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西洋の街、ミゼラブル
しおりを挟む「そんなクエストはミゼラブルにはございません」
その言葉を聞いた瞬間、俺は王子の方を振り返った。
まさかあの王子が……
しかし王子も困惑した様子だった。
「まただ……」
「……だね。また……騙された」
初めは女の子2人組、今度は仮面2人組。もう訳が分からなかった。
何故だ?何故こんなに嘘をつかれる?
たまたまそういう人たちに当たっただけなのか?
それとも実は全員ホントのことを言ってて俺たちが理解してないだけ……?
でもそれだったらなんで本人たちはいない??
「アアア!もう訳分かんねぇ!!」
そんな俺を見て、王子が優しく背中に手を置いてくれた。
「とりあえずもう1組聞いてみない?」
「でも……」
「大丈夫!それがラスト1組にするから」
「分かった」
俺自身も何も対抗策が思いつかなかったので従うしか無かった。
「またパーティ館行く?」
「いや……」
様々な憶測が頭の中を駆け巡る。
その中にパーティ館という怪しい存在もあった。
パーティ館が諸悪の根源なのか?
「そこら辺の人に聞いてみよう」
だから俺たちは酒場を出てすぐ、歩いている2人組に話しかけた。
「あの~ちょっといいですか?」
「はい?何?」
「クリア条件を……」
これが最後だ。この人が親切なプレイヤーであってくれれば……
「あ~それね。クリア条件は……」
頼む……!!
俺たちは心の中で神に祈った。
「……200Lvに到達する事だよ」
……終わった……。
また違う情報だ。
しかも今回に関しては確実に嘘な雰囲気がする。
無限という凝ったゲームで2連続似たようなクリア条件な訳が無いからだ。
「俺たち今まであなた含めて3人に聞いてきたんですけど、全部違う答えが返ってきたんですけど」
もうどうしようもない。
三組への怒りをこいつらにぶつけた。
もうどうにでもなれと思っていた。
「……」
彼らの雰囲気が変わった。
「はっはっはっ」
彼らは不気味な笑いをして手を叩いた。
「はっはっはっ」「はっはっはっ」
周りにいた通行人もそれに呼応する様に何故か同じ笑いを浮かべて拍手する。
「はっはっはっ」「はっはっはっ」「はっはっはっ」
頭の中に不気味な笑いがぐるぐると駆け回る。
「はっはっはっ」「はっはっはっ」「はっはっはっ」
大合唱は止まらない。
街の全員が俺たちを見て嘲笑う。
その視線が2人の恐怖心をくすぶる。
俺の勘は間違ってなかった。
やはり俺たちはこいつら、いや違う。
この街に騙されてたんだ。
すると、話しかけた内の1人、目の前の男が手を叩きながら俺に近づき言い放った。
「はっはっはっ。俺たちNPCに散々騙されて、
オマエら惨めだなぁ~」
「ああああああああぁぁぁ」
ここは西洋の街ミゼラブル。
またの名を、レ・ミゼラブル。
--続く
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