上 下
135 / 160
更に更に、その後。

モスリンドレスでの夜会。

しおりを挟む
 お昼のお茶会から一転して、今回はベールの色もモスリンドレスも好きな色で、と。
 だからドレスは赤でベールは黒にしたらまぁ、目立つ目立つ。

「フランソワぁ、何で白白の組み合わせが多いのよぉ」
『言ったんですけどねぇ、何色でも良いって』

「赤が多い筈よね?」
『割合としては赤白黒と等分になるかと思ってたんですけど』

「殆ど白ぉ」
『本当に、何ででしょうね?』

「そこお願い」
『はい、行って参ります』

 で、何故なのか。
 答えはローレンスが持って来てくれたのだけど。

「白は男受けが良いとか、何それ」
『結婚式のドレスみたいで良いんだそうですよ、初夜を思い出すんだそうで』

「はぁ、着替えて来ようかしら」
『以降は未婚は色付き、既婚は白にしてみては?』

「あー」
『似合ってますし、そのままで過ごして下さいよ』

「えー、悪目立ちし過ぎじゃない?」
『最初の見本が居てこそですし、俺は本当に好きですよ、エロい』

「エロ目線」
『男なんてそんなもんですよ、肌の露出が無くても、中身を思い描いてムラムラする』

 ローレンスには確か、記憶が戻った事は伝わって無い、筈。

「そう見せて無い筈よね?」

『覗き見してたかもですよ、年頃なので』
「ぁあ」

『しかも誰かとしてる時とか』

 どエロいが過ぎる、ピッタリな名を付け過ぎたかしら。

「ぁあ、そう」
『あ、待って下さいよ、動けなくなったので責任を取ってくれないと』

「何でスッキリさせて無いのよ」
『させたんですけど足りなかったみたいです、未熟者ですみません』

 ルツもこうズルい手が使えれば、いえ、前は使ってたわよね。
 やっぱり機会だとか区切りを気にしてくれてるのか、怖くなったか。

「私が1番に抜け出すのは無理、部屋に送るから自分で何とかして」
『それだと時間が掛かるかも知れないんで、少しだけ手伝って貰えませんか?』

「エロしか頭に無いの?」
『今は特に、ですね』

「はぁ、ほらさっさと行くわよ」
『ありがとうございます』

 部屋に送るだけのつもりが、本気で連れ込まれるとね。

「邪魔をするなら本気で怒るけど」
『与えて奪うのってズルいですよね、そんなに俺が嫌いですか?』

 それは悪いと思うし、嫌いじゃないからこそ、困るワケで。

「じゃあ股を開けば良いのかしらね、はいどうぞ」
『幼稚なのが嫌いなのは分かります、けど少しは俺の事も考えて下さいよ。振り向いて欲しくて、好きになって欲しいから、こんな事をするんですから』

「嫌いならココまで許さないと思うんだけど」
『言って欲しいんですよ、好意を言葉にして欲しい』

 ローレンスまで。

「じゃあ、どれを選ぶか、どっちも選ばないか」

『意地悪ですね?』
「5秒前、4、3」

『そん、じゃあ言いながら』
「はいどっちも選ばなかったので私は部屋を出まーす」

『ちょっ、じゃあ、言って下さい、言葉にして下さい』

 真っ赤。

 そして意外。
 てっきり、行為を選ぶかと。

「性欲より言葉を選ぶのね?」
『性欲は自分だけでも満たせますから』

「成程」



 僕以外、竜人が他に居なくて助かる。

『ローシュ、ローレンスとしちゃった?』
「あの早さで部屋を出てるのに?」

『ムラムラしてる匂いがするんだもん』

「ちょっと、ね」
『えっち』

「ね」

『ムラムラされるとしたくなる』

「アーリス」
『分かってる、コレで抜け出したら流石にマズいよね』

「うん、はい」
『だよねぇ』

「ごめんなさい、あまりに衝撃的だったので」
『なら今度僕も真似するね』

 レース越しでも分かる位に真っ赤になってる、可愛い。

「ぁあ、はぃ」
『じゃあ見守りに行ってくるね』

「うん、お願い」

 一緒に居たら食べたくなるから離れないと、侍従の役だし、あんまりベタベタ出来無いし。

『あ、ルツ、ローシュをお願い』
《分かりました》

 良い方向に行くかな。



「ルツが1番エロいわよねぇ」

 仮面の代わりに女性はベール、男性にはターバンの原型とも言われるクーフィーヤを、ベールの様に深めに被らせたのですが。

《クーフィーヤが、ですかね》
「と言うか口元だけ見えるのが逆にエロい、性的魅力がエグい」

《なら2番目は誰ですかね》

「んー、そう見て無かったから」
《じゃあ見ないで下さい、私だけで1番なんですよね》

「圧倒的に、何でかしらね?」
《元から、性的に魅力的でしたか?》

「ぁあ、うん、はい」

 ココで抜け出せたら良いんですが、きっと、主催側が1番に抜け出すワケには行かないと。
 だからこそローレンスを休憩部屋に送り届け、早々に戻って来たんでしょうし。

 何より、今コレで済し崩しにしては。

《ローシュも凄く魅力的ですよ》
「悪目立ちしてるとしか思えない、何でよ、色付きでも良いって念押ししたのに」

《何でも良いと言われると、逆に前例に倣うのが、ある意味で普通かと》
「そこまで考えないといけないの、凄い面倒くさい」

《ですね、もしアナタなら何色を身に着けましたか?》

「フランソワに赤いベールと白のドレスで、結局、私はコレと同じにしてたわね」
《ロッサ・フラウとして動ける様に》

「それが無かったら白いベールと青いドレスか、その逆か、確かに白白にしちゃうかも」
《主催側なんですし、見本なんですから、恥ずかしがらなくても大丈夫ですよ》

「エロいらしいのよ、コレ」

《魅力的だと思うと、余計にそう見えるかと》
「どの要素が?無くしたいんだけど」

《レースと木綿のドレス、ですかね》
「全否定」

《コルセットドレスで胸元をレースで隠しても、難しいかと》

「何をしてもエロく見える?」
《ですね》

「ウムトに見せた日には?」
《見せない様に眠らせるか、目でも潰しましょうか》

「それはそれは、可哀想に、ふふふ」

 パンドラが悪いと言うか、寧ろ性欲に振り回される男が悪いと言うか。
 命を生み出す源、性欲を毛嫌いしていたんでしょうかね、あの作者は。

《では、エロスを振り撒きに参りましょうか》
「大罪と疑われない様に、程々にね」

《それは確かに気を付けないと、抑えて下さいね》
「制御出来るのかしらねぇ、ご本人」

《確かに、謎ですね》
「お困りなら制御具の提案をしないとね、きっと魔王に似て根は優しい筈だから」

 魔王がこの大陸から居なくなると同時に噂が消え、大罪達の行方は不明に。
 教会側が言う、引き離した事で能力が消えていれば良いんですが。

 単に潜伏しているだけ、でしょうし。

《媚薬は効くんでしょうかね、色欲に》
「ガンガンに効きそうよね、逆に。って言うか有るのかしら、媚薬なんて」

《アンブロシアが有るそうですし、有るかと》
「ネクタールに、エリクサーは北欧だったかしらね」

《ラウフェンのとは等価交換をしないで下さいね、何が起こるか分からないんですから》
「ならヴァルキュリアの方々にお会いしたいわぁ、絶対に綺麗で強い、素晴らしいに決まってる」

《追々で》
「そうね、追々で」



 流石に前回の事が有ったので、フェルナンデスは大人しくしてくれている。
 そしてお客様も厳選したし、休憩室も多めにしたし、今の所は問題が無い筈なのだけど。

《赤と黒は、ちょっと、控えた方が良さそうね》
『え、やはり派手でしたかね、ローシュも着替えるべきか気にしていたんですが』
《ほら、ご本人様の色が有るじゃない?名も色もお似合いだし、それこそ比べられても困るもの》

『そんな、比べるなんて』
《私達じゃなくて、よ》
《夫や他の男に、外遊もこなせる女性と同じに扱われてもね、素地も何もかもが違うのだもの》

《そこを理解せずに嫌味を言うから、色選びが難しいのよ》
《だから既婚者は白いドレスで、ローレンスが言ってた案が良いと思うの》
『ぁあ、けど、色付きを着たくは無いですか?』

《それこそ家で、ベールだけ色付き程度で十分よ》
《そうね、未婚こそ、こうした会にバンバン出るべきなのだし。私達はお昼の会で十分、寧ろ刺繡の腕を競うには白の方が楽しめるし》

