14 / 100
14 招待状。
しおりを挟む
立食会は良い試金石になったらしく、2号ちゃんに大量の招待状が届いた。
『これら全てが、近衛や皇族が警戒している家の物だ』
「あー、寧ろマトモなのは」
『コレだけだが、かなり日付が遠い』
《要するに社交辞令だね》
《おぅ、何て良い釣り餌》
「撒き餌効果効き過ぎ」
《2人の場合、2人一緒に招く招待状がマトモ、単独での招待はどの道受けさせないからね》
「うん、こうして後ろ盾無しの方が試金石になれるワケだし、サンキュー2号ちゃん」
《アレ着てたらね、まさに殿下のってなってただろうしね》
今回の件で、この国への評価がかなり上がった。
2人を嗾けたのは、コチラを見極める為だけでは無く、多分殿下の為。
しかも市井での治安の良さは本物らしく、2回目に食材を見に行った時も、特に騒動は無かった。
件の2人は事情を寸劇で演じながら各地を転々とさせているそうで、ユノちゃんがナイス悪しき見本の使い方、とか言っててちょっと驚いた。
どうやらこの世界は、悪しき者に人権は無いらしい。
そこは善人なら喜ばしき事だけれど、冤罪の発生率は勿論、基準が問題。
でも全く、何も問題が無いと、ココへの査定を行う事は難しい。
平和の維持は勿論、如何に問題を解決するか、そこで国の真価が問われるワケでして。
となると、やはり。
「お茶会、出るしか無いでちゅね」
《何それネネちゃん、何、その可愛い喋り方》
「ココでは実質赤ちゃんと同じだ、と侍女が言ってくれたので、正しく初心を忘れない様にと思いまして」
《侍女ナイス》
「はぁ、でも問題はドレス、白は本当に神経を使うから2度と着たくない」
《分かる、想像するお茶会で着続けるとか本当に無理》
「殿下、黒とか着たいんですが」
『黒は、あのバートリー家の色なんだが』
白は来訪者、又は同等の高貴な色となる。
そして赤色が憤怒、薄紫色が色欲、悲嘆は青。
緑色は怠惰、虚栄が黄色、美食はピンクことマゼンタカラー。
強欲が黒。
其々の色に意味が有ると言えば有るそうで、黒が強欲なのは全ての色を含有しているからこそ。
それは来訪者の白も同様、全ての要素を含有しているからだ、とされているらしい。
色と光の三原色が綺麗に纏まって、ガッツリ作為的なのがちょっと気になるが。
「彼女は」
『彼、でも有るんだ』
《へっ》
『本当だ』
「遠目と言えども全く分からなかった」
《マジで?》
『血統主義と言うより、特性主義なんだ』
何でも、代々両性具有が当主、の家系だそうで。
少しでも血筋に両性具有が現れたら、はい当主、と言った感じらしく。
「アバウト」
《でも子孫繁栄には最適だよね》
『ただ、一時は血が濃くなった時代も有ったんだ』
「あぁ、近親交配による作為的な両性具有の発現?」
『あぁ』
《動物だと繁殖率低下しませんでした?》
《うん、だから一時的に、一部の者がやろうとして直ぐに発覚。帝国が暫く居留して、絶対禁忌だとして分からせた》
ぐう有能。
《そこで何か問題でも起きたの?》
『いや』
《どっちもイケるから警戒してる》
「成程」
そりゃ使えるもんを使って最大限楽しむなら、まぁ、ハーレムも仕方無いか。
向こうの世界より、遥かに娯楽が少ないんだし。
《でも近隣諸国の中では断トツで力が強いんでしょ?》
『かなり、自由なんだ』
無法地帯と自由は紙一重。
ただ、混乱無く治安が安定しているなら、寧ろ統治力としてはかなり優れている事になるんだけど。
「何でそんな躊躇います」
《もしかして、本当に嫉妬だけ?》
あ、頭を抱えた。
「おい」
『いや』
