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更に更に、その後。
演劇、ロッサ・フラウ。
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慌ただしくも収穫と加工を続けていると、あっと言う間に秋の収穫祭の前日に。
この時期に劇場へ様子見に行くって、約束しちゃったのよね。
「御機嫌よう、マーロウ、クリストファー」
『どうもローシュ』
《アンタ、何で俺だけ名なんだ?》
「アナタはマーロウと呼ぶし、マーロウはクリストファーと呼ぶでしょ。全く深い意味は無いわ」
《だよな》
『親しみを込めて名を呼ぶ、にも種類が有ると言っているのに、聞き入れてくれる者と信じない者が居てね。いや、どうしたものかと』
「あー、難しい問題ね。下心が有ったり、有って欲しかったり、その自覚が無かったりで答えが変わるから」
《自覚か、あぁ、面倒だな》
『両方を書いてみれば良いんじゃないかな』
《あぁ、だな》
『では、観劇を楽しんで行って下さい』
「どうも」
ルツとアーリスと。
ロッサ・フラウが如何にクロアチア州を統治したか、自分を演劇で見る事になるとは。
《事実とはかなり違いますが、どうでしたか?》
「まぁ、コレはロッサ・フラウの事、私の事じゃないから別に。ただ、こう見ると面白いわよね、サクサク進んで結末でスカッとする」
『ヴニッチっぽいのヴニッチに似てたよね』
「そこよ、偶々なんだろうけど、知ってる者としてはあそこが面白いんだけど。あそこで笑うの私達だけだから我慢しないとって、はぁ、ヴニッチはズルいわ」
《人気だそうですよ、もう1人の領主役》
『アルモスに似てないよね』
「ね、無理、男臭過ぎよ」
『言うと思った』
《あらローシュ、来てたのね》
『アナタでしょう、この後援者』
「さぁ、どうでしょう」
収穫祭の後、ローシュに家を見せる筈が。
オーストリアのグラーツで以前に知り合ったご婦人達から、ローシュが気になる噂を耳にしてしまう事に。
『危ないから、と辺境伯の領地に単独で行ったまま3年』
《しかも私的な手紙も贈り物も無し》
「あら離縁してしまえば宜しいのに」
『ご実家が厳しい家で、義理の家で過ごす方が楽だからって、気にしてなかったそうなの』
《でも辺境伯に戻れと言われて戻って来たみたいで》
「どんな方なの?」
『まぁ、他の男からの評判も悪くないし、功は上げてらっしゃるそうだけど』
《そこだけ、よね、彼女を大切にするとは思えないのだけど》
「何か問題が?」
《すっかり、恋をした顔をなさっちゃってるの》
「それは心配ですわね、凄く」
『率直に言わせて貰うけど、アナタは離縁を経験しているじゃない?』
《私達が言っても妬み嫉みだと思われるかも知れないから、ね》
「お2人は、どう」
『実は、他の方が彼女を思っているのを、知ってしまったのよ』
《なので他を進めるのは私達が、アナタには彼女の目を覚まさせて欲しいのだけど。意外と大丈夫なのかも知れない、そこの見極めを、ね?》
「先ずは、ご本人様とお会いしないと、なんとも」
《助かるわローシュ》
『実は今日、来てたのよ、その3人が』
「あら、どちらの策略かしらね?」
《策略だなんて、ねぇ?》
『まぁ、この子ね』
《ふふふふ》
そして、マーロウ達も加担しているらしく、噂の夫婦を直ぐに見つけ出し。
『コチラ、カサノヴァ家の後見人をなさっているローシュ』
「どうも、彼は甥のルツです、宜しくお願い致しますわね」
《お2人共、お相手を探してらっしゃるの。だから、何かご助言をと思って》
「フォアアールベルク州フェルトキルヒ郡とグラーツで愛を育まれたそうで、辺境で良い方が居れば是非、ご紹介に預かりたく」
