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女Ωと女αの世界。
1 佐藤 香。
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私はΩ。
死別Ω。
主にα同士が番、そのどちらかがΩへと変化する。
男女のα同士なら女がΩに、もしくはαがβと居続けるとΩ化させられる場合も有る。
私はαだった女Ω。
普通に惹かれ合い、普通に結婚した筈だった。
彼が自死するまでは。
では何故、彼は自死したか。
理由は未だに分からない。
番を解除された者とは違い、誰にでも軽く発情し、発情を促せる存在。
それが死別Ω。
番を解除されたΩよりはマシだ。
相手を求め続け、相手の影響が体内から完全に消えるまで、発情を続ける。
体液接種量が少なければ抜けも早いが、多ければ多い程、地獄の苦しみが長く続く。
けれど死別Ωは違う。
番の死の匂いを嗅ぐだけで、直ぐに変化を始める。
番の死の香りは、甘い匂いだった。
雨上がりの匂いに似た、切なく悲しい香り。
『佐藤』
「佐藤香です、宜しくお願いします」
αは、必ずしもモテるワケでは無い。
α同士は身体的相性の良さが無ければ、本来は忌避し合い、Ωへの変化は起こらない。
だからこそ、α同士より、男αと女βの組み合わせの方が多い。
αで居るつもりがΩとなれば、望まない変化が勝手に起きてしまうからだ。
男なら、体は劇的にホルモンを分泌し始め、寿命を縮める程に体へと変化を齎し妊娠する側へ。
そして女はαが身体的変化をし、精巣と生殖器が生える事になる。
『鈴木 音々と申します、宜しくお願いします』
私はα。
死別α。
主にα同士が番、そのどちらかがΩへと変化する。
男女のα同士なら本来は女がΩに、もしくはαがβと居続けるとΩ化させられる場合も有る。
私はα。
普通に惹かれ合い、普通に結婚した筈だった。
彼が自死するまでは。
では何故、彼は自死したか。
驚く事に、彼がΩ化したからだ。
Ωとは違い、番が居ても他に発情し、発情を促せる存在。
それがα。
男すら孕ませられるのがα。
私は女だからこそ、男αに抱かれる事が出来た。
そしてある時、彼が私を抱けなくなってしまった。
発情はしても抱けない。
けれど、太古ならまだしも現代には様々な文明の利器が存在してる。
愛するαを満足させ続けていると、私にも変化が訪れた。
そして定期検査後、彼は亡くなった。
本来なら死別αに特に変化は無い。
ただ女αは変化する、再び元の身体に戻り、受け入れられる様にと変化する。
番の死の匂いを嗅ぐだけで、直ぐに変化を始める筈だった。
番の死の香りは、甘い匂いだった。
雨上がりの匂いに似た、切なく悲しい香り。
「女性の相手は初めてですか」
『はい、前はα男性でした』
私達は今、お見合い会場に居る。
国の認定を受けた、安心安全なお見合い斡旋業者の開催する、お見合いパーティー。
αもΩもβも居るお見合い会場にはΣも存在し、発情する危険性は無い、とされているΣが初めて同席するお見合い会場。
この女性に魅力を感じているのは、単に同性としての親近感からなのか、Σの抑制力が弱く本能が働いてしまっているのか。
「あの、ココ、どう思われますか」
『Σの抑制力が弱い気がします』
「ですよね、私もそんな気がします」
あぁ、彼女はΩかαなんだろうか、それか過敏なβか。
『一応、避難しておきましょうか』
「ですね」
そうして避難し、相談する者が多かった為、お見合いは一時中断。
けれども影響は無かった。
私達が怯え、過敏になっていただけだ、と。
確かにフェロモン独特の香りはしなかった。
ただ柔らかい香水の香りや、石鹼やシャンプーの香りだけ。
『すみませんでした』
「いえいえ、どうですか、こうして僕と居ると少し嫌悪感が湧くかと」
何とも言えない嫌悪感、忌避感。
そこから改めて意識し匂いを吸い込むと、得も言われぬ悪臭が。
『あぁ、言われれば、はい』
「因子が強い人程、僕を忌避したくなるそうですから。では」
『はい、ありがとうございました』
Σ久し振りに会った。
成人し番の居るβやαだけが住む地区に居る為、Σが存在しない地区に住んでいる。
Ωだけの特区は勿論、αを嫌うβ専用の地区、それらが混在する地区等が各地に存在している。
大昔は大勢の人々が顔を合わせながら仕事をしていたらしい、けれど今は、文明の利器により殆ど人と顔を合わせる事無く過ごせる。
ただ病院や役所などの要所には、どうしても通わなければならない。
そうして相手と出会った。
幸福の中、幸せな家庭を築ける筈だった。
「大丈夫だったみたいですね」
『表向きは、かも知れませんし、自衛するに越した事は無いかと』
「そうですね、どうぞ、交換カードです」
『良いんですか?男性の方が』
「あ、お友達作りもと、なので」
『あぁ、はい、ありがとうございます。私のも、どうぞ』
「はい、また」
『また』
可愛らしい、と思った。
