上 下
16 / 52

いざ、次の街へ

しおりを挟む
目が覚めると、そこは森の中だった。
まだ視界がボヤけている。
何だ?今…何が起きた?
頭痛の治まらぬ中、必死に記憶を遡る。

……そうだ…俺はショウに言われて木の下を……

後ろを振り返るとあの大きな木があった。
が、俺が掘ったはずの大きな穴はどこにも見当たらなかった。
状況があまり理解出来ないがこれだけは言える。
俺はショウに騙されたんだ。

「おっと…!」

視界の右上に電話マークが表示された。
カタナからの着信のようだ。

「あ~もしもし?カタナです」
「…もしもし……どうした?」
「…いやお前がどうした?俺はもうイクシードに着いてるかな?って思ってフレンド同士になると通話できるから電話したんだけど」

「ショウに騙された。リスポーン地点にある木の下だって言われたのに全然行けなかった」
「そうか…お前は嫌かもしれないけどそんなに落ち込んでるならイクシードの行き方教えてやろうか?」

俺は迷った。
正直まだ放心状態だ。
今の状態で行き方を探す気力は無いように見える。
だが、俺の信条に反する……

「……いや…」

そこまで言葉が出たところで頭にあの血涙を流した少女を思い出した。
 
「……お願いしたい」

早くこんな所離れたくて咄嗟に出た言葉だった。

「分かった。イクシードへはその木の上を探したら行けるよ。だからそのショウって奴あながち悪い奴でもなさそうだぞ?単純に了が聞き間違えたとか」

言われてみたらそんな気もする。
ショウは俺を騙した訳では無い…のか?

「…分かった。ありがとう奏多」
「全然全然!ていうかその木の下とか掘ってもなんも無いだろw何時間くらい掘ってたんだ?」

ん?奏多はあの少女を知らない…のか?
プレイ時間1000時間をゆうに超えるガチのプレイヤーだぞ?
俺をおちょくってんのか?
それともホントに知らないのか?

だったらあの子は……




"何"だ?

「…全然ちょっとだよ…あの…奏多さ…ちなみに無限で血涙を流した少女って知ってるか?」
「んにゃ?全然聞いたことないけどそれがなんかあるのか?」

声色から嘘は感じられない。
だったらいよいよあれは……

「冗談だよ!ありがとう奏多!また一緒に遊ぼ!」
「おう!いつでも頼ってくれ!」

通話が終わり、俺は木の上を眺めた。
あの少女についてはこれからクリアしていくに連れていずれ分かるだろう。
今は次の街に行く事が先だ。
俺は木に手を掛けた。

歴戦の傷なのか、少し凹みがあるのでそこまで苦労せずに登っていける。
葉っぱや木の枝をかき分けどんどん登っていく。
道中木の幹にとある文字が刻まれていた。

『頂上から飛び降りろ
さすれば次の街に辿り着かん』

なるほどね。つまり頂上に登れと言う訳か。
どんどん俺は登っていく。
そして遂に頂上へ辿り着いた。

そこからはアイロニーが一望出来る。
いわゆる絶景だった。


無限を初めて改めて神ゲーだと思える要素が沢山あった。
グラフィックやプレイヤー同士の交流、上げだしたらキリがない。
そして謎も沢山残っている。
ショウは一体何だったのか、終わらない神ゲーとは何なのか、あの少女は……
この先続けていけばいずれ分かるだろう。
俺は期待に胸を膨らませた。

さ!行きますか!

俺は地面に向かって大の字になり飛び降りた。

--続く
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

VRMMOを引退してソロゲーでスローライフ ~仲良くなった別ゲーのNPCが押しかけてくる~

オクトパスボールマン
SF
とある社会人の男性、児玉 光太郎。 彼は「Fantasy World Online」というVRMMOのゲームを他のプレイヤーの様々な嫌がらせをきっかけに引退。 新しくオフラインのゲーム「のんびり牧場ファンタジー」をはじめる。 「のんびり牧場ファンタジー」のコンセプトは、魔法やモンスターがいるがファンタジー世界で スローライフをおくる。魔王や勇者、戦争など物騒なことは無縁な世界で自由気ままに生活しよう! 「次こそはのんびり自由にゲームをするぞ!」 そうしてゲームを始めた主人公は畑作業、釣り、もふもふとの交流など自由気ままに好きなことをして過ごす。 一方、とあるVRMMOでは様々な事件が発生するようになっていた。 主人公と関わりのあったNPCの暗躍によって。 ※ゲームの世界よりスローライフが主軸となっています。 ※是非感想いただけると幸いです。 ※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

