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5 暁の神殿
1 鈴木、再び!
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ここはブリガント帝国の帝都、水の都と呼ばれる都市だ。
その由来は、都市の中に走る上下水道は勿論だが、街の中央を走る水路から見えるグルグルと回る巨大な水車。
これ自体は何かという事もないのだが、都市のシンボルとして重要なファクターとなっている。
鳥の囀りに起こされた俺は、そんな街中でも存在感抜群の水車を部屋の窓から見下ろした後、家の中にある風呂へと移動する。
俺にとって、朝の風呂は必要不可欠だ。
何故なら──今日も俺のベッドでは三人の嫁が幸せそうな寝顔を見せているからだ。
「ふぅ……ブァアとやりあってから一年────つくづく思うが……課金ショップに物を言わせて魔改造しただけはあるな」
俺はお湯に濡れた、自慢の艶のある緑の髪を掻き上げて、浴槽にどっぷりと浸かっていた。
あの戦いから一年──
プレイヤーが現れるような現象も無く、女神ナアオやブァカ魔王からのちょっかいもない。
平和な日々を送っていた。
俺が浴槽でボーッとしていると、ガラガラ──と扉の開く音。
そして次いで聞こえてくる高くて華のある声。
「もう!コウタさんったら!起きたのなら起こしてくれればいいのに!」
プリプリと頬を膨らませながら現れたのは、長い金糸のような髪を腰まで伸ばした碧眼の美少女。
形のよい乳房に薄いピンクの突起が美しく、キュッと締まった腰に小ぶりな臀部が可愛らしい。
そんな一糸纏わぬ彼女の姿は、見る度に美の女神が現世に現れたのではないかと毎回錯覚を起こす程。
「やぁ──おはよう。イザベラ」
「おはようございます。コウタさん」
イザベラはニコリと微笑むと、俺が課金アイテム、ハウジング素材を駆使して作ったシャワーを軽く浴び、汗でベタつくであろう身体を清めた彼女は、長い髪を頭の上で纏めると俺の横に腰を降ろした。
「他の二人は?もう起きた?」
「まだ寝てますよ。昨晩は一層激しかったですから……二人共泥のように睡ってて、エレイラなんてお尻を叩いても起きないんですよ」
うふふ。と艶やかに笑う彼女を見て、昨晩あれだけ暴れたというのに、元気なもので我が分身たるマイサーンは鎌首を擡げ始めた。
そうして、なんやかんやと浴槽内で一戦交えた後、腰砕けのイザベラをお姫様抱っこにしてサロンへと移動。
少し遅めのファストティーを飲んで、ついでに食事を摂る。
そうしている内に、寝ぼ助の二人がサロンに姿を現した。
「あたた……おはようコウタ」
「おはようございます。あなた」
腰を押さえながら現れたのは肩まで伸ばした黒髪に、吊り目がちな黒目をしたスレンダーの女性。
胸元をガバッと開けたシャツのボタンが、まるで崖のようにストーン!となだらかな胸を痛ましくも強調していた。
無い女の子に限って強調するんだよなと思っていたら、どうやら顔にでも出ていたのだろう。
脳天にゴスッとゲンコツを振り下ろされた。これも一種のご愛嬌である。
そして、エレイラと同時に現れたのは俺が初めて訪れた田舎の村に住んでいた愛らしい垂れ目が印象的な女性のメル。
出会った当初の彼女は、ソバカスに畑仕事で手あれがひどい素朴な女の子だったのだが、俺が気まぐれに置いていったユグドラシルの葉を漬けた水で毎日身体を拭いていた事で、いつの間にかイザベラにもエレイラにも劣らぬ美少女に劇的ビフォーアフターを遂げていた。
突き出した胸に畑仕事で引き締まった二の腕に腰、スラリと伸びたカモシカのような太ももと、そしてなにより大きめなお尻!
まさに乳!尻!太もも!と男の三大欲求を満たす理想のスタイルである。
「おいコウタ……私とメルで随分と表情が違うじゃあないか?うん?!」
「エレイラ、それは仕方のないですよ。なんせ方や絶壁、方や山脈ですもの」
「お嬢様!」
「まったく……この乳袋には一体何が詰まっているのかしらねぇ」
イザベラはエレイラの声を無視し、おもむろに腕を伸ばし──
ムギュ!ムギュムギュムギュ!
