151 / 160
更に更に、その後。
やっと。
しおりを挟む
《扶桑の伝統に倣い、アナタの為に、家を用意しました》
「結婚の申し込みって事?」
《はい》
収穫祭の後に案内された家には、真新しく清潔なリネン、それこそタオルが揃い。
飲料水も備蓄も、切り花もフワフワの毛皮も。
お願いしていた青と緑色のドレスには、ビーズまで。
「大変だったでしょう、内緒でココまで」
《はい、少し》
「少し?」
《私だけなら、ココまでは無理でした》
「後でお礼をしないとね」
《はい……気に入って頂けましたか?》
「勿論」
《後で嫌になっても、もう手放せないので》
「それは私の台詞なのよねぇ」
《あの時はどうかしていました、死なれるか手放すか、それしか考えられなかったんです。もし相談してしまったら、手放せずに死なせてしまう事になるかも知れないと、勝手に追い詰められていたんです》
「そう縋ったり弱かった方が良かった?」
《いえ、強くても弱くても愚かでも、どんなアナタでも愛します。今も、アナタが幸せに生きられる事を1番にと考えています》
「死なれるか手放すか」
《同じ事が、似た事が起きても、2度と同じ選択肢は選びません。何をしても、一緒に生きる道を選びます》
「逆に、私が手放す事を選んだら?」
《地の果てまで追い掛けます》
「近寄ったら死ぬ呪い、とか」
《限界まで近くで、見守ります》
「見ると死ぬ」
《なら目を潰して傍に居ます、顔が嫌なら変えます、焼きます。何でもします、アナタの為になるなら何でも》
「ブラドを殺して欲しくなったら?」
《何かされたんですか?》
「そこは即答しないのね、偉い、こうでないと」
《何も》
「されて無いわよ、するワケ無いじゃない、と言うか返り討ちよ」
《あの人が悪しき王になったとしたら即殺します、アナタが間違いそうになったら話し合います、だから私にも言って下さい》
「素直さが好きなので、あまり捻くれず、直ぐに素直に言って欲しい」
《したいです》
「直球」
《媚薬を盛ろうかと、相談した事も有ります》
「意外、あら、盛られて無いわよね?」
《今は》
「ちょっと、どれよ、何に盛ってあるの?」
《その、飲み物に》
「だから勧めなかったのね」
《話し合って、確認したかったので》
「最悪は、既成事実を?」
《はい、それで、責任を取る流れに、と》
「そこまで策略を練っちゃう」
《得難く、失いたくないモノなので》
「そう得てみて、思ったより良く無かったら?」
《お互いに、改良、改善すれば問題無いかと》
「嫌になったらお互いに記憶を消すなら」
《いえ、アナタの記憶だけを消し、同じ主君に仕える他人に戻ると近います》
「結構、苦しいと思うわよ?」
《だとしても罰を受けるべき、そうなるべきです、既にアナタを傷付けた前例が有るのですから》
「なら一緒になる」
《結婚してくれますか?》
「はい」
《じゃあ、式を挙げましょう》
「へ?」
《ドレスのサイズはアナタに合わせました》
「何故、どうして結婚式を」
《ケジメ、区切り、節目、機会。小規模ですので安心して下さい、私と王と王妃、それとアーリスとマルティン司祭だけですから》
「あら、アンジェリークとかは呼ばなかったのね」
《さっさと終わらせて、したいので》
「素直で宜しい」
記憶が戻る事に賭けているとしても、それより今を優先させた。
何か、そこは嬉しいかも。
『良いなぁ、僕もしたいかも』
『お前、どっちでも良いとか言ってただろ』
『だって喜んでるんだもん、それに嫌がるかもって事を喜ぶ様にするとか、そこまで考えて無かったし』
『少なくともお前は肉体的に、性的には喜ばせられるしな、手間の掛る事を態々しようとは思わんのも仕方無い』
何か、それ、手抜きみたいで嫌かも。
『何かそれヤダ、僕もしたい』
『おうおう、しろしろ』
『色は決まってるんだ、黒と青、けど形で困ってる』
『あー、ローレンスが教えんからか』
『うん、けど、コレで記憶がどうなるか』