《混血がかなり多様で、それだけ、外見が良い者も揃ってるんだ》
《あぁ、成程》
『しかも、魔獣の森と聖獣の巣を有している』
《魔法、能力を得るにはかなり良い立地なんだけど》
《ネネちゃんを奪われちゃうかも、か、成程》
「だとしても、嫉妬で邪魔は幼稚過ぎでしょうよ」
『すまない』
《それだけ誘惑も多いんだよ、夢魔の系譜も多いから、本格的な娼館も有るし》
《マジ売春?》
《うん、しかも男も女も、相手を探す為って名目でしっかり管理されてるけど》
『首に鎖が付いているワケでも、何か目印が有るワケでも無く、普通に市井で暮らしているんだ』
《で、したくなったら娼館に行く》
『あぁ』
「わぉ」
《わぉわぉ、未成年立ち入り禁止だぁ》
『いや、そこは問題無い』
《未成年に手を出すと厳罰、生殖器を丸ごと切り取り生かす、名前と絵姿付きで展示される》
「正に厳罰」
《うん、全ての国に絵姿と名前が記録されるから、未成年と関わる事は一生出来無い。例え自分の子供でも孫でも、関われない》
《正に厳罰だ》
「けど、そう罪を擦り付けられたら困るんですが」
『そこは魔道具と魔法も使い、真偽判定が行われる』
《そっか、魔法有るんだった》
《未成年から誘う事も十分に考えられるからね、未成年は未成年の証を付けてる、額に紋様が有れば未成年》
「あ、あぁ、アレか」
《各国共通なんだね》
《紋様は各国で違うけれど、そうした策は同じ。未成年から唆した場合、更生施設で再教育後、結婚相手が決まるまで出られない》
《バレなきゃ良いとか有りそう》
『あぁ、円満な付き合いなら、問題化しなければ問題とはならない』
《けれど別れ話が拗れたら》
「そら両者訴え合いますわな、施設はパンパン?」
『あぁ』
「成程、だから船乗りさんは知らないワケだ、関わりが無いんだし」
《あ、会わないの?》
「勘違いかも知れないけど、若干の好意を感じた気がするので止めておく」
《モテモテぇ》
《ネネは黒髪で黒い瞳だからね》
「能力でモテましてもね」
《若しくは後ろ盾とか家柄でモテてる、としか思えないもんね》
『ネネ、俺もルーイもそうではないんだ』
「はいはい、原点回帰しますよ、ドレスですよドレス」
《で、黒を着るならバートリー家に許可が必要?》
『あぁ』
「で、バートリー家の招待状は」
《コレかな?》
『あぁ』
真っ黒な封筒に金文字、超素敵。
「出席します」
《だね》
無気力な人って、どうしてそうなるのかなと思ってたんだけど。
ネネちゃんを見てると何となく分かった気がした、常に比べられ続けて、しかも自分より周りの付属品にばかり気を向けられたら。
私だって無気力になってたと思う。
じゃあ、もう頑張らない、頑張ったって嫌な事ばっかりじゃんって。
でもネネちゃんは家族に恵まれたからこそ、あんまり拗ねないで曲がらなかった。
だから今でもこうして、ココで程よい成果を出す為にも、見極ようとしてる。
「何故、不意に頷いてるけど、何を納得しているんでしょうか」
《ネネちゃん、単に褒めるだけじゃなくて、小言もワンセットだった人とか居た?》
「えっ、透視能力が本当に」
《いや、知り合いに居てさ、秒で反撃出来る子。共通点ってそれかなと思って》
「成程、知り合いが糧になるタイプ」
《見習いたいなと思って、でも上手く出来無くて、そうした素地の問題かなって》
「ユノちゃん十分に殺傷能力を有してそうだから、こんな居合切りは、心配してくれてる?」
《まぁ、それなりに》
「小学校の時、褒めた後、でもお姉さんはお兄さんはって続ける人が居て拒否った」
《そりゃ拒否るよね》
