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1章 帝国と姫

15 鈴木、お持ち帰りする!

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 ギリアムをツルペタ怒りの鉄拳によって誅してから一日、俺たちは馬車を走らせて宿場町に到着した。
 道中、馬車の中からは奇声や罵声や嬌声が聞こえてきた。

『みーて下さいお嬢様!この胸を!どうですか?プルンプルンですよ!』
『ずっと見てましたよ。それ……どうなってるの?』
『どうもこうも!私の胸が育ったんですよ!』
『はぁ?嘘吐いてもダメよ!そんなに急に育つわけないでしょ!』
『では触ってみてくださいよ!』
『なッ!柔らかい……まさか……ホンモノ?!』
『くふッ……もう絶壁なんて言わせませんよ!更に、私の胸が育ったということは、お嬢様が私に勝っている部分がない!という事です!』
『はぁぁ?!何言ってんの?ねぇ?!』
『え?簡単じゃないですか!私の方が美少女!私も同じ巨乳!私の方が頭いい!ほら!』
『ほら!じゃないわよ!もう頭にキタ!その服ひん剥いて直に胸を見てやるわ!大体なんで侍女のくせに二着も可愛い服貰ってんのよ!その服絶対私の方が似合うんだから!寄越しなさいよ!』
『なッ!やめて下さい!引っ張らないで!こら!お嬢様!スカートに手を入れないで!あッ!』
『うふふふふ……観念して全裸になりなさい!』
『駄目ですって!ヤメッ!パンツ返して!』
『うふふ……これをスズキ様に差し上げてもいいのよ?……ほら、観念して自分から脱ぎなさい?』
『グギギ……なんて卑怯な!』
『おほほほほ!あらあら、ブラジャーを取ったら壁が出てきましたわ~!これは一体どうした事でしょうねぇ?』
『もういいでしょ!返してくださいよ!』
『ご主人様に嘘を吐いて、馬鹿にした悪い侍女にはお仕置きが必要だとは思いません?』
『なッ!酷いですよお嬢様!全裸になったら許してくれるんじゃなかったんですか?!』
『あらあら。私は許すとは一言もいってませんよ?スズキ様ー!エレイラの使用済みパンツはいかがですか~?』
『勿論言い値で買おう!』
『買うなぼけええええ!』

 結局エレイラの使用済み縞々パンツは俺の手に来る前に本人の手によって回収されたんだよなぁ……まぁ、俺には秘宝で家宝決定のアレがあるからいいんだけど。

 俺達はそーやっていつものようにワイワイと騒ぎながら宿場町に着くと、直ぐに宿の手配を済ませ、馬も宿の馬小屋に預けてある。
 んで、買い物をしたいという二人の美少女に釣られ……ゴホン!連れられる形で宿場町の商店を回っているところなのだが──

 通りを歩く人達が、俺達……というよりイザベラの顔を見て「姫様じゃないか?」とか「イザベラ様?」「リア充爆発しろ……」と口々に囁いている。おい最後の奴!少しあっちで話そうか?

「流石に人目を引いてるな……」
「それは帝都のご近所さんみたいな場所ですし、私の顔くらい知られてますよ」
「いや……それくらい知名度があるなら俺の腕を離してくれないか?」
「何故ですか?」
「いやいや、姫なんでしょ?何処の馬の骨とも分からない奴と腕組んでるの見られたら色々と不味いでしょ?」
「いえいえ、むしろ見せ付けましょう!」
「何故?!止めようよ!俺のメンタルさんがピンチだよ!見てないで助けてよエレイラ!」
「ふん!巨乳に腕を挟まれて良かったじゃないか!どーせ私は……ブツブツ」
「そんな他人を射殺すような視線で見ないでよ!感じちゃうよ?!悔しいけど感じちゃうんだよ?!」

