上 下
7 / 40
第1章

5 黄昏を待っている。

しおりを挟む
 意外にも無事に風呂を過ごし、夕食も過ごし、夜も無事に過ごし。
 そして朝も普通に起き、朝食を済ませ。

《そろそろ、口説いても良いかな?》
「却下」

《何で?》

「選べなかった場合、パトリックを選んだ場合、ウォルターを選んだ場合、どちらも選ばなかった場合って想定した?」

 そう、自慢じゃないが優柔不断だ。
 そして彼らの甲乙は付け難いのに。

《何だそんな事か》
『もう話し合ったから大丈夫ですよ』

 あぁ、それで昨日は無事に過ごせたワケだ。

「いや、なら先に聞かせろ?」
《イーライがどう考えてるか、が最優先なんだもの》
『私達の希望を押し付ける事を回避する為ですよ』

「ウォルター、口調が」
『昨日の話し合いの中で、何とか、修正して貰いました』
《王族然としちゃうからね、キャサリンに電気ショック療法をお願いしたんだ》

「は?」
『あぁ、そんな強くは無かったので大丈夫ですよ』
《冬にドアを触った時、程度だから》

「いや凄ない?」
《本当にちょっとだよ?だから直ぐに廃嫡も出来たんだし、ね?》
《失神させられる程度ですから》

 え、だって可能性は無限大だよ?
 いや、だから?

 敢えて?
 いや、寧ろ試されてる?

 え?
 正解が分からない、平穏無事に生き抜く最適解は何だ?

 つか、もう、こう悩んでる時点で何か知ってるのバレてんじゃね?
 でも、信頼するなら。

 いや、野心を抱かせる事だって避けるべき事案で。

 ダメだ、判断が付かない。

「こう、資料が見たいんだけど」
《あぁ、ならまた王宮に行く?》

「あぁ、うん」
『なら私が厩務員グルームとして先に行って待っていますから、君達2人はウチの馬で』
《そうだね、馬車って面倒だし》



 イーライが熱心に読んでる本は、禁書。
 それこそ王族の中でも本家、血縁の連なる大公枠しか読めない禁書中の禁書。

 真剣に読む為に髪を上げてるから、フサフサの睫毛が良く見える。

 偶にムニムニと動く薄い唇。
 触りたいなぁ。

「なに」
《真剣だなと思って》

「つか時間を無駄にするなよ、君らだって迂闊には入れないんだろ」
《はいはい、ちょっと休憩してただけ》

 女王陛下が許可した大公2人が揃って初めて使える、特別な書庫。
 そして名付きの叡智の結晶であれば、僕かウォルターが一緒に居れば使える場所。

 入念だよね、結晶だけでは入れない所とか。

 つまりは結晶に対しても警戒はしてるって事か、結晶への安全面の配慮か。
 コレは多分、その両方かな。

 結構掛かりそうだし。
 何処かで一旦休憩させないと、また胃腸がやられても嫌だし。

『暫く掛かりそうかな』

 ナイスウォルター。

「まぁ、うん」
《じゃあお茶を用意させに行ってくるから、後で休憩しようね》

「おう」



 真面目で集中力も有り。
 可愛い。

 しかも甘い物が好き。
 欠点が無い。

『かなり、難しい顔をしていたけれど』
「あぁ、前はそう勉強とかしてこなかったから、頭の中で整理するのが大変で」
《メモは許されてるよ?》

「何某かを残したく無いんだよね、念の為に」

 慎重。
 美点しか無い。

『信用問題、では』
「君らがどうとかじゃないんだ、自分の問題。そっちは何を調べてたの?」

『合法的な重婚について』

「は?」
『どちらも選べない場合用に』
《良い情報は有った?》

『陛下か結晶限定、ただどうしても正室、側室となってしまうらしい』
《そっかぁ、けどそこは譲れないなぁ》
「え、本当にハーレム有りなの?」

《だって一緒に居るには仕方無いじゃな?》
『女系男系関係無しに、子孫はどうしても残さなければいけないなら、自然とそうなるかと』

「耐えられる?凄い大変だよ?」
《浮気された事有りそうだね》
『浮気とは違うと思う、それこそ最悪は譲れる相手だからこそ、かと』

「いや、でもだって」
《本当に魔道具を探しに行くつもりだし、それこそ僕らが妊娠するつもりも有るし》
『大変な事だからこそ、私達が寧ろ担うべきだと思う。死なれるなんて事になったら、それこそ子を愛せる自信が無い』