自分には無い要素、自分には無い可憐さ。
少し、羨ましいのかも知れない。
死別Ω。
主にα同士が番、そのどちらかがΩへと変化する。
男女のα同士なら女がΩに、もしくはαがβと居続けるとΩ化させられる場合も有る。
私はαだった女Ω。
普通に惹かれ合い、普通に結婚した筈だった。
彼が自死するまでは。
では何故、彼は自死したか。
理由は未だに分からない。
番を解除された者とは違い、誰にでも軽く発情し、発情を促せる存在。
それが死別Ω。
番を解除されたΩよりはマシだ。
相手を求め続け、相手の影響が体内から完全に消えるまで、発情を続ける。
体液接種量が少なければ抜けも早いが、多ければ多い程、地獄の苦しみが長く続く。
けれど死別Ωは違う。
番の死の匂いを嗅ぐだけで、直ぐに変化を始める。
番の死の香りは、甘い匂いだった。
雨上がりの匂いに似た、切なく悲しい香り。
『佐藤』
「佐藤香です、宜しくお願いします」
αは、必ずしもモテるワケでは無い。
α同士は身体的相性の良さが無ければ、本来は忌避し合い、Ωへの変化は起こらない。
だからこそ、α同士より、男αと女βの組み合わせの方が多い。
αで居るつもりがΩとなれば、望まない変化が勝手に起きてしまうからだ。
男なら、体は劇的にホルモンを分泌し始め、寿命を縮める程に体へと変化を齎し妊娠する側へ。
そして女はαが身体的変化をし、精巣と生殖器が生える事になる。
『鈴木 音々と申します、宜しくお願いします』
私はα。
死別α。
主にα同士が番、そのどちらかがΩへと変化する。
男女のα同士なら本来は女がΩに、もしくはαがβと居続けるとΩ化させられる場合も有る。
私はα。
普通に惹かれ合い、普通に結婚した筈だった。
彼が自死するまでは。
では何故、彼は自死したか。
驚く事に、彼がΩ化したからだ。
Ωとは違い、番が居ても他に発情し、発情を促せる存在。
それがα。
男すら孕ませられるのがα。
私は女だからこそ、男αに抱かれる事が出来た。
そしてある時、彼が私を抱けなくなってしまった。
発情はしても抱けない。
けれど、太古ならまだしも現代には様々な文明の利器が存在してる。
愛するαを満足させ続けていると、私にも変化が訪れた。
そして定期検査後、彼は亡くなった。
本来なら死別αに特に変化は無い。
ただ女αは変化する、再び元の身体に戻り、受け入れられる様にと変化する。
番の死の匂いを嗅ぐだけで、直ぐに変化を始める筈だった。
番の死の香りは、甘い匂いだった。
雨上がりの匂いに似た、切なく悲しい香り。
「女性の相手は初めてですか」
『はい、前はα男性でした』
私達は今、お見合い会場に居る。
国の認定を受けた、安心安全なお見合い斡旋業者の開催する、お見合いパーティー。
αもΩもβも居るお見合い会場にはΣも存在し、発情する危険性は無い、とされているΣが初めて同席するお見合い会場。
この女性に魅力を感じているのは、単に同性としての親近感からなのか、Σの抑制力が弱く本能が働いてしまっているのか。
「あの、ココ、どう思われますか」
『Σの抑制力が弱い気がします』
「ですよね、私もそんな気がします」
あぁ、彼女はΩかαなんだろうか、それか過敏なβか。
『一応、避難しておきましょうか』
「ですね」
そうして避難し、相談する者が多かった為、お見合いは一時中断。
けれども影響は無かった。
私達が怯え、過敏になっていただけだ、と。
確かにフェロモン独特の香りはしなかった。
ただ柔らかい香水の香りや、石鹼やシャンプーの香りだけ。
『すみませんでした』
「いえいえ、どうですか、こうして僕と居ると少し嫌悪感が湧くかと」
何とも言えない嫌悪感、忌避感。
そこから改めて意識し匂いを吸い込むと、得も言われぬ悪臭が。
『あぁ、言われれば、はい』
「因子が強い人程、僕を忌避したくなるそうですから。では」
『はい、ありがとうございました』
Σ久し振りに会った。
成人し番の居るβやαだけが住む地区に居る為、Σが存在しない地区に住んでいる。
Ωだけの特区は勿論、αを嫌うβ専用の地区、それらが混在する地区等が各地に存在している。
大昔は大勢の人々が顔を合わせながら仕事をしていたらしい、けれど今は、文明の利器により殆ど人と顔を合わせる事無く過ごせる。
ただ病院や役所などの要所には、どうしても通わなければならない。
そうして相手と出会った。
幸福の中、幸せな家庭を築ける筈だった。
「大丈夫だったみたいですね」
『表向きは、かも知れませんし、自衛するに越した事は無いかと』
「そうですね、どうぞ、交換カードです」
『良いんですか?男性の方が』
「あ、お友達作りもと、なので」
『あぁ、はい、ありがとうございます。私のも、どうぞ』
「はい、また」
『また』
可愛らしい、と思った。
自分には無い要素、自分には無い可憐さ。
少し、羨ましいのかも知れない。
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