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30、成の笑顔
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成「…まだ、家出する気なの?」
「うん…
捕まった後は正直言って怖い。
でも、前に進まなきゃ」
隆登「逃げてばかりじゃ、な」
彼女には、彼女なりの後悔があるのかもしれない。
だから、僕達が同じようなことにならないように説得しようと頑張っているんだと思う。
成「貴方達は本当のアルファの怖さを分かっていないわ!
彼らはね、自分から番がいなくなることを赦さないの!
どんなことをしてでも貴方達を捕まえるわ。
だから、私のようにならないで!
お願いだから!!」
成の心からの叫び、思いだった。
隆登「…成はもとからオメガだったのか?」
成「…は?
何を言ってるの?」
隆登「どうなんだ」
成「そんな昔のこと覚えている訳、ないじゃない」
隆登「昔?自分の出身についてだろ?
誰しもが覚えていることだ」
成「そ、それは…
あ、あれ?なんで、わかんない。
どうして?」
隆登「やはりな」
成「やはり?」
隆登「実は俺も那央も自分がベータとして生活していたことを忘れていた。
今覚えていることも曖昧で、ただ夢を見て思い出しただけだ。」
「僕達は、夢を見て曖昧に思い出した。
その夢で見た温かい生活にもう一度触れてみたい。
ただそれだけ」
そう、僕達の思いはそれだけ。
少しでも触れることができれば満足なんだ。
少しだけ、少しだけでいいんだ。
成「…そっか。
通りで昔のことを思い出せない訳ね。
実際どうして逃げ出したのか、理由はもう分からないの。
でも…知りたくなかったなぁ」
上を向いて涙を流す成。
成「知ってしまったら…
昔のことを思い出せない私にはアルファ、番達しかいないことにを知ることになるもの。
番にしか頼れなくなる、なってしまう。
まぁ、どちらにしても時間の問題だけどね」
成は、僕達を見て無理矢理笑顔をつくる。
それが痛々しくてたまらない。
「笑顔なんてつくらなくて良いんだよ?
泣きたいなら泣いて良いんだよ」
それを聞いて成は崩れ落ちて、床に伏せた。
何で成が笑顔を無理矢理つくったのかは分からない。
けれど、成の言う地獄と言っても過言ではない生活によってそうなったのだろう。
成「もう…止めないわ。
貴方達に文句なんか言ってごめんなさい。
貴方達は好きなようにしてみたら良いんじゃない。
もう、貴方達の行動に反対的にどうこう言ったりしないから。
応援しているわ、那央、隆登」
思わず口元が歪み、嬉しさを隠せない。
だって、成が無理矢理じゃなくて本音で笑ってくれたから。
僕達に申し訳なさそうだけど、それでもその笑顔には純粋な優しさと温かさがあった。
◆◆◆◆
投稿日ではありませんが、月末も近いので積極的に投稿していきたいと思います。
「うん…
捕まった後は正直言って怖い。
でも、前に進まなきゃ」
隆登「逃げてばかりじゃ、な」
彼女には、彼女なりの後悔があるのかもしれない。
だから、僕達が同じようなことにならないように説得しようと頑張っているんだと思う。
成「貴方達は本当のアルファの怖さを分かっていないわ!
彼らはね、自分から番がいなくなることを赦さないの!
どんなことをしてでも貴方達を捕まえるわ。
だから、私のようにならないで!
お願いだから!!」
成の心からの叫び、思いだった。
隆登「…成はもとからオメガだったのか?」
成「…は?
何を言ってるの?」
隆登「どうなんだ」
成「そんな昔のこと覚えている訳、ないじゃない」
隆登「昔?自分の出身についてだろ?
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成「そ、それは…
あ、あれ?なんで、わかんない。
どうして?」
隆登「やはりな」
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隆登「実は俺も那央も自分がベータとして生活していたことを忘れていた。
今覚えていることも曖昧で、ただ夢を見て思い出しただけだ。」
「僕達は、夢を見て曖昧に思い出した。
その夢で見た温かい生活にもう一度触れてみたい。
ただそれだけ」
そう、僕達の思いはそれだけ。
少しでも触れることができれば満足なんだ。
少しだけ、少しだけでいいんだ。
成「…そっか。
通りで昔のことを思い出せない訳ね。
実際どうして逃げ出したのか、理由はもう分からないの。
でも…知りたくなかったなぁ」
上を向いて涙を流す成。
成「知ってしまったら…
昔のことを思い出せない私にはアルファ、番達しかいないことにを知ることになるもの。
番にしか頼れなくなる、なってしまう。
まぁ、どちらにしても時間の問題だけどね」
成は、僕達を見て無理矢理笑顔をつくる。
それが痛々しくてたまらない。
「笑顔なんてつくらなくて良いんだよ?
泣きたいなら泣いて良いんだよ」
それを聞いて成は崩れ落ちて、床に伏せた。
何で成が笑顔を無理矢理つくったのかは分からない。
けれど、成の言う地獄と言っても過言ではない生活によってそうなったのだろう。
成「もう…止めないわ。
貴方達に文句なんか言ってごめんなさい。
貴方達は好きなようにしてみたら良いんじゃない。
もう、貴方達の行動に反対的にどうこう言ったりしないから。
応援しているわ、那央、隆登」
思わず口元が歪み、嬉しさを隠せない。
だって、成が無理矢理じゃなくて本音で笑ってくれたから。
僕達に申し訳なさそうだけど、それでもその笑顔には純粋な優しさと温かさがあった。
◆◆◆◆
投稿日ではありませんが、月末も近いので積極的に投稿していきたいと思います。
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