 幾らイーライに似ていたとしても、それはイーライでは無い。
 そのイーライを失う位なら、本当なら、子供さえ要らない。

「でも残せ、となると自分達で魔法や魔道具を探せ、か」
《それこそ既に存在しているなら王家が所有してる筈だから、先ずはそこからなんだけど》
『イーライの気持ちを最優先に、それが私達の願いでも有るからね』

「所有してなかったら?」
《旅に出る》
『3人で』

「それって、どちらかと一緒になりたいなら、どうするの」
《両方と、でもだよ》
『出先で何が有るか分からない、最悪は2人共に何か有れば、後悔しか残らないだろうから』

 大きな溜息の後、すっかり頭を抱えてしまって。
 混乱させてしまったんだろうか、困らせてしまったんだろうか。

「そう、こう、ココまで真剣に考えて貰った事が無くて。だからちょっと、考えてた事が吹っ飛んだんだけど、どうしてくれる?」
《嬉しい?》

「そら、本気なら、利用する気が無いなら」
《本気だし、寧ろ利用されたい位なんだけど》
『信用される為なら出来るだけの事はする、だからどうか要望を言って欲しい』

「凄い、口説き文句」



 全員男なのに、なんだこの甘酸っぱい状況は。
 両手にイケメン、しかも。

《好き好き》
『愛してる、調べ物を終えたら家に帰ろう』

 何なの?

 好意は凄く嬉しいけど。
 調べ物して考えてる最中だったんだけど?

「嬉しいんだけど、邪魔するなら出てってくんない?」
《あ、ごめん、つい可愛くて》
『すまない、自重する』

 ノックだ。
 誰だろう。

【失礼します】
《僕が行くよ》

 でパトリックが行ったのは良いんだけど、何か揉めてる。

《来ちゃった》

 女王陛下。

「へ、なんで」
《お邪魔しても良いからしら?》

「あぁ、はい、どうぞ」

 今日は魔道具職人の格好。

 何してんだろ、この人。
 茶目っ気が過ぎるのでは。

《ふふふふ、それでね、もう出来上がったから持って来ちゃったの、魔道具》
「ぁあ、どうも」

 陛下が丁寧に説明してくれているのは分かるのだけれど、正直、頭に入ってこない。

《で、以上なのだけど》
「すみません、全く頭に入って来ませんでした」
《もう、だから言ったじゃないですか》

《えー、だって本題はココからなのだもの》
「本題、とは」

《記念碑の事も、だけれど、今日調べてた事について。疑問が有るならお答えしようかしら、と思っていたのだけれど》

「2人を結界外に置いて貰う事は可能ですか?」
《うん、大丈夫よ》

 そう言って、いとも簡単に結界を作り上げた。
 しかも半円の上部だけ、口を読めない様にすりガラスの様になっていて、しかも凸凹も有って。

 そう、魔法に上位も下位も無い。
 如何に機能を追求し、効率的で素早く発動させるか。

「流石、慣れてらっしゃる」
《ふふふふ、ありがとう》

「ぁあ、魔法、雷電の事です」
《あぁ、それで、キャサリンの事ね》

「はい」
《どうして、電気的な魔法が周知されていないか、魔道具が無いのか》

「はい」
《先代達に禁じられているの。魔道具職人達には開発すれば呪いが掛るとされている、そして実際に事故も多くて、それこそ死者も出てしまった。それと同時に雷電の魔法使いも、最悪は人を操れる魔法にまでなってしまうからと、呪われた魔法として忌み嫌われる様に仕向けた》

「その理屈は分かりました、けど」
《人の素地、素養、教養とでも言うべきかしら。少なくとも、そのステージに全国民が引き上げられるまで、開発も何もかもを封印状態にしてあるの》

「争いの、大きな争いの火種になるから」
《そう、例外無しにココでは病死や事故死と偽装し、保護する。キャサリンの場合もそう、後から雷電が使えると分かって、丁度良いからそのまま廃嫡とさせて貰ったの》

「他の人の行き先は」
《聞いてどうするの?》

「だって治療にも使えるんですよ?」
《そうして不死身の軍団でも作る気?持てば攻め入られ利用されてしまう、そして守るには犠牲を伴う。分かるでしょう、悪人に捕まればどうなるか》