《それとお友達にも、彼女はフィラハに拠点を置いてるから、グラーツはそう詳しく無いの》
『お2人のお邪魔にならない程度で構わないわ、少しだけ案内してあげて欲しいの』
《私は構いませんが》
『俺も、大丈夫ですよ』
そして社交は苦手なのか、何か言われる事を恐れてなのか。
夫の方は直ぐに食事を終え、席を外した。
「既にお伺いしています、だからこそ率直に言わせて頂きますね。どうか初恋に引き摺られないで、今までの事を良く思い出して、アナタはどんな風にされてきたの?」
ローシュは悲しそうに、優しく諭すように彼女に尋ねた。
《3年間、確かに放置されましたけど、それは仕事で》
「アナタが有能だから、他と少し違うから、貞淑だからだと知ってから彼は変わった。アナタを得ても何の利も無いのに引き留める、なら分かるわ、けれどアナタを得る事で向こうに大きな利が有る。貴族としては正しいかも知れない、けれどアナタを理解して、優しさをくれたのは誰?」
この夫人を想う、最近になって準男爵位を得た男の名は。
《ギリアムは、確かに優しいですけど》
「義理のご家族が彼に提言出来た筈、なのに放置した、それを優しい。と」
《そんな人達じゃ、私が言ったんです、迷惑を掛けたくないって》
「ではアナタが同じ立場なら、同じ様に放置するんですね、成程」
《それは、もっと、他に方法が有ったかも知れませんが》
「大事な嫁の為に何もしない、アナタは自分の子にそう躾け、誰にでも許す」
《それは、そうするつもりは》
「蔑ろにされている、贈り物が無かった1年で気付けた筈、それとも言う事を聞かないと殺すと」
《そんな事は》
「後から謝れば良い、優しく許すのが愛だ、と子供にまで教えるのですか?自分の娘が、息子がそんな事をしても、真実の愛に目覚めたのだから許す。そう許せば心根の優しい、度量の広い者だと思われるとでも?」
《そう思われたいワケでは》
「ぁあ、今回の事を盾に、常にアナタは上位に立てますものね」
《そんな事は》
「良いんですよ、貴族では無いにしても誰でも思うでしょうし。ただ、自分の子がされても構わない、しても構わないと示す事にも繋がる。大勢にバレなければ、真実の愛だから、愛していると言われたし処女を捧げた初恋の相手だから。3年間蔑ろにされていた事を許し、結婚を続ける。そして他人がされていても許し、子がしても許す、そんな貴族だと思われても構わない」
贈り物が無い事は周知の事実。
その事を義理の家族は偽装すらしなかった、貴族としては大きな失態。
《それは》
「貴族とは規範を示す者でもある、今更取り繕っても噂が広がる事は抑えられない。領民は安心出来ますかね、3年後に倍にして返すから無償で金を渡せと言われて納得する、そんな領主の元で生活するんですから」
《彼は》
「彼の気持ちが抱いて変わった様に、またいつ変わるか。確かにギリアムも変わるかも知れない、それは誰にでも起こる事。激しい愛を感じたかも知れませんが、何か有った時に激変するのはどちらか、流石に分かりますよね」
《私は》
「それでも愛が有る、その愛は変わらない筈だ。皆さん最初はそう思う、けど時が経てば人は変わる、アナタの夫が変わった様に。けれど変わらない部分も有る筈、その部分が悪い面か良い面か把握するには話し合いと行動と。ですが信じたいならどうぞ、ただお子さんにだけは類が及ばぬ様、しっかり守ってあげて下さいね」
《子供》
「私も昔は信じようと思っていたんですが、離縁したんですよ。そうした老婆心だったんですが、私とは違いアナタは美しく有能で大切にされている。無用な心配でしたようで失礼しました、では、さようなら」
私にも向けられた様な言葉の数々に、直ぐにも反論を思い浮かべた。