『それな、まぁ、材料だけ集めとけ』
『うん』
取り敢えず黒と青のビーズは欲しいから、スペランツァかな。
《あらアーリス》
『はい、貝、ビーズ頂戴』
《唐突、どうしたの?》
『僕のローシュのドレス用』
《ふふふふふ、大人気ね、ウチのビーズ》
『ローシュ、凄く気に入ってたよ、ドレス』
《見たいけど、暫く先よね?》
『だね』
《で、アナタもドレスが欲しくなったのね》
『喜ばせたいのと、着せたいの半分』
《ふふふ、そう、何色?》
『黒と青、だからビーズも黒と青』
《あら素敵、アーリスの髪と目の色ね》
『うん』
《生地は?》
『じゃあ、ふわふわのとツヤツヤの?』
《色は地味だけど派手、良さそうね》
『でしょ』
《そうだ、念の為に他の国にも聞いてみたら?どうせ外部には出さないんだから、良い案を出してくれるかも》
『うん、そうする』
1番良いドレスになるかも。
「ごめんなさい、黒真珠を貰った後、寝て起きてから記憶が徐々に戻ってたの」
《そうなんですね、良かった》
「騙しててごめんなさい」
《いえ、解決していない問題が有りましたし。すみません、心無い事を言って、傷付けました》
「予想外、もっと何か」
《拗ねられるとか、怒る、ですかね》
「そうそう、機嫌を損ねる系統の何か」
《私は全然気付か、他に誰が知っているんですか?》
「アーリスと、王と、ネオス」
《ぁあ、彼とは長く離れてましたしね》
「もー、何か怒ってくれない?」
《ローレンスに言わなかったのは偉いですね、きっと直ぐに食べ散らかしてたでしょうし》
「ね」
記憶が既に戻っていたのは想定外。
失敗するか、ココからやっと、記憶を取り戻せるのかと。
《本当に黒真珠を得てから、直ぐにですか?》
「アーリスが私を眠らせた後から、じわじわ」
《転生者も、そう思い出していったんでしょうかね》
「あぁ、かも」
《もう戻らなくても良いのかも知れないと、けどこうしてみると、やっぱり嬉しいですね》
「言い出そうとした時に王に凄い不味い何かを飲まされて、それでルツは本当に知らなかったんだなと思ったのよね、私とクーリナが本当に呼び出されたのだと思ってた」
《無能だったら問い詰めて、いずれバレていたんでしょうけど、2人が優秀だったので》
「優秀なのかどうか、どんなに言われても永遠に納得しないと思う」
《一定の水準は超えてますよ》
「今はね」
《私にしたら贅沢品ですよ、得難く手放し難いんですから》
「どうにか叱るか怒るかして」
《無理ですね、嫌な気持ちが何も無いので》
「寛容ね」
《ですけど未だ少し疑ってはいます、もしかしたら記憶に欠損が有るか、そもそも思い出したフリかも知れない》
「何故?」
《アナタは優しいので》
「そこまでは流石に、どうぞ、確かめてみて」
《じゃあ初めてした時の事を言って貰いましょうか、どんな風にしたか、何回したか》
アーリスの体液が効くのは半日、そのアーリスは出掛けたまま。
けど、そろそろ、どうなったか。
『ローレンス、そわそわしてんなおい』
『そらしますよ、万が一にも失敗してたら励ますのと立て直すので』
ノックが、やっと。
「お騒がせしました、思い出しました」
《随分と前だそうですけどね》
『おぉ、上手くいったんだなルツ、姉上。やー、良かった、マジで落ち着かなかったんだからな』
《すみませんでした》
『いや、うん、安心した』
『あの、ちょっと待って下さい、随分前に思い出してたって』
「ごめんなさいローレンス」
《黒真珠を渡して暫くして思い出していたそうなんですが、問題が解決していなかったので言い出せなかったそうです》
『だよなぁ、ハーレムだ何だと』
『えっ、王は知ってらっしゃったんですか?』
『残念だったなローレンス、お前だけだ』
「ちょっと、ブラド」
『となるとネオスは』
《知っていたそうで、帰還命令を私の為に延期してくれていた、と。なので直ぐにも呼び戻すつもりです》