「人体、実験」
《そう、先代達が集めた情報の中には、悲惨な最後を向かえた者の情報も有るの。攫われて娼館に売られた子がね、それで、どんなに酷い目に遭っても》

 即死でもしない限り。
 死なない。

 死ねない。
 手当てをされれば、余程の状況で無ければ、死なない。

 しかも死線を彷徨えば彷徨う程、回復速度すら上がる。
 生かす為ではない、殺さない為の防衛反応が利用されてしまう。

「他にも、ですよね」
《拷問を受けたり、実験されたり、中には拷問官になった子も居るけれど。結局は、よね》

「今は」
《安全な場所で、ちゃんと守っているから大丈夫、その為にも医学が進歩したの》

「使わない、利用されないでも済む世界に」
《必ず子や親に引き継がれるとも限らない、けれども何人も産ませれば》

「引き継がれるかも知れない」
《そう、だからこそ安全な場所で、健やかに。少しは不便を掛けているかも知れないけれど、その事をちゃんと分かってくれる様に教育もしているから大丈夫よ》

「パトリック」
《さっきは凄い動揺だったけど、それ以外は正常、嘘は無いよ》

「ありがとう」

《ふふふふふ》
「すみません」

《良いのよ。そう、寧ろ不便を感じさせてしまっているわよね、ごめんなさい》
「あ、いえ」

《本当に?明らかにココより文明文化、教育が進んだ場所に居たのでしょう?》
「まぁ、はい」

《だからね、凄く心配なの。愚かで下劣だと思われていないか、見捨てられてしまわないか。あの子達は大丈夫?あんな低知能で王族か、と思っているなら正直に言って頂戴?無理に関わらなくても良いのよ?》

「僕は、詳しくは無いんですが、明らかにコチラの方が質が高いです。なので2人を愚かだと思った事は、買い物に出た時位ですかね、コッチの意見を無視して何でも買い与えようとしたので」

《ふふふ、子供に何でも与えたくなるもの、それにアナタの見た目も。庇護欲を唆るもの、あの子が行き過ぎた警戒心を持ったのも、少しだけ分かるわ》
「寧ろ僕の方が幼いと思います、全く受け入れられませんでしたから」

《いえ、仕方無いわ、何にでも限界は有るもの。それを他人が決め、決め付けてはいけないわ》

「すみません、ありがとうございます」
《もっと人々の魂のステージが上がれば良いのだけれど、こう、自分の子達で手一杯で。どうしても、他の者に底上げをお願いする事になってしまって、ごめんなさいね》

「いえ、維持にも労力が必要ですから」
《それこそ底上げには何倍もの労力、知恵や知識、お金が掛る》

「上に立つ者こそ倹約、節制をし、ノブレスオブリージュを達成すべき」
《ノブレスオブリージュとは、つまりは国民の教養の底上げ。そして王族とは、力を正しく安全に使える世界へと導く者、いつか来る世界平和を叶える為に》

「内部は大丈夫ですか」
《ふふ、そこは大丈夫、それこそ基礎で地盤だもの。ただ、それこそ王宮内部限定、パトリックの様な良い子を重用出来たのは、あの子が自ら進んで来てくれたから。どうしても、末端までは目を配れない》

「いえ、中心部が安定しているだけでも大分楽なので。想定よりも安定していて、寧ろ安心しました」
《でも、まだまだ、でしょう?》

「まぁ、まぁまぁ」
《もう、本当、ごめんなさいね》

 小さく溜息をついて、顔を覆ってイヤイヤと。
 この人も人間、そしてまだまだな世界であると自覚していて。

 何だパトリック、手をひらひらと。

「なに」
《口説いてる?》

「は?」
《羞恥を強く感じたから》

「あぁ、してないしてない。後ちょっとだから待ってて」
《分かった》

《ふふふ、イヤね本当、真偽だけが分かると私も最初は侮ってて。だからコレを付けたの、お陰で会議でも有利に事が運べる様になったのだけど。アナタも要る?》
「あぁ、いや別に、寧ろ助かってるんで。まだ、良いかなと」

《そう、けどいつでも言って頂戴ね、コレは既に幾つか作って有るから》
「あの、そこなんですけど、性別を変えられる魔法や魔道具は無いですかね?」

《それは外見だけ、の事では無いわよね?》
「はい、出来れば、妊娠が可能になる物。で」

《そう、それで、どちらを選ぶ気なの?》
「両方ってダメですかね?」

《全然、寧ろ全然アリよ。だってもうあの子達の子供を見るなんて諦めてたんですもの、ふふふ、アンが喜ぶわね》
「あの、病死、とだけしか聞いていないんですが」

《梅毒検査では確かに陽性が出るのだけれど、あの人は梅毒じゃなかった、そして心臓を傷めて死んでしまったの。それこそ最後の頼みに、ごめんなさい、雷電の子にウォルターが育つ様にお願いしてしまったの》