 そう騒ぎながらも、俺達は色々な商店を見て回った。
 そして、買い物をしていてわかったことだが、驚く事に通貨システムはゲームと同じだった。単位はコイン。
 ただしゲームの時みたく、支払い時に金額をタップすればいいわけではなく、しっかりと硬貨でのやり取りを行う。まぁ、当たり前っちゃ当たり前だけど。

 んで、硬貨には種類があるらしい。
 銅の硬貨が100コイン相当
 銀の硬貨が10000コイン相当
 金の硬貨が1000000コイン相当
 と言うことらしい。どっち道、持ちあるくのはジャラジャラして重たそうだ。
 
 俺は野盗やら騎士、そしてギリアムの死体から剥ぎ取った硬貨を一纏めにしてアイテムBOXに放り込んである。
 やっとそれぞれの硬貨の単価がわかった事だし、一度軍資金を確認しようとアイテムBOX内にある硬貨の枚数を種類毎に表示した。

 銅貨 762
 銀貨 207
 金貨 3

 トータル514万6200コインか。
 多いのか少ないのかと聞かれると、今日泊まる予定の宿屋の一泊のお値段が素泊まり銅貨10枚というのを参考にすれば、一年半はゴロゴロ出来る計算だ。

「さて……買い物も済ませた事だし、飯行こうよ?あといい加減イザベラは離れて」
「あら?まぁ、いいですよ。もうかなりの方が私達の事を見てますし」

 そう言ってイザベラは惜しむ気配もなく、あっさりと俺の腕を離して横を歩く。
 腕を包むおっぱいの温もりが無くなって、ほんの少しだが俺の体温が下がった気がした。

「イザベラは帝都にいる君の敵達に、無事を知らしめると同時に、一緒にいる俺が一体何者なのか?という疑問を持たせたいからこんな大通りで腕を組んで見せびらかしてたんだろ?」
「まぁ、生存は既にバレてると思いますけどね。送り出した刺客、帝国の切り札こと狂戦士のギリアムがいつまで経っても姿を現さないのですからね」

 俺の見解をイザベラが補足する。
 横を歩く彼女は、そう言うと先程までの少女のような笑顔から一転して表情を曇らせた。
 なんやかんやと有ったが、帝国の姫としては敵対していたとは言え、自国の民を殺してしまった事にたいしての憂いのようなものでもあったのだろう。
 俺は気が付かない振りをして、そのまま話を続ける。

「なる程……つまり、無傷でギリアムを倒すだけの戦力、あるいは能力がこちらにはある。と見せ付けるのが目的か」
「さて……単に私がスズキ様と腕を組みたかっただけかもしれませんよ?」

 表情を曇らせていたのも束の間、イザベラはトコトコッと俺の目の前に出て、上目遣いに俺を見ながらはにかむような笑顔をむける。おっぱいの谷間が強調されていて非常にあざとい。

 俺はゴホン!と軽く咳払いをして腕をクイッと再び差し出して──

「まぁなんだ。そこまで言うなら腕の一つくらい貸してあげなくもないよ。俺も腕が幸せだしね」

 俺が目を逸し、照れ隠しに頬を掻きながら言うと、イザベラは俺の腕を取って再び横を歩き始める。 
 
「うふふ」
「ははは」

 そしてどちらからとなく笑い合い、俺とイザベラは腕を組んだまま宿屋へと入ったのであった。

「なんか二人だけの世界に入ってるし……」

 後ろでなにやらブツブツと聞こえたが、恐らく気のせいだろう。




 鈴木幸太(ヒューマン)

 Lv80

 HP8000
 MP4100
 攻撃力800(+4500+2000)
 敏捷400(+2000)
 防御力800(+5500+2000×2)

 装備

 金魔騎士剣+10(攻撃力+4500)
 金魔虎の篭手+10(攻撃力+2000
防御力+2000)
 金魔象の軽装+10(防御力+5500)
 金魔豹の靴+10(防御力+2000 敏捷+2000)

 
 ファッション

 ナイトジャケット 
 ナイトズボン 
 ナイトブーツ 
 騎士の儀礼剣

  



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