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激闘!帝国武術大会
5 孫、盛子とルカの関係を聞かされる!
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うん。知ってる天井だ。
俺は修行中、ヒートアップしたお爺ちゃん殴り飛ばされて──
帝城内にある自室のベッドで目を覚ました。
ベッドから身体を起き上がらせると、横からスースーと静かな寝息が聞こえてきた。
ギョッとした俺は慌ててベッドの布団を捲る!
うん。ベッドの中には誰も居ない。
では何処からか?
答えはベッドの縁。
腕を枕にして寝てる子が居る。寝息はどうやら彼女の口から聞こえてきていたらしい。
「カスミ?おい、カスミ」
「ん……」
寝ているカスミの頬をツンツンと突くと、カスミはくすぐったそうに唇をモニョモニョと動かし、再び安らかな寝息をたてる。
「寝かせておきなさい」
「お婆ちゃん!」
部屋の扉が開き、中に入って来たイザベラお婆ちゃんはシーッと指を口に当てる。
「グレイブ。彼女はあなたがコウタに粉々に粉砕されて気絶した後、ずっと看病してたのよ?」
「カスミが?」
俺はベッドの縁で幸せそうにモニョモニョと口を動かしているカスミに視線を移し──
「ちょっと待って?……なんか不穏な単語が混じってたんだけど?」
俺は恐る恐るといった感じで、聞き取ってしまった単語を口にした。
「粉々に粉砕って……」
「モニカが言うには、パーンと水袋が弾けるように血煙が舞って肉は欠片も見当たらない程だったらしいわよ」
まったく、あの人にも困ったものだわ。と、お婆ちゃんはまるでよくある事のように言う。
「お婆ちゃん……俺、生きてるよね?」
「そうね。生き返ったのだから当然ね」
「生き……返る?」
「うむ。お前に前に渡していた復活の巻物が発動して、お前の身体は元に戻ったのだ」
重々しい口調はベッドの頭の方から聞こえ、そちらを向くと
「お爺ちゃん……」
「無事に目覚めて良かったぞ」
変わらず重々しい口調で言うお爺ちゃんだが……
「なんで棘の上で正座してんの?」
そう、お爺ちゃんは剣山みたいに鋭く尖った何かを敷き詰めた一角で正座をしていた。
膝の上には黒光りする石板を何枚も乗せている。
「グレイブを粉微塵にしたお仕置きよ」
「あれは出来心だったんじゃよ!」
「都合が悪くなると老人言葉を話すのはやめなさい」
お婆ちゃんは何処からか取り出した尖ったヒールを取り出して、お爺ちゃんの頬をガス!ガス!とまるで往復ビンタのように振り回している。
「ブフッ!やめなさい!グフォ!ぐぬぬ……ファッション装備はなんでこう俺の防御を抜けてくるんだ……」
お爺ちゃんはブツブツと言いながら、護符の効果でたちまち回復してしまう。ずるい。
「そう言えば……ルカの姿が見当たらないんだけど……」
「ルカなら盛子が連れてったぞ」
「え?!盛子が?!そりゃまたなんで?」
「直々に修行をつけると言っていたよ。姉として、妹を鍛えてやりたいとでも思ったのだろう」
「ふぅん……盛子がそんな面倒見がいいなんてねぇ~……」
俺はお爺ちゃんの説明に、普段のおちゃらけた褐色エロフからは想像出来ないなぁ~なんて思った所で
「って、姉?!妹?!誰と誰が!」
「盛子とルカだよ」
「はぁ?!」
「盛子はな、女神と魔王が共同で創った、いわゆる神造人間でな。ルカとは産まれた過程は違えど、姉と言えるのは間違いない」
「神造人間……だから歳を取らないの?」
「歳を取らないだけで子作りは可能らしいがな」
「ルカはこの事を知ってるのかな?」
「知らないだろうな。盛子も自分から言わないし、あの脳ミソスカスカな親二人も言ってないだろうし……」
何処か遠い目をして言うお爺ちゃん。カッコいい。
棘の上で正座させられて、石板を膝の上に乗せられてなければ……
「ん……あッグレイブ!起きたの?!いつから?」
モゾモゾと顔を上げ、起き出したカスミは、立ち上がって俺の横に来て顔を覗き込んでくる。
「ああ。お前のヨダレを垂らしな寝る顔を、じっくりと見る程度の時間はあったかな?」
「んなッ!もう最悪!」
「ごめんごめん。カスミ……看病してくれて、ありがとな?」
「私の方が1歳年上なんだから!~~を看病するのは当然でしょ!」
「ん?今なんて?」
「なな!なんでもないわよ!」
ベシッ!と俺の頭を叩いてプンスカと目を吊り上げるカスミ。解せん……
「この鈍感さ……コウタ譲りね」
「俺はこんなに鈍感じゃないぞ?」
「どの口が言っているのかしら?オホホホホ」
「こら!やめ!ヒールは痛いから!あといい加減石板退かしておくれ!」
ガスッ!ガスッ!とお婆ちゃんに頬を小突かれるお爺ちゃんを見ながら……ベシッ!ベシッ!とカスミに頭を叩かれる俺。
うん。また一歩、憧れのお爺ちゃんに近づいたな!