けれども結局はローシュの言葉が更なる反論になり、私はもう黙っているしか無かった。
『どっちを選んでも、幸せになれると良いね』
「そうね、それにしても、美形って本当に羨ましいわ。私みたいな不細工が同じ様な失敗をしたら直ぐに損切りされるか、被害者ぶられるか」
『ローシュは可愛いし綺麗だよ、ずっと見てたいもん』
「ありがとう。そうよね、愛されなかったのは私の顔じゃなくて、中身の問題だも」
『大好きだよローシュ、大丈夫、僕の気持ちは絶対に変わらないから』
「ありがとう」
心変わりでは無いけれど、それに近い事が私にも起きた。
ローシュが心配した様な事が彼女達に起こらなければ良いとは思う。
けれど、果たして本当にそうなるのかどうか。
《やっぱり、無理だわ、ごめんなさい》
『どうして、何が』
《信じられないの》
『何故、まさか、あの女の』
《いいえ、けど彼女の言う通り、確かに私なら同じ事はしない。アナタの家族も、アナタも、既に信用出来無いのだと気付いただけ》
『今は、本当に後悔しているんだ、愛してる』
《私が無能で、醜く、愚かでも?》
彼は美しさ、有能さを褒めてくれた。
けれどギリアムは優しさを、完璧では無い部分をも褒めてくれた。
『無理をさせた事は謝罪する、もう君が嫌がる事は』
《3年前より良い方に変った、それこそ思ってもみない方向へ、けれども次は悪い方へ変わるか元に戻るか。ごめんなさい、兎に角は1度離縁して下さい》
『離縁したら、どうするつもりなんだ?』
《アナタは他の女を知ってる、私もあの人と関わってみたいの。それが嫌ならもう2度と近付かないで下さい》
『そんな、俺は他の女は』
《何も知らなかったと言えますか?》
ギリアムは本当に何も知らなくて、それこそ加減も何も知らないから、しつこい位に私に尋ねてくれた。
痛みは無いか、どうしたら良くなるか。
それから失敗しそうにもなったり、それが凄く可愛くて。
『他の男を知りた、君は』
《知られるのが嫌ならどうして何もしなかったの?》
『あの時は、けど今は』
《私の3年を無視した、次はアナタの番、私に償いたいなら3年無視されて》
『本当に、愛してる』
《有能だから》
『だけでは』
彼にとっても初恋なのかも知れない。
けど。
《お願いします、償いたいなら私に自由を下さい》
久し振りに会った友人なのに、ローシュには無理を言ってしまった、でも。
《私の判断は、間違って無いわよね?》
『まぁ、そうね』
《はぁ、良かった》
『強引に動かした割に、少しは悪いと思ってたのね』
《勿論よ、大抵の事は愛で乗り越えられる。けれど乗り越えられなかったら、乗り越える価値が無かったらどうなるか、見極めは私達よりローシュが適任だと思ったけど。嫌な過去を思い出させる価値が有るか、私には分からなかったから》
『有ったわね、前とは違う激しい愛じゃないけど、心躍るって』
《片方はもうお見合いが来てるんですって、3年待たないつもりなのかしら》
『だとしたら弱い男、見限って正解だわ』
《でも、もし健気に待ってたら、どうするのかしら》
『妾にしてあげたら良いんじゃない?ギリアムが許せば』
《男って意外と同性に甘いから、有り得そう、彼女ちゃんと考えてるのかしら》
『だからこそ、隣街を派手に盛り立ててるのかも知れないわよ』
《ボーデン湖のフレゲンツかハルト、どちらが栄えるか楽しみね》
『賭けましょうか』
《賭けにならないわよ、私は彼女を応援するもの》
『アナタも同性に甘いじゃない』
《同性が蔑ろにされるのが嫌なだけよ》
けど、実際に貴族の統合を見る事になるとは思わなかったわ。
ヴィンディシュ=グレーツ家、1人の女性と2人の男性が平和に統治する、フォアアールベルク州。
やっぱりアレかしら、大罪が居たって噂のスイスが近いから、大らかなのかしらね。
この時期に劇場へ様子見に行くって、約束しちゃったのよね。
「御機嫌よう、マーロウ、クリストファー」
『どうもローシュ』
《アンタ、何で俺だけ名なんだ?》
「アナタはマーロウと呼ぶし、マーロウはクリストファーと呼ぶでしょ。全く深い意味は無いわ」
《だよな》
『親しみを込めて名を呼ぶ、にも種類が有ると言っているのに、聞き入れてくれる者と信じない者が居てね。いや、どうしたものかと』
「あー、難しい問題ね。下心が有ったり、有って欲しかったり、その自覚が無かったりで答えが変わるから」
《自覚か、あぁ、面倒だな》
『両方を書いてみれば良いんじゃないかな』
《あぁ、だな》
『では、観劇を楽しんで行って下さい』
「どうも」
ルツとアーリスと。
ロッサ・フラウが如何にクロアチア州を統治したか、自分を演劇で見る事になるとは。
《事実とはかなり違いますが、どうでしたか?》
「まぁ、コレはロッサ・フラウの事、私の事じゃないから別に。ただ、こう見ると面白いわよね、サクサク進んで結末でスカッとする」
『ヴニッチっぽいのヴニッチに似てたよね』
「そこよ、偶々なんだろうけど、知ってる者としてはあそこが面白いんだけど。あそこで笑うの私達だけだから我慢しないとって、はぁ、ヴニッチはズルいわ」
《人気だそうですよ、もう1人の領主役》
『アルモスに似てないよね』
「ね、無理、男臭過ぎよ」
『言うと思った』
《あらローシュ、来てたのね》
『アナタでしょう、この後援者』
「さぁ、どうでしょう」
収穫祭の後、ローシュに家を見せる筈が。
オーストリアのグラーツで以前に知り合ったご婦人達から、ローシュが気になる噂を耳にしてしまう事に。
『危ないから、と辺境伯の領地に単独で行ったまま3年』
《しかも私的な手紙も贈り物も無し》
「あら離縁してしまえば宜しいのに」
『ご実家が厳しい家で、義理の家で過ごす方が楽だからって、気にしてなかったそうなの』
《でも辺境伯に戻れと言われて戻って来たみたいで》
「どんな方なの?」
『まぁ、他の男からの評判も悪くないし、功は上げてらっしゃるそうだけど』
《そこだけ、よね、彼女を大切にするとは思えないのだけど》
「何か問題が?」
《すっかり、恋をした顔をなさっちゃってるの》
「それは心配ですわね、凄く」
『率直に言わせて貰うけど、アナタは離縁を経験しているじゃない?』
《私達が言っても妬み嫉みだと思われるかも知れないから、ね》
「お2人は、どう」
『実は、他の方が彼女を思っているのを、知ってしまったのよ』
《なので他を進めるのは私達が、アナタには彼女の目を覚まさせて欲しいのだけど。意外と大丈夫なのかも知れない、そこの見極めを、ね?》
「先ずは、ご本人様とお会いしないと、なんとも」
《助かるわローシュ》
『実は今日、来てたのよ、その3人が』
「あら、どちらの策略かしらね?」
《策略だなんて、ねぇ?》
『まぁ、この子ね』
《ふふふふ》
そして、マーロウ達も加担しているらしく、噂の夫婦を直ぐに見つけ出し。
『コチラ、カサノヴァ家の後見人をなさっているローシュ』
「どうも、彼は甥のルツです、宜しくお願い致しますわね」
《お2人共、お相手を探してらっしゃるの。だから、何かご助言をと思って》
「フォアアールベルク州フェルトキルヒ郡とグラーツで愛を育まれたそうで、辺境で良い方が居れば是非、ご紹介に預かりたく」
《それとお友達にも、彼女はフィラハに拠点を置いてるから、グラーツはそう詳しく無いの》
『お2人のお邪魔にならない程度で構わないわ、少しだけ案内してあげて欲しいの』
《私は構いませんが》
『俺も、大丈夫ですよ』
