68 / 101
激闘!帝国武術大会
26 孫、見た目なんて気にしない!
しおりを挟む
「それじゃ……行ってくる」
「おねーちゃん頑張って!」
「コーホー……」
カスミは愛用の槍を片手に立ち上がったのを見て、サーリアとルカはエールを送る。
「グレイブ……」
それでも、チラッと不安そうな視線を送るカスミに、俺は近づいて優しく頭を撫で「頑張ってな」と声をかけると、途端に鼻息を荒くして目を輝かせる。こいつ、本当に年上か?
「もし、私があのヘンテコな仮面着けられたら責任取って結婚してね?」
「いやじゃい!」
「結婚……してね?」
「…………」
「結婚……するよね?」
「…………」
コテッと首を傾げ、あざとくも上目遣いで俺を見るカスミだが、あんなヘンテコ仮面を着けた嫁などノーサンキュー!と俺はプイッとソッポを向くが、向いた方向に回り込んで再び上目遣いで見るカスミ。
俺は知らん!とだんまりを決め込んで、再びプイッ!とソッポを向く。
すると、再び回り込んだカスミは懲りずに上目遣い──だが、瞳の中のハイライトが薄くなっている。
でも!俺はやなもんはやじゃ!と再度ソッポを向くと──
「アナタを殺して私も「是非結婚させてください!おねがいします!」
うん。槍からペットを呼び出すのは止めような。
そいつ、この間普通に人だか魔物だか分からないのをガツガツ食ってたじゃんかよ怖えーよ!
そりゃ脂汗浮かべながら満面の笑顔でプロポーズするよ!
なにが「うふふ。見た目なんて関係ないもんね♪」だよ!ハヨ行けよ!
『さあ!今年の武術大会女性の部も残すところ一試合!決勝戦のみとなりました!』
『数々の美闘士の中のトップ!今年はなんと、優勝候補筆頭の大会三連覇の女王サーリア選手が準決勝敗退という事で、展開が読めません!』
『それでは選手の入場です!旋風の女戦士!荒ぶる暴風は再び帝国に不敗神話を轟かせるのか!カスミ!』
解説のコールに、会場を揺るがすような歓声が巻き起こる中、真剣な表情のカスミがコーナーから舞台上へと上がっていく。
『続いては、顔に着けたオドロオドロしい仮面の下は一体どんな顔なのか!美女なのか!はたまた不細工なのくわぁぁぁあ!いやいや、美女でしょう!絶対に美女です!保証します!なので仮面を投げないで下さい!それ取れないって医務室で噂にコーホー……コーホー……』
身の程知らずの解説は、コールの途中でビタン!と顔面に仮面を叩き付けられて、ルカと同様に「コーホー……」以外喋れなくなってしまった。
必死に仮面を引っ張ったり、解説の机に顔ごと全力で叩きつけているが、当然のように割れる気配もない。
その光景をみた観客達は一斉に静まり返り、一斉に手で顔を覆った。
みなさん顔面がよほど大切なようだ。
【呪われた仮面の戦士!褐色仮面!】
最終的に諦めたのか、筆談で解説を始めた。
その情熱には頭が下がるが、正直今後のあんたの生活が心配だよ。
『それでは両者中央へ!』
「ルカちゃんの仇……私が勝ったら仮面の外し方を教えてもらうわ」
「コーホー……コーホー……」
「ふん!言うわね……いいわ!力尽くでも仮面の外し方を吐かせてやるんだから!」
「コーホー……コーホー……」
俺の強化した聴覚は、舞台上の二人の会話?をしっかりと拾ったているのだが……カスミさんや。あんた、ソイツの言ってること分かってないよね?
なんだか一人で盛り上がってるみたいだけど大丈夫だよね?
『決勝戦!始め!』
審判が合図と同時に舞台上から飛び降りる!
カスミは無手の相手に、まずは小手調べと遠距離スキルを放つが、褐色仮面は軽く突き出した手のひらに力を集め、カスミが放った遠距離スキルをアッサリと後に逸した。
「やるわね!なら!連続ならどうかしら?!」
カスミは宣言どおり、水火風雷と属性を帯びたスキルを連続で飛ばすが、褐色仮面は空いているもう片方の手も前に出し、迫るスキルを両手でバシバシと弾き飛ばしていく。
「コーホー……コーホー……」
「確かに……遠距離では決定打を与えられないみたいね!ならば!」
褐色仮面のコーホーで、どーやって会話を成立させているのか分からないが、カスミは大剣を腰溜めに構え──
「〈レールセット〉!」
カスミがスキルの発動を声高に宣言すると、カスミから伸びた光のラインが褐色仮面に触れた。
ダメージなどは一切無いのか、褐色仮面は「コーホー……」と首を傾げている。ホラー待ったなしだな。
「これでアナタは私から逃げられないわよ!〈スタンジャンプ〉!」
カスミは大剣を腰溜めに構えたまま、新たなスキルの発動を宣言した。
すると──
「?!」
「やっほー!」
褐色仮面の眼前に、突如カスミが移動した!
