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第0章

チュートリアル・女の子を強姦魔から救いだせ!

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バシューーーン!

光の柱が大地へと伸び、小さなミステリーサークルを作る。

光が消えた後には一人の少年が大地を踏みしめていた。
彼の名は[久世 雷斗]
善行の女神ポメリーによって祝福を受け、転送されてきた。


《無事異世界へ到着しました。どうです?何処か体などに異常はありませんか?》

頭の中に女神さまの声が聞こえる。

「女神さま、問題ありません!」

雷斗は口に出してそう答える。

《わざわざ口にださなくても、頭の中で思ってくれるだけで伝わりますから大丈夫ですよ。それに、私の声は他の人には聞こえないので、口に出して喋っていると、独り言がヒドイ人扱いされかねませんよ?》


おおう!それは危ない!周囲からの印象が悪くなってしまってはせっかくのチートが台無しになってしまう!

(わかりました!気を付けます!)


《今転送された場所は町近郊の街道沿いの草原になります、そこから町へと向かいましょう。》

女神さまの優しいアドバイス!
なるほど!ゲームで言うところのチュートリアルってやつだな!

(わかりました!)

俺は草原を抜け、テクテクと街道を歩く──

しばらく歩いた辺りで──

「きゃぁぁぁぁぁ!」

女の子の悲鳴が聞こえた!

(女神さま!今女の子の悲鳴が聞こえました!何かわかりませんか?)

《ええと…どうやら右前方、街道から外れた林の中で若い女の子が複数の男性に囲まれているようです。》

なんだって!それって──かなりマズいんじゃ!

(女神さま!俺が行ったらその女の子は助けられますか?)

と言いつつも既に俺は全力で駆け出していた!

おかしい…体が…軽い!地球ではとても出せないようなスピードで俺は街道を駆け抜ける!


《貴方は既に不死ですから、衰弱死以外では一切死にません、あと、身体能力も普通の人間とは比べ物にならない程強化されていますから──右前方!すぐ!》

女神さまから位置を教えてもらい──居た!
野党風の男共に囲まれた女の子が見えた!
俺はジャンプ一発!男共の囲いを飛び越え女の子の前へと躍り出た!
男共は突如空から降ってきた俺を見て驚き数歩ずつ後ろに下がる。

そこで俺は前口上を一発ぶちかます!

「お前ら!大の男が寄って集って女の子を襲うなんて──男の風上処か風下にすら置けん!恥を知れ!!」 


俺の口上にも怯まず男共は下卑た笑みを浮かべ俺を見る!と…

「テメーどっから湧いて出たのか知らねーが、とっとと失せれば命だけは見逃してやる!」

「げははは!」

「なんだガキじゃねーか!」

「帰ってママの乳でもしゃぶってな!」


囲っている男共が一斉に喋り、俺を恫喝する。

だが──

「お嬢さん、俺が来たからには安心して、すぐに助けてあげるからね!」

俺は男共を無視して女の子へと向き直り、安心させるため声をかける──その時、女の子の服へ眼が行ってしまった…
なぜなら女の子は上半身を剥かれたのか服はビリビリに破け、下半身も露出している…
これは…俺は間に合ったのだろうか…
俺は女の子へ着ていたジャケットを被せる──


「いつまでも俺達を無視してんじゃねーぞ小僧!」

一人の男が背後から俺の後頭部を殴り付ける──が、俺には一切効いていない!

「あれ…どうなってるんだ…?」

男共が狼狽えるが俺はお構いなしに女の子へと話しかける。

「すまない…俺がもう少し早く駆けつけていれば…取り敢えず今はそのジャケットで我慢してくれ!」

俺は男たちに向き直り──

「貴様ら!絶対に許さん!!」

俺は正面の男目掛け走る!

「なんだ!」
「消えた!」
「何処だ!」

男たちの慌てふためく声の中、正面の男を殴り付ける!

ガツン!

「ぶべろ!」

正面の男は木々を凪ぎ倒し吹き飛び動かなくなる。

(し…死んでませんよね…)

俺は悪人といえど、余りにも飛び過ぎたのでビックリして女神さまに聞いてみる。

《あばら骨が数本に腕と足が片方ずつ骨折していますが、残念ながら生きています》

(残念ながらって…)

俺は女神さまと脳内で会話しながら別の男を蹴り飛ばす。

「ぶらぱ!」

この蹴り飛ばした男も宙を高々と舞い地面に激突、体の各所が変な向きに曲がっている。

《そもそも、強姦魔は生きている価値もありません。殺して差し上げる事こそが世界への善行と言えるでしょう!》

うわあ…女神さまって結構価値観片寄ってるな…

っと思いながらも更に別の男を殴り、更に別の男を蹴り飛ばす。

《価値観なんて神によってそれぞれですよ。慈悲の女神辺りなら、殺さず改心させることが慈悲なのです!とか言いますけど…》

(あっ聞こえてましたか。これは申し訳ない)

思ったことがつい漏れてしまったらしい。

そんなやり取りの中、残り一人の男が

「てててテメー!ここここれ以上近づくと女の命はねーぞ!」

──しまった!女の子が人質に取られてしまった!


「貴様…どこまでも下衆な…」

俺の怒りは沸点を超え融解するLvに到達していた。

「死んで人生やり直せ!」

俺は今までよりも更に加速する!
男の背後へ高速で移動し、女の子を掴んでいる腕をひねりあげる。

「いて!いでででて!離せちくしょう!」

男は痛みに涙を浮かべながらも果敢に毒づいてくる。

「いいだろう、離してやるぞ!そら!」

俺は確かに離してやった──男の腕と───体を!

「うぎゃぁぁぁぁぁぁ!いでぇぇぇぇぇ!いでえよぉぉぉぉ」

男は失った手を拾い傷口に付けようとグリグリしている。

「おおおおおで…おでのうでかああああ」

どうやらパニックを起こしているのか正常な判断が出来ないらしい。

しかし…

「耳障りだ!消えろ!!」

「あじゃぱー!」

俺の拳は男の顔面にめり込み、男は地面をバウンドしながら飛んで行った。

《お疲れ様でした。当たり前ですが無事初戦を終えましたね》

女神さまはさも勝って当たり前と言わんばかりだが、これも女神さまのおかげ、感謝せねばなるまい。

(ありがとうございました。無事、女の子を助ける事ができました)

《どういたしまして。そんなことより、早く女の子へ声を掛けてあげてください、精神的に大変ショックを受けているはずです》

そうだった。俺は女神さまに促され、女の子に向き直る。

「怖かったよね?でももう大丈夫だよ!悪い奴等は全部倒したからね!」

女の子は呆然と俺を見上げて──緊張の糸が切れたのか涙が両の瞳から溢れてくる。

「ふえ…ふえ…ふえええええええん…怖かった…怖かったよぉ…」

顔をくしゃくしゃにして、大粒の涙を流す女の子の肩をそっと抱く──女の子は俺の胸に顔を埋めさらに大声で泣く。

「えええええん…ありがとう…ありがとう…えええええん…」

俺は女の子が泣き止むまでずっと…肩を抱き頭を撫でて待つのであった。
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