7 / 101
新たな火種
3 孫、寝袋から出られなくなる!
しおりを挟む
「いい朝だぜ……」
「さっさと寝袋から出なさいよ!」
寝袋から顔だけ出して地面に転がっている俺は、ゲシッ!とルカに蹴り飛ばされ、まさに手も足も出ないまま、蹴られた勢いよろしく木に熱烈なキスをかました。
「あいててて……まったく、朝から過激だなぁ。俺が寒空の中寝袋で一夜を明けたというのにさ……」
「フン!あんたみたいな変態と一晩同じテントに居たらこ……こここ……」
「こけこっこー?」
「子供が出来ちゃうじゃない!」
顔を真っ赤に大声でわめくルカ。
朝から元気でなによりだ。
「あ~……なるほど。ちなみになんだが、子供の作り方って知ってんのか?」
「しし、知ってるわよ!ある程度の年齢の男女が同じ布団で寝ると翌日にはお腹の中に赤ちゃんが出来ちゃうんでしょ!」
どう?!と顎をシャクって未だ寝袋で転がっている俺に上から見下ろすようにドヤ顔でそう言ったルカ。うん。縞々な逆三角形が丸見えで、俺に寝袋から出るという選択肢を奪ってくれる。
しかし、ルカの知識の無さはどうするべきか……どう反応するのが正解なんだろうか?
俺A『しっかりとホントの事を教えてあげるのが年長者の務めだぞ!(真面目)』
俺B『いやいや。ここは話の流れに乗っかるべきだよ(ニヨニヨ)』
俺C『そうだよ!ここはもう少し様子を見ようよ!(ゲス顔)』
というわけで、2対1で様子を見る。
「…………おお!よく知ってるな!」
「フン!馬鹿にしないでよ!それくらいママに教わってるんだから!」
「そうか……ママか……」
「だからパパも『男とは一緒に寝るなよ』って言ってたわ!」
そう言ったルカの表情は真剣そのもの。俺は震える腹筋に別の意味で寝袋から出れなくなってしまった。
「ふ……ふむ……その後パパとは同じ布団で寝なかったのか?」
「当然じゃない!『パパだけは大丈夫なんだよ?!』って言ってたけど、万が一があると困るからダメ!って拒否し続けたわ!」
「ブフッ!」
「……何笑ってんのよ?」
ついに堪えきれずに噴き出してしまった俺を吊り上げた瞳でギロリと睨むルカ。
俺はなんとか寝袋の中で腹を押さえて腹筋に力を入れ直し、歯を必死に食いしばる。
「プッ……ククク……いや……なんでも……ないよ……パパ泣いてたなかった?」
「なんだかその日はずっと泣いてたわ。ママが慰めてたけど」
ルカは何でかしらね?と本気で首を傾げて、う~ん?と顎に指を置いて考え込んでしまった。その余りにもの本気な姿に、ついに俺はダムが決壊するかのように大声を出してゴロゴロと笑い転げてしまった。
「ブハッ!フヒヒヒヒ!もうダメ!限界!ブハハハハ!おま!おまえ!ウヒヒ!それは反則だよアハハハハ!」
「な!何がおかしいっていうのよ!」
「フヒー!……あ~ヤバかった。危うく笑い死ぬところだったよ」
「だから今の話の何処がおかしいのよ?」
「いや。なんだか急にルカが可愛いなって思えてさ」
俺は誤魔化す為に、そう言ってパチンとウインクすると、ルカはプイッとそっぽを向いた。
「フッ、フン!私が可愛いのは今に始まった事じゃないし!」
「そうだな……よし。それじゃぼちぼちテント片付けて出発しようぜ」
俺は寝袋からようやっと抜け出して、テントと一緒にアイテムBOXに収納した。
「……ねえ。お腹空いたんだけど?」
「あ~……確かに小腹が空いたな。それじゃ、これでも食うか?」
俺がそう言ってアイテムBOXから取り出したのはコッペパンに刻んだキャベツとソーセージを焼いて挟んだホットドッグという食べ物だ。
「またソーセージ?」
ホットドッグと俺をジト~とした目で交互に見るルカ。
昨日は少しからかい過ぎたかもしれないな。
「あはは。そんな警戒すんなよ。それはお爺ちゃんに教わった簡単な料理なんだ。外で野宿する時とか、移動しながらとか、片手で食べられて便利なんだよ」
大丈夫だから食べなよ。と手渡すと、ルカは前から後ろから、下から覗き込んでと全方位からホットドッグを観察し、やっとの事で口の中に入れた。
「……あむッ……ん~~~?!」
一思いに1/3を齧ったルカは、目を白黒させてワタワタと手を振って走り出した。
「ああ……マスタードが辛かったかな?はい。水だよ」
察した俺がアイテムBOXから水を取り出すと、ルカはひったくるように俺から水の入った水筒を奪ってゴクゴクと喉を鳴らせながら飲み下した。
