101 / 101
創生の杖
27 孫、冒険を終える!
しおりを挟む
「結局……パパが一番の元凶だったんだよね……」
レキアスを消滅させた後、残った海龍族を蹴散らして、盛子とルカが合流した。
なんでも、お爺ちゃんの指示で盛子はルカの安全を確保し、女神様に事の真相を伝え、対応をお願いしたらしい。
何故リアルタイムにそんな事が出来たのか?と聞けば、プレイヤーの能力の一つと言われた。
今更ながら奥が深い。
そして、怒り狂ったルカの母親こと女神ナアオ様が、夫である魔王ブァアミリヲンをフルボッコにしてアレを切り落としたらしい。
聞けばその後ミンチにして亜空間にばら撒いたんだとか……
念入りなことに、再生不能の封印を施したとかで、散り散りになった股間の欠片を集めなければ再生は不可能だそうだ。ナームー。
「それで……ルカはどうするんだ?」
「どうするって?」
まったりとサロンで紅茶を啜るルカに俺はそれとなく問いかける。
「杖は返って来たじゃん?と言う事は、その──」
「ああ!そうだね。ママに杖を返しに行かないと!」
カチャン!とカップを置いて立ち上がったルカの手を──俺は思わず掴んでいた。
「戻って──来るよな?」
「フフフ……」
「いや、意味不明な含み笑いとか要らないから」
「グレイブは戻って来て欲しいの?カスミちゃんが居るじゃん」
そう。俺は来月にもカスミとの婚約が正式に発表される。
そしてその一月後には結婚式と、まさに行き遅れを焦ったカスミのためのスピード結婚が待っていた。
それでも俺は────
「カスミはカスミ。ルカはルカ」
「ぷぷッ!何それ!」
「何って?俺はあのスズキコウタの孫だぜ?嫁が一人で収まる訳がないだろ?」
俺はそう胸を張って言ってのけてやると、ルカは腹を抱えて笑い出し──
「だってさ!カスミちゃん!」
「ま、今回は奇跡的に?偶然、偶々、大会で優勝したし。お母様も褒めてたし、嫁があと一人二人増えても文句は言われないでしょ」
そう言って、何食わぬ顔で横でお菓子を食べているカスミ。
「ぐぬぬ……駄兄の癖に……」
そしてもう一人、椅子に座って歯噛みして唸り、目尻を吊り上げて俺を睨みつける女の子。
「サーリアもお爺ちゃん離れしないと嫁の貰い手が居なくなるよ?」
「ふんだ!……いや、まてよ……駄兄と形だけでも結婚すれば……お姉ちゃんと熱い夜も……ムフフ」
何やらブツブツと言い始めたアホな妹は放っておくことにする。
触らぬ妹に祟りなし。
「それじゃ!すぐに戻って来るね!」
「おう!」
「グレイブが萎びちゃわない内にね!」
「俺が萎びてたらカスミなんかミイラじゃねーげぶろッ!」
「一言多いのよ!」
「お姉ちゃんになんてことを言うのよ!この駄兄が!この!この!」
「うわ!馬鹿!止めろよサーリア!カスミも止めろ!──あああ!ルカ!待ってるからな!」
こうしてルカが転がり込んで来た事から始まった俺の旅と、俺達孫の騒動の日々は一応の終わりを迎えたのだった。
「おいいい!俺の出番は?!長兄の俺が最後除け者ってどういう事だよコラアアア!」
レキアスを消滅させた後、残った海龍族を蹴散らして、盛子とルカが合流した。
なんでも、お爺ちゃんの指示で盛子はルカの安全を確保し、女神様に事の真相を伝え、対応をお願いしたらしい。
何故リアルタイムにそんな事が出来たのか?と聞けば、プレイヤーの能力の一つと言われた。
今更ながら奥が深い。
そして、怒り狂ったルカの母親こと女神ナアオ様が、夫である魔王ブァアミリヲンをフルボッコにしてアレを切り落としたらしい。
聞けばその後ミンチにして亜空間にばら撒いたんだとか……
念入りなことに、再生不能の封印を施したとかで、散り散りになった股間の欠片を集めなければ再生は不可能だそうだ。ナームー。
「それで……ルカはどうするんだ?」
「どうするって?」
まったりとサロンで紅茶を啜るルカに俺はそれとなく問いかける。
「杖は返って来たじゃん?と言う事は、その──」
「ああ!そうだね。ママに杖を返しに行かないと!」
カチャン!とカップを置いて立ち上がったルカの手を──俺は思わず掴んでいた。
「戻って──来るよな?」
「フフフ……」
「いや、意味不明な含み笑いとか要らないから」
「グレイブは戻って来て欲しいの?カスミちゃんが居るじゃん」
そう。俺は来月にもカスミとの婚約が正式に発表される。
そしてその一月後には結婚式と、まさに行き遅れを焦ったカスミのためのスピード結婚が待っていた。
それでも俺は────
「カスミはカスミ。ルカはルカ」
「ぷぷッ!何それ!」
「何って?俺はあのスズキコウタの孫だぜ?嫁が一人で収まる訳がないだろ?」
俺はそう胸を張って言ってのけてやると、ルカは腹を抱えて笑い出し──
「だってさ!カスミちゃん!」
「ま、今回は奇跡的に?偶然、偶々、大会で優勝したし。お母様も褒めてたし、嫁があと一人二人増えても文句は言われないでしょ」
そう言って、何食わぬ顔で横でお菓子を食べているカスミ。
「ぐぬぬ……駄兄の癖に……」
そしてもう一人、椅子に座って歯噛みして唸り、目尻を吊り上げて俺を睨みつける女の子。
「サーリアもお爺ちゃん離れしないと嫁の貰い手が居なくなるよ?」
「ふんだ!……いや、まてよ……駄兄と形だけでも結婚すれば……お姉ちゃんと熱い夜も……ムフフ」
何やらブツブツと言い始めたアホな妹は放っておくことにする。
触らぬ妹に祟りなし。
「それじゃ!すぐに戻って来るね!」
「おう!」
「グレイブが萎びちゃわない内にね!」
「俺が萎びてたらカスミなんかミイラじゃねーげぶろッ!」
「一言多いのよ!」
「お姉ちゃんになんてことを言うのよ!この駄兄が!この!この!」
「うわ!馬鹿!止めろよサーリア!カスミも止めろ!──あああ!ルカ!待ってるからな!」
こうしてルカが転がり込んで来た事から始まった俺の旅と、俺達孫の騒動の日々は一応の終わりを迎えたのだった。
「おいいい!俺の出番は?!長兄の俺が最後除け者ってどういう事だよコラアアア!」
0
お気に入りに追加
489
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(69件)
あなたにおすすめの小説

