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22 躊躇い。
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ユノちゃんからナイスアイディアを頂き、魔獣達が待つ中庭へ行き。
《確かに性行為は性行為だが》
『まぁ、確かにそれでも可能だけど』
「嫌なら引き下がってくれて構いませんよ?」
コイツら、競ったとは言ってるけど。
単に談合しただけじゃ。
「どちらも初物ですので、ご相談なさって下さい、はいどうぞ」
初物に価値が有るかは分からないけれど、念の為。
《可及的速やかに決める、暫く休んでいてくれ》
『だね』
「今日中には決まる筈だから、また後でね」
やっぱり談合か。
けどまぁ、血で血を洗うよりは良いか。
「はい、では」
さぁ、後はレオンハルト氏とルーイ氏に。
《ネネ様》
「はい、何でしょうカイル様」
何だろうか、この間は。
《もし、ルーイ様を、諦めさせて頂きたいと》
「あ、良いですよ、けど褒賞は下さいね」
《いや、もしもの》
「あ、先日はありがとうございました、そうした事は遠慮なさらないで下さい。さ、急いで戻りましょう」
皇太子妃になる位なら、全然、レオンハルト氏の方がマシだし。
それに加えて何か庇護が有るならもう、文句無し。
《あの》
「ユノちゃーん、立ち合いお願い」
《はいはーい》
事情は聞かせて貰ったけど。
カイルさん、凄い困ってる。
多分、少しカマかけしたかっただけだよね。
《あの、俺としては》
「分かりますよ、礼儀作法に貴族のあしらい方も知って無いと、皇太子妃なんて無理ですもんね」
《いや、そうした事は》
「あぁ、勿論皇太子妃教育的な事は有る、と」
《はい、ですが》
「大変そうですもんね、しかもコチラは非処女ですし」
あ、コレ、ネネちゃん何とか言質を取ろうとしてるのかな。
《その事については》
「いえ、良いんです、仕方の無い事ですから」
うーん、どっちか分からないなぁ。
《あの》
「あ、そうだ、折角だし2号ちゃんへ試しに皇太子妃教育をお願いします。当事者では分からない事、判断が難しい事も観察出来ますし、意外と良い子かも知れませんし」
《それは確かに、良いかも》
あ、やっちゃった。
カイルさんに助け舟を出そうと思ってたのに。
《少し、お待ち下さい》
「はい喜んで」
カイルさんが出て行ってから、ネネちゃんの真意を聞く事に。
《ネネちゃん?》
「ん?」
《ワザと?》
「もし向こうが本気じゃなかったとしても、折角だし、この機会を逃すまいと押してみた」
《凄い困ってたよ?》
「まぁ、覚悟の上でしょう」
《あぁ、ぅうん》
「でも、見てみたくない?皇太子妃教育」
《うん、そこは興味有るし、篩い分けには良いとは思うけど》
「私でも出来るかも知れない、と思ってくれるかも知れない、と向こうにとってもそうした良い機会にはなるんだし。見極めと言うか、お互いを見直すにも良い機会だと思うんだよね」
《まぁ、あ、そう言えばどうだった?》
「検討するって」
《そっかー》
「もう、オスで生きようかな」
《あー、分かる、コレからも向こうでは男で生きたい位だもん》
「そんなに良かった?」
《うん、どっちも良かった》
「どっちも?」
《うん、もう、マジでヤバい》
「えっ、初回で良くなれるモノなの?」
《そうした道具とか使って貰ったけど、良いセンスしてるって》
「おぉ、満喫しまくってる」
《何かさ、男の人が1人に決められない理由が、少し分かった気がする》
「そんなに」
《慣れたら女の人も良くなるらしいけど、そこは男の方が良いらしいよ》
「成程」
《蛇さんって、どんな生殖器なんだろうね》
「あぁ、爬虫類だもんね、そっか」
《野生動物で凄いのが居るんだって、こう……》
