英雄の孫は見習い女神と共に~そしてチートは受け継がれる~

GARUD

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ラヴィア公国と発生した魔物

10 孫、早打ちガンマンを自称する!

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「昨日はエライ目に会ったよ……」

 頭髪をコンガリと焼かれた俺だが、護符でチリチリになった毛も無事にお婆ちゃん譲りの細い金髪に戻っている。

「フン!自業自得でしょ!このニブチンの鈍感男!」

 宿で朝食を食べているカスミはベー!と赤い舌を出して俺を挑発する。

「なんだと!俺は自分で言うのもなんだが、ソロプレイなら早打ちガンマンも真っ青だぞ?!むしろ連射が効く!とてもニブかったり鈍感だとは思えんが?」
「一体なんの話をしてるのよ!このバカグレイブ!」
「ぶらぱっ!」

 投げつけられたのは朝食に添えてあったティーカップ。
 ビュン!と風を切って迫ったソレは見事に俺の鼻頭に直撃し、俺は後ろにひっくり返った。

「おーおー。朝から夫婦喧嘩とは仲がいいな。お二人さん」
「「夫婦じゃない!」」

 何故か俺はハモったカスミを睨みつけると、カスミも俺の方を睨みつけていた。

「「真似すんなよ真似しないでよ!」」
「パンおかわり~!」

 ガルル!グギギ!と睨み合う俺とカスミをよそに、ルカはモクモクハグハグと朝食を一心不乱に口に突っ込んでいた。

 その後、朝食を終えた俺たちは、馬に跨って港町を出発する。
 途中途中で小休止し、馬の足を休めつつ、予定通り半日で傭兵団の村へと後少しで到着するといった所で事件が起きた──

「なぁ……あの煙って村の方じゃねーか?」

 複数の煙が上がっているのを確認した俺は、ガイルに視線を向ける。
 すると、ガイルは苦虫を噛み潰しような表情をする。

「ああ。ひとつふたつなら何か焼いているのか?って程度で気にもしないんだろうが……」
「なんかヤバそうだな。ルカ!」
「うん。先行するね!」

 馬キライ!と言って最初から馬に乗っていなかったルカの名前を呼ぶ!
 すると、以心伝心と言わんばかりにルカはパチン!とウインクして加速!

「あと10分は掛かりそうだな。ルカに任せるのは些か不安だが……」
「私達は私達の出せる速度で行きましょう!」
「そうだな。グレイブ、不安だが焦らず急ごう!」
「難しい事を言うなぁ」

 ここまで休憩を挟んだ移動とはいえ、馬にもかなりの負担を強いている俺達は、馬を潰さないギリギリの速度でルカを追った!

 多少短縮された程度の時間で俺とカスミ、ガイルの三人は村へと到着したが、そこには既に村と呼べる形は残されていなかった。

 燃え落ちた家、焼けた畑、そこら中に転がる死体と魔物の死骸。

「ルカは?!ルカーー!」
「グレイブ!こっち!」

 俺の叫びに呼応したルカの声が少し離れた焼け落ちた家の方から聞こえる。

「ルカ!」
「奥に子供が!瓦礫の下敷きに!」

 魔物に囲まれて身動きが取れなくなっているルカに指された方を向くと、確かに子供が下敷きになっているのが見える!

「カスミ!ルカの援護!ガイルは俺を手伝え!」
「おう!」「わかったわ!」

 大剣を担いだカスミが、魔物に向かって飛び込んで行くのを横目に、俺とガイルは崩れた建物を必死に退かしていく!

「うぅ……痛いよ……痛いよぉ」
「待ってろ小僧!今助けるからな!」
「男の子か!少し我慢しろよ!」

 ガイルが太い腕を更に膨張させて建材を持ち上げては投げるを繰り返す。
 俺も負けじと瓦礫を退かす!
 そうしてなんとか下敷きになっていた子供を救出する事が出来た時には、ルカとカスミの方も魔物どもを撃滅する事に成功していた。

「うう……おじちゃん……団長さん?」
「おう!俺が団長だ!もう心配な──」

 子供を抱き上げて安心させるように柔らかな表情を浮かべるガイル。ハゲたクマがニヤリと笑ったら最早犯罪でしかないのを自覚してないのだろうか?
 ほら、抱かれた子供なんてプルプル震えちゃってるじゃねーか……

 そう思って見ていると──

「ボハッ!」

 ガイルの背中から小さな手が生えて来た。
 ガイルは、抱えていた子供を突然掴み上げて投げ飛ばした!

「おい、ガイル!」
「て……てめぇ……なにもん……ぐ……」

 俺はガイルに非難の声を上げるが、ガイルは投げ飛ばした子供をギロッと睨んだあと、バタリと倒れ込んでしまったのだった。





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