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

〈完結〉毒を飲めと言われたので飲みました。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。
国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。
悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。

悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。
向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。
それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない!
しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。
……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。
魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。
木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。

転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~
名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。

5歳で前世の記憶が混入してきた --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--
ばふぉりん
ファンタジー
「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は
「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」
この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。
剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。
そんな中、この五歳児が得たスキルは
□□□□
もはや文字ですら無かった
~~~~~~~~~~~~~~~~~
本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。
本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。
【完結】魔王様、溺愛しすぎです!
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
ファンタジー
「パパと結婚する!」
8万年近い長きにわたり、最強の名を冠する魔王。勇者を退け続ける彼の居城である『魔王城』の城門に、人族と思われる赤子が捨てられた。その子を拾った魔王は自ら育てると言い出し!? しかも溺愛しすぎて、周囲が大混乱!
拾われた子は幼女となり、やがて育て親を喜ばせる最強の一言を放った。魔王は素直にその言葉を受け止め、嫁にすると宣言する。
シリアスなようでコメディな軽いドタバタ喜劇(?)です。
【同時掲載】アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、小説家になろう
【表紙イラスト】しょうが様(https://www.pixiv.net/users/291264)
挿絵★あり
【完結】2021/12/02
※2022/08/16 第3回HJ小説大賞前期「小説家になろう」部門 一次審査通過
※2021/12/16 第1回 一二三書房WEB小説大賞、一次審査通過
※2021/12/03 「小説家になろう」ハイファンタジー日間94位
※2021/08/16、「HJ小説大賞2021前期『小説家になろう』部門」一次選考通過作品
※2020年8月「エブリスタ」ファンタジーカテゴリー1位(8/20〜24)
※2019年11月「ツギクル」第4回ツギクル大賞、最終選考作品
※2019年10月「ノベルアップ+」第1回小説大賞、一次選考通過作品
※2019年9月「マグネット」ヤンデレ特集掲載作品
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
久々の鈴木編いろんな意味で期待してます。
でも無理はなさらないように…
久しぶりでも面白い。
まぁ、リアルの方は…………ドンマイ?
お久しぶりでず_(._.)_
入院などなどで色々と死亡していましてw
この数カ月で悟った事は……胃カメラは二度とやらんという事ですね。
∥ω・)…………
_| ̄|○