俺は修行中、ヒートアップしたお爺ちゃん殴り飛ばされて──
帝城内にある自室のベッドで目を覚ました。
ベッドから身体を起き上がらせると、横からスースーと静かな寝息が聞こえてきた。
ギョッとした俺は慌ててベッドの布団を捲る!
うん。ベッドの中には誰も居ない。
では何処からか?
答えはベッドの縁。
腕を枕にして寝てる子が居る。寝息はどうやら彼女の口から聞こえてきていたらしい。
「カスミ?おい、カスミ」
「ん……」
寝ているカスミの頬をツンツンと突くと、カスミはくすぐったそうに唇をモニョモニョと動かし、再び安らかな寝息をたてる。
「寝かせておきなさい」
「お婆ちゃん!」
部屋の扉が開き、中に入って来たイザベラお婆ちゃんはシーッと指を口に当てる。
「グレイブ。彼女はあなたがコウタに粉々に粉砕されて気絶した後、ずっと看病してたのよ?」
「カスミが?」
俺はベッドの縁で幸せそうにモニョモニョと口を動かしているカスミに視線を移し──
「ちょっと待って?……なんか不穏な単語が混じってたんだけど?」
俺は恐る恐るといった感じで、聞き取ってしまった単語を口にした。
「粉々に粉砕って……」
「モニカが言うには、パーンと水袋が弾けるように血煙が舞って肉は欠片も見当たらない程だったらしいわよ」
まったく、あの人にも困ったものだわ。と、お婆ちゃんはまるでよくある事のように言う。
「お婆ちゃん……俺、生きてるよね?」
「そうね。生き返ったのだから当然ね」
「生き……返る?」
「うむ。お前に前に渡していた復活の巻物が発動して、お前の身体は元に戻ったのだ」
重々しい口調はベッドの頭の方から聞こえ、そちらを向くと
「お爺ちゃん……」
「無事に目覚めて良かったぞ」
変わらず重々しい口調で言うお爺ちゃんだが……
「なんで棘の上で正座してんの?」
そう、お爺ちゃんは剣山みたいに鋭く尖った何かを敷き詰めた一角で正座をしていた。
膝の上には黒光りする石板を何枚も乗せている。
「グレイブを粉微塵にしたお仕置きよ」
「あれは出来心だったんじゃよ!」
「都合が悪くなると老人言葉を話すのはやめなさい」
お婆ちゃんは何処からか取り出した尖ったヒールを取り出して、お爺ちゃんの頬をガス!ガス!とまるで往復ビンタのように振り回している。
「ブフッ!やめなさい!グフォ!ぐぬぬ……ファッション装備はなんでこう俺の防御を抜けてくるんだ……」
お爺ちゃんはブツブツと言いながら、護符の効果でたちまち回復してしまう。ずるい。
「そう言えば……ルカの姿が見当たらないんだけど……」
「ルカなら盛子が連れてったぞ」
「え?!盛子が?!そりゃまたなんで?」
「直々に修行をつけると言っていたよ。姉として、妹を鍛えてやりたいとでも思ったのだろう」
「ふぅん……盛子がそんな面倒見がいいなんてねぇ~……」
俺はお爺ちゃんの説明に、普段のおちゃらけた褐色エロフからは想像出来ないなぁ~なんて思った所で
「って、姉?!妹?!誰と誰が!」
「盛子とルカだよ」
「はぁ?!」
「盛子はな、女神と魔王が共同で創った、いわゆる神造人間でな。ルカとは産まれた過程は違えど、姉と言えるのは間違いない」
「神造人間……だから歳を取らないの?」
「歳を取らないだけで子作りは可能らしいがな」
「ルカはこの事を知ってるのかな?」
「知らないだろうな。盛子も自分から言わないし、あの脳ミソスカスカな親二人も言ってないだろうし……」
何処か遠い目をして言うお爺ちゃん。カッコいい。
棘の上で正座させられて、石板を膝の上に乗せられてなければ……
「ん……あッグレイブ!起きたの?!いつから?」
モゾモゾと顔を上げ、起き出したカスミは、立ち上がって俺の横に来て顔を覗き込んでくる。
「ああ。お前のヨダレを垂らしな寝る顔を、じっくりと見る程度の時間はあったかな?」
「んなッ!もう最悪!」
「ごめんごめん。カスミ……看病してくれて、ありがとな?」
「私の方が1歳年上なんだから!~~を看病するのは当然でしょ!」
「ん?今なんて?」
「なな!なんでもないわよ!」
ベシッ!と俺の頭を叩いてプンスカと目を吊り上げるカスミ。解せん……
「この鈍感さ……コウタ譲りね」
「俺はこんなに鈍感じゃないぞ?」
「どの口が言っているのかしら?オホホホホ」
「こら!やめ!ヒールは痛いから!あといい加減石板退かしておくれ!」
ガスッ!ガスッ!とお婆ちゃんに頬を小突かれるお爺ちゃんを見ながら……ベシッ!ベシッ!とカスミに頭を叩かれる俺。
うん。また一歩、憧れのお爺ちゃんに近づいたな!
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