「大丈夫?」
「うん!辛くて驚いたけど、これはこれで刺激的で美味しい!」
そう言ってホットドッグを再び齧ると、流石に2回目とだけあって、走り回ったりはしなかったが目に薄っすらと涙を浮かべている。
俺は苦笑しながらアイテムBOXにある甘いHP回復ドリンクを取り出して手渡すと、ゴクゴクと飲んだルカは目を輝かせた。
「う~~ん!甘くて美味しい!」
結局、俺の分の作り置きまで全部ペロリと平らげたルカは、満足そうな顔で「ありがとう!」と言って大輪の華を咲かせていた。
「さっさと寝袋から出なさいよ!」
寝袋から顔だけ出して地面に転がっている俺は、ゲシッ!とルカに蹴り飛ばされ、まさに手も足も出ないまま、蹴られた勢いよろしく木に熱烈なキスをかました。
「あいててて……まったく、朝から過激だなぁ。俺が寒空の中寝袋で一夜を明けたというのにさ……」
「フン!あんたみたいな変態と一晩同じテントに居たらこ……こここ……」
「こけこっこー?」
「子供が出来ちゃうじゃない!」
顔を真っ赤に大声でわめくルカ。
朝から元気でなによりだ。
「あ~……なるほど。ちなみになんだが、子供の作り方って知ってんのか?」
「しし、知ってるわよ!ある程度の年齢の男女が同じ布団で寝ると翌日にはお腹の中に赤ちゃんが出来ちゃうんでしょ!」
どう?!と顎をシャクって未だ寝袋で転がっている俺に上から見下ろすようにドヤ顔でそう言ったルカ。うん。縞々な逆三角形が丸見えで、俺に寝袋から出るという選択肢を奪ってくれる。
しかし、ルカの知識の無さはどうするべきか……どう反応するのが正解なんだろうか?
俺A『しっかりとホントの事を教えてあげるのが年長者の務めだぞ!(真面目)』
俺B『いやいや。ここは話の流れに乗っかるべきだよ(ニヨニヨ)』
俺C『そうだよ!ここはもう少し様子を見ようよ!(ゲス顔)』
というわけで、2対1で様子を見る。
「…………おお!よく知ってるな!」
「フン!馬鹿にしないでよ!それくらいママに教わってるんだから!」
「そうか……ママか……」
「だからパパも『男とは一緒に寝るなよ』って言ってたわ!」
そう言ったルカの表情は真剣そのもの。俺は震える腹筋に別の意味で寝袋から出れなくなってしまった。
「ふ……ふむ……その後パパとは同じ布団で寝なかったのか?」
「当然じゃない!『パパだけは大丈夫なんだよ?!』って言ってたけど、万が一があると困るからダメ!って拒否し続けたわ!」
「ブフッ!」
「……何笑ってんのよ?」
ついに堪えきれずに噴き出してしまった俺を吊り上げた瞳でギロリと睨むルカ。
俺はなんとか寝袋の中で腹を押さえて腹筋に力を入れ直し、歯を必死に食いしばる。
「プッ……ククク……いや……なんでも……ないよ……パパ泣いてたなかった?」
「なんだかその日はずっと泣いてたわ。ママが慰めてたけど」
ルカは何でかしらね?と本気で首を傾げて、う~ん?と顎に指を置いて考え込んでしまった。その余りにもの本気な姿に、ついに俺はダムが決壊するかのように大声を出してゴロゴロと笑い転げてしまった。
「ブハッ!フヒヒヒヒ!もうダメ!限界!ブハハハハ!おま!おまえ!ウヒヒ!それは反則だよアハハハハ!」
「な!何がおかしいっていうのよ!」
「フヒー!……あ~ヤバかった。危うく笑い死ぬところだったよ」
「だから今の話の何処がおかしいのよ?」
「いや。なんだか急にルカが可愛いなって思えてさ」
俺は誤魔化す為に、そう言ってパチンとウインクすると、ルカはプイッとそっぽを向いた。
「フッ、フン!私が可愛いのは今に始まった事じゃないし!」
「そうだな……よし。それじゃぼちぼちテント片付けて出発しようぜ」
俺は寝袋からようやっと抜け出して、テントと一緒にアイテムBOXに収納した。
「……ねえ。お腹空いたんだけど?」
「あ~……確かに小腹が空いたな。それじゃ、これでも食うか?」
俺がそう言ってアイテムBOXから取り出したのはコッペパンに刻んだキャベツとソーセージを焼いて挟んだホットドッグという食べ物だ。
「またソーセージ?」
ホットドッグと俺をジト~とした目で交互に見るルカ。
昨日は少しからかい過ぎたかもしれないな。
「あはは。そんな警戒すんなよ。それはお爺ちゃんに教わった簡単な料理なんだ。外で野宿する時とか、移動しながらとか、片手で食べられて便利なんだよ」
大丈夫だから食べなよ。と手渡すと、ルカは前から後ろから、下から覗き込んでと全方位からホットドッグを観察し、やっとの事で口の中に入れた。