『アレにはマジで助けられたからな、家を何個やったら良いか』
『何で俺だけ』
『そらお前は遠慮無しに食い散らかすだろう』
《しかもネオスを煽りそうですし》
「ごめんねローレンス」
『ただい、あ、成功したんだルツ、おめでとう』
《ご心配お掛けしましたアーリス、ネオスを迎えに行ってきますね》
『あ、うん』
『アーリス、いつから知って?』
『あぁ、結構最初の方、言うか迷ってるって』
『俺が、最後』
『お前なぁ、じゃあ知ってても食わなかったか?』
それは。
『ほらぁ、凄い迷ってるじゃん』
『だからだ、そう我慢するよりマシだったろ』
「嫌とか嫌いとかじゃないからね?」
『本当ですか?』
「じゃなきゃ記憶が戻ってる事を伝えないままにしてたと思うけど」
『ハーレムを?』
「アーリスに滾々と説得されたから、アナタが粗相をしたらアーリスもお仕置きされます」
『俺をハーレムに?』
「ネオスを入れてアナタは除外、そうする理由が今の所は無いので」
『ネオスは確定なんですね』
「会わないでもダメなんだもの、次は飽きるまで一緒に居るしかないかな、と」
『俺とも?』
「そんなに信じられないなら、何か試練でもこなしておく?」
それは、流石に。
『じゃあアレだな、お前裏でコソコソしてたろ。アレが気に入られなかったら、失格』
『いや、アレは、ローシュが気に入るかどうか考えて作って無いので』
『もう出来てるの?』
『まぁ、一応は』
『凄い、じゃあ渡しちゃえは?』
『いや、ルツさんと落ち着いてからで』
『おぉ、そこは譲れるんだな』
『いや、譲るも何も』
《どうしたんですかローレンス、珍しく慌てた様子ですけど》
『ルツさん、ネオスは?』
《もう少し仕込みをしたいそうで、準備を終えたら戻って来るそうです》
『ローシュの好きな山菜の塩漬けとかかな』
「あぁ、ウチでも収穫したから良いのに」
『ま、折角だ、好きにさせてやろう。で、どうするんだルツ』
《もう効力が切れるでしょうし》
『遠慮しないでルツ、はい』
何かもう、アーリスとローシュがキスしてるのもすっかり平気に。
いや、そうじゃなくて、俺は。
《ありがとうございます》
『いえいえ、じゃ、また必要になったら来て』
「ありがとう」
『ま、暫く時間は有るみたいだし、後はお前がどうしたいかだ』
『家もまだで、ドレスだけで』
『そら家は直ぐに建たんしな、けどお前は既に持ってるだろ、ブリテンに』
『それは』
『俺は許す。だがどう誘き出すか、どう着せるよ』
『結婚式って、付き添いとか有りますよね』
『お、流石だなローレンス、やれ』
『はい、ありがとうございます』
「結婚の申し込みって事?」
《はい》
収穫祭の後に案内された家には、真新しく清潔なリネン、それこそタオルが揃い。
飲料水も備蓄も、切り花もフワフワの毛皮も。
お願いしていた青と緑色のドレスには、ビーズまで。
「大変だったでしょう、内緒でココまで」
《はい、少し》
「少し?」
《私だけなら、ココまでは無理でした》
「後でお礼をしないとね」
《はい……気に入って頂けましたか?》
「勿論」
《後で嫌になっても、もう手放せないので》
「それは私の台詞なのよねぇ」
《あの時はどうかしていました、死なれるか手放すか、それしか考えられなかったんです。もし相談してしまったら、手放せずに死なせてしまう事になるかも知れないと、勝手に追い詰められていたんです》
「そう縋ったり弱かった方が良かった?」
《いえ、強くても弱くても愚かでも、どんなアナタでも愛します。今も、アナタが幸せに生きられる事を1番にと考えています》
「死なれるか手放すか」
《同じ事が、似た事が起きても、2度と同じ選択肢は選びません。何をしても、一緒に生きる道を選びます》
「逆に、私が手放す事を選んだら?」
《地の果てまで追い掛けます》
「近寄ったら死ぬ呪い、とか」
《限界まで近くで、見守ります》
「見ると死ぬ」
《なら目を潰して傍に居ます、顔が嫌なら変えます、焼きます。何でもします、アナタの為になるなら何でも》
「ブラドを殺して欲しくなったら?」
《何かされたんですか?》
「そこは即答しないのね、偉い、こうでないと」
《何も》
「されて無いわよ、するワケ無いじゃない、と言うか返り討ちよ」
《あの人が悪しき王になったとしたら即殺します、アナタが間違いそうになったら話し合います、だから私にも言って下さい》
「素直さが好きなので、あまり捻くれず、直ぐに素直に言って欲しい」
《したいです》
「直球」
《媚薬を盛ろうかと、相談した事も有ります》
「意外、あら、盛られて無いわよね?」
《今は》
「ちょっと、どれよ、何に盛ってあるの?」
《その、飲み物に》
「だから勧めなかったのね」
《話し合って、確認したかったので》
「最悪は、既成事実を?」
《はい、それで、責任を取る流れに、と》
「そこまで策略を練っちゃう」
《得難く、失いたくないモノなので》
「そう得てみて、思ったより良く無かったら?」
《お互いに、改良、改善すれば問題無いかと》
「嫌になったらお互いに記憶を消すなら」
《いえ、アナタの記憶だけを消し、同じ主君に仕える他人に戻ると近います》
「結構、苦しいと思うわよ?」
《だとしても罰を受けるべき、そうなるべきです、既にアナタを傷付けた前例が有るのですから》
「なら一緒になる」
《結婚してくれますか?》
「はい」
《じゃあ、式を挙げましょう》
「へ?」
《ドレスのサイズはアナタに合わせました》
「何故、どうして結婚式を」
《ケジメ、区切り、節目、機会。小規模ですので安心して下さい、私と王と王妃、それとアーリスとマルティン司祭だけですから》
「あら、アンジェリークとかは呼ばなかったのね」
《さっさと終わらせて、したいので》
「素直で宜しい」
記憶が戻る事に賭けているとしても、それより今を優先させた。
何か、そこは嬉しいかも。
『良いなぁ、僕もしたいかも』
『お前、どっちでも良いとか言ってただろ』
『だって喜んでるんだもん、それに嫌がるかもって事を喜ぶ様にするとか、そこまで考えて無かったし』
『少なくともお前は肉体的に、性的には喜ばせられるしな、手間の掛る事を態々しようとは思わんのも仕方無い』
何か、それ、手抜きみたいで嫌かも。
『何かそれヤダ、僕もしたい』
『おうおう、しろしろ』
『色は決まってるんだ、黒と青、けど形で困ってる』
『あー、ローレンスが教えんからか』
『うん、けど、コレで記憶がどうなるか』
『それな、まぁ、材料だけ集めとけ』
『うん』
取り敢えず黒と青のビーズは欲しいから、スペランツァかな。
《あらアーリス》
『はい、貝、ビーズ頂戴』
《唐突、どうしたの?》
『僕のローシュのドレス用』
《ふふふふふ、大人気ね、ウチのビーズ》
『ローシュ、凄く気に入ってたよ、ドレス』
《見たいけど、暫く先よね?》
『だね』
《で、アナタもドレスが欲しくなったのね》
『喜ばせたいのと、着せたいの半分』
《ふふふ、そう、何色?》
『黒と青、だからビーズも黒と青』
《あら素敵、アーリスの髪と目の色ね》
『うん』
《生地は?》
『じゃあ、ふわふわのとツヤツヤの?』
《色は地味だけど派手、良さそうね》
『でしょ』
《そうだ、念の為に他の国にも聞いてみたら?どうせ外部には出さないんだから、良い案を出してくれるかも》
『うん、そうする』
1番良いドレスになるかも。
「ごめんなさい、黒真珠を貰った後、寝て起きてから記憶が徐々に戻ってたの」
《そうなんですね、良かった》
「騙しててごめんなさい」
《いえ、解決していない問題が有りましたし。すみません、心無い事を言って、傷付けました》
「予想外、もっと何か」
《拗ねられるとか、怒る、ですかね》
「そうそう、機嫌を損ねる系統の何か」
《私は全然気付か、他に誰が知っているんですか?》
「アーリスと、王と、ネオス」
《ぁあ、彼とは長く離れてましたしね》
「もー、何か怒ってくれない?」
《ローレンスに言わなかったのは偉いですね、きっと直ぐに食べ散らかしてたでしょうし》
「ね」
記憶が既に戻っていたのは想定外。
失敗するか、ココからやっと、記憶を取り戻せるのかと。
《本当に黒真珠を得てから、直ぐにですか?》
「アーリスが私を眠らせた後から、じわじわ」
《転生者も、そう思い出していったんでしょうかね》
「あぁ、かも」
《もう戻らなくても良いのかも知れないと、けどこうしてみると、やっぱり嬉しいですね》
「言い出そうとした時に王に凄い不味い何かを飲まされて、それでルツは本当に知らなかったんだなと思ったのよね、私とクーリナが本当に呼び出されたのだと思ってた」
《無能だったら問い詰めて、いずれバレていたんでしょうけど、2人が優秀だったので》
「優秀なのかどうか、どんなに言われても永遠に納得しないと思う」
《一定の水準は超えてますよ》
「今はね」
《私にしたら贅沢品ですよ、得難く手放し難いんですから》
「どうにか叱るか怒るかして」
《無理ですね、嫌な気持ちが何も無いので》
「寛容ね」
《ですけど未だ少し疑ってはいます、もしかしたら記憶に欠損が有るか、そもそも思い出したフリかも知れない》
「何故?」
《アナタは優しいので》
「そこまでは流石に、どうぞ、確かめてみて」
《じゃあ初めてした時の事を言って貰いましょうか、どんな風にしたか、何回したか》
アーリスの体液が効くのは半日、そのアーリスは出掛けたまま。
けど、そろそろ、どうなったか。
『ローレンス、そわそわしてんなおい』
『そらしますよ、万が一にも失敗してたら励ますのと立て直すので』
ノックが、やっと。
「お騒がせしました、思い出しました」
《随分と前だそうですけどね》
『おぉ、上手くいったんだなルツ、姉上。やー、良かった、マジで落ち着かなかったんだからな』
《すみませんでした》
『いや、うん、安心した』
『あの、ちょっと待って下さい、随分前に思い出してたって』
「ごめんなさいローレンス」
《黒真珠を渡して暫くして思い出していたそうなんですが、問題が解決していなかったので言い出せなかったそうです》
『だよなぁ、ハーレムだ何だと』
『えっ、王は知ってらっしゃったんですか?』
『残念だったなローレンス、お前だけだ』
「ちょっと、ブラド」
『となるとネオスは』
《知っていたそうで、帰還命令を私の為に延期してくれていた、と。なので直ぐにも呼び戻すつもりです》
『アレにはマジで助けられたからな、家を何個やったら良いか』
『何で俺だけ』
『そらお前は遠慮無しに食い散らかすだろう』
《しかもネオスを煽りそうですし》
「ごめんねローレンス」
『ただい、あ、成功したんだルツ、おめでとう』
《ご心配お掛けしましたアーリス、ネオスを迎えに行ってきますね》
『あ、うん』
『アーリス、いつから知って?』
『あぁ、結構最初の方、言うか迷ってるって』
『俺が、最後』
『お前なぁ、じゃあ知ってても食わなかったか?』
それは。
『ほらぁ、凄い迷ってるじゃん』
『だからだ、そう我慢するよりマシだったろ』
「嫌とか嫌いとかじゃないからね?」
『本当ですか?』
「じゃなきゃ記憶が戻ってる事を伝えないままにしてたと思うけど」
『ハーレムを?』
「アーリスに滾々と説得されたから、アナタが粗相をしたらアーリスもお仕置きされます」
『俺をハーレムに?』
「ネオスを入れてアナタは除外、そうする理由が今の所は無いので」
『ネオスは確定なんですね』
「会わないでもダメなんだもの、次は飽きるまで一緒に居るしかないかな、と」
『俺とも?』
「そんなに信じられないなら、何か試練でもこなしておく?」
それは、流石に。
『じゃあアレだな、お前裏でコソコソしてたろ。アレが気に入られなかったら、失格』
『いや、アレは、ローシュが気に入るかどうか考えて作って無いので』
『もう出来てるの?』
『まぁ、一応は』
『凄い、じゃあ渡しちゃえは?』
『いや、ルツさんと落ち着いてからで』
