。すると、何かで引っ掻いたようにのど仏の辺りが赤くなっていた。
「うーん、何だろ?」
寝ている間に自分で引っ掻いたのだろうか?でも、どう考えても指で引っ掻いた感じではない。
何かが噛み付いた歯形のような・・・。
「・・・お前か?」
俺は足元にいた子犬を拾い上げて口の大きさを確認する。
やはりというか、子犬の口の大きさが俺の首の赤くなった痕と一致するのだ。
「あら、あなたがじゃれついて噛んだのね」
「なんだ。そっか。レイジお兄ちゃんが大好きなんだね」
そういってリリーとサーシャちゃんは仕事に戻るけど、俺はこの子犬がじゃれついて噛んだとは思えなかった。
「お前、俺のこと殺す気で噛んでいるよな?」
チートボディーの俺の首に痕が残る程だ。かなりの力で執拗に噛まないとこうはならないだろう。
俺はこの子犬が殺す気で噛んでいたと思った。
そう疑って子犬を見ていると、ふいっと視線を外される。何度向きを変えても目を合わせようとしなくなった。
さっきまでは無垢な瞳でこちらを見ていたというのに。
絶対、黒だ!
俺はそう確信した。
この子犬は多分魔物だ。それもかなり高い能力を持つ。そうでないと、気が付けば側にいるなんてことにはならないだろう。普通の子犬では最初に置き去りにした時点で俺の所まで来られないと思うのだ。
人間が話す内容も理解している気がするし。
「はあー、『不幸解放』と言って現れたお前が普通の子犬の訳なんてないよな。うーん、どうしようかな?捨ててきても気付けば側にいそうだし、誰もいない所で殺すか」
俺がそう呟くと、子犬?は俺の方を向いてうるうるとした瞳で見詰めてくる。そして、縋るように鳴き声をあげてきた。
「くーん、くーん」
くっ、やっぱり可愛い。
物凄く庇護欲をそそる姿。実害がほとんどない現状では、この子を手に掛けるだけの非情さを、俺は持てそうになかった。
「取り敢えず、今は様子見でいいか。お前が俺の命を脅かすようになった時には覚悟しろよ」
「くーん」
俺はそう告げると、ほっとする子犬?を床に下した。
「レイジお兄ちゃん、どうぞ」
「ありがとう、サーシャちゃん」
席に着く俺の所へサーシャちゃんが食事を運んで来てくれる。
俺はお礼を言ってそれを受け取った。
「はい、ブルータスも」
「きゃん!」
サーシャちゃんは次に子犬?の食事を運んで来て床に置く。
子犬?は尻尾を激しく振って元気よく一鳴きした。
「ん?ブルータス?」
「うん。この子のなまえ。きみは今日からブルータスだからね」
「きゃん!」
そうか、サーシャちゃんはこの子犬?に『ブルータス』って名前を付けたんだ。
それにしても、『ブルータス』か。どっかで聞いたような名前だな。どこで聞いたんだろう?
あ、思い出した。『ブルータスお前もか』ってセリフでだ。シェイクスピアの『ジュリアス・シーザー』に出てくるセリフの。
「・・・」
不吉な。暗殺に成功した奴の名前じゃないか!
俺を殺そうとしている奴に付けるにしては縁起が悪過ぎる!
「あの、サーシャちゃん、本当に『ブルータス』って名前にするの?」
「うん。そうだよ。え、ひょっとして、ダメなの?」
「いや、ダメって訳じゃ・・・。他に候補は無かったのかなって思って」
「う、やっぱりダメなんだ・・・。一生けんめいかんがえたのに・・・」
俺に考えた名前を否定されたと思ったサーシャちゃんは涙目になっていた。
「レイジ君、いくらあなたでもサーシャを泣かせたらただじゃおかないわよ」
俺とサーシャちゃんのやり取りを聞いていたリリーが憤怒の表情を見せながら重低音で告げてくる。
「え、いや、『ブルータス』か。かっこいい名前だよね!流石、サーシャちゃん!」
「本当?かっこいい名まえだとおもう?」
「うん!かっこいい名前だね!凄くいいよ!これからよろしく、ブルータス!」
「きゃん!」
「よかった。これからよろしくね、ブルータス」
「きゃん!」
「よろしく、ブルータス」
「・・・」
「ご飯取り上げるわよ」
「きゃん!」
結局、泣きそうになったサーシャちゃんと、切れる寸前のリリーには勝てず、俺を殺そうとしている子犬?の名前は『ブルータス』に決まった。
不吉な名前だが決まってしまった以上は仕方がない。
これからは寝首を掻かれないように注意しよう。
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