「ひゃん!──やったべな~!」
巨大な山脈のような両胸を荒々しく揉みしだかれ、顔を真っ赤に染めたメルさんは、お返しとばかりにイザベラの胸へと手を伸ばす。
「ぁんッ!」
「この!この!」
「えい!えい!」
そうして二人はお互いに胸を揉み合う。眼福眼福。
──と鼻の下を伸ばしていると、横で膨れ上がるドス黒いオーラを感じ、チラッと視線を横に向けると──
「二人共もげちゃえばいいんですよッ!」
「キャッ!こらエレイラ!」
「やめッ!そんな引っ張らないでくださいぃ!」
嫉妬の炎を燃やしたエレイラが参戦し、お決まりのキャットファイトが始まったのを、俺は淹れ直した紅茶を啜りながら生暖かい視線を向けるのだった。
今日もそうして変わらぬ幸せな日々を過ごし、夜も再び三人と一戦交えた後──
ベッドの上で微睡む俺の脳内に【ポーン!】という音が流れた。
「?!」
微睡んだ意識が一気に覚醒する。
(なんだ?!なぜ今になってシステム通知のポップ音が鳴る?!)
警戒を顕にする俺を嘲笑うかのように、懐かしいシステム音声が耳を通過して直接脳内に響いてきた。
【アップデートのお知らせを通知します】
「んだと?!」
「──ん……?」
「……どうした?」
「ぅぅん……あなた?」
【世界に暁の神殿の実装プログラムをインストールします。プレイヤーの皆様は所定の時間までにログアウトをお願いします】
ログアウト?!暁の神殿?!一体なんの冗談だ?!
無機質に響く声に、俺は慌ててベッドから起き上がる!
それと同時に、脳内に一年ぶりのあの声が──
(コウタごめん!──そう──し
──いき──)
(あんだって?!おい駄女神!暁だのアップデートだの!お前がまた馬鹿なことやってんじゃないのか?!)
(#&%#*$^%=?%)
(何……言ってる……のか……分かんねー……)
そこでプツリと俺の意識は闇に落ちたのだった。
その由来は、都市の中に走る上下水道は勿論だが、街の中央を走る水路から見えるグルグルと回る巨大な水車。
これ自体は何かという事もないのだが、都市のシンボルとして重要なファクターとなっている。
鳥の囀りに起こされた俺は、そんな街中でも存在感抜群の水車を部屋の窓から見下ろした後、家の中にある風呂へと移動する。
俺にとって、朝の風呂は必要不可欠だ。
何故なら──今日も俺のベッドでは三人の嫁が幸せそうな寝顔を見せているからだ。
「ふぅ……ブァアとやりあってから一年────つくづく思うが……課金ショップに物を言わせて魔改造しただけはあるな」
俺はお湯に濡れた、自慢の艶のある緑の髪を掻き上げて、浴槽にどっぷりと浸かっていた。
あの戦いから一年──
プレイヤーが現れるような現象も無く、女神ナアオやブァカ魔王からのちょっかいもない。
平和な日々を送っていた。
俺が浴槽でボーッとしていると、ガラガラ──と扉の開く音。
そして次いで聞こえてくる高くて華のある声。
「もう!コウタさんったら!起きたのなら起こしてくれればいいのに!」
プリプリと頬を膨らませながら現れたのは、長い金糸のような髪を腰まで伸ばした碧眼の美少女。
形のよい乳房に薄いピンクの突起が美しく、キュッと締まった腰に小ぶりな臀部が可愛らしい。
そんな一糸纏わぬ彼女の姿は、見る度に美の女神が現世に現れたのではないかと毎回錯覚を起こす程。
「やぁ──おはよう。イザベラ」
「おはようございます。コウタさん」
イザベラはニコリと微笑むと、俺が課金アイテム、ハウジング素材を駆使して作ったシャワーを軽く浴び、汗でベタつくであろう身体を清めた彼女は、長い髪を頭の上で纏めると俺の横に腰を降ろした。
「他の二人は?もう起きた?」
「まだ寝てますよ。昨晩は一層激しかったですから……二人共泥のように睡ってて、エレイラなんてお尻を叩いても起きないんですよ」