「中学の時も、アナタのお姉さんはこうだった、アナタのお兄さんはこうだったって始まって。もしかして違う教育のされ方をしているんじゃないか、話し合いをしたいが時間は取って貰えるのか、そもそもご家庭で問題が有るなら言ってくれって」
《善意にしても言い方が有るよね》
「その時はもう姉に雑誌社の知り合いが居て、少し相談したら、もしかしたら情報を売ろうとしてるんじゃないかって。冗談半分でそのまま姉が探偵を雇ったら、大当たり。息子さんが引き籠りで、老後の蓄えの為に小遣い稼ぎするつもり、だったらしい」
《そら人間不振になるよぉ》
「でも、他の人は有る有るって。実際、塾の講師に、そうやって情報を引き出させられようとした子も居たんだよね」
《あぁ、金持ちのゴシップに一体何の生産性が有るって言うんだろ》
「ぶっちゃけ無いよね、けど金融系に関わってると、結局は株価に響く場合も有るから」
《あぁ、そっか、家族経営で大問題とか出たもんね》
「まぁ、悩みも青天井だから、大した事無いじゃんで終わるワケですよ」
《若いと特に不幸マウンティングのし合いとか有るもんねぇ》
「かと言って、全容を暴露すれば売られるだろうから、程々の友達しか出来無い」
《あ、言わないからね、絶対》
「いや、信用してるし、そんなに戻る気無いし」
《それ、どうなっちゃうんだろう》
「年間の失踪者の人数、知ってる?」
《あー、色んな国の情勢を調べた時ウチの国は確か、10万以下だった気がする》
「うん、年間約8万人前後の届け出が出てる、でほぼ同数が生存確認されてる」
《でも全部じゃないんだよね》
「うん、完全に失踪状態になるか、死亡かなと思う」
《ネネちゃんは、どっちが良いと思う?》
「家族にしてみたら、どっちもどっちだとは思うけど、死亡かなって思う」
《探し続ける負担が有るもんね》
「死んでても、後悔が残るだろうとは思う」
《戻るとか、それこそ行き来するとかは?》
「行き来」
《うん、出来たらしたいなと思って》
「それ、どっちみち、どっちで死ぬかで」
《あ、そっか》
「まぁ、それが出来るなら、1度無難な場所に渡航して。でもなぁ、定期的にビザの更新だとか有るから、クソ面倒そうだなって思ってしまうな」
《あー、結構ネネちゃんの家族ってベッタリなんだ?》
「あぁ、まぁ、騒動に巻き込まれがちと言うか、舐められ易いらしくて」
《それは騒動に気付けてるとも言えるんじゃない?気にしないで突っ走って終わりとかも有るんだし》
「その速度も無く、絡まれがちだから、構われがちでは有ると思う」
《でも、折角なんだし、皆幸せが良いなぁ?》
「ちょっと、考えてみる、ありがとう」
《出来たらだから、うん、ついでついで》
「でも、ありがとう」
こうやって優しいから、無気力になっちゃうんだろうなって思った。
心配させないってなると、結局は無難に生きる事になるし、無難って本当に難しいし。
誰も悪く無いんだけど、ほんのちょっと相性が悪かったんだと思う。
はいはいって、気が付かないで居られたら。
もう少しだけ、ネネちゃんは幸せを感じられたのかなって。
でもなぁ、目の付け所がシャープだなと思う時も有るし。
難しいよね、家族って。
そうか、そりゃそうか、相手選びに慎重になるワケだよね。
家族との相性の悪さを、ずっと感じてたんだし。
『これら全てが、近衛や皇族が警戒している家の物だ』
「あー、寧ろマトモなのは」
『コレだけだが、かなり日付が遠い』
《要するに社交辞令だね》
《おぅ、何て良い釣り餌》
「撒き餌効果効き過ぎ」
《2人の場合、2人一緒に招く招待状がマトモ、単独での招待はどの道受けさせないからね》