「何人もなら、ですけど、ウォルターだけなんですよね」
《出産の時に、どうしても。でも、甘く躾けたつもりは無いわ、それこそアンに怒られてしまうもの》

「なら、別に、少なくとも自分には責めるつもりは無いです」
《延命には使ってはならない、そこは今でもちゃんと守っているわ》

「知ってて使えないのは、お辛いかと」
《それこそ禁忌、対価、代償を支払う事になると分かっているから。しかも最も大切なモノが、理不尽にも奪われてしまう。だからもう、ウォルターの時はドキドキして、眠れない日が続いたわ》

「でも延命、では無いですし」
《そう開き直るまでに、どれだけ掛ったか、お陰でもうウンコが真っ黒になっちゃって。もう、そこでやっと開き直ったわ》

「あー、胃腸ですか」
《そうそう、アナタと同じ、ふふふふ。あ、魔法や魔道具の事よね。ごめんなさい、ココには置いて無いの》

「あぁ、ある意味で王族の延命になってしまうから、ですかね?」
《しかも継承権を持つ者が絡めばややこしくなるし、けれど所在は分かっているわ》

「え、本当ですか?」
《ただ、他国なのよ》

「えー」
《フィンランド、と言えば分かるかしら?》

「名と場所はザックリ、ですけど」
《イルマリネン、若しくはロウヒのどちらかが持っているとされているの》

「そうやって、王族の方は全てのデータを把握しているんですか?」
《ふふふふ、予め調べておいたの》

「すいません、ありがとうございます」
《良いのよ。けれどもし、手に入らないとしても、そこは仕方無いと諦めて頂戴ね》

「滅びるべき運命なら、ですね」
《そう、そう心構えをしておいて、でも決して無理をしてはダメよ》

「はい。それで、キャサリンについてなんですが」
《あの子が外に出られているのは、治療魔法師としての素質が殆ど無いからなの。出来ても攻撃魔法だ、としか思っていないから》

「でも、目覚める危険性が有ったら」
《お願いするわね、あぁ、その為にも伝書紙が必要よね。後で運ばせるわ》

「はい」
《それと、記念碑ね》

「はい」
《学園に有るのよ、創立記念碑、アレがそう言う扱いなの》

「じゃあ、やっぱりあの学園って」
《ふふふ、興味本位以外なら答えるわ》

「今はもう、止めときます、色々と整理しないといけないので」
《あぁ、燃した紙は土に混ぜてしまえば大丈夫、復元不可能よ。私の知る限り、現時点ではね》

「それでココにも植木鉢が有るんですね」
《そうなの、けど枯れない様にしてあげてね、灰と相性が悪い子も居るから》

「はい、ありがとうございます」
《ふふふ、楽しかったわ。またね》

「はい」



 何を話してたのか、その全てを聞く事は出来ないけど、もし僕が王族でも何でも無かったら絶対に聞けない事。
 コレしか聞けないと思うか、コレだけ聞けると思うか。

 あの子も、こう思える子だったら、少しはマシだった筈なんだけど。

『なら、いつ国を出ようか』
「いやちょっと待ってってば」
《だね、それこそ落ち着いて考えないとだし。まだローズの事も片付いて無いんだし》

「あ」
《そこを片付けてから、そんなに時間は掛からない筈だし。寧ろ焦らないで良いんじゃない?答えはまだ、一応は出て無いんだし》

「それで思ったんだけど、追加されるってなったらどうするの?」

 コレはちょっと、僕らが甘かったかも。
 僕らが満足させられなかったら、それこそ有り得る事なのに。

《そこは、十分に精査させて貰ってから》
『苦渋の選択だけれど、涙を飲んで、受け入れるしかないと思う』
「いやハッキリ言ってよ、どう考えてるかの話し合いなんだから」

《今はウォルターを受け入れるので手一杯、けど満足させられなかったらって、そこは考えて無かった。ごめん》
「そう悩んでの決断なの?」
『圧倒的に経験値が無い、ので』

「そこは、うん、気にしないで。今後も、そこは気にしない様に、先ずはイヤかどうか答えて」
『分かった、嫌だ』
《うん、だね》

「よし、じゃあフィンランドについて調べよう」

 こうして前向きに調べてくれるって事は、受け入れてはくれてる。
 後は、何が問題なんだろう。



『どうすれば、受け入れて貰えるんだろうか』
《やっぱり、僕らが最悪は他の女性と行為に至る事を、受け入れるしか無いんだと思う》

『そこまで私達に価値が有ると思ってくれているのは嬉しいんだが』
《僕らにとっては、自分達にそこまでの価値が有るとは思えないって言うか、その意欲が無い》

『イーライの子供が欲しいかと言われれば、そうでも無い』
《もう居たらね、それの方がマシだったかも》

『根本的に、やはり私達は壊れているんだろうか』
《どうだろう、意外とほら、男共もどうでも良いってヤツは多いし》

『女性もなのか?』
《その場では高揚して子供が欲しいとか言うけど、いざってなるとね、だから学園でも性交は禁止なんだし》

『一応、念の為に、検査は受けるべきなんだろうか』
《んー、だね、思いも寄らない感染も無くはないって聞くし。そのまま健康診断しちゃったら?イーライの健康診断って昨日とかだし》