「……あむッ……ん~~~?!」
一思いに1/3を齧ったルカは、目を白黒させてワタワタと手を振って走り出した。
「ああ……マスタードが辛かったかな?はい。水だよ」
察した俺がアイテムBOXから水を取り出すと、ルカはひったくるように俺から水の入った水筒を奪ってゴクゴクと喉を鳴らせながら飲み下した。
「大丈夫?」
「うん!辛くて驚いたけど、これはこれで刺激的で美味しい!」
そう言ってホットドッグを再び齧ると、流石に2回目とだけあって、走り回ったりはしなかったが目に薄っすらと涙を浮かべている。
俺は苦笑しながらアイテムBOXにある甘いHP回復ドリンクを取り出して手渡すと、ゴクゴクと飲んだルカは目を輝かせた。
「う~~ん!甘くて美味しい!」
結局、俺の分の作り置きまで全部ペロリと平らげたルカは、満足そうな顔で「ありがとう!」と言って大輪の華を咲かせていた。
0
お気に入りに追加
489
あなたにおすすめの小説

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。
桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」
この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。
※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。
※1回の投稿文字数は少な目です。
※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。
表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年10月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
1ページの文字数は少な目です。
約4500文字程度の番外編です。
バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`)
ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑)
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

〈完結〉毒を飲めと言われたので飲みました。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。
国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。
悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。
【完結】あなたの思い違いではありませんの?
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
ファンタジー
複数の物語の登場人物が、一つの世界に混在しているなんて?!
「カレンデュラ・デルフィニューム! 貴様との婚約を破棄する」
お決まりの婚約破棄を叫ぶ王太子ローランドは、その晩、ただの王子に降格された。聖女ビオラの腰を抱き寄せるが、彼女は隙を見て逃げ出す。
婚約者ではないカレンデュラに一刀両断され、ローランド王子はうろたえた。近くにいたご令嬢に「お前か」と叫ぶも人違い、目立つ赤いドレスのご令嬢に絡むも、またもや否定される。呆れ返る周囲の貴族の冷たい視線の中で、当事者四人はお互いを認識した。
転生組と転移組、四人はそれぞれに前世の知識を持っている。全員が違う物語の世界だと思い込んだリクニス国の命運はいかに?!
ハッピーエンド確定、すれ違いと勘違い、複数の物語が交錯する。
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/11/19……完結
2024/08/13……エブリスタ ファンタジー 1位
2024/08/13……アルファポリス 女性向けHOT 36位
2024/08/12……連載開始
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる