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更に更に、その後。
やっと。
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《扶桑の伝統に倣い、アナタの為に、家を用意しました》
「結婚の申し込みって事?」
《はい》
収穫祭の後に案内された家には、真新しく清潔なリネン、それこそタオルが揃い。
飲料水も備蓄も、切り花もフワフワの毛皮も。
お願いしていた青と緑色のドレスには、ビーズまで。
「大変だったでしょう、内緒でココまで」
《はい、少し》
「少し?」
《私だけなら、ココまでは無理でした》
「後でお礼をしないとね」
《はい……気に入って頂けましたか?》
「勿論」
《後で嫌になっても、もう手放せないので》
「それは私の台詞なのよねぇ」
《あの時はどうかしていました、死なれるか手放すか、それしか考えられなかったんです。もし相談してしまったら、手放せずに死なせてしまう事になるかも知れないと、勝手に追い詰められていたんです》
「そう縋ったり弱かった方が良かった?」
《いえ、強くても弱くても愚かでも、どんなアナタでも愛します。今も、アナタが幸せに生きられる事を1番にと考えています》
「死なれるか手放すか」
《同じ事が、似た事が起きても、2度と同じ選択肢は選びません。何をしても、一緒に生きる道を選びます》
「逆に、私が手放す事を選んだら?」
《地の果てまで追い掛けます》
「近寄ったら死ぬ呪い、とか」
《限界まで近くで、見守ります》
「見ると死ぬ」
《なら目を潰して傍に居ます、顔が嫌なら変えます、焼きます。何でもします、アナタの為になるなら何でも》
「ブラドを殺して欲しくなったら?」
《何かされたんですか?》
「そこは即答しないのね、偉い、こうでないと」
《何も》
「されて無いわよ、するワケ無いじゃない、と言うか返り討ちよ」
《あの人が悪しき王になったとしたら即殺します、アナタが間違いそうになったら話し合います、だから私にも言って下さい》
「素直さが好きなので、あまり捻くれず、直ぐに素直に言って欲しい」
《したいです》
「直球」
《媚薬を盛ろうかと、相談した事も有ります》
「意外、あら、盛られて無いわよね?」
《今は》
「ちょっと、どれよ、何に盛ってあるの?」
《その、飲み物に》
「だから勧めなかったのね」
《話し合って、確認したかったので》
「最悪は、既成事実を?」
《はい、それで、責任を取る流れに、と》
「そこまで策略を練っちゃう」
《得難く、失いたくないモノなので》
「そう得てみて、思ったより良く無かったら?」
《お互いに、改良、改善すれば問題無いかと》
「嫌になったらお互いに記憶を消すなら」
《いえ、アナタの記憶だけを消し、同じ主君に仕える他人に戻ると近います》
「結構、苦しいと思うわよ?」
《だとしても罰を受けるべき、そうなるべきです、既にアナタを傷付けた前例が有るのですから》
「なら一緒になる」
《結婚してくれますか?》
「はい」
《じゃあ、式を挙げましょう》
「へ?」
《ドレスのサイズはアナタに合わせました》
「何故、どうして結婚式を」
《ケジメ、区切り、節目、機会。小規模ですので安心して下さい、私と王と王妃、それとアーリスとマルティン司祭だけですから》
「あら、アンジェリークとかは呼ばなかったのね」
《さっさと終わらせて、したいので》
「素直で宜しい」
記憶が戻る事に賭けているとしても、それより今を優先させた。
何か、そこは嬉しいかも。
『良いなぁ、僕もしたいかも』
『お前、どっちでも良いとか言ってただろ』
『だって喜んでるんだもん、それに嫌がるかもって事を喜ぶ様にするとか、そこまで考えて無かったし』
『少なくともお前は肉体的に、性的には喜ばせられるしな、手間の掛る事を態々しようとは思わんのも仕方無い』
何か、それ、手抜きみたいで嫌かも。
『何かそれヤダ、僕もしたい』
『おうおう、しろしろ』
『色は決まってるんだ、黒と青、けど形で困ってる』
『あー、ローレンスが教えんからか』
『うん、けど、コレで記憶がどうなるか』
『それな、まぁ、材料だけ集めとけ』
『うん』
取り敢えず黒と青のビーズは欲しいから、スペランツァかな。
《あらアーリス》
『はい、貝、ビーズ頂戴』
《唐突、どうしたの?》
『僕のローシュのドレス用』
《ふふふふふ、大人気ね、ウチのビーズ》
『ローシュ、凄く気に入ってたよ、ドレス』
《見たいけど、暫く先よね?》
『だね』
《で、アナタもドレスが欲しくなったのね》
『喜ばせたいのと、着せたいの半分』
《ふふふ、そう、何色?》
『黒と青、だからビーズも黒と青』
《あら素敵、アーリスの髪と目の色ね》
『うん』
《生地は?》
『じゃあ、ふわふわのとツヤツヤの?』
《色は地味だけど派手、良さそうね》
『でしょ』
《そうだ、念の為に他の国にも聞いてみたら?どうせ外部には出さないんだから、良い案を出してくれるかも》
『うん、そうする』
1番良いドレスになるかも。
「ごめんなさい、黒真珠を貰った後、寝て起きてから記憶が徐々に戻ってたの」
《そうなんですね、良かった》
「騙しててごめんなさい」
《いえ、解決していない問題が有りましたし。すみません、心無い事を言って、傷付けました》
「予想外、もっと何か」
《拗ねられるとか、怒る、ですかね》
「そうそう、機嫌を損ねる系統の何か」
《私は全然気付か、他に誰が知っているんですか?》
「アーリスと、王と、ネオス」
《ぁあ、彼とは長く離れてましたしね》
「もー、何か怒ってくれない?」
《ローレンスに言わなかったのは偉いですね、きっと直ぐに食べ散らかしてたでしょうし》
「ね」
記憶が既に戻っていたのは想定外。
失敗するか、ココからやっと、記憶を取り戻せるのかと。
《本当に黒真珠を得てから、直ぐにですか?》
「アーリスが私を眠らせた後から、じわじわ」
《転生者も、そう思い出していったんでしょうかね》
「あぁ、かも」
《もう戻らなくても良いのかも知れないと、けどこうしてみると、やっぱり嬉しいですね》
「言い出そうとした時に王に凄い不味い何かを飲まされて、それでルツは本当に知らなかったんだなと思ったのよね、私とクーリナが本当に呼び出されたのだと思ってた」
《無能だったら問い詰めて、いずれバレていたんでしょうけど、2人が優秀だったので》
「優秀なのかどうか、どんなに言われても永遠に納得しないと思う」
《一定の水準は超えてますよ》
「今はね」
《私にしたら贅沢品ですよ、得難く手放し難いんですから》
「どうにか叱るか怒るかして」
《無理ですね、嫌な気持ちが何も無いので》
「寛容ね」
《ですけど未だ少し疑ってはいます、もしかしたら記憶に欠損が有るか、そもそも思い出したフリかも知れない》
「何故?」
《アナタは優しいので》
「そこまでは流石に、どうぞ、確かめてみて」
《じゃあ初めてした時の事を言って貰いましょうか、どんな風にしたか、何回したか》
アーリスの体液が効くのは半日、そのアーリスは出掛けたまま。
けど、そろそろ、どうなったか。
『ローレンス、そわそわしてんなおい』
『そらしますよ、万が一にも失敗してたら励ますのと立て直すので』
ノックが、やっと。
「お騒がせしました、思い出しました」
《随分と前だそうですけどね》
『おぉ、上手くいったんだなルツ、姉上。やー、良かった、マジで落ち着かなかったんだからな』
《すみませんでした》
『いや、うん、安心した』
『あの、ちょっと待って下さい、随分前に思い出してたって』
「ごめんなさいローレンス」
《黒真珠を渡して暫くして思い出していたそうなんですが、問題が解決していなかったので言い出せなかったそうです》
『だよなぁ、ハーレムだ何だと』
『えっ、王は知ってらっしゃったんですか?』
『残念だったなローレンス、お前だけだ』
「ちょっと、ブラド」
『となるとネオスは』
《知っていたそうで、帰還命令を私の為に延期してくれていた、と。なので直ぐにも呼び戻すつもりです》
『アレにはマジで助けられたからな、家を何個やったら良いか』
『何で俺だけ』
『そらお前は遠慮無しに食い散らかすだろう』
《しかもネオスを煽りそうですし》
「ごめんねローレンス」
『ただい、あ、成功したんだルツ、おめでとう』
《ご心配お掛けしましたアーリス、ネオスを迎えに行ってきますね》
『あ、うん』
『アーリス、いつから知って?』
『あぁ、結構最初の方、言うか迷ってるって』
『俺が、最後』
『お前なぁ、じゃあ知ってても食わなかったか?』
それは。
『ほらぁ、凄い迷ってるじゃん』
『だからだ、そう我慢するよりマシだったろ』
「嫌とか嫌いとかじゃないからね?」
『本当ですか?』
「じゃなきゃ記憶が戻ってる事を伝えないままにしてたと思うけど」
『ハーレムを?』
「アーリスに滾々と説得されたから、アナタが粗相をしたらアーリスもお仕置きされます」
『俺をハーレムに?』
「ネオスを入れてアナタは除外、そうする理由が今の所は無いので」
『ネオスは確定なんですね』
「会わないでもダメなんだもの、次は飽きるまで一緒に居るしかないかな、と」
『俺とも?』
「そんなに信じられないなら、何か試練でもこなしておく?」
それは、流石に。
『じゃあアレだな、お前裏でコソコソしてたろ。アレが気に入られなかったら、失格』
『いや、アレは、ローシュが気に入るかどうか考えて作って無いので』
『もう出来てるの?』
『まぁ、一応は』
『凄い、じゃあ渡しちゃえは?』
『いや、ルツさんと落ち着いてからで』
『おぉ、そこは譲れるんだな』
『いや、譲るも何も』
《どうしたんですかローレンス、珍しく慌てた様子ですけど》
『ルツさん、ネオスは?』
《もう少し仕込みをしたいそうで、準備を終えたら戻って来るそうです》
『ローシュの好きな山菜の塩漬けとかかな』
「あぁ、ウチでも収穫したから良いのに」
『ま、折角だ、好きにさせてやろう。で、どうするんだルツ』
《もう効力が切れるでしょうし》
『遠慮しないでルツ、はい』
何かもう、アーリスとローシュがキスしてるのもすっかり平気に。
いや、そうじゃなくて、俺は。
《ありがとうございます》
『いえいえ、じゃ、また必要になったら来て』
「ありがとう」
『ま、暫く時間は有るみたいだし、後はお前がどうしたいかだ』
『家もまだで、ドレスだけで』
『そら家は直ぐに建たんしな、けどお前は既に持ってるだろ、ブリテンに』
『それは』
『俺は許す。だがどう誘き出すか、どう着せるよ』
『結婚式って、付き添いとか有りますよね』
『お、流石だなローレンス、やれ』
『はい、ありがとうございます』
「結婚の申し込みって事?」
《はい》
収穫祭の後に案内された家には、真新しく清潔なリネン、それこそタオルが揃い。
飲料水も備蓄も、切り花もフワフワの毛皮も。
お願いしていた青と緑色のドレスには、ビーズまで。
「大変だったでしょう、内緒でココまで」
《はい、少し》
「少し?」
《私だけなら、ココまでは無理でした》
「後でお礼をしないとね」
《はい……気に入って頂けましたか?》
「勿論」
《後で嫌になっても、もう手放せないので》
「それは私の台詞なのよねぇ」
《あの時はどうかしていました、死なれるか手放すか、それしか考えられなかったんです。もし相談してしまったら、手放せずに死なせてしまう事になるかも知れないと、勝手に追い詰められていたんです》
「そう縋ったり弱かった方が良かった?」
《いえ、強くても弱くても愚かでも、どんなアナタでも愛します。今も、アナタが幸せに生きられる事を1番にと考えています》
「死なれるか手放すか」
《同じ事が、似た事が起きても、2度と同じ選択肢は選びません。何をしても、一緒に生きる道を選びます》
「逆に、私が手放す事を選んだら?」
《地の果てまで追い掛けます》
「近寄ったら死ぬ呪い、とか」
《限界まで近くで、見守ります》
「見ると死ぬ」
《なら目を潰して傍に居ます、顔が嫌なら変えます、焼きます。何でもします、アナタの為になるなら何でも》
「ブラドを殺して欲しくなったら?」
《何かされたんですか?》
「そこは即答しないのね、偉い、こうでないと」
《何も》
「されて無いわよ、するワケ無いじゃない、と言うか返り討ちよ」
《あの人が悪しき王になったとしたら即殺します、アナタが間違いそうになったら話し合います、だから私にも言って下さい》
「素直さが好きなので、あまり捻くれず、直ぐに素直に言って欲しい」
《したいです》
「直球」
《媚薬を盛ろうかと、相談した事も有ります》
「意外、あら、盛られて無いわよね?」
《今は》
「ちょっと、どれよ、何に盛ってあるの?」
《その、飲み物に》
「だから勧めなかったのね」
《話し合って、確認したかったので》
「最悪は、既成事実を?」
《はい、それで、責任を取る流れに、と》
「そこまで策略を練っちゃう」
《得難く、失いたくないモノなので》
「そう得てみて、思ったより良く無かったら?」
《お互いに、改良、改善すれば問題無いかと》
「嫌になったらお互いに記憶を消すなら」
《いえ、アナタの記憶だけを消し、同じ主君に仕える他人に戻ると近います》
「結構、苦しいと思うわよ?」
《だとしても罰を受けるべき、そうなるべきです、既にアナタを傷付けた前例が有るのですから》
「なら一緒になる」
《結婚してくれますか?》
「はい」
《じゃあ、式を挙げましょう》
「へ?」
《ドレスのサイズはアナタに合わせました》
「何故、どうして結婚式を」
《ケジメ、区切り、節目、機会。小規模ですので安心して下さい、私と王と王妃、それとアーリスとマルティン司祭だけですから》
「あら、アンジェリークとかは呼ばなかったのね」
《さっさと終わらせて、したいので》
「素直で宜しい」
記憶が戻る事に賭けているとしても、それより今を優先させた。
何か、そこは嬉しいかも。
『良いなぁ、僕もしたいかも』
『お前、どっちでも良いとか言ってただろ』
『だって喜んでるんだもん、それに嫌がるかもって事を喜ぶ様にするとか、そこまで考えて無かったし』
『少なくともお前は肉体的に、性的には喜ばせられるしな、手間の掛る事を態々しようとは思わんのも仕方無い』
何か、それ、手抜きみたいで嫌かも。
『何かそれヤダ、僕もしたい』
『おうおう、しろしろ』
『色は決まってるんだ、黒と青、けど形で困ってる』
『あー、ローレンスが教えんからか』
『うん、けど、コレで記憶がどうなるか』
『それな、まぁ、材料だけ集めとけ』
『うん』
取り敢えず黒と青のビーズは欲しいから、スペランツァかな。
《あらアーリス》
『はい、貝、ビーズ頂戴』
《唐突、どうしたの?》
『僕のローシュのドレス用』
《ふふふふふ、大人気ね、ウチのビーズ》
『ローシュ、凄く気に入ってたよ、ドレス』
《見たいけど、暫く先よね?》
『だね』
《で、アナタもドレスが欲しくなったのね》
『喜ばせたいのと、着せたいの半分』
《ふふふ、そう、何色?》
『黒と青、だからビーズも黒と青』
《あら素敵、アーリスの髪と目の色ね》
『うん』
《生地は?》
『じゃあ、ふわふわのとツヤツヤの?』
《色は地味だけど派手、良さそうね》
『でしょ』
《そうだ、念の為に他の国にも聞いてみたら?どうせ外部には出さないんだから、良い案を出してくれるかも》
『うん、そうする』
1番良いドレスになるかも。
「ごめんなさい、黒真珠を貰った後、寝て起きてから記憶が徐々に戻ってたの」
《そうなんですね、良かった》
「騙しててごめんなさい」
《いえ、解決していない問題が有りましたし。すみません、心無い事を言って、傷付けました》
「予想外、もっと何か」
《拗ねられるとか、怒る、ですかね》
「そうそう、機嫌を損ねる系統の何か」
《私は全然気付か、他に誰が知っているんですか?》
「アーリスと、王と、ネオス」
《ぁあ、彼とは長く離れてましたしね》
「もー、何か怒ってくれない?」
《ローレンスに言わなかったのは偉いですね、きっと直ぐに食べ散らかしてたでしょうし》
「ね」
記憶が既に戻っていたのは想定外。
失敗するか、ココからやっと、記憶を取り戻せるのかと。
《本当に黒真珠を得てから、直ぐにですか?》
「アーリスが私を眠らせた後から、じわじわ」
《転生者も、そう思い出していったんでしょうかね》
「あぁ、かも」
《もう戻らなくても良いのかも知れないと、けどこうしてみると、やっぱり嬉しいですね》
「言い出そうとした時に王に凄い不味い何かを飲まされて、それでルツは本当に知らなかったんだなと思ったのよね、私とクーリナが本当に呼び出されたのだと思ってた」
《無能だったら問い詰めて、いずれバレていたんでしょうけど、2人が優秀だったので》
「優秀なのかどうか、どんなに言われても永遠に納得しないと思う」
《一定の水準は超えてますよ》
「今はね」
《私にしたら贅沢品ですよ、得難く手放し難いんですから》
「どうにか叱るか怒るかして」
《無理ですね、嫌な気持ちが何も無いので》
「寛容ね」
《ですけど未だ少し疑ってはいます、もしかしたら記憶に欠損が有るか、そもそも思い出したフリかも知れない》
「何故?」
《アナタは優しいので》
「そこまでは流石に、どうぞ、確かめてみて」
《じゃあ初めてした時の事を言って貰いましょうか、どんな風にしたか、何回したか》
アーリスの体液が効くのは半日、そのアーリスは出掛けたまま。
けど、そろそろ、どうなったか。
『ローレンス、そわそわしてんなおい』
『そらしますよ、万が一にも失敗してたら励ますのと立て直すので』
ノックが、やっと。
「お騒がせしました、思い出しました」
《随分と前だそうですけどね》
『おぉ、上手くいったんだなルツ、姉上。やー、良かった、マジで落ち着かなかったんだからな』
《すみませんでした》
『いや、うん、安心した』
『あの、ちょっと待って下さい、随分前に思い出してたって』
「ごめんなさいローレンス」
《黒真珠を渡して暫くして思い出していたそうなんですが、問題が解決していなかったので言い出せなかったそうです》
『だよなぁ、ハーレムだ何だと』
『えっ、王は知ってらっしゃったんですか?』
『残念だったなローレンス、お前だけだ』
「ちょっと、ブラド」
『となるとネオスは』
《知っていたそうで、帰還命令を私の為に延期してくれていた、と。なので直ぐにも呼び戻すつもりです》
『アレにはマジで助けられたからな、家を何個やったら良いか』
『何で俺だけ』
『そらお前は遠慮無しに食い散らかすだろう』
《しかもネオスを煽りそうですし》
「ごめんねローレンス」
『ただい、あ、成功したんだルツ、おめでとう』
《ご心配お掛けしましたアーリス、ネオスを迎えに行ってきますね》
『あ、うん』
『アーリス、いつから知って?』
『あぁ、結構最初の方、言うか迷ってるって』
『俺が、最後』
『お前なぁ、じゃあ知ってても食わなかったか?』
それは。
『ほらぁ、凄い迷ってるじゃん』
『だからだ、そう我慢するよりマシだったろ』
「嫌とか嫌いとかじゃないからね?」
『本当ですか?』
「じゃなきゃ記憶が戻ってる事を伝えないままにしてたと思うけど」
『ハーレムを?』
「アーリスに滾々と説得されたから、アナタが粗相をしたらアーリスもお仕置きされます」
『俺をハーレムに?』
「ネオスを入れてアナタは除外、そうする理由が今の所は無いので」
『ネオスは確定なんですね』
「会わないでもダメなんだもの、次は飽きるまで一緒に居るしかないかな、と」
『俺とも?』
「そんなに信じられないなら、何か試練でもこなしておく?」
それは、流石に。
『じゃあアレだな、お前裏でコソコソしてたろ。アレが気に入られなかったら、失格』
『いや、アレは、ローシュが気に入るかどうか考えて作って無いので』
『もう出来てるの?』
『まぁ、一応は』
『凄い、じゃあ渡しちゃえは?』
『いや、ルツさんと落ち着いてからで』
『おぉ、そこは譲れるんだな』
『いや、譲るも何も』
《どうしたんですかローレンス、珍しく慌てた様子ですけど》
『ルツさん、ネオスは?』
《もう少し仕込みをしたいそうで、準備を終えたら戻って来るそうです》
『ローシュの好きな山菜の塩漬けとかかな』
「あぁ、ウチでも収穫したから良いのに」
『ま、折角だ、好きにさせてやろう。で、どうするんだルツ』
《もう効力が切れるでしょうし》
『遠慮しないでルツ、はい』
何かもう、アーリスとローシュがキスしてるのもすっかり平気に。
いや、そうじゃなくて、俺は。
《ありがとうございます》
『いえいえ、じゃ、また必要になったら来て』
「ありがとう」
『ま、暫く時間は有るみたいだし、後はお前がどうしたいかだ』
『家もまだで、ドレスだけで』
『そら家は直ぐに建たんしな、けどお前は既に持ってるだろ、ブリテンに』
『それは』
『俺は許す。だがどう誘き出すか、どう着せるよ』
『結婚式って、付き添いとか有りますよね』
『お、流石だなローレンス、やれ』
『はい、ありがとうございます』
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