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見慣れない街の様子、騙し

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酒場へ向かう途中、たくさんの人とすれ違う。

明らかにプレイヤーのような派手な格好の者やnpcなのかどちらか分からない素朴な格好の者もいる。
だが一見して今までの街の中で一番人が少ないように感じる。

攻略していって先に進んだからか……?
だったらこれから先はもっと減っていく……?

そうなってくるといよいよクリア自体が難しくなってくるのか。
今までのことを見てみると、ソロでクリアするのはほぼ不可能なものだった。
だからこそ仲間を作って攻略して来たのだが。
昔のひとりぼっちの俺に戻ってしまうのか……

「わん着いたよ」

周りの景色に夢中になっていると、もう既に酒場に着いていたようだ。

「じゃあ早速行きますか」

ミゼラブルの酒場の看板娘、アンジュに俺たち4人は話しかけに行った。

ん?4人?

前を見ても横を見ても後ろを見ても、俺と王子しかいない。

「あれ?ハナとユイは?」

王子も気づかなかったようで戸惑った様子で2人を探す。

が、どこにもいない。

なんだったら酒場の中には客はおろかアンジュしかいない。

どうなってる…

とりあえずアンジュに話しかけクエストの詳細を聞くことにした。

2人はどっか迷ったりしたんだろ。
いずれ来ると信じてアンジュの話を聞く。

「はい?もう一度仰ってください」
「いやだからオハナビラの採集クエストに行きたいんだけど」
「あの~本当に申し上げにくいのですが……」

アンジュは俺らの目を見て話した。

「あなた方が仰ったという素材は無限にはないんです。だからそれの採集クエストなんてものもありません」

え、でもあの2人が採集クエストやろうって……
まさか……!?

「……騙された」
「え?」
「俺たちはあの2人にまんまとしてやられたんだよ!?」

2人はこの場におらず確実に嘘をつかれている。
騙されたと言えるほど証拠は集まっていた。

「そういえばパーティの登録は誰がした?」
「それはハナが……」

くそっそれもか!?
完全に振り出しに戻ってしまった。
パーティ登録も無し。街のクリア条件も嘘っぱち。
なんの時間だったんだよ。

「やられた……!!」
「ほんとになんなの……」

俺たちはどこに向けたらいいのか分からない怒りをただ胸の内に押しとどめた。
ただ1つ、ハナとユイに対しての復讐心だけを残して。






「兄ちゃん…あの人たち……」
「あぁ……遂に見つけた…これで俺達も……」

そんな俺たちを影で眺める姿が2人。
彼女たちは額から汗を流して拳を握りしめた。

「……やっとクリア出来るぞ……!」

--続く
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