そして社交は苦手なのか、何か言われる事を恐れてなのか。
夫の方は直ぐに食事を終え、席を外した。
「既にお伺いしています、だからこそ率直に言わせて頂きますね。どうか初恋に引き摺られないで、今までの事を良く思い出して、アナタはどんな風にされてきたの?」
ローシュは悲しそうに、優しく諭すように彼女に尋ねた。
《3年間、確かに放置されましたけど、それは仕事で》
「アナタが有能だから、他と少し違うから、貞淑だからだと知ってから彼は変わった。アナタを得ても何の利も無いのに引き留める、なら分かるわ、けれどアナタを得る事で向こうに大きな利が有る。貴族としては正しいかも知れない、けれどアナタを理解して、優しさをくれたのは誰?」
この夫人を想う、最近になって準男爵位を得た男の名は。
《ギリアムは、確かに優しいですけど》
「義理のご家族が彼に提言出来た筈、なのに放置した、それを優しい。と」
《そんな人達じゃ、私が言ったんです、迷惑を掛けたくないって》
「ではアナタが同じ立場なら、同じ様に放置するんですね、成程」
《それは、もっと、他に方法が有ったかも知れませんが》
「大事な嫁の為に何もしない、アナタは自分の子にそう躾け、誰にでも許す」
《それは、そうするつもりは》
「蔑ろにされている、贈り物が無かった1年で気付けた筈、それとも言う事を聞かないと殺すと」
《そんな事は》
「後から謝れば良い、優しく許すのが愛だ、と子供にまで教えるのですか?自分の娘が、息子がそんな事をしても、真実の愛に目覚めたのだから許す。そう許せば心根の優しい、度量の広い者だと思われるとでも?」
《そう思われたいワケでは》
「ぁあ、今回の事を盾に、常にアナタは上位に立てますものね」
《そんな事は》
「良いんですよ、貴族では無いにしても誰でも思うでしょうし。ただ、自分の子がされても構わない、しても構わないと示す事にも繋がる。大勢にバレなければ、真実の愛だから、愛していると言われたし処女を捧げた初恋の相手だから。3年間蔑ろにされていた事を許し、結婚を続ける。そして他人がされていても許し、子がしても許す、そんな貴族だと思われても構わない」
贈り物が無い事は周知の事実。
その事を義理の家族は偽装すらしなかった、貴族としては大きな失態。
《それは》
「貴族とは規範を示す者でもある、今更取り繕っても噂が広がる事は抑えられない。領民は安心出来ますかね、3年後に倍にして返すから無償で金を渡せと言われて納得する、そんな領主の元で生活するんですから」
《彼は》
「彼の気持ちが抱いて変わった様に、またいつ変わるか。確かにギリアムも変わるかも知れない、それは誰にでも起こる事。激しい愛を感じたかも知れませんが、何か有った時に激変するのはどちらか、流石に分かりますよね」
《私は》
「それでも愛が有る、その愛は変わらない筈だ。皆さん最初はそう思う、けど時が経てば人は変わる、アナタの夫が変わった様に。けれど変わらない部分も有る筈、その部分が悪い面か良い面か把握するには話し合いと行動と。ですが信じたいならどうぞ、ただお子さんにだけは類が及ばぬ様、しっかり守ってあげて下さいね」
《子供》
「私も昔は信じようと思っていたんですが、離縁したんですよ。そうした老婆心だったんですが、私とは違いアナタは美しく有能で大切にされている。無用な心配でしたようで失礼しました、では、さようなら」
私にも向けられた様な言葉の数々に、直ぐにも反論を思い浮かべた。
けれども結局はローシュの言葉が更なる反論になり、私はもう黙っているしか無かった。
『どっちを選んでも、幸せになれると良いね』
「そうね、それにしても、美形って本当に羨ましいわ。私みたいな不細工が同じ様な失敗をしたら直ぐに損切りされるか、被害者ぶられるか」