そしてユノちゃんと共に書庫へ行き、魔獣や動物図鑑を読もうとしたんだけど。
先約が既に居た、2号ちゃん。
「あの距離、私無理だわ」
《分かる、居心地悪いよね、友達でも近いなって思う距離感だし》
「国外ではどうだった?」
《更に近いからキツい、分かってててもね。それに、そう警戒しないで大丈夫、とか言われてキスされて泣いてた子とか居るし》
「ぅへぁ」
《あんまり男友達が居なかったって言ってたけど、そこじゃない気がするんだよねぇ》
「居ても居なくても無理な距離だと思うんだけど」
《だよねぇ、良く分かんないんだそこら辺の理屈、まさか本当にされるだなんて思わなかったって》
「ヤれれば良い生き物だって知らないのかな」
《一応、彼氏は居たらしいけど、どうなんだろ》
「そう拒絶し過ぎるのも失礼かな、とか?」
《あー、かも、押し売りに弱い子だったし》
「線引が苦手系女子」
《そして益々草食系になる男子》
「でもアイツらの半分は淫獣」
《あー、溜まったら頭にまで溜まるって言うし、そこも試してみたいよね》
「好奇心旺盛」
《殺されそうも無い事は全力で探求します》
「確かに、ココだと知らない方が怖いしね」
《本当、忘れてついうっかり、踏み込みそうになっちゃうもん》
「そう考えると、貴族と庶民って階級制度は良いのかもね」
《確かにそうかも、明かせないのは立場の差ですよって事で線引き出来るし、差が有る事より差のせいで誰かが困るのが悪いんだし》
「でもなぁ、階級制度が無い場所と時代で生きてたからか、何が悪いのか分からないんだよね」
《上手く機能してる様に見えるもんね》
「一般人に紛れて過ごしてみないと、分からない気が」
《あ、魔法で変装出来る様になったよ》
「おぉ、良いんですか、赤の他人に明かしちゃって」
《兄弟の盃交わす?》
「任侠映画、懐かしいなぁ、お爺さんが好きだった」
《分かる、ウチのお爺ちゃんも、女優さん綺麗だしね》
2号ちゃん、清楚系は清楚系なんだけど。
こう、距離感とか振る舞いが非清楚系でちょっと、レオンハルト殿下が気圧されてて。
「本当、何か、可哀想だなぁ」
《どっちもね、もう行こうか、本は部屋に運んで来て貰おう》
「ですね」
カイルから緊急事態だ、と。
念の為にと、ネネに誘い水を向けたら、全力で誘いに乗られてしまったらしい。
《はぁ、カイル》
《申し訳御座いませんでした》
《いや、今しか無いと思ったんだろう、魔獣達の加護が付く前にと》
《はい、申し訳御座いませんでした》
《もう少し先でも良かったんだけれど、確かに良い案は案だね》
《皇太子妃教育の事でしょうか》
《両者を試すには良い材料になる、幸いと言うべきか、未だに2号は無難な態度を取り続けているし。このまま皇太子妃教育を、君の主導で行って貰うよ》
《ですが俺は、そうした教育は》
《だからこそ、だよ》
不慣れな男の方が好きな女も居る。
それにネネが男の中で1番に心を開いているのは、カイルだ、彼にネネを落とす気は最初から無かった。
彼はそうした教育は一切受けていない、そうした事も、ネネには察する事が出来たのかも知れない。
《畏まりました》
ネネちゃんと動物図鑑を読んでるんだけど。
蛇って、2本なんだ。
《2本、お得だね》
「いや、あぁ、うん?」
《ほら女の子だったら》
「あぁ、ぁあ?」
続いて狐を調べてみると。
《このコブって、何か痛そう》
「確かに」
《けど、妖精さんって、どうするんだろうね?》
「本当に、どう、するんだろう」
安易な名付けになっちゃったけど、ウチのハニーちゃんを、ネネちゃんが強い眼差しで凝視してる。
結構、表情豊かなんだよねネネちゃん。
『あ、あのね、言わないでって言われているから、ごめんね?』
成程、仲間じゃないとは言ってたけど、同族だもんね。
《教えられないって》