40代(男)アバターで無双する少女

かのよ
SF
同年代の子達と放課後寄り道するよりも、VRMMOでおじさんになってるほうが幸せだ。オープンフィールドの狩りゲーで大剣使いをしているガルドこと佐野みずき。女子高生であることを完璧に隠しながら、親父どもが集まるギルドにいい感じに馴染んでいる…! ひたすらクエストをやりこみ、酒場で仲間と談笑しているおじさんの皮を被った17歳。しかし平穏だった非日常を、唐突なギルドのオフ会とログアウト不可能の文字が破壊する! 序盤はVRMMO+日常系、中盤から転移系の物語に移行していきます。 表紙は茶二三様から頂きました!ありがとうございます!! 校正を加え同人誌版を出しています! https://00kanoyooo.booth.pm/ こちらにて通販しています。 更新は定期日程で毎月4回行います(2・9・17・23日です) 小説家になろうにも「40代(男)アバターで無双するJK」という名前で投稿しています。 この作品はフィクションです。作中における犯罪行為を真似すると犯罪になります。それらを認可・奨励するものではありません。

性転換タイムマシーン

廣瀬純一
SF
バグで性転換してしまうタイムマシーンの話

Select Life Online~最後にゲームをはじめた出遅れ組

瑞多美音
SF
 福引の景品が発売分最後のパッケージであると運営が認め話題になっているVRMMOゲームをたまたま手に入れた少女は……  「はあ、農業って結構重労働なんだ……筋力が足りないからなかなか進まないよー」※ STRにポイントを振れば解決することを思いつきません、根性で頑張ります。  「なんか、はじまりの街なのに外のモンスター強すぎだよね?めっちゃ、死に戻るんだけど……わたし弱すぎ?」※ここははじまりの街ではありません。  「裁縫かぁ。布……あ、畑で綿を育てて布を作ろう!」※布を売っていることを知りません。布から用意するものと思い込んでいます。  リアルラックが高いのに自分はついてないと思っている高山由莉奈(たかやまゆりな)。ついていないなーと言いつつ、ゲームのことを知らないままのんびり楽しくマイペースに過ごしていきます。  そのうち、STRにポイントを振れば解決することや布のこと、自身がどの街にいるか知り大変驚きますが、それでもマイペースは変わらず……どこかで話題になるかも?しれないそんな少女の物語です。  出遅れ組と言っていますが主人公はまったく気にしていません。      ○*○*○*○*○*○*○*○*○*○*○  ※VRMMO物ですが、作者はゲーム物執筆初心者です。つたない文章ではありますが広いお心で読んで頂けたら幸いです。  ※1話約2000〜3000字程度です。時々長かったり短い話もあるかもしれません。

Bless for Travel ~病弱ゲーマーはVRMMOで無双する~

NotWay
SF
20xx年、世に数多くのゲームが排出され数多くの名作が見つかる。しかしどれほどの名作が出ても未だに名作VRMMOは発表されていなかった。 「父さんな、ゲーム作ってみたんだ」 完全没入型VRMMOの発表に世界中は訝、それよりも大きく期待を寄せた。専用ハードの少数販売、そして抽選式のβテストの両方が叶った幸運なプレイヤーはゲームに入り……いずれもが夜明けまでプレイをやめることはなかった。 「第二の現実だ」とまで言わしめた世界。 Bless for Travel そんな世界に降り立った開発者の息子は……病弱だった。

戦闘職をしたくてVRMMOを始めましたが、意図せずユニークテイマーという職業になったので全力でスローライフを目指します

地球
ファンタジー
「え?何この職業?」 初めてVRMMOを始めようとしていた主人公滝沢賢治。 やろうと決めた瞬間、戦闘職を選んでいた矢先に突然出てきた職業は【ユニークテイマー】だった。 そのゲームの名はFree Infinity Online 世界初であるフルダイブ型のVRゲームであり、AIがプレイヤーの様子や行動を把握しイベントなどを考えられるゲームであった。 そこで出会った職業【ユニークテイマー】 この職業で、戦闘ではなくてスローライフを!! しかし、スローライフをすぐにはできるわけもなく…?

[恥辱]りみの強制おむつ生活

rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。 保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。

処理中です...