『ローシュは可愛いし綺麗だよ、ずっと見てたいもん』
「ありがとう。そうよね、愛されなかったのは私の顔じゃなくて、中身の問題だも」
『大好きだよローシュ、大丈夫、僕の気持ちは絶対に変わらないから』
「ありがとう」
心変わりでは無いけれど、それに近い事が私にも起きた。
ローシュが心配した様な事が彼女達に起こらなければ良いとは思う。
けれど、果たして本当にそうなるのかどうか。
《やっぱり、無理だわ、ごめんなさい》
『どうして、何が』
《信じられないの》
『何故、まさか、あの女の』
《いいえ、けど彼女の言う通り、確かに私なら同じ事はしない。アナタの家族も、アナタも、既に信用出来無いのだと気付いただけ》
『今は、本当に後悔しているんだ、愛してる』
《私が無能で、醜く、愚かでも?》
彼は美しさ、有能さを褒めてくれた。
けれどギリアムは優しさを、完璧では無い部分をも褒めてくれた。
『無理をさせた事は謝罪する、もう君が嫌がる事は』
《3年前より良い方に変った、それこそ思ってもみない方向へ、けれども次は悪い方へ変わるか元に戻るか。ごめんなさい、兎に角は1度離縁して下さい》
『離縁したら、どうするつもりなんだ?』
《アナタは他の女を知ってる、私もあの人と関わってみたいの。それが嫌ならもう2度と近付かないで下さい》
『そんな、俺は他の女は』
《何も知らなかったと言えますか?》
ギリアムは本当に何も知らなくて、それこそ加減も何も知らないから、しつこい位に私に尋ねてくれた。
痛みは無いか、どうしたら良くなるか。
それから失敗しそうにもなったり、それが凄く可愛くて。
『他の男を知りた、君は』
《知られるのが嫌ならどうして何もしなかったの?》
『あの時は、けど今は』
《私の3年を無視した、次はアナタの番、私に償いたいなら3年無視されて》
『本当に、愛してる』
《有能だから》
『だけでは』
彼にとっても初恋なのかも知れない。
けど。
《お願いします、償いたいなら私に自由を下さい》
久し振りに会った友人なのに、ローシュには無理を言ってしまった、でも。
《私の判断は、間違って無いわよね?》
『まぁ、そうね』
《はぁ、良かった》
『強引に動かした割に、少しは悪いと思ってたのね』
《勿論よ、大抵の事は愛で乗り越えられる。けれど乗り越えられなかったら、乗り越える価値が無かったらどうなるか、見極めは私達よりローシュが適任だと思ったけど。嫌な過去を思い出させる価値が有るか、私には分からなかったから》
『有ったわね、前とは違う激しい愛じゃないけど、心躍るって』
《片方はもうお見合いが来てるんですって、3年待たないつもりなのかしら》
『だとしたら弱い男、見限って正解だわ』
《でも、もし健気に待ってたら、どうするのかしら》
『妾にしてあげたら良いんじゃない?ギリアムが許せば』
《男って意外と同性に甘いから、有り得そう、彼女ちゃんと考えてるのかしら》
『だからこそ、隣街を派手に盛り立ててるのかも知れないわよ』
《ボーデン湖のフレゲンツかハルト、どちらが栄えるか楽しみね》
『賭けましょうか』
《賭けにならないわよ、私は彼女を応援するもの》
『アナタも同性に甘いじゃない』
《同性が蔑ろにされるのが嫌なだけよ》
けど、実際に貴族の統合を見る事になるとは思わなかったわ。
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しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
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