「お楽しみに?とっておきます」
《もう覚悟出来てるの?》
「まぁ、1回だけだし」
それ、本当にそうなるのかな。
私も1回だけのつもりだったのに、何度もしちゃったし、しかも男同士だともう。
あ、ノックだ、誰だろ。
『すまない、書庫に来ていたと聞いて、少し訪ねさせて貰ったんだが』
「お疲れ様です」
《本当、お疲れ様、彼女は今はどうしてるの?》
『あぁ、カイルに引き継いだ、皇太子妃教育を受ける気でいるらしい』
「マジかよ、凄いな」
《どんなモノか想像してるか聞いてくれてる?》
『あぁ、念の為にどう考えているのかも、カイルに任せた』
「お疲れ様でした、暫く解放されそうですね」
『あぁ、コレでやっと通常の仕事に戻れる』
《向こうさん、そこへの気遣いは?》
何だろう、この間。
『いや』
「あぁ、残念な子ポイントが貯まっていく」
《ほら、まだ不安な時期だろうし、ね?》
「いや3日で婚約者気取りは、まさか殿下、何か」
『いや、俺は何も』
《冗談ですってもう、ココの中庭で日向ぼっこしてて大丈夫ですかね?》
『あぁ、間違っても離宮には来れない様にしてある』
《じゃあ、失礼しまーす》
ユノが出て行くなり、ネネに話したい事が有ると言われ、侍女の目の前で結界を張ると。
「先ずですね、対価に性行為は」
『そんな事を要求されたのか』
「あ、珍しいですかね」
『いや、だがコチラ側の価値観を理解し、対価を要求するのが本来だ。確かに能力は高いかも知れないが、だからと言って使い勝手が良いとは限らない。君は本当に妥当だと、いや、分からないか』
「ですね」
『俺の能力は』
「いえ、コチラが開示します、これ以上重要機密を知りたくないので」
『それならルーイでも』
「いえ、対策を講じられたくないので、アナタだけに知って貰いたい。そして、どう足掻いても皇太子妃となってしまうか、彼が廃嫡され様と画策した場合、最悪はアナタに娶って貰おうかと」
彼女は、これだけ皇太子妃とは如何に難しいモノなのかを理解し、こうして拒絶し続けている。
けれど、俺を受け入れたワケでも、俺を好いているワケでも無い。
追い詰められ、仕方無く俺と結婚する事を呑むかも知れない、と。
その事が、どうしても気になってしまう。
『敢えて本題から逸れた事を言う、出来るなら好いて欲しい』
「ココの貴族はそんなに愚かですか」
『力関係を均等に保つ為、賢い者は敢えて王族とは繋がりを持とうとはしない場合も有る、俺の場合は程々の者をと。しかも、年が下なんだ』
「ウチの世界では寧ろ大喜びする男性が大半かと」
『妹が居るんだ、外見も中身も幼い者は、ハッキリ言って無理なんだ』
「あぁ、で私は最初ダメだったワケですね」
『それも、有る、だが殆どは君と同様に警戒心だ』
「実はこう、年齢を偽ってたりとか」
『君は確実に18を超えているとユノも確信を持って言っていた、それに中身も十分に成熟していると、俺も思う』
「そう心変わりをしたワケですね、本題に戻って頂いても宜しいですかね、安定を得ねば好意も何も湧き出ないかと」
『あぁ、すまなかった。本題に戻ろう、君の能力は言わない』
「約束を違えた場合、何か罰や、約束を守らせる魔法は無いですか」
『ゲッシュだな、神々に宣言し、破れば罰を受ける事になる』
「もし命が奪われる様なら言っても構いませんが」
『宣言する、ネネが望まぬ者に能力を明かしてしまった場合、声を失う罰を受け入れると誓います』
「何ですか、その、額の模様は」
『宣誓が受け入れられた証しだ』
「声って結構大事ですからね?」
『あぁ、だからこそだ、信じて欲しい』
労いなのか、彼女は手に口付ける事を許してくれた。
このまま触れられていたなら、どんなに良いだろうか。
「向こうでは、初恋は叶わないと言いますが」
