入れ替わった彼女

チャロコロ

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隠し事 2

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 尿意をもよおして眼が覚める。いつの間にか眠ってしまったみたいだ。
 窓越しに見える空は明るく光っていて、夜が明けていることを告げていた。
 トイレから戻る時にたまたま近くを通った看護師に声をかけたが、まだ佐々木の手術は終わっていないと言われた。
 堅いソファーの上で無理な姿勢で寝ていたせいか、頭痛はするし身体の節々から軽い痛みが伝わってきた。もう少し休みたかったが、病院に来る人数もみるみる増えてくる中でソファーで横になるのは憚られた。
 眠気覚ましのために自販機でホットコーヒーを買ってフタを開けたところで、
 「失礼ですが、本田さんですか?本田伊吹さん」
と、突然後ろから声をかけられた。
 振り返ると二人の男が立っていた。
 一人が50代くらいの白髪頭の男で、もう一人が三十歳くらいの若い男だ。
 年配の男は軽く頭を下げると警察手帳を見せた。
 やはりそうか、二人ともスーツを着ているがとても営業マンには見えない。
 鋭い目つきに、いかつい顔から発せれる酒やけしたような低くかすれた声は独特な雰囲気を感じとらせる。しかし、何で警察が私に?
 「そうですけど……」 
 私が驚きながら応えると、年配の刑事は深い皺を折り曲げて更に皺を深くして頭を掻いた。
 「私は木村と言います。こいつは伊藤です。突然お申し訳ありません。
  佐々木さんのことで少し訊きたいことがあるんですけど……、その、何かご存じないかなと思い まして」
 「何か……と言いますと?」
 「いえね、佐々木さんの怪我のことについてなんですけど、誰かに襲われただとか、最近仕事やプ ライベートでトラブルがあっただとか、何でもいいんですけど」
 「佐々木が……、怪我ですか?」
 言っている意味が理解できない。
 「そうです。それで手術を受けているんですから」
 木村と名乗った年配の刑事は当然と言った口調で話す。
 「はぁ……、佐々木って佐々木圭吾のことですか?」
 「ええ、もちろん」
 若い伊藤刑事が応える。
 「ははっ、あいつは昨日クラス会で飲み過ぎて体調を崩したんです。
  たぶん急性のアルコール中毒だと思いますよ」
 「そうですか……、ご存じないんですね?」
 「と……言うと?」
 木村刑事が頭を軽く掻きむしる。私に話をすべきか考えているのだろうか。
 「いえね……。正直、私達警察も分からない部分が多過ぎるんですよ。
  これが事件なのか事故なのか。それすら判明していない」
 「どういう怪我なんですか?」
 「佐々木さんの腹部には明らかに刺された傷があります」
 予想外の発言に、一瞬言葉を失った。
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