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更に更に、その後。

女王陛下とお茶会。

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 教会、神殿、モスク、それらが集う場所で先ずは歓迎会を受ける。

 久し振りに会ったローシュは、キラキラ。

《エロい》
「スペランツァ女王陛下、久し振りでそれは無いのでは?」

《その色気を私に頂戴》
「追々、お年を召せば自然と湧き出ますわよ、多分」

《多分って言った》
「生憎と先を見通す力は無いので」

《有りそうなのよねぇ》
「買い被り過ぎですわ」

《エロい》
「はいはい、後でご相談に乗りますから、他の方ともご挨拶して下さい」

《後でね、絶対よ》
「はい」

 相変わらず綺麗なお辞儀カーテシーだし、何も変わらないのよね、全然。

《ソフィア、アレは一体、何なのかしら》
『デュオニソス様のお力か、アリアドネ様か』

《もしかして、ワインに若返りの効果が》
『未だ、暫くはお控え下さいね、もう少しです』

 しっかり体が成熟してから。
 まだ生理が不安定なのよね、日付も何もバラバラで。

《観光地化の件、ご苦労をお掛けするわね、ドルフィン候》
《ははっ、勿体無き、お言葉で》

 時代を先取りし過ぎず、遅らせ過ぎず、私の女王としての役目は時代の見定め。
 けど無理よ、ローマに居るだけで全てを知るのは不可能だし、見定めるにも基準が必要。

 となると、やっぱり外交と国内視察。
 王宮を出たくてしてるんじゃないのよ、本当。



『エロいですね』
《ですねぇ》
「ローレンス、ルクレツィア、ちゃんと肌は隠れてるでしょうよ」

《体の形がくっきり》
『コルセット部分以外は柔らかそうに見えてしまっているので、エロいんです』
「分かったから言わないで」

《可愛いですねぇ》
『でしょう』

 こう困ると黙るのが、可愛いくて仕方無い。

《ふふふふ、じゃあ私は夫と合流しますね》
『はい、では』

「何で、ルクレツィアは態々コッチに来たの?」
『近くで見たかったんですよ、ローシュを』

「誂いに、の間違いでしょう」
『俺は本当ですよ、ずっと見ていたいですし』

「アナタ凄い度胸ね、女王陛下が居る場で口説くとか」
『そう興味が無いので』

「私は戦々恐々よ、いつ見知らぬ女に刺されるか」
『そこらの適当な女には手を出しませんし、アレは例外だったと分かってくれてますよね』

「私ちょっと愚かだから、分からないわ」
『それ良いですね、俺も使おうかな。愚かだからつい、場を弁えずに口説いてしまいました、とか』

「耳元は本気でやめなさい」
『弱いですもんね、耳』

「片玉引き千切るわよ」
『その方が精力が増すって噂なんですけど、どうなんですかね?』

「んー、片方が補うのは良く有る事だから減る事は無いだろうけど、量が減るんじゃない?」
『じゃあ両方大事にしないと』

「馬鹿話が過ぎるわよね、コレ」
『このお陰で仲睦まじいって噂なんですよね、俺ら』

「ココで一発、手酷いケンカでも」
『そしたら舌を噛み切って死んでやりますから、絶対にしないで下さいね』

「こんな話ばっかりで飽きない?」
『飽きる方が馬鹿ですよ、意外と同じ会話にならないんですし』

「じゃあ」
『同じ流れになったとしても、俺が変えれば良いだけですし』

「手玉に取って楽しい?」
『楽しいし幸せですよ、一緒に居られて凄く嬉しいし、ムラムラする』

「最後の、ふふふ」
『全部本当ですからね、綺麗ですよローシュ』

 こう言うと、必ず返って来る台詞が有る。

「ドレスがね」

 この言葉を言ってくれないと、逆に偽者かと疑ってしまう。

『ドレスも、ローシュも、けどもう脱ぎに行きましょうか』
「コルセット付けるの大変なのに」

『じゃあ付けたままで』
「エロい事しか頭に無いのね」

『男の子なので』

「性欲の無い男の子に謝りなさい?」
『居るんですかね、この世界に』

「確かに、居ない方が良いは良いわよね、下手すれば異端扱いされそうだし」
『居るとしたら何処に、治療院とかですかね、攫ってきましょうか、居場所が無い可能性も有りますし』