『コチラでは長続きはしない、とされているが、単なるやっかみだと思っている』
「成程、では欲している能力を挙げます」
『あぁ、心して聞こう』
《確かに性行為は性行為だが》
『まぁ、確かにそれでも可能だけど』
「嫌なら引き下がってくれて構いませんよ?」
コイツら、競ったとは言ってるけど。
単に談合しただけじゃ。
「どちらも初物ですので、ご相談なさって下さい、はいどうぞ」
初物に価値が有るかは分からないけれど、念の為。
《可及的速やかに決める、暫く休んでいてくれ》
『だね』
「今日中には決まる筈だから、また後でね」
やっぱり談合か。
けどまぁ、血で血を洗うよりは良いか。
「はい、では」
さぁ、後はレオンハルト氏とルーイ氏に。
《ネネ様》
「はい、何でしょうカイル様」
何だろうか、この間は。
《もし、ルーイ様を、諦めさせて頂きたいと》
「あ、良いですよ、けど褒賞は下さいね」
《いや、もしもの》
「あ、先日はありがとうございました、そうした事は遠慮なさらないで下さい。さ、急いで戻りましょう」
皇太子妃になる位なら、全然、レオンハルト氏の方がマシだし。
それに加えて何か庇護が有るならもう、文句無し。
《あの》
「ユノちゃーん、立ち合いお願い」
《はいはーい》
事情は聞かせて貰ったけど。
カイルさん、凄い困ってる。
多分、少しカマかけしたかっただけだよね。
《あの、俺としては》
「分かりますよ、礼儀作法に貴族のあしらい方も知って無いと、皇太子妃なんて無理ですもんね」
《いや、そうした事は》
「あぁ、勿論皇太子妃教育的な事は有る、と」
《はい、ですが》
「大変そうですもんね、しかもコチラは非処女ですし」
あ、コレ、ネネちゃん何とか言質を取ろうとしてるのかな。
《その事については》
「いえ、良いんです、仕方の無い事ですから」
うーん、どっちか分からないなぁ。
《あの》
「あ、そうだ、折角だし2号ちゃんへ試しに皇太子妃教育をお願いします。当事者では分からない事、判断が難しい事も観察出来ますし、意外と良い子かも知れませんし」
《それは確かに、良いかも》
あ、やっちゃった。
カイルさんに助け舟を出そうと思ってたのに。
《少し、お待ち下さい》
「はい喜んで」
カイルさんが出て行ってから、ネネちゃんの真意を聞く事に。
《ネネちゃん?》
「ん?」
《ワザと?》
「もし向こうが本気じゃなかったとしても、折角だし、この機会を逃すまいと押してみた」
《凄い困ってたよ?》
「まぁ、覚悟の上でしょう」
《あぁ、ぅうん》
「でも、見てみたくない?皇太子妃教育」
《うん、そこは興味有るし、篩い分けには良いとは思うけど》
「私でも出来るかも知れない、と思ってくれるかも知れない、と向こうにとってもそうした良い機会にはなるんだし。見極めと言うか、お互いを見直すにも良い機会だと思うんだよね」
《まぁ、あ、そう言えばどうだった?》
「検討するって」
《そっかー》
「もう、オスで生きようかな」
《あー、分かる、コレからも向こうでは男で生きたい位だもん》
「そんなに良かった?」
《うん、どっちも良かった》
「どっちも?」
《うん、もう、マジでヤバい》
「えっ、初回で良くなれるモノなの?」
《そうした道具とか使って貰ったけど、良いセンスしてるって》
「おぉ、満喫しまくってる」
《何かさ、男の人が1人に決められない理由が、少し分かった気がする》
「そんなに」
《慣れたら女の人も良くなるらしいけど、そこは男の方が良いらしいよ》
「成程」
《蛇さんって、どんな生殖器なんだろうね》
「あぁ、爬虫類だもんね、そっか」
《野生動物で凄いのが居るんだって、こう……》
そしてユノちゃんと共に書庫へ行き、魔獣や動物図鑑を読もうとしたんだけど。
先約が既に居た、2号ちゃん。
「あの距離、私無理だわ」
《分かる、居心地悪いよね、友達でも近いなって思う距離感だし》