「うん、こうして後ろ盾無しの方が試金石になれるワケだし、サンキュー2号ちゃん」
《アレ着てたらね、まさに殿下のってなってただろうしね》
今回の件で、この国への評価がかなり上がった。
2人を嗾けたのは、コチラを見極める為だけでは無く、多分殿下の為。
しかも市井での治安の良さは本物らしく、2回目に食材を見に行った時も、特に騒動は無かった。
件の2人は事情を寸劇で演じながら各地を転々とさせているそうで、ユノちゃんがナイス悪しき見本の使い方、とか言っててちょっと驚いた。
どうやらこの世界は、悪しき者に人権は無いらしい。
そこは善人なら喜ばしき事だけれど、冤罪の発生率は勿論、基準が問題。
でも全く、何も問題が無いと、ココへの査定を行う事は難しい。
平和の維持は勿論、如何に問題を解決するか、そこで国の真価が問われるワケでして。
となると、やはり。
「お茶会、出るしか無いでちゅね」
《何それネネちゃん、何、その可愛い喋り方》
「ココでは実質赤ちゃんと同じだ、と侍女が言ってくれたので、正しく初心を忘れない様にと思いまして」
《侍女ナイス》
「はぁ、でも問題はドレス、白は本当に神経を使うから2度と着たくない」
《分かる、想像するお茶会で着続けるとか本当に無理》
「殿下、黒とか着たいんですが」
『黒は、あのバートリー家の色なんだが』
白は来訪者、又は同等の高貴な色となる。
そして赤色が憤怒、薄紫色が色欲、悲嘆は青。
緑色は怠惰、虚栄が黄色、美食はピンクことマゼンタカラー。
強欲が黒。
其々の色に意味が有ると言えば有るそうで、黒が強欲なのは全ての色を含有しているからこそ。
それは来訪者の白も同様、全ての要素を含有しているからだ、とされているらしい。
色と光の三原色が綺麗に纏まって、ガッツリ作為的なのがちょっと気になるが。
「彼女は」
『彼、でも有るんだ』
《へっ》
『本当だ』
「遠目と言えども全く分からなかった」
《マジで?》
『血統主義と言うより、特性主義なんだ』
何でも、代々両性具有が当主、の家系だそうで。
少しでも血筋に両性具有が現れたら、はい当主、と言った感じらしく。
「アバウト」
《でも子孫繁栄には最適だよね》
『ただ、一時は血が濃くなった時代も有ったんだ』
「あぁ、近親交配による作為的な両性具有の発現?」
『あぁ』
《動物だと繁殖率低下しませんでした?》
《うん、だから一時的に、一部の者がやろうとして直ぐに発覚。帝国が暫く居留して、絶対禁忌だとして分からせた》
ぐう有能。
《そこで何か問題でも起きたの?》
『いや』
《どっちもイケるから警戒してる》
「成程」
そりゃ使えるもんを使って最大限楽しむなら、まぁ、ハーレムも仕方無いか。
向こうの世界より、遥かに娯楽が少ないんだし。
《でも近隣諸国の中では断トツで力が強いんでしょ?》
『かなり、自由なんだ』
無法地帯と自由は紙一重。
ただ、混乱無く治安が安定しているなら、寧ろ統治力としてはかなり優れている事になるんだけど。
「何でそんな躊躇います」
《もしかして、本当に嫉妬だけ?》
あ、頭を抱えた。
「おい」
『いや』
《混血がかなり多様で、それだけ、外見が良い者も揃ってるんだ》
《あぁ、成程》
『しかも、魔獣の森と聖獣の巣を有している』
《魔法、能力を得るにはかなり良い立地なんだけど》
《ネネちゃんを奪われちゃうかも、か、成程》
「だとしても、嫉妬で邪魔は幼稚過ぎでしょうよ」
『すまない』
《それだけ誘惑も多いんだよ、夢魔の系譜も多いから、本格的な娼館も有るし》
《マジ売春?》
《うん、しかも男も女も、相手を探す為って名目でしっかり管理されてるけど》