うふふ。と艶やかに笑う彼女を見て、昨晩あれだけ暴れたというのに、元気なもので我が分身たるマイサーンは鎌首を擡げ始めた。
そうして、なんやかんやと浴槽内で一戦交えた後、腰砕けのイザベラをお姫様抱っこにしてサロンへと移動。
少し遅めのファストティーを飲んで、ついでに食事を摂る。
そうしている内に、寝ぼ助の二人がサロンに姿を現した。
「あたた……おはようコウタ」
「おはようございます。あなた」
腰を押さえながら現れたのは肩まで伸ばした黒髪に、吊り目がちな黒目をしたスレンダーの女性。
胸元をガバッと開けたシャツのボタンが、まるで崖のようにストーン!となだらかな胸を痛ましくも強調していた。
無い女の子に限って強調するんだよなと思っていたら、どうやら顔にでも出ていたのだろう。
脳天にゴスッとゲンコツを振り下ろされた。これも一種のご愛嬌である。
そして、エレイラと同時に現れたのは俺が初めて訪れた田舎の村に住んでいた愛らしい垂れ目が印象的な女性のメル。
出会った当初の彼女は、ソバカスに畑仕事で手あれがひどい素朴な女の子だったのだが、俺が気まぐれに置いていったユグドラシルの葉を漬けた水で毎日身体を拭いていた事で、いつの間にかイザベラにもエレイラにも劣らぬ美少女に劇的ビフォーアフターを遂げていた。
突き出した胸に畑仕事で引き締まった二の腕に腰、スラリと伸びたカモシカのような太ももと、そしてなにより大きめなお尻!
まさに乳!尻!太もも!と男の三大欲求を満たす理想のスタイルである。
「おいコウタ……私とメルで随分と表情が違うじゃあないか?うん?!」
「エレイラ、それは仕方のないですよ。なんせ方や絶壁、方や山脈ですもの」
「お嬢様!」
「まったく……この乳袋には一体何が詰まっているのかしらねぇ」
イザベラはエレイラの声を無視し、おもむろに腕を伸ばし──
ムギュ!ムギュムギュムギュ!
「ひゃん!──やったべな~!」
巨大な山脈のような両胸を荒々しく揉みしだかれ、顔を真っ赤に染めたメルさんは、お返しとばかりにイザベラの胸へと手を伸ばす。
「ぁんッ!」
「この!この!」
「えい!えい!」
そうして二人はお互いに胸を揉み合う。眼福眼福。
──と鼻の下を伸ばしていると、横で膨れ上がるドス黒いオーラを感じ、チラッと視線を横に向けると──
「二人共もげちゃえばいいんですよッ!」
「キャッ!こらエレイラ!」
「やめッ!そんな引っ張らないでくださいぃ!」
嫉妬の炎を燃やしたエレイラが参戦し、お決まりのキャットファイトが始まったのを、俺は淹れ直した紅茶を啜りながら生暖かい視線を向けるのだった。
今日もそうして変わらぬ幸せな日々を過ごし、夜も再び三人と一戦交えた後──
ベッドの上で微睡む俺の脳内に【ポーン!】という音が流れた。
「?!」
微睡んだ意識が一気に覚醒する。
(なんだ?!なぜ今になってシステム通知のポップ音が鳴る?!)
警戒を顕にする俺を嘲笑うかのように、懐かしいシステム音声が耳を通過して直接脳内に響いてきた。
【アップデートのお知らせを通知します】
「んだと?!」
「──ん……?」
「……どうした?」
「ぅぅん……あなた?」
【世界に暁の神殿の実装プログラムをインストールします。プレイヤーの皆様は所定の時間までにログアウトをお願いします】
ログアウト?!暁の神殿?!一体なんの冗談だ?!
無機質に響く声に、俺は慌ててベッドから起き上がる!
それと同時に、脳内に一年ぶりのあの声が──
(コウタごめん!──そう──し
──いき──)
(あんだって?!おい駄女神!暁だのアップデートだの!お前がまた馬鹿なことやってんじゃないのか?!)
(#&%#*$^%=?%)
(何……言ってる……のか……分かんねー……)
そこでプツリと俺の意識は闇に落ちたのだった。
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