「国外ではどうだった?」
《更に近いからキツい、分かってててもね。それに、そう警戒しないで大丈夫、とか言われてキスされて泣いてた子とか居るし》
「ぅへぁ」
《あんまり男友達が居なかったって言ってたけど、そこじゃない気がするんだよねぇ》
「居ても居なくても無理な距離だと思うんだけど」
《だよねぇ、良く分かんないんだそこら辺の理屈、まさか本当にされるだなんて思わなかったって》
「ヤれれば良い生き物だって知らないのかな」
《一応、彼氏は居たらしいけど、どうなんだろ》
「そう拒絶し過ぎるのも失礼かな、とか?」
《あー、かも、押し売りに弱い子だったし》
「線引が苦手系女子」
《そして益々草食系になる男子》
「でもアイツらの半分は淫獣」
《あー、溜まったら頭にまで溜まるって言うし、そこも試してみたいよね》
「好奇心旺盛」
《殺されそうも無い事は全力で探求します》
「確かに、ココだと知らない方が怖いしね」
《本当、忘れてついうっかり、踏み込みそうになっちゃうもん》
「そう考えると、貴族と庶民って階級制度は良いのかもね」
《確かにそうかも、明かせないのは立場の差ですよって事で線引き出来るし、差が有る事より差のせいで誰かが困るのが悪いんだし》
「でもなぁ、階級制度が無い場所と時代で生きてたからか、何が悪いのか分からないんだよね」
《上手く機能してる様に見えるもんね》
「一般人に紛れて過ごしてみないと、分からない気が」
《あ、魔法で変装出来る様になったよ》
「おぉ、良いんですか、赤の他人に明かしちゃって」
《兄弟の盃交わす?》
「任侠映画、懐かしいなぁ、お爺さんが好きだった」
《分かる、ウチのお爺ちゃんも、女優さん綺麗だしね》
2号ちゃん、清楚系は清楚系なんだけど。
こう、距離感とか振る舞いが非清楚系でちょっと、レオンハルト殿下が気圧されてて。
「本当、何か、可哀想だなぁ」
《どっちもね、もう行こうか、本は部屋に運んで来て貰おう》
「ですね」
カイルから緊急事態だ、と。
念の為にと、ネネに誘い水を向けたら、全力で誘いに乗られてしまったらしい。
《はぁ、カイル》
《申し訳御座いませんでした》
《いや、今しか無いと思ったんだろう、魔獣達の加護が付く前にと》
《はい、申し訳御座いませんでした》
《もう少し先でも良かったんだけれど、確かに良い案は案だね》
《皇太子妃教育の事でしょうか》
《両者を試すには良い材料になる、幸いと言うべきか、未だに2号は無難な態度を取り続けているし。このまま皇太子妃教育を、君の主導で行って貰うよ》
《ですが俺は、そうした教育は》
《だからこそ、だよ》
不慣れな男の方が好きな女も居る。
それにネネが男の中で1番に心を開いているのは、カイルだ、彼にネネを落とす気は最初から無かった。
彼はそうした教育は一切受けていない、そうした事も、ネネには察する事が出来たのかも知れない。
《畏まりました》
ネネちゃんと動物図鑑を読んでるんだけど。
蛇って、2本なんだ。
《2本、お得だね》
「いや、あぁ、うん?」
《ほら女の子だったら》
「あぁ、ぁあ?」
続いて狐を調べてみると。
《このコブって、何か痛そう》
「確かに」
《けど、妖精さんって、どうするんだろうね?》
「本当に、どう、するんだろう」
安易な名付けになっちゃったけど、ウチのハニーちゃんを、ネネちゃんが強い眼差しで凝視してる。
結構、表情豊かなんだよねネネちゃん。
『あ、あのね、言わないでって言われているから、ごめんね?』
成程、仲間じゃないとは言ってたけど、同族だもんね。
《教えられないって》
「お楽しみに?とっておきます」
《もう覚悟出来てるの?》
「まぁ、1回だけだし」
それ、本当にそうなるのかな。
私も1回だけのつもりだったのに、何度もしちゃったし、しかも男同士だともう。