『おぉ、そこは譲れるんだな』
『いや、譲るも何も』
《どうしたんですかローレンス、珍しく慌てた様子ですけど》
『ルツさん、ネオスは?』
《もう少し仕込みをしたいそうで、準備を終えたら戻って来るそうです》
『ローシュの好きな山菜の塩漬けとかかな』
「あぁ、ウチでも収穫したから良いのに」
『ま、折角だ、好きにさせてやろう。で、どうするんだルツ』
《もう効力が切れるでしょうし》
『遠慮しないでルツ、はい』
何かもう、アーリスとローシュがキスしてるのもすっかり平気に。
いや、そうじゃなくて、俺は。
《ありがとうございます》
『いえいえ、じゃ、また必要になったら来て』
「ありがとう」
『ま、暫く時間は有るみたいだし、後はお前がどうしたいかだ』
『家もまだで、ドレスだけで』
『そら家は直ぐに建たんしな、けどお前は既に持ってるだろ、ブリテンに』
『それは』
『俺は許す。だがどう誘き出すか、どう着せるよ』
『結婚式って、付き添いとか有りますよね』
『お、流石だなローレンス、やれ』
『はい、ありがとうございます』
0
お気に入りに追加
23
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

夫の隠し子を見付けたので、溺愛してみた。
辺野夏子
恋愛
セファイア王国王女アリエノールは八歳の時、王命を受けエメレット伯爵家に嫁いだ。それから十年、ずっと仮面夫婦のままだ。アリエノールは先天性の病のため、残りの寿命はあとわずか。日々を穏やかに過ごしているけれど、このままでは生きた証がないまま短い命を散らしてしまう。そんなある日、アリエノールの元に一人の子供が現れた。夫であるカシウスに生き写しな見た目の子供は「この家の子供になりにきた」と宣言する。これは夫の隠し子に間違いないと、アリエノールは継母としてその子を育てることにするのだが……堅物で不器用な夫と、余命わずかで卑屈になっていた妻がお互いの真実に気が付くまでの話。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!
桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。
「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。
異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。
初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!

【完結】番である私の旦那様
桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族!
黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。
バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。
オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。
気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。
でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!)
大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです!
神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。
前半は転移する前の私生活から始まります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる