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第2章

2 - 3 女神さまと一緒に告白プランを練ったんだが…

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《プランはこうです!》

1・街へ出てウインドウショッピング
2・喫茶店に行き軽く食事
3・教会でお祈り
4・街の小高い丘で夕焼けを見ながら告白!

《これで完璧です!》
ムフー!っと鼻息まで聞こえそうな勢いで捲し立てる我が女神さま。

(ふむ……3のお祈りに意味は?)

《私に祈らないで成功すると思っているのですか?というか絶対失敗しますよ?というか失敗させます!》フフフ───

本当にこいつは女神さまなのか……最近黒くないですか?と苦情が殺到してますよ……主に俺から!

《はいはい。いいから祈りなさい!》

(はーい……)全く……次から黒女神さまと呼んでやろう。きっと腹どころかアレやソレまで真っ黒に違いな───ドゴッ!
「痛ーー!なんで天井の板がピンポイントで頭に!しかも縦に刺さるように落ちて来るんだよ!」

《ふふふっ告白の前に天罰が降り注がないように頭上には注意を払っておきましょうね?》

くそー!この色黒女神さまがっ!

───バリーン!──ガガガ!
「イテテテテ!くそぅ!窓ガラスが!」

《あらあら……きっとカラスに石でも投げ込まれたのでしょうね。危ないですね~》

くそぅ!実態がないから一方的にやられてしまう!汚い流石女神さま汚い!

《私……汚くなんてないですよ?可憐に清楚に美しく!が女神の基本ですよ?》

(朝8時の美少女変身アニメみたいなこと言ってるなよ……おっきいお兄さん達が聞いたら怒り狂うぞ?)

《ふふっ……ところで、そろそろ寝ないと明日起きれないですよ?》

むっ!確かに!女神さまとの漫才に夢中になりすぎたな。

【リバイブ】っと部屋を直して……寝よ寝よー…………ごろん…………ごろん………… 



チュンチュン!チュンチュン!

「だぁぁぁ!緊張して寝れなかったぁぁ!」

くっそー!朝になったのを意識した途端に目蓋が重くなってきたよ……

仕方ない……顔でも洗って眼を覚まそう。

俺は眠気で重い体をなんとか起こして布団から這い出て洗面所へと向かう。

「眠み~……」ガチャ

「っ─────」

アンナだ~洗面所で裸で何やってんだろ~……

………………は!?裸!?

よく観察すれば髪は濡れ、肌には水滴がついている。
あぁ……風呂か……そうだよね……だってここ……

[風呂]兼洗面所な訳だから……

「雷斗さん……何時までも見てないで……さっさと出てってーーー!」

アンナの金切り声に意識が現実に戻ると

「あわわわわ!ごめんなさーーい!」

ドタドタと俺は慌てて洗面所から飛び出した。

その後直ぐにアンナは服を着て扉から出て来たので……
俺はすかさず飛び上がり
天井にぶつかるギリギリの高さまで上昇!
そこで華麗に一回転! 無駄に洗練された無駄のない動きで落下しながら技の体勢に入る!

そしてそのまま落下!頭を地面に打ち付けた!


「すまん!寝惚けてたんだ!」

「あの……」

俺の平身低頭覇が炸裂した余波でアンナは困惑している!今がチャンスだ!

「アンナ!お詫びと言ってはなんだが……今日俺とデートしてくれないだろうか!?」ミレーヌも一緒だが……とボソッと付け加える。

「いぁ?……あ……あ~?……はい……」

よし!混乱に乗じて言質を取ったぞ!

「ありがとう!それじゃあ朝食を取ったら皆で出掛けような!」

と言うだけ言って俺は洗面所に入り扉を閉めた。

「え?……皆で……えっ?」

と扉を隔てた廊下では未だに理解が追い付かないアンナが?顔で渋々リビングへと向かうのだった。

本日の朝食当番のアンナは平身低頭覇の衝撃からなんとか立ち直り、朝食のハムエッグとパンを用意。
それを三人で食べ、食後の紅茶を啜り……

「よし……アンナ!ミレーヌ!行くぞ~」

「は~い!雷斗様に着いて行きま~す!」
「はい。雷斗さんとお出かけですね!」

と俺は声を掛けて立ち上がり二人を促し街へと繰り出す。


その後俺たち三人は仲良く商店街で雑貨を見たり…マジックショップで魔法のアイテムを見たり…
露店で手作り感溢れるアクセサリーや串焼き等々買ったり食ったり。時に冷やかしたりして時間を潰し、軽く腹が減ってきたところで喫茶店に入店。
軽食を食べながら今日の収穫を見せ合ったり、今日の店を回った感想等を言い合ったりした。

そして教会へ向かい三人で祈りを捧げる。

「二人は何ってお祈りしたの?というか普通はお願い事とかって教会でするもんなの?」

「そうですね…お願い事をしたり懺悔したり…人によって様々ですね。ちなみに私はお願い事をしました」

「雷斗様!私も!私もお願い事しましたよ!」

「ほほう…二人ともなんてお願いしたのかな?」

俺が嬉しそうに笑顔でいる二人にそう聞いてみると───二人は顔を見合わせて頷き合い──

「「秘密です!」」

そう答えた二人は満面の笑みを俺に向けるのだった。

そして俺たちは街にある小高い丘の上へと移動して───


「ふぅ…夕焼けがキレイですね…」
「風が気持ちいい~」


二人は丘の端にある手すりに手を掛け目下に広がる…夕焼けに染まる街を眺めている。
その横顔は少し赤みを帯びている…夕焼けに照らされてそう見えているだけなのか、はたまたこの光景に恍惚としているのか───その横顔を見て───俺は…

「アンナ。ミレーヌ」と名前を呼べば二人は名前を呼んだ俺の方に顔を向け笑いかけてくる

俺は意を決してインベントリから小箱を2個取り出した。そして…
「二人に受け取ってもらいたい物があるんだ…」
と二人に近づき両手に1個ずつ握った箱を二人の前に差し出した。

「これは…?」
「雷斗様?」

「二人とも…これを受け取って欲しい…」と手渡す。

「雷斗さん…開けてもいいですか?」
「雷斗様…」

「……ああ」

俺の了承を得た二人は小箱を開けると驚きと喜びが混じった…そんな表情で小箱と俺を交互に見る。

ここまで来たら言うことは一つだろう…


「二人とも…俺と婚約して欲しい。その指輪は婚約の証として二人に受け取って欲しいんだ」

「っ────」
「雷斗──様───」

二人の瞳からは大粒の滴が…目尻から流れ頬を伝い地面へと吸い込まれるように滴り落ちる。
そんな二人の瞳を俺は指先で拭い…二人を両手で抱きしめ───

「すぐに結婚ってわけにはいかないが…今回のヤマが片付いたら…正式に教会で式を挙げよう。」

「はい…ぐすっ……はい!」
「嬉しいです……嬉しいです!雷斗様!」

三人はそれぞれの体温を…温もりを感じ合い…ひとしきり堪能した後

俺の腕を二人で仲良く取り屋敷へと帰るのだった───




《あの~…いい感じで終わろうとしてますけど~…》
(なんだよダ女神さま…いい感じに今日を終わろうと思ったのに…)

俺は布団の中に潜って今にも寝るところだったというのに…

《いえね…だって婚約ってなんですか!逃げ口上じゃないですか!!》
(ええ~…ちゃんとプロポーズしたじゃないか…何が不満なんだよ…)
《不満ですよ!私的にはその後教会にダッシュで戻って式を挙げる!まで考えていたんですよ!》

…こいつ面倒臭い…すごく面倒臭い…なんでこいつこんなに絡むんだよ…

《だって!結婚して式を挙げたら夜には初夜が待ってるんですよ!?一人ずつ抱くのも良し!二人同時に抱くのも良しですよ!?それなのに…それなのにぃ!このヘタレ!!もう今後は下手斗って呼びます!》

(なんか俺がすげー下手っぽく聞こえるから止めてーー!そりゃ経験値0だけど!)

《そんなことは知ってますよ!童貞でヘタレって!もうどうしようもないですよね!?そんな雷斗さんは絶対下手くそですよ!女神の私が保証しますよ!ふふ~んだ!》

(ぐおおおおお!そんな保証いらねえええええええええええ!女神さまのばかああああああ!)

俺は枕を涙で濡らしながら眠りに就くのだった───
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