あ、ノックだ、誰だろ。
『すまない、書庫に来ていたと聞いて、少し訪ねさせて貰ったんだが』
「お疲れ様です」
《本当、お疲れ様、彼女は今はどうしてるの?》
『あぁ、カイルに引き継いだ、皇太子妃教育を受ける気でいるらしい』
「マジかよ、凄いな」
《どんなモノか想像してるか聞いてくれてる?》
『あぁ、念の為にどう考えているのかも、カイルに任せた』
「お疲れ様でした、暫く解放されそうですね」
『あぁ、コレでやっと通常の仕事に戻れる』
《向こうさん、そこへの気遣いは?》
何だろう、この間。
『いや』
「あぁ、残念な子ポイントが貯まっていく」
《ほら、まだ不安な時期だろうし、ね?》
「いや3日で婚約者気取りは、まさか殿下、何か」
『いや、俺は何も』
《冗談ですってもう、ココの中庭で日向ぼっこしてて大丈夫ですかね?》
『あぁ、間違っても離宮には来れない様にしてある』
《じゃあ、失礼しまーす》
ユノが出て行くなり、ネネに話したい事が有ると言われ、侍女の目の前で結界を張ると。
「先ずですね、対価に性行為は」
『そんな事を要求されたのか』
「あ、珍しいですかね」
『いや、だがコチラ側の価値観を理解し、対価を要求するのが本来だ。確かに能力は高いかも知れないが、だからと言って使い勝手が良いとは限らない。君は本当に妥当だと、いや、分からないか』
「ですね」
『俺の能力は』
「いえ、コチラが開示します、これ以上重要機密を知りたくないので」
『それならルーイでも』
「いえ、対策を講じられたくないので、アナタだけに知って貰いたい。そして、どう足掻いても皇太子妃となってしまうか、彼が廃嫡され様と画策した場合、最悪はアナタに娶って貰おうかと」
彼女は、これだけ皇太子妃とは如何に難しいモノなのかを理解し、こうして拒絶し続けている。
けれど、俺を受け入れたワケでも、俺を好いているワケでも無い。
追い詰められ、仕方無く俺と結婚する事を呑むかも知れない、と。
その事が、どうしても気になってしまう。
『敢えて本題から逸れた事を言う、出来るなら好いて欲しい』
「ココの貴族はそんなに愚かですか」
『力関係を均等に保つ為、賢い者は敢えて王族とは繋がりを持とうとはしない場合も有る、俺の場合は程々の者をと。しかも、年が下なんだ』
「ウチの世界では寧ろ大喜びする男性が大半かと」
『妹が居るんだ、外見も中身も幼い者は、ハッキリ言って無理なんだ』
「あぁ、で私は最初ダメだったワケですね」
『それも、有る、だが殆どは君と同様に警戒心だ』
「実はこう、年齢を偽ってたりとか」
『君は確実に18を超えているとユノも確信を持って言っていた、それに中身も十分に成熟していると、俺も思う』
「そう心変わりをしたワケですね、本題に戻って頂いても宜しいですかね、安定を得ねば好意も何も湧き出ないかと」
『あぁ、すまなかった。本題に戻ろう、君の能力は言わない』
「約束を違えた場合、何か罰や、約束を守らせる魔法は無いですか」
『ゲッシュだな、神々に宣言し、破れば罰を受ける事になる』
「もし命が奪われる様なら言っても構いませんが」
『宣言する、ネネが望まぬ者に能力を明かしてしまった場合、声を失う罰を受け入れると誓います』
「何ですか、その、額の模様は」
『宣誓が受け入れられた証しだ』
「声って結構大事ですからね?」
『あぁ、だからこそだ、信じて欲しい』
労いなのか、彼女は手に口付ける事を許してくれた。
このまま触れられていたなら、どんなに良いだろうか。
「向こうでは、初恋は叶わないと言いますが」
『コチラでは長続きはしない、とされているが、単なるやっかみだと思っている』
「成程、では欲している能力を挙げます」
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