『あぁ、パトリックもするか?』
《だね、折角だし。大人用も含めて入念にやって貰おう》

『あぁ、だな』

 コレでもし、母上の様に梅毒では無いのに陽性結果が出てしまったら。
 それこそ旅に同行する事も、妊娠も実質不可能になってしまう。

 もし、そうなってしまったら。
 流石に、身を引くしかない。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ねえ、今どんな気持ち?

かぜかおる
ファンタジー
アンナという1人の少女によって、私は第三王子の婚約者という地位も聖女の称号も奪われた 彼女はこの世界がゲームの世界と知っていて、裏ルートの攻略のために第三王子とその側近達を落としたみたい。 でも、あなたは真実を知らないみたいね ふんわり設定、口調迷子は許してください・・・

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

悪役令嬢の独壇場

あくび。
ファンタジー
子爵令嬢のララリーは、学園の卒業パーティーの中心部を遠巻きに見ていた。 彼女は転生者で、この世界が乙女ゲームの舞台だということを知っている。 自分はモブ令嬢という位置づけではあるけれど、入学してからは、ゲームの記憶を掘り起こして各イベントだって散々覗き見してきた。 正直に言えば、登場人物の性格やイベントの内容がゲームと違う気がするけれど、大筋はゲームの通りに進んでいると思う。 ということは、今日はクライマックスの婚約破棄が行われるはずなのだ。 そう思って卒業パーティーの様子を傍から眺めていたのだけど。 あら?これは、何かがおかしいですね。

【完結】死がふたりを分かつとも

杜野秋人
恋愛
「捕らえよ!この女は地下牢へでも入れておけ!」  私の命を受けて会場警護の任に就いていた騎士たちが動き出し、またたく間に驚く女を取り押さえる。そうして引っ立てられ連れ出される姿を見ながら、私は心の中だけでそっと安堵の息を吐く。  ああ、やった。  とうとうやり遂げた。  これでもう、彼女を脅かす悪役はいない。  私は晴れて、彼女を輝かしい未来へ進ませることができるんだ。 自分が前世で大ヒットしてTVアニメ化もされた、乙女ゲームの世界に転生していると気づいたのは6歳の時。以来、前世での最推しだった悪役令嬢を救うことが人生の指針になった。 彼女は、悪役令嬢は私の婚約者となる。そして学園の卒業パーティーで断罪され、どのルートを辿っても悲惨な最期を迎えてしまう。 それを回避する方法はただひとつ。本来なら初回クリア後でなければ解放されない“悪役令嬢ルート”に進んで、“逆ざまあ”でクリアするしかない。 やれるかどうか何とも言えない。 だがやらなければ彼女に待っているのは“死”だ。 だから彼女は、メイン攻略対象者の私が、必ず救う⸺! ◆男性(王子)主人公の乙女ゲーもの。主人公は転生者です。 詳しく設定を作ってないので、固有名詞はありません。 ◆全10話で完結予定。毎日1話ずつ投稿します。 1話あたり2000字〜3000字程度でサラッと読めます。 ◆公開初日から恋愛ランキング入りしました!ありがとうございます! ◆この物語は小説家になろうでも同時投稿します。

悪役令嬢の慟哭

浜柔
ファンタジー
 前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。  だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。 ※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。 ※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。 「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。 「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。

そして乙女ゲームは始まらなかった

お好み焼き
恋愛
気付いたら9歳の悪役令嬢に転生してました。前世でプレイした乙女ゲームの悪役キャラです。悪役令嬢なのでなにか悪さをしないといけないのでしょうか?しかし私には誰かをいじめる趣味も性癖もありません。むしろ苦しんでいる人を見ると胸が重くなります。 一体私は何をしたらいいのでしょうか?

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

乙女ゲームの断罪イベントが終わった世界で転生したモブは何を思う

ひなクラゲ
ファンタジー
 ここは乙女ゲームの世界  悪役令嬢の断罪イベントも終わり、無事にエンディングを迎えたのだろう…  主人公と王子の幸せそうな笑顔で…  でも転生者であるモブは思う  きっとこのまま幸福なまま終わる筈がないと…

処理中です...