「物騒だけど、アリよね、ウチでなら責めないし罪ともしないし」
『居たとしても、そう困って無いのが1番なんですけどね』

「ね」

『キスして良いですかね』
「頬の中心部だけね」

 困って黙る姿を眺めるのも、こうして他愛ない話をするのも。
 何をするのもローシュが1番楽しい、居心地が良い。



《はぁ、涼しい》

 朝の歓迎会の後は、お昼過ぎにはモスリンドレスでのお茶会。
 日が高いと本格的に暑くなってきたのは分かるのだけど。

「女王陛下、それは、お寛ぎ過ぎかと」
《私が寛がないと他も寛げないでしょう?だからローシュも寛いで》

「ぁあ、はい」

 少し前まで凄い怖がられていた私ですが。
 まぁ、今はもう借りて来た猫よりも大人しいですわよ。

《ベアトリスの事はごめんなさいね、私まで侮られてたなんて》
「いえ、でも懐かしいですね、ビクビクしてらっしゃった頃」

《本当、けどソフィアのお陰なの、畏怖と恐れる事は違う、恐れるだけでは不敬だって》
「流石、有能」
『いえ、自身にも言い聞かせていただけですので』

「有能」
《もう、困らせて遊ばないで、それ私の役目だから》

「すっかり大人びてらっしゃって、後足りないのは胸ですかね」
《本当にもう、何とかならないのかしら?》

「噂では揉まれれば、とか」
《ならローシュはどれだけ揉まれてそうなったのか教えてくれるわよね?》

「血縁次第なんですよねぇ」
《そこよ、逆に、お祖母様に似るとか嫌なのだけど》

「夫様の好みがそうであれば別に、まさか、浮気を?」
《無いわよ、無いけど、本来有る筈がさして無いとなると、自信も無くなるわ》

「中つ国の東洋医学、医食同源はご存知ですか?」

《確か、悪い所と同じ部位を食べる?》
「牛の乳腺の煮込みだとか、お肉以外、試してみました?」

《まだだけど、美味しいの?》
「ニンニクと塩で煮て、しっかり灰汁を取って、大きくなれと祈りながら食べると」

《大きくなるの?》
「アレですね、もう少し全身に脂身を付けましょう、じゃないと生理不順とか起きちゃいますよ」

《あ、それが原因なのかしら》
「何故、食べないんですか、死にますよ」

《忙しいし、食べると直ぐに気持ち悪くなるの》
「まさか妊娠してらっしゃらないですよね?」

《してないもの、まだ》
「あぁ、生理不順に食欲不振、心配ですわねソフィア」
『コレで少しは良くなればと思っているのですが、今日も水分ばかりで』

「アナタ、まさか冷たい飲み物を飲みまくって無いでしょうね」

《あ》

 はい、冷たい飲み物の飲み過ぎ。
 氷大好き、はい、貧血ですねコレ。

「陛下」
《だってレバー嫌いなんだもの》

「嫌いとか言ってる場合じゃねぇんですわよ、アレですかね、鳥も牛も試して、ですかね?」
『はい』

「あー、鉄鍋、鉄鍋で食材を、スープを煮てお出しして下さい。後で更に調べてお伝え、いえ、知ってますよね有用な食材」
《ローシュのお料理が食べたいの》

 何故。

「何故」
《だってルツやアーリスが新しい料理の事だとか、ローシュの料理が美味しいって自慢するんだもの》
『きっとローシュ様のお料理なら、レバーも食べられるのでは、と』

「いや料理人が居るでしょうよ」
《我慢して食べてるけど、冷めてたり固いんだもの、それで文句を言うと民がーとか》
『毒味等を経て、味付けや調理方法も最低限ですので、はい』

「そら嫌になるでしょうけど」
《囚われてた時の方が美味しいってどう言う事よ?》

「あぁ、そうなると益々嫌になるでしょうけど」
《義務、苦痛、何とかして》

「そこから?」
《そこから》

「その料理長や責任者は?」
《同行させてるわ》

 ほう、悪役になれと。

「悪役になれと?」
《そうじゃないけど、食べてみてよ、凄いんだから》

「それはそれで気になりますね」
『教会派の、厳しい節制、清貧、断食を推奨する一派の者の影響が、大きく』

「殺しちゃいなさいよ」
《ほら》
『宥和政策にと派遣された方でして、どうにも、殺しては問題になるかと』

「その問題の方とだけの夕食会を、それまでに情報収集します」
《ありがとうローシュ》

「でも冷たい飲み物はダメ、胃が悪くなる」
《ふぇぃ》

 意外と食べる姿フェチとか、まさかねぇ。



『で、仕事を増やしちゃったの?』
「だって下手をすれば殺人、お世継ぎを作らせないも同義で実質国家転覆罪よ?」
『ただローシュの料理が食べたいだけでは?』

「でもメシマズは本当っぽいし、最悪は教皇出しちゃえば良いかなと、そしたら直ぐに片付くでしょ?」
『まぁ、教皇を出せば早いでしょうけど』
『その夕食会はいつになったの?』

「明日」

 明日、ルツが色々と用意する予定だったんだけどなぁ。

『じゃあ、僕は報告に行ってくるね、それと食材の事も』
「あ、お願いね」

 どうしようかな、ガッカリするだろうな。

『ルツ、ごめんね』
《ローシュに何か予定が入りましたか?》

『明日、スペランツァの料理人とかと対決する事になった』
《成程、詳しく聞かせて下さい》

 ローレンスが言う通り、単にローシュの料理が食べたいだけ、なら良いんだけど。

『スペランツァがいつも食べてる食事を出させて、一緒に食べるんだって』

《全く意見を取り入れない、それが本当なら反体制派を疑うのも無理は無いですね》
『そうヤバいと長引いちゃうよねぇ、殺して終わりじゃなくなるし』

《準備する時間が多く貰えたとも思えますし、待ちましょう、心残りが有るとソワソワする人ですし》
『相手が言って聞いてくれる人なら良いんだけどなぁ』

《意地でも聞かせましょう、ローシュから天使へ身辺調査を》
『あ、だね』
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