α様に囲われて独立が出来ません!

翠 月華

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5、運命の番

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「那央、那央」
 暗闇の中から徐々に光の下へ上がっていく意識。
「だ、れ」
 目の前には、四人の男性。
「「「「初めまして、那央」」」」
 あぁ、嫌だ。
 どれだけ心が拒絶しようと分かってしまう。
 彼らは、僕の運命の番だと。
 オメガという性別を持つ者としての本能と言うもので。
 彼らは自己紹介をしていく。
 彼らは僕の名前を知っているみたい。
 あっ、
「隆登は?ねぇ隆登はどこにいるの!」
 自暴自棄になっていたけど、隆登はどこにいるんだよ。
 隆登もオメガって診断されたことを嫌がっていた。
 千里「彼は、大丈夫だよ。
 そんなことよりも、俺達の名前を呼んで?」
 ‘そんなこと’ってなんだよ。
 僕にとっては大切なことなんだ。
「何でそんなこと言われなきゃなんないの?
 隆登は僕の大切な親友だ!
 お前らは!僕とは赤の他人だ!
 他人と親友どちらが大切かなんて親友に決まってるだろ!」
 そうだ。彼らと僕は赤の他人だ。
 僕には意思があるんだ。
李聖「他人じゃないよ。
 俺達は、運命の番なんだよ」
 その顔は微笑んでいるが、どこか怖さがある。
 でも今は怒りや悔しさしか心にはない。
 だから、怖くなんてない!
 はっ、運命の番?何だよそれ。
 ベータとして生きてきた僕に運命の番なんてわかるわけないじゃん。
 大体、運命の番なんていなくても、僕は生きていける。
 今までだって、ベータとして生きてこれた。
「僕は、ベータだ!」
蒼也「違う。
 那央はオメガだ。
 今までが間違っていただけだ。
 これが、あるべき現実だ」
 違う、違う、違うって!
 僕の意思を否定しないでっ!
 自分をオメガと自負している感情と自分はベータだと言い張りたい感情。
 二つの思いで僕の心はごちゃまぜだ。
熾「自暴自棄になるな」
 いきなり、引き寄せられ抱きしめられる。
 ふわりと香るいい匂い。
 チョコとイチゴとマシュマロを合わせた匂い。
 もっと嗅ぎたい、そはう思ってしまった。
 え?あ、違う、こんなの僕じゃない。
 ドンッと押し、離れる。
「何するんだよっ!」
熾「別に何もしてないぞ?」
 抱きしめられた。嫌だった。
 でも…心地よい匂いだった。
 きっとこれはフェロモンなのだろう。
 これを受け入れたら今の僕ではなくなってしまう、そんな気がする。
李聖「安心して受け入れていいんだよ?
 ただ、受け入れるだけで…」
 彼ら全員から漏れ出ていく匂い。
 嫌だ、来ないで。
 彼らは少しずつ近づいてくる。
 逃げれないことを理解しているかのように。
「こな、いで」
 ふっと目の前がシャットダウンする。
◇◇◇◇
《李聖sibe》
「はぁ、速く堕ちてこないかな?」
熾「速いに越したことはないが、いずれ堕ちてくるのだから、慌てなくても良いだろ」
千里「そうだね。
 どれだけ抗ってもオメガという性からは逃げることは出来ないからね」
蒼也「だが、速い方がいいと思う」
「そうだよね」
 どのみち堕ちてくるし、いっか。
千里「この状態を見るに長くても一ヶ月、短ければ二週間と少しだと思うよ」
 ベットで寝る那央を見ながら言う千里。
 起きた頃には、俺達への拒絶は緩んでいるんだろうなぁ。
「起きたら甘えてくれる?」
蒼也「甘えてくれるんじゃないか?
 今は俺達のフェロモンで精神が錯乱状態だろうし」
「だよね、俺もそう思う」
千里「なぁ、ずっとフェロモン放出していよう?」
 微笑みながら言う千里。
蒼也「賛成」
熾「構わない」
「俺も賛成」
 運命の番を何らかの理由で拒絶した場合、運命の番のフェロモンによってその理由の深部の記憶はなくなっていく。
 そうすると、その穴を埋めるように番へすがってくる。
 一度、運命の番のフェロモンを嗅げば、もう止まらない。
 フェロモンを求め、すがってくるようになる。
 あぁ、早く甘えてくれないかな。
 想像しただけでたまんないよ。
 速く堕ちてこないか?那央。
◆◆◆◆
 第五話目!
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