α様に囲われて独立が出来ません!

翠 月華

文字の大きさ
上 下
17 / 48

16、幸せ

しおりを挟む
蒼也「やっと、発熱が引いたな」
「うん!嬉しい。
 …それよりも早くご飯ちょうだい!」
蒼也「はいはい、ごめんな」
 蒼也に差し出された唐揚げを挟んでいる箸をパクっと口に含む。
李聖「美味しい?
 はい、お水だよ~」
 口づけで水を与えられる。
「ねぇ、僕にご飯与えるのそんなに楽しい?」
 だってね、皆僕にご飯とかお水を与えるのすっごく楽しそうだもん。
千里「もちろん、すごく楽しいよ」
 えー?面倒くさくない?
 僕だったら面倒くさくてすぐ放り投げそう。
千里「そうだった!
 那央、明後日から学校に行くことになるよ」
 学校!
「今まで通ってた所?」
 どこの学校か思い出せないけど、僕の歳だったら学校に通っていたはず。
蒼也「いや、オメガ専用の学校だ。
 今まで通っていた学校とは違う所だ」
 へぇ~、なんか楽しみだなぁ。
「じゃあ、隆登は?
 隆登には会える?」
李聖「もちろんだよ!
 オメガ専用の学校は友達をつくるためのような場所だからね」
 え?学校は勉強する所じゃないの?
熾「違うぞ。
 普通の学校はそうだが、那央が通うのはオメガ専用の学校だ。
 オメガは社会に出て仕事などする必要がないからな」
 なんで僕の考えたこと分かるの?!
 って、僕仕事しないの?
「僕、仕事しないの?」
熾「那央は仕事をする必要などない。
 那央は俺達が養っていくからな」
「え~、でも」
李聖「でもじゃない」
 むぅ…
「僕は、働くの!仕事するの!」
 絶対仕事するの!
蒼也「なんでそんなに働きたいんだ?」
 だって、だって、皆働いているもん。
 目に熱が集まっていく。
千里「泣かないで、ほら」
 千里がハンカチで涙を拭いてくれた。
熾「那央の仕事は遊ぶことだ」
 ふぇ?
熾「那央がいつも楽しく過ごすことだけで俺達は嬉しいからな」
「なんで?」
千里「那央が幸せであれば番の俺達も幸せだから。
 だから、那央はいつも元気で楽しく過ごしていれば良いからね」
 そうな、の?
李聖「アルファは番のオメガのために存在しているものだから」
 番のため?
蒼也「そう、那央のためにいるんだ。
 涙止まったか?」
 あ、いつの間に…
熾「ほら、ベット行くぞ」
 僕は自室に連れて行かれ、今はベットの中にいる。
 僕のベットは天蓋付きなんだぁ。
千里「那央にプレゼントがあるんだ」
 そう言って、どこからかたくさんのクマやうさぎなどの動物の人形を持って来た。
「クマさん!」
 僕はね、小さい頃から可愛い人形が好きなんだ。
千里「クスッ
 そうだね、他にもいろんな人形があるから。
 那央一人にはこの部屋やベットは大きすぎるでしょ?
 それに、那央の部屋なんだから那央の好きな人形や可愛いものを置いて那央の部屋っぽくしなきゃね」
 僕の部屋…
 確かに僕にとってこの部屋は広すぎる。
 それに置いてある家具は水色とかピンクで可愛いけど、置いてあるのは家具だけで僕の好きな可愛いものは置いてない。
「うんっ!千里ありがとう。
 でも、何かお礼したい…」
千里「そう?嬉しいな。
 じゃあ、キスしてくれるかな?」
 キス?
「なんで?」
千里「那央が自分からキスしてくれるのは嬉しいから。
 これからは、俺達へのお礼はキスで返してね?」
「…う、うん」
 なんかハメられた気がする。
 そして、千里のほっぺたに唇が触れるだけのキスをする。
 そうしたら、顔が熱くなっていく。
 多分赤くなっている…
 布団の中に潜り込んで顔を隠す。
千里「フフッ
 ありがとう、那央。
 おやすみ」
 今まで黙っていた皆が愚痴を言い出す。
熾「はぁ?ずるいぞ千里」
李聖「そうだよ!
 那央に自分からキスしてもらうなんて!」
蒼也「抜け駆けは駄目だ」
千里「那央にプレゼントを渡したお礼として俺は頬にキスをしてもらったんだ。
 何もプレゼントしていない君たちに愚痴は言われたくないね」
 布団に潜っているから合ってるか分かんないけど、多分千里は誇っているんだろうな。
 あぁ、幸せだなぁ。
◆◆◆◆
 那央君は今の生活が幸せそうですね。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。

小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。 そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。 先輩×後輩 攻略キャラ×当て馬キャラ 総受けではありません。 嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。 ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。 だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。 え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。 でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!! ……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。 本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。 こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は無い ・悲しい過去🐜 ・話の流れが遅い ・作者が話の進行悩み過ぎてる

【BL】国民的アイドルグループ内でBLなんて勘弁してください。

白猫
BL
国民的アイドルグループ【kasis】のメンバーである、片桐悠真(18)は悩んでいた。 最近どうも自分がおかしい。まさに悪い夢のようだ。ノーマルだったはずのこの自分が。 (同じグループにいる王子様系アイドルに恋をしてしまったかもしれないなんて……!) (勘違いだよな? そうに決まってる!) 気のせいであることを確認しようとすればするほどドツボにハマっていき……。

お荷物な俺、独り立ちしようとしたら押し倒されていた

やまくる実
BL
異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。 俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。 独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。 好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け ムーンライトノベルズにも掲載しています。

俺以外美形なバンドメンバー、なぜか全員俺のことが好き

toki
BL
美形揃いのバンドメンバーの中で唯一平凡な主人公・神崎。しかし突然メンバー全員から告白されてしまった! ※美形×平凡、総受けものです。激重美形バンドマン3人に平凡くんが愛されまくるお話。 pixiv/ムーンライトノベルズでも同タイトルで投稿しています。 もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿ 感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_ Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109 素敵な表紙お借りしました! https://www.pixiv.net/artworks/100148872

いじめっこ令息に転生したけど、いじめなかったのに義弟が酷い。

えっしゃー(エミリオ猫)
BL
オレはデニス=アッカー伯爵令息(18才)。成績が悪くて跡継ぎから外された一人息子だ。跡継ぎに養子に来た義弟アルフ(15才)を、グレていじめる令息…の予定だったが、ここが物語の中で、義弟いじめの途中に事故で亡くなる事を思いだした。死にたくないので、優しい兄を目指してるのに、義弟はなかなか義兄上大好き!と言ってくれません。反抗期?思春期かな? そして今日も何故かオレの服が脱げそうです? そんなある日、義弟の親友と出会って…。

転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい

翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。 それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん? 「え、俺何か、犬になってない?」 豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。 ※どんどん年齢は上がっていきます。 ※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

処理中です...