俺はカスミが走ったり飛んだりという移動する所を一切見ていない。
まるで、カスミと褐色仮面との空間を切り取ったかのように距離を縮めたように見える。
「動けないでしょ!骨が折れるだけで済めばいいわね!どっせぇぇぇい!」
そう言って、カスミは腰溜めに溜めた大剣を、身体に捻りも加えて全力で褐色仮面の横っ腹に叩き込んだ!
「おねーちゃん頑張って!」
「コーホー……」
カスミは愛用の槍を片手に立ち上がったのを見て、サーリアとルカはエールを送る。
「グレイブ……」
それでも、チラッと不安そうな視線を送るカスミに、俺は近づいて優しく頭を撫で「頑張ってな」と声をかけると、途端に鼻息を荒くして目を輝かせる。こいつ、本当に年上か?
「もし、私があのヘンテコな仮面着けられたら責任取って結婚してね?」
「いやじゃい!」
「結婚……してね?」
「…………」
「結婚……するよね?」
「…………」
コテッと首を傾げ、あざとくも上目遣いで俺を見るカスミだが、あんなヘンテコ仮面を着けた嫁などノーサンキュー!と俺はプイッとソッポを向くが、向いた方向に回り込んで再び上目遣いで見るカスミ。
俺は知らん!とだんまりを決め込んで、再びプイッ!とソッポを向く。
すると、再び回り込んだカスミは懲りずに上目遣い──だが、瞳の中のハイライトが薄くなっている。
でも!俺はやなもんはやじゃ!と再度ソッポを向くと──
「アナタを殺して私も「是非結婚させてください!おねがいします!」
うん。槍からペットを呼び出すのは止めような。
そいつ、この間普通に人だか魔物だか分からないのをガツガツ食ってたじゃんかよ怖えーよ!
そりゃ脂汗浮かべながら満面の笑顔でプロポーズするよ!
なにが「うふふ。見た目なんて関係ないもんね♪」だよ!ハヨ行けよ!
『さあ!今年の武術大会女性の部も残すところ一試合!決勝戦のみとなりました!』
『数々の美闘士の中のトップ!今年はなんと、優勝候補筆頭の大会三連覇の女王サーリア選手が準決勝敗退という事で、展開が読めません!』
『それでは選手の入場です!旋風の女戦士!荒ぶる暴風は再び帝国に不敗神話を轟かせるのか!カスミ!』
解説のコールに、会場を揺るがすような歓声が巻き起こる中、真剣な表情のカスミがコーナーから舞台上へと上がっていく。
『続いては、顔に着けたオドロオドロしい仮面の下は一体どんな顔なのか!美女なのか!はたまた不細工なのくわぁぁぁあ!いやいや、美女でしょう!絶対に美女です!保証します!なので仮面を投げないで下さい!それ取れないって医務室で噂にコーホー……コーホー……』
身の程知らずの解説は、コールの途中でビタン!と顔面に仮面を叩き付けられて、ルカと同様に「コーホー……」以外喋れなくなってしまった。
必死に仮面を引っ張ったり、解説の机に顔ごと全力で叩きつけているが、当然のように割れる気配もない。
その光景をみた観客達は一斉に静まり返り、一斉に手で顔を覆った。
みなさん顔面がよほど大切なようだ。
【呪われた仮面の戦士!褐色仮面!】
最終的に諦めたのか、筆談で解説を始めた。
その情熱には頭が下がるが、正直今後のあんたの生活が心配だよ。
『それでは両者中央へ!』
「ルカちゃんの仇……私が勝ったら仮面の外し方を教えてもらうわ」
「コーホー……コーホー……」
「ふん!言うわね……いいわ!力尽くでも仮面の外し方を吐かせてやるんだから!」
「コーホー……コーホー……」
俺の強化した聴覚は、舞台上の二人の会話?をしっかりと拾ったているのだが……カスミさんや。あんた、ソイツの言ってること分かってないよね?
なんだか一人で盛り上がってるみたいだけど大丈夫だよね?
『決勝戦!始め!』
審判が合図と同時に舞台上から飛び降りる!
カスミは無手の相手に、まずは小手調べと遠距離スキルを放つが、褐色仮面は軽く突き出した手のひらに力を集め、カスミが放った遠距離スキルをアッサリと後に逸した。
「やるわね!なら!連続ならどうかしら?!」
カスミは宣言どおり、水火風雷と属性を帯びたスキルを連続で飛ばすが、褐色仮面は空いているもう片方の手も前に出し、迫るスキルを両手でバシバシと弾き飛ばしていく。
「コーホー……コーホー……」
「確かに……遠距離では決定打を与えられないみたいね!ならば!」
褐色仮面のコーホーで、どーやって会話を成立させているのか分からないが、カスミは大剣を腰溜めに構え──
「〈レールセット〉!」
カスミがスキルの発動を声高に宣言すると、カスミから伸びた光のラインが褐色仮面に触れた。
ダメージなどは一切無いのか、褐色仮面は「コーホー……」と首を傾げている。ホラー待ったなしだな。
「これでアナタは私から逃げられないわよ!〈スタンジャンプ〉!」
カスミは大剣を腰溜めに構えたまま、新たなスキルの発動を宣言した。
すると──
「?!」
「やっほー!」
褐色仮面の眼前に、突如カスミが移動した!
俺はカスミが走ったり飛んだりという移動する所を一切見ていない。
まるで、カスミと褐色仮面との空間を切り取ったかのように距離を縮めたように見える。
「動けないでしょ!骨が折れるだけで済めばいいわね!どっせぇぇぇい!」
そう言って、カスミは腰溜めに溜めた大剣を、身体に捻りも加えて全力で褐色仮面の横っ腹に叩き込んだ!
0
お気に入りに追加
489
あなたにおすすめの小説

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。
向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。
それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない!
しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。
……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。
魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。
木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
【完結】間違えたなら謝ってよね! ~悔しいので羨ましがられるほど幸せになります~
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
ファンタジー
「こんな役立たずは要らん! 捨ててこい!!」
何が起きたのか分からず、茫然とする。要らない? 捨てる? きょとんとしたまま捨てられた私は、なぜか幼くなっていた。ハイキングに行って少し道に迷っただけなのに?
後に聖女召喚で間違われたと知るが、だったら責任取って育てるなり、元に戻すなりしてよ! 謝罪のひとつもないのは、納得できない!!
負けん気の強いサラは、見返すために幸せになることを誓う。途端に幸せが舞い込み続けて? いつも笑顔のサラの周りには、聖獣達が集った。
やっぱり聖女だから戻ってくれ? 絶対にお断りします(*´艸`*)
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2022/06/22……完結
2022/03/26……アルファポリス、HOT女性向け 11位
2022/03/19……小説家になろう、異世界転生/転移(ファンタジー)日間 26位
2022/03/18……エブリスタ、トレンド(ファンタジー)1位

転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~
名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。

最弱スキルも9999個集まれば最強だよね(完結)
排他的経済水域
ファンタジー
12歳の誕生日
冒険者になる事が憧れのケインは、教会にて
スキル適性値とオリジナルスキルが告げられる
強いスキルを望むケインであったが、
スキル適性値はG
オリジナルスキルも『スキル重複』というよくわからない物
友人からも家族からも馬鹿にされ、
尚最強の冒険者になる事をあきらめないケイン
そんなある日、
『スキル重複』の本来の効果を知る事となる。
その効果とは、
同じスキルを2つ以上持つ事ができ、
同系統の効果のスキルは効果が重複するという
恐ろしい物であった。
このスキルをもって、ケインの下剋上は今始まる。
HOTランキング 1位!(2023年2月21日)
ファンタジー24hポイントランキング 3位!(2023年2月21日)

辺境の最強魔導師 ~魔術大学を13歳で首席卒業した私が辺境に6年引きこもっていたら最強になってた~
日の丸
ファンタジー
ウィーラ大陸にある大国アクセリア帝国は大陸の約4割の国土を持つ大国である。
アクセリア帝国の帝都アクセリアにある魔術大学セルストーレ・・・・そこは魔術師を目指す誰もが憧れそして目指す大学・・・・その大学に13歳で首席をとるほどの天才がいた。
その天才がセレストーレを卒業する時から物語が始まる。
【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ~胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ!~
川原源明
ファンタジー
秋津直人、85歳。
50年前に彼女の進藤茜を亡くして以来ずっと独身を貫いてきた。彼の傍らには彼女がなくなった日に出会った白い小さな子犬?の、ちび助がいた。
嘗ては、救命救急センターや外科で医師として活動し、多くの命を救って来た直人、人々に神様と呼ばれるようになっていたが、定年を迎えると同時に山を買いプライベートキャンプ場をつくり余生はほとんどここで過ごしていた。
彼女がなくなって50年目の命日の夜ちび助とキャンプを楽しんでいると意識が遠のき、気づけば辺りが真っ白な空間にいた。
白い空間では、創造神を名乗るネアという女性と、今までずっとそばに居たちび助が人の子の姿で土下座していた。ちび助の不注意で茜君が命を落とし、謝罪の意味を込めて、創造神ネアの創る世界に、茜君がすでに転移していることを教えてくれた。そして自分もその世界に転生させてもらえることになった。
胸を張って彼女と再会できるようにと、彼女が降り立つより30年前に転生するように創造神ネアに願った。
そして転生した直人は、新しい家庭でナットという名前を与えられ、ネア様と、阿修羅様から貰った加護と学生時代からやっていた格闘技や、仕事にしていた医術、そして趣味の物作りやサバイバル技術を活かし冒険者兼医師として旅にでるのであった。
まずは最強の称号を得よう!
地球では神様と呼ばれた医師の異世界転生物語
※元ヤンナース異世界生活 ヒロイン茜ちゃんの彼氏編
※医療現場の恋物語 馴れ初め編
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる