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1章:出会い
02 城下町
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朝、外のバタバタした雑音の中にある私を呼ぶ声で目を覚ます。
「アルテミス様」
私専属のメイド、セシルだ。
「おはよう、セシル」
「おはようございます。アルテミス様」
セシルは私と歳が近いから多少気軽に話すことが出来る唯一の存在だと思っている、大切なメイド兼友達なのだ。
「今日はどのお召し物に致しますか」
「私はあまりセンスが良くないから、決めてもらえるかしら」
これは本当だ。私はあまり外に出ないから、流行りも町になにがあるかも知らない。唯一知っているのは夜、城壁の上から見る町の夜景がとても綺麗だってことだ。
「これなんかどうでしょう」
「アルテミス様の美しい金の目とお揃いです」
「そうね、これにしましょう」
私の目よりも少し暗い色のドレス。
「朝食の準備が出来ております。」
今日もセシルは淡々としていて、かっこいい。
「それにしても、今日は一段と騒がしいのね」
「今日は町で祭りがあるのです。確か、勇者アレフ様の」
勇者アレフ。かつて魔王に支配されていたこの国を救った私達の先祖、、だったと思う。へぇ、今日お祭りなのね。この雰囲気も私にとってはとても珍しいもの。町、行ってみたいわ。
だけど私も王族の端くれ。そう簡単には町に出かけることが出来ない。俗に言うお忍び、、?なら行けるのかしら。
城壁の上から見たあの大きな川、えっと、夜河に行きたい。
「おはようアルテミス。」
「おはようございます。お父様」
お父様、また夜更かしして仕事をこなしていらしたのね。少しクマが出来ているわ。
「おはよう、アール。早く席に座ってしまいなさい」
お母様は私を「アール」と呼ぶ。私の愛称のようなものだ。
「はい、お母様」
そう言って決まったいつもの椅子に座る。両隣にお兄様と弟。
「おはようございます!お姉さま!」
弟のアレスは、今日も元気で可愛らしい。髪色は私に似た銀髪で、瞳の色はお兄様やお父様に似た濃い瑠璃色でとても美しい。自慢の弟だ。
「おはよう、アルテミス。よく眠れたか?」
ネレウスお兄様は普段穏やかでとても優しい。だけど昨日のように私が死のうとしたり、誰かが怪我をするとすごく焦って怒る。たぶんこれも愛されている印だと思う。お兄様はお父様にそっくりな見た目で、美しい。他のご令嬢から人気だ。逆に私はお母様にそっくりで、銀髪に金の目。城で開かれるパーティーやお茶会には基本参加しないため、私を知る人は少ない。まあ、それはそれで楽だし、そこまで気にしていない。
「そういえば今日は町でお祭りがあるみたいね」
「ああ。そのようだな」
お母様とお父様はとても仲睦まじい。喧嘩なんてしたことないんじゃないかと思う。
「私達もよくお忍びで出かけたものね~」
「ははっそうだったな」
お父様たちもお忍び、したことあるんだ。
「へぇ、、意外ですね」
「そう?ネレウスはしないの?」
「いや、私は、、、。」
「僕、やってみたいです!お忍び!」
ああ、アレスを見ていると癒される。お花が舞っているようなふわふわとした笑顔がとてもかわいい。
それにしても、お母様とお父様がお忍びか、、。とういうことは、私がやってもバレることはないんじゃないかしら。私を知る人は少ない。ましてや国民なんて私の名前しか知らないと思うし、私の影さえ見たことない。うん、行こう。私もお忍びで町に出かけよう。
部屋に戻ったら、どうやってここを出るか考えないと。
「ご馳走様でした。私、お部屋に戻りますね。」
「ああ。」
「またね!お姉さま!」
「えぇ。」
久しぶりに心の底から楽しみだと思えることが出来た。
「アルテミス様」
私専属のメイド、セシルだ。
「おはよう、セシル」
「おはようございます。アルテミス様」
セシルは私と歳が近いから多少気軽に話すことが出来る唯一の存在だと思っている、大切なメイド兼友達なのだ。
「今日はどのお召し物に致しますか」
「私はあまりセンスが良くないから、決めてもらえるかしら」
これは本当だ。私はあまり外に出ないから、流行りも町になにがあるかも知らない。唯一知っているのは夜、城壁の上から見る町の夜景がとても綺麗だってことだ。
「これなんかどうでしょう」
「アルテミス様の美しい金の目とお揃いです」
「そうね、これにしましょう」
私の目よりも少し暗い色のドレス。
「朝食の準備が出来ております。」
今日もセシルは淡々としていて、かっこいい。
「それにしても、今日は一段と騒がしいのね」
「今日は町で祭りがあるのです。確か、勇者アレフ様の」
勇者アレフ。かつて魔王に支配されていたこの国を救った私達の先祖、、だったと思う。へぇ、今日お祭りなのね。この雰囲気も私にとってはとても珍しいもの。町、行ってみたいわ。
だけど私も王族の端くれ。そう簡単には町に出かけることが出来ない。俗に言うお忍び、、?なら行けるのかしら。
城壁の上から見たあの大きな川、えっと、夜河に行きたい。
「おはようアルテミス。」
「おはようございます。お父様」
お父様、また夜更かしして仕事をこなしていらしたのね。少しクマが出来ているわ。
「おはよう、アール。早く席に座ってしまいなさい」
お母様は私を「アール」と呼ぶ。私の愛称のようなものだ。
「はい、お母様」
そう言って決まったいつもの椅子に座る。両隣にお兄様と弟。
「おはようございます!お姉さま!」
弟のアレスは、今日も元気で可愛らしい。髪色は私に似た銀髪で、瞳の色はお兄様やお父様に似た濃い瑠璃色でとても美しい。自慢の弟だ。
「おはよう、アルテミス。よく眠れたか?」
ネレウスお兄様は普段穏やかでとても優しい。だけど昨日のように私が死のうとしたり、誰かが怪我をするとすごく焦って怒る。たぶんこれも愛されている印だと思う。お兄様はお父様にそっくりな見た目で、美しい。他のご令嬢から人気だ。逆に私はお母様にそっくりで、銀髪に金の目。城で開かれるパーティーやお茶会には基本参加しないため、私を知る人は少ない。まあ、それはそれで楽だし、そこまで気にしていない。
「そういえば今日は町でお祭りがあるみたいね」
「ああ。そのようだな」
お母様とお父様はとても仲睦まじい。喧嘩なんてしたことないんじゃないかと思う。
「私達もよくお忍びで出かけたものね~」
「ははっそうだったな」
お父様たちもお忍び、したことあるんだ。
「へぇ、、意外ですね」
「そう?ネレウスはしないの?」
「いや、私は、、、。」
「僕、やってみたいです!お忍び!」
ああ、アレスを見ていると癒される。お花が舞っているようなふわふわとした笑顔がとてもかわいい。
それにしても、お母様とお父様がお忍びか、、。とういうことは、私がやってもバレることはないんじゃないかしら。私を知る人は少ない。ましてや国民なんて私の名前しか知らないと思うし、私の影さえ見たことない。うん、行こう。私もお忍びで町に出かけよう。
部屋に戻ったら、どうやってここを出るか考えないと。
「ご馳走様でした。私、お部屋に戻りますね。」
「ああ。」
「またね!お姉さま!」
「えぇ。」
久しぶりに心の底から楽しみだと思えることが出来た。
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