《そうね、ネグリジェの刺繡を見せるって殆ど無いからこそ楽しいのよ》
《そうそう、夫か侍女か、刺繡に意味を込めても無意味なのよ、教養に欠けてるから》
『あら、意味を込めてらっしゃるんですか?』

《ぁあ、その時には外してらっしゃったのよね》
《あの騒動の前にね、今日は気分じゃ無いって刺繡の図案の話をしていたのよ、逆に良い日だとかも》
『成程、素晴らしい案ですね』

《ふふふ、簡単よ、花言葉から引用しただけよ》
《あの本が広まると、もっと楽しいのだけれど、写本するだけでも大変だものね》

 活版、精巧な木版が異国に有るとは聞いているんですが。
 コレはそろそろ、出ても良いのでは。

『どうにか出来ないか、ローシュに相談してみますね』
《確かに、異国の何かを知ってらっしゃるかも》
《お願いね、フランソワ》
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【宮廷魔法士のやり直し!】~王宮を追放された天才魔法士は山奥の村の変な野菜娘に拾われたので新たな人生を『なんでも屋』で謳歌したい!~

夕姫
ファンタジー
【私。この『なんでも屋』で高級ラディッシュになります(?)】 「今日であなたはクビです。今までフローレンス王宮の宮廷魔法士としてお勤めご苦労様でした。」 アイリーン=アドネスは宮廷魔法士を束ねている筆頭魔法士のシャーロット=マリーゴールド女史にそう言われる。 理由は国の禁書庫の古代文献を持ち出したという。そんな嘘をエレイナとアストンという2人の貴族出身の宮廷魔法士に告げ口される。この2人は平民出身で王立学院を首席で卒業、そしてフローレンス王国の第一王女クリスティーナの親友という存在のアイリーンのことをよく思っていなかった。 もちろん周りの同僚の魔法士たちも平民出身の魔法士などいても邪魔にしかならない、誰もアイリーンを助けてくれない。 自分は何もしてない、しかも突然辞めろと言われ、挙句の果てにはエレイナに平手で殴られる始末。 王国を追放され、すべてを失ったアイリーンは途方に暮れあてもなく歩いていると森の中へ。そこで悔しさから下を向き泣いていると 「どうしたのお姉さん?そんな収穫3日後のラディッシュみたいな顔しちゃって?」 オレンジ色の髪のおさげの少女エイミーと出会う。彼女は自分の仕事にアイリーンを雇ってあげるといい、山奥の農村ピースフルに連れていく。そのエイミーの仕事とは「なんでも屋」だと言うのだが…… アイリーンは新規一転、自分の魔法能力を使い、エイミーや仲間と共にこの山奥の農村ピースフルの「なんでも屋」で働くことになる。 そして今日も大きなあの声が聞こえる。 「いらっしゃいませ!なんでも屋へようこそ!」 と

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

男女比世界は大変らしい。(ただしイケメンに限る)

@aozora
ファンタジー
ひろし君は狂喜した。「俺ってこの世界の主役じゃね?」 このお話は、男女比が狂った世界で女性に優しくハーレムを目指して邁進する男の物語…ではなく、そんな彼を端から見ながら「頑張れ~」と気のない声援を送る男の物語である。 「第一章 男女比世界へようこそ」完結しました。 男女比世界での脇役少年の日常が描かれています。 「第二章 中二病には罹りませんー中学校編ー」完結しました。 青年になって行く佐々木君、いろんな人との交流が彼を成長させていきます。 ここから何故かあやかし現代ファンタジーに・・・。どうしてこうなった。 「カクヨム」さんが先行投稿になります。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

竜焔の騎士

時雨青葉
ファンタジー
―――竜血剣《焔乱舞》。それは、ドラゴンと人間にかつてあった絆の証…… これは、人間とドラゴンの二種族が栄える世界で起こった一つの物語――― 田舎町の孤児院で暮らすキリハはある日、しゃべるぬいぐるみのフールと出会う。 会うなり目を輝かせたフールが取り出したのは―――サイコロ? マイペースな彼についていけないキリハだったが、彼との出会いがキリハの人生を大きく変える。 「フールに、選ばれたのでしょう?」 突然訪ねてきた彼女が告げた言葉の意味とは――!? この世にたった一つの剣を手にした少年が、ドラゴンにも人間にも体当たりで向き合っていく波瀾万丈ストーリー! 天然無自覚の最強剣士が、今ここに爆誕します!!

処理中です...