『首に鎖が付いているワケでも、何か目印が有るワケでも無く、普通に市井で暮らしているんだ』
《で、したくなったら娼館に行く》
『あぁ』
「わぉ」
《わぉわぉ、未成年立ち入り禁止だぁ》
『いや、そこは問題無い』
《未成年に手を出すと厳罰、生殖器を丸ごと切り取り生かす、名前と絵姿付きで展示される》
「正に厳罰」
《うん、全ての国に絵姿と名前が記録されるから、未成年と関わる事は一生出来無い。例え自分の子供でも孫でも、関われない》
《正に厳罰だ》
「けど、そう罪を擦り付けられたら困るんですが」
『そこは魔道具と魔法も使い、真偽判定が行われる』
《そっか、魔法有るんだった》
《未成年から誘う事も十分に考えられるからね、未成年は未成年の証を付けてる、額に紋様が有れば未成年》
「あ、あぁ、アレか」
《各国共通なんだね》
《紋様は各国で違うけれど、そうした策は同じ。未成年から唆した場合、更生施設で再教育後、結婚相手が決まるまで出られない》
《バレなきゃ良いとか有りそう》
『あぁ、円満な付き合いなら、問題化しなければ問題とはならない』
《けれど別れ話が拗れたら》
「そら両者訴え合いますわな、施設はパンパン?」
『あぁ』
「成程、だから船乗りさんは知らないワケだ、関わりが無いんだし」
《あ、会わないの?》
「勘違いかも知れないけど、若干の好意を感じた気がするので止めておく」
《モテモテぇ》
《ネネは黒髪で黒い瞳だからね》
「能力でモテましてもね」
《若しくは後ろ盾とか家柄でモテてる、としか思えないもんね》
『ネネ、俺もルーイもそうではないんだ』
「はいはい、原点回帰しますよ、ドレスですよドレス」
《で、黒を着るならバートリー家に許可が必要?》
『あぁ』
「で、バートリー家の招待状は」
《コレかな?》
『あぁ』
真っ黒な封筒に金文字、超素敵。
「出席します」
《だね》
無気力な人って、どうしてそうなるのかなと思ってたんだけど。
ネネちゃんを見てると何となく分かった気がした、常に比べられ続けて、しかも自分より周りの付属品にばかり気を向けられたら。
私だって無気力になってたと思う。
じゃあ、もう頑張らない、頑張ったって嫌な事ばっかりじゃんって。
でもネネちゃんは家族に恵まれたからこそ、あんまり拗ねないで曲がらなかった。
だから今でもこうして、ココで程よい成果を出す為にも、見極ようとしてる。
「何故、不意に頷いてるけど、何を納得しているんでしょうか」
《ネネちゃん、単に褒めるだけじゃなくて、小言もワンセットだった人とか居た?》
「えっ、透視能力が本当に」
《いや、知り合いに居てさ、秒で反撃出来る子。共通点ってそれかなと思って》
「成程、知り合いが糧になるタイプ」
《見習いたいなと思って、でも上手く出来無くて、そうした素地の問題かなって》
「ユノちゃん十分に殺傷能力を有してそうだから、こんな居合切りは、心配してくれてる?」
《まぁ、それなりに》
「小学校の時、褒めた後、でもお姉さんはお兄さんはって続ける人が居て拒否った」
《そりゃ拒否るよね》
「中学の時も、アナタのお姉さんはこうだった、アナタのお兄さんはこうだったって始まって。もしかして違う教育のされ方をしているんじゃないか、話し合いをしたいが時間は取って貰えるのか、そもそもご家庭で問題が有るなら言ってくれって」
《善意にしても言い方が有るよね》
「その時はもう姉に雑誌社の知り合いが居て、少し相談したら、もしかしたら情報を売ろうとしてるんじゃないかって。冗談半分でそのまま姉が探偵を雇ったら、大当たり。息子さんが引き籠りで、老後の蓄えの為に小遣い稼ぎするつもり、だったらしい」
《そら人間不振になるよぉ》
「でも、他の人は有る有るって。実際、塾の講師に、そうやって情報を引き出させられようとした子も居たんだよね」
《あぁ、金持ちのゴシップに一体何の生産性が有るって言うんだろ》
「ぶっちゃけ無いよね、けど金融系に関わってると、結局は株価に響く場合も有るから」
《あぁ、そっか、家族経営で大問題とか出たもんね》
「まぁ、悩みも青天井だから、大した事無いじゃんで終わるワケですよ」
《若いと特に不幸マウンティングのし合いとか有るもんねぇ》
「かと言って、全容を暴露すれば売られるだろうから、程々の友達しか出来無い」
《あ、言わないからね、絶対》
「いや、信用してるし、そんなに戻る気無いし」
《それ、どうなっちゃうんだろう》
「年間の失踪者の人数、知ってる?」
《あー、色んな国の情勢を調べた時ウチの国は確か、10万以下だった気がする》
「うん、年間約8万人前後の届け出が出てる、でほぼ同数が生存確認されてる」
《でも全部じゃないんだよね》
「うん、完全に失踪状態になるか、死亡かなと思う」
《ネネちゃんは、どっちが良いと思う?》
「家族にしてみたら、どっちもどっちだとは思うけど、死亡かなって思う」
《探し続ける負担が有るもんね》
「死んでても、後悔が残るだろうとは思う」
《戻るとか、それこそ行き来するとかは?》
「行き来」
《うん、出来たらしたいなと思って》
「それ、どっちみち、どっちで死ぬかで」
《あ、そっか》
「まぁ、それが出来るなら、1度無難な場所に渡航して。でもなぁ、定期的にビザの更新だとか有るから、クソ面倒そうだなって思ってしまうな」
《あー、結構ネネちゃんの家族ってベッタリなんだ?》
「あぁ、まぁ、騒動に巻き込まれがちと言うか、舐められ易いらしくて」
《それは騒動に気付けてるとも言えるんじゃない?気にしないで突っ走って終わりとかも有るんだし》
「その速度も無く、絡まれがちだから、構われがちでは有ると思う」
《でも、折角なんだし、皆幸せが良いなぁ?》
「ちょっと、考えてみる、ありがとう」
《出来たらだから、うん、ついでついで》
「でも、ありがとう」
こうやって優しいから、無気力になっちゃうんだろうなって思った。
心配させないってなると、結局は無難に生きる事になるし、無難って本当に難しいし。
誰も悪く無いんだけど、ほんのちょっと相性が悪かったんだと思う。
はいはいって、気が付かないで居られたら。
もう少しだけ、ネネちゃんは幸せを感じられたのかなって。
でもなぁ、目の付け所がシャープだなと思う時も有るし。
難しいよね、家族って。
そうか、そりゃそうか、相手選びに慎重になるワケだよね。
家族との相性の悪さを、ずっと感じてたんだし。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
【完結】傷物令嬢は近衛騎士団長に同情されて……溺愛されすぎです。
朝日みらい
恋愛
王太子殿下との婚約から洩れてしまった伯爵令嬢のセーリーヌ。
宮廷の大広間で突然現れた賊に襲われた彼女は、殿下をかばって大けがを負ってしまう。
彼女に同情した近衛騎士団長のアドニス侯爵は熱心にお見舞いをしてくれるのだが、その熱意がセーリーヌの折れそうな心まで癒していく。
加えて、セーリーヌを振ったはずの王太子殿下が、親密な二人に絡んできて、ややこしい展開になり……。
果たして、セーリーヌとアドニス侯爵の関